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「地域における情報化の推進に関する検討会」
住民サービスワーキンググループ(第5回)
議事要旨

  開催日時
  平成17年1月18日(火)10時〜12

  開催場所
  総務省10階 1001会議室

  出席者
  構成員等
     宇山正幸、國領二郎、鈴木聰明、高木治夫、寺林一朗、野長瀬裕二、細内信孝、丸田一(五十音順、敬称略)
  オブザーバー
     総務省・西泉自治行政局地域情報政策室課長補佐
  総務省
     鈴木政策統括官、松井審議官、横田地域通信振興課長、今田地域通信振興課長補佐、
  その他


 議事概要
   「地域における情報化の推進に関する検討会(第4回)」の概要報告
   地域情報化の課題と解決方策の検討と住民サービスWG最終取りまとめの方向
   地域情報化と最終取りまとめに関する意見交換

 意見交換の概要
   親会とは意識を合わせて、政策パッケージとなるように検討を進めたい。
   WGで検討した新たな主体による活動の社会的インパクトが、現在大きくなりつつあることに留意したい。
   全ての人がICTのスペシャリストになる必要はなく、サービスを提供する側がスペシャリストとなりネットを利用できるようにすることや、「いかに現場でICTが使えるか」という視点を持つことが重要。またインフラを、医療や仕事等様々な目的に利用する「共有」という仕組みを実現したい。
   現在議論されている行政のCIOは、電子自治体よりのもの。地域が自律的な活動を行っていくためには、地域全体を統括できるCIOが必要ではないか。但し地域CIOの役割を担える人や組織を維持していくことは難しい。また地域CIOは協議会のような官民横断的な組織形態であるべきでは。
   CIOとなる人物は、行政外部に存在し、自治体から資金や人材を引いて来られる人物であることが望ましい。
   地域情報化を推進するためには、既存のインフラ活用が必要ではないか。現在ある資源をいかに有効に利用するかという観点で物をみること。ゆえに公共インフラの目的外使用の制約を緩和していくことが今後の課題。
   活動の検討においては、作り手主体ではなく使い手たる住民主体のユーティリティ性とモビリティ性を発揮できるようにすることが必要である。医療、教育、観光、生活文化等、生活に身近な分野では、誰もが情報を俯瞰できる提供のあり方や、データの構築方法等を考慮すべき。またモビリティ性は利用者の動線の問題であり、ICTの導入によって使い手の動線が短くなる効果が評価されるべき。
   地域情報化の取組としては、自ら主体として取り組むケースと、"場"で人を育て、"場"から育った人が"主体"となって活動していくケースがあり、異なる取組として位置づけられるべきである。また"場"の支援はこれまで存在していたが、地域で影響力を持った"主体"への支援は例が少なく、新しい仕組みが必要では。
   現在の国のおかれた状況を踏まえ、小さな政府の限られた資源の中で民間活力を活用する形を採るべきでは。
   活動の基盤を固めるには、行政が保有する公共ネットワークの共有化が必要。どうすれば開放できるのみではなく、皆が利用できる形を検討すべき。また現在のネットは、事業者の約款により契約者でなければ利用できない。「ネットの共有化」という意識が必要では。
   公共ネットワークは、目的外利用の制限が存在する。目的で縛るのはリソースの無駄。道路と同じ誰でも利用できる公共のものとして考えるべき。
   日本のような資源の乏しい国は、これから知的財産に力を注いでいくべき。地域でアイデアを出し、多様性を容認しながら実施する活動に資金を投下すべきでは。
   住民視点により、地域情報化に必要な「もの」が統合されることが重要である。人材を横につないでいくこと、行政や活動を行う者、在野の人等の連携等。
   インフラは敷設側の目的で縛るのではなく、住民が必要とする複数の目的に利用できることが必要。前述の目的外使用の問題は改善されてきたが、実際は公共ネットワークと民のネットワークの間の接続費用の捻出がネックになっており進んでいない。限りある資源を徹底的に利用する視点が重要。またインフラは全国均一を目指すのではなく、住民視点による多様性を重視し、全て光を敷設する必要はないと考える。
   WGの中間取りまとめ等においても成功事例が取り上げられているが、活動が失敗した場合の情報を蓄えることも必要では。負の部分をどう捌くかというリスク管理の視点は、活動において必要不可欠である。
   今後の活動の資金調達に関して、個人保証やコミュニティ保証をどう捉えるか。新しい仕組みを作っていくことが必要。
   NPOは理事の無限責任であるため、活動にマイナスが出た場合耐えられない。また資金が回りだすと、限られた人材のなかで新たなことが何も出来なくなる傾向にある。運営が不安定であることを考えると、まちづくりはNPOでは不十分ではないか。
   NPOから第三セクターに活動を移す選択もあるが、行政のバックアップを受けることによって組織が硬直する可能性がある。
   資金調達については多様性が必要であり、市民ファンド等が容易に行えるよう抜本的な税制システムの変革が必要では。
   公共の休眠資産を活用するかはどうか。協働条例等の条例が制定されていれば、民間やNPOが公共の資産を利用することが可能ではないか。
   公共ネットワークの目的外使用については、ネットワークの中で開放されない部分があることや、ケーブルの出口が限定されていることから、接続するコストが大きい等の課題もある。
   ここまで大枠として横連携の調整と人材育成について、また個別課題が議題として挙がったが、両面から議論したい。
   活動は三セク、NPOが住民視点で活動すべきという話が挙がったが、そこで活動する人材(コネクター)の選定基準は何か。地域活動の人材の評価尺度に企業活動の尺度は持ち込めない。「自ら街づくりをしている」ことと、「街づくりをするNPO を育てる」ことは分けて考え、前者はある程度厳しい尺度で評価していくことが必要だが、後者は無条件で支援してもよいのではないか。
   知見があり活動を続けている者から見れば、有用な人材が否か判断可能では。
   他人からの信用力を数値化することができれば評価可能ではないか。
   信用力のみではなく、活動が地域で認知されている必要もあるのでは。
   他省の事業では、人ではなくプロジェクトのスキームによる評価を行った。選抜され活動するうちに、活動者が淘汰されてゆく形である。今出た人の評価を行う話より、成功するための制度的環境をいかに整えるが当面は重要なのではないか。環境整備による活動がうまくいけば、活動者の実力が向上し、信頼に足るものとなる。「こういう人でなければ」を考えるよりも近道ではないか。
   地域活動のプロとしては社会起業家(ソーシャルアントレプレナー)が存在するが、日本ではまだ例が少ない。中央省庁においても取り組んでいるが、なかなか成果は出ていない。
   プロジェクトファインディングやプロデュースを行う専門家を育てて、様々な地域で事業を支援していくことが出来れば面白いのでは。
   地域情報化は始まったばかりで、成功のシナリオができていないが、まずリーダーが出て、それがコネクターに移行する段階で、評判という尺度で評価できるのではないか。他者からの評価の高いコネクターを支援するということは可能では。
   (これまでの議論のまとめとして)住民視点から様々な資源を有機的に結合していくための制度整備が考えられないか。特に人の問題が重要で、社会企業家がキャリアパス的に力を蓄えて評判を蓄積し、実績をあげた人には結果がついてくるような仕組みを検討することが必要ではないか。さらにリスクマネジメントの観点から、失敗の情報の蓄積等を行うようなメカニズムが必要ではないか。
  以上



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