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第7回 迷惑メールへの対応の在り方に関する研究会
(議事要旨)



1   日時 平成20年4月23日 1730分〜1900
場所 総務省8階第1特別会議室
出席者(敬称略、五十音順)
  (構成員)
  阿佐美 弘恭、五十嵐 善夫、井口 尚志、石田 幸枝、井上 惠悟、岡村 久道、桑子 博行、坂田 紳一郎(代理:能登 雅夫)、佐久間 修、沢田 登志子、関 聡司、高瀬 哲哉、高野 ひろみ、高橋 徹、長田 三紀、新美 育文、野口 尚志、林 一司、別所 直哉、松本 恒雄、三膳 孝通、山田 和彦、吉満 雅文
  (オブザーバ)
  経済産業省 諏訪園消費経済対策課長、日本データ通信協会 若林迷惑メール相談センター所長(代理:佐藤部長)
  (ヒアリング対象者)
  インターネット広告推進協議会 西原事務局長、柳田主事
  (事務局(総務省))
  寺ア総合通信基盤局長、武内電気通信事業部長、安藤総合通信基盤局総務課長、二宮消費者行政課長、河内情報セキュリティ対策室長、吉田消費者行政課企画官
4   議事
  (1) 開会
  (2) 第6回議事要旨案について
  (3) 議題
    オプトイン規制の運用について1)(ヒアリング)
    その他
  (4) 閉会

5   議事概要
  (1) 開会
  (2) 第6回議事要旨案について
    資料1の第6回議事要旨案について了承された。
  (3) 議題について
    オプトイン規制の運用について1)(ヒアリング)
  1) 広告宣伝メールをビジネス上で活用している者からヒアリングを行った。はじめにインターネット広告推進協議会の西原事務局長、柳田主事から資料2(メール広告の概要と運用について)に基づき説明があり、その後以下のとおり質疑を行った。

資料2の13ページに関連して、迷惑メールの配信に関し、民事上の紛争に発展した場合、おそらくオプトインの立証責任は裁判所では送信事業者側に課せられることになるのではないかと思うが、この場合どのように立証をするのか、またどのような立証が望ましいか。
→   サービスごとに異なるのではないか。

資料2の13ページ(3)の1番目の項目は常に日時を保存しておくべきではないという意見、2番目の項目はキャンペーン期間が過ぎると保存困難ということでそれぞれ違う意見だが、一律に日時を保存すべきではないといった意見ではないということか。
→   サービスにあわせて何らかの記録を保存することでよく、一律に決める必要はないと考える。

資料2の14ページに「迷惑メール防止のための有効な手段が講ぜられるべき」との記述があるが、具体的にはどのような手段が有効か。
→   今後皆で考えていくべき課題と考える。

消費者に被害が生じているからオプトイン規制という流れになっているので、この流れの中で考えていくべきではないか。

広告業界では重い罰則を課せば効果があると思っているということか。
→   規制が正当な事業者への支障になるのはよくない。

資料2の12ページ中、「送信者ではなく第三者が適正に同意を取得しているケースもある」というのは第三者が取得している同意というのは送信者を特定した上での同意なのか包括的な同意なのか。その場合は、メールの差出人は広告主になるのか。
→   資料2の10ページにあるように第三者である媒体社D社は送信者である広告主A社からの委託による同意取得をし、メールの差出人は広告主になる。

ユーザは誰に対して同意をしているのか。媒体D社の名前で同意取得しているのか、それとも広告主A社の名前で同意取得しているのか。また、A社の名前で同意取得していない場合もあるのか。
→   媒体D社の名前による場合、広告主A社の名前による場合の双方があり、A社の名前は必ず出る。

オプトインの同意取得がもし民事上の訴訟になった場合、事業者に同意の立証責任があるとのことだが、具体的にどういったときを想定しているのか。

ある会社が同意なしにメールを大量送信した結果に関し損害賠償の集団訴訟がなされることはあり得るのではないか。

オプトイン導入による民事訴訟は想定しにくいのではないか。そのような想定の下に事業者に義務を課すのは負担が過重なのではないか。

アメリカではプロバイダによる差止訴訟が行われている。

訴訟があるとしても損害賠償請求以外の形で行われるのではないか。

トラブルを持ち込むような者もないとは言えず、会社側としてはその防衛の意味でも何らかの方法で同意の記録を保存しておいた方がよいのではないか。

行政罰や刑事罰が対象となった場合の立証責任はどちらにあるのか。

刑事罰の場合、おそらく違反行為の構成要件ということであれば検察側に立証責任があるのではないか。ただし、同意がないというのを立証するのは悪魔の証明であって、やはり同意があったという証拠を事業者側に求められることもあるので、何らかの方法で保存しておいた方がよいのではないか。

同意の記録を残すかどうかは企業がそのリスクを飲みこむかどうかということ。立証責任は事業者側にあると考えられるのではないか。


  2) 次に有限責任中間法人ECネットワーク沢田構成員から資料3(迷惑メール規制について 中小ネットショップ現場からの声)に基づき説明があり、その後質疑を行った。

資料3の1ページ中、迷惑メールが減ることが大前提とあるが、これは絶対量が減ることか、それとも増加を防ぐという意味か。
→   絶対量が減ることを要望。

資料3の5ページ中、「表示義務については当然」とあるが、個別具体的な規制は望ましくないということか。
→   真面目な事業者であれば、自分たちが困るのできちんと表示義務を守っている。

記録保存方法について、リスクテイキングとの関係でどこまでなら対応可能なのか。
→   民事訴訟はあまり想定していない。立入検査に備えて必要という理解でいるが、実際に起こる可能性の低さを考えれば、今まで以上のことは、できればやりたくないというのが中小ネットショップの本音。

広告メールは既存顧客のつなぎとめには効果があるものの、新規顧客開拓にはあまり効果がないとの説明があったが、楽天モールでは新規出店者が広告メールを配信することで新規顧客を増やしているという多くの事例が存在する。

  3) 最後にネット上で大規模にビジネスを展開している楽天株式会社から資料4(楽天グループの広告メール等について)に基づき説明があり、その後以下のとおり質疑を行った。

ポイントを集めるための懸賞サイトなどでは一社ではなく、数社からのメール配信が前提となっている場合がある。最近、メール配信される会社名を載せるようになったが、その理由をお伺いしたい。
→   改善を重ねており、消費者にとって同意したらどうなるかということを分かりやすく表示することが重要と考える。

統合等についても知らない間になっている場合もあるが、その点はどう考えるか。
→   統合前の会社が同意取得していれば、同意の取り直しは不要と考えている。M&Aの際には、メールアドレスのリストが企業価値の算定に大きな影響を及ぼすこともある点に十分留意する必要があると考える。

携帯電話の表示義務について、現在、テキストメールだけではなく、情報量の多いものもある。携帯電話はパソコンに比べ容量等に限りはあるが、そういったことについてはどう考えるか。
→   携帯については、受信者にとって分かりやすくという話と容量での制限との兼合いがあるが、依然として容量に制限が存在することも事実であることから、実現不可能な義務を課すべきではない。

同意の記録保存はどのようにしているのか。
→   取得日時まで保存しているものもあるが、過去に同意を取得したものの中にはシステム上保存していないものもありうる。1件ごとにデータを保存してはいない事業者も多いと予想されることもあり、経済産業省のWGの中間取りまとめにあるように、同意取得の画面等を保存することで足りると考えている。

同意が取れた場合、取れない場合のその後の社内の取扱い方法の流れのようなプロセスを示していれば1件1件ずつ保存せずとも疎明ということになっていくのではないか。

皆オプトアウトに応じてくれればよいが、クレーマーが執拗に迫ってくる場合もある。具体的な紛争解決について、裏付け証拠を求められた場合の具体的な対処イメージをお持ちか。
→   当社では自衛の意味で最近はいつどのサービスに同意をいただいたか保存するようにしているものもあるが、広告メール全般について過度に証拠を求めることは現実的ではない。

一定の取引関係のある人は特電法の対象外だが、楽天のようなショップがあってモールがあるような場合、若干関係が複雑になるが、どう考えているか。
→   資料4の12ページに関連し、どこまでがオプトインの適用除外になるかだが、消費者にとって不意打ち性がない許容範囲の話とビジネス上ここまでなら大丈夫だろうという辺りで線引きがなされるのではないかと考えている。

( 以上 )

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