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「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」
第2回会合 議事録



  日時
    平成16年11月24日(水) 1000分〜1200

  場所
    三田共用会議所 第4特別会議室(4階)

  出席者
  (1) 懇談会構成員(敬称略、五十音順)
    新井修一郎、磯部悦男、伊原保守、井村文彦、岩浪剛太、榎啓一
(代理出席 山口善輝)、金井宏一郎、金子信幸、亀渕昭信、後藤亘、
佐藤重喜、塩見耕一、清水洋二、白石重昭、菅谷実、高橋誠、鶴田雅明、
富塚國興、中島不二雄、西村嘉郎、林敏彦、松下康、真野英明、森忠久、
柳瀬璋、吉田寿孝、和崎信哉
  (2) 総務省側
    堀江情報通信政策局長、福岡総務課長、南地上放送課長、安藤放送政策課長、
浅見放送技術課長、江村地域放送課長、磯地上放送課課長補佐

  議事
  (1) 開会
  (2) 議題
   
1) デジタルラジオのサービス内容について(ワーキンググループ経過報告)
2) デジタルラジオにおける放送通信連携サービスへの期待
3) トヨタの目指すクルマ社会とデジタルラジオへの期待と課題
4) ユビキタスネット時代のデジタルラジオサービスについて
5) ラジオ広告業界の動きとデジタル化への期待
6) ラジオパーソナリティとしてデジタルラジオに期待するもの
7) 討議
8) 第3回懇談会に向けた実務者WGの進め方
9) 新潟県中越地震でのラジオ関係の対応について

  (3) 閉会

  議事録
 
(1) 開会
林座長 ただいまから、「デジタル時代のラジオ放送の将来像に関する懇談会」第2回会合を開催させていただきます。なお、本日は、小島構成員、松永構成員がご欠席でございまして、榎構成員の代理として山口様にご出席いただいております。よろしくお願いいたします。
  それでは、事務局より本日の配付資料について確認をお願いいたします。
磯課長補佐 それでは確認をさせていただきます。
  資料は、クリップどめしておりますこちらを外していただきまして、まず、議事次第でございます。次に、近衛WG主査からの発表で、デジタルラジオのサービス内容について資料1。資料2といたしまして、KDDI様からの発表資料。トヨタ自動車様からの発表資料が資料3。資料4といたしまして、インフォシティ様の発表資料。資料5がRABJ様の発表資料でございます。資料6といたしまして、第3回に向けた実務者WGの進め方。資料7といたしまして、先般の新潟県中越地震でのラジオ関係者の対応の概要。資料8といたしまして、前回の第1回懇談会以降に構成員の方からいただいた意見。これだけのセットを配付いたしております。あと、構成員名簿に若干の変更がございましたので、改めて配付させていただいているのと、第1回会合の議事要旨及び議事録を参考資料として配付させていただいております。皆様、過不足がございますでしょうか。よろしいですか。
  それでは、よろしくお願いします。
林座長 ありがとうございました。
  本日は多数のプレゼンテーションが予定されておりますので、早速、議事に入りたいと思います。

(2) 議題
林座長 まず初めに、実務者ワーキンググループの近衛主査より、経過報告をお願いいたします。
近衛WG主査 ただいまご紹介がありました実務者ワーキンググループ主査を仰せつかっておりますニッポン放送の近衛でございます。失礼して、着席させていただきます。
  前回、9月に第1回目の懇談会が開かれまして以降、実務者ワーキングによる会合は計4回開かれてまいりました。本日は、デジタルラジオで可能性のあるサービス内容につきまして、ワーキングの経過報告ということでご報告させていただきます。
  資料1をごらんいただければと思います。デジタルになりますとさまざまな新しいサービスが可能になるわけでございますが、そのサービスを考える際にまず踏まえておかなければならないのは、現行制度の確認でございます。資料の表紙をめくっていただいて、2ページにありますように、前提として、現行制度はデジタルラジオとデジタルテレビのサービスが明確に区別されております。平成10年10月に出されました地上デジタル放送懇談会の報告書――これは参考でございます――では、地上デジタル放送について、1)映像を中心に音声及びデータも提供できる「地上デジタルテレビジョン放送」、2)音声を中心にデータも提供できる「地上デジタル音声放送」の2つを実現することとされております。そして、この方針の流れの中で、現在のデジタルテレビ放送、そして、デジタルラジオの実用化試験放送が行われているわけであります。「デジタル時代になると、技術的にはラジオとテレビが似てくる」というようなこともよく言われますが、このデジタル時代にあって、サービス面でもラジオとテレビをきちんと分けていこうというわけでございます。
  そこで、3ページのデジタルラジオのサービスについての考え方でございます。デジタルラジオは高音質の音声を大きな特徴とするメディアと考えられます。そこで、高画質の映像+音声を特徴とするデジタルテレビと比べますと、あくまでも高音質の音声を主軸に置くべきではないかと思われるわけでございます。やはり、ラジオであるということです。また、一方、ラジオもデジタルになりますと、音声のほかにもデータ放送によるサービス、新しい価値の創造が大いに期待できるようになると思われます。したがって、音声を中心としながらも、文字、データ、簡易画像情報なども音声と連動したり、あるいは独立したサービスを行うことによって、サービスの価値が一層高められると考るべきではないでしょうか。
  次に、デジタルラジオの特性といいますか、意義といったものを考えてみますと、現在のラジオの特性がそのまま生かされる部分も多くあるように思われます。デジタル放送でも生かされるラジオの特性といたしまして、ラジオの際立った特性の1つは簡便性、移動性であります。仕事をしながら、歩きながら、車を運転しながら、パソコンをやりながら、あるいはまくら元に置きながらといった「ながら聴取」ができるのがラジオでございます。歩きながらテレビを見るということはかなり難しいのではないかというようなことを考えますと、これはテレビにはない、ラジオならではの特徴と言えます。デジタルラジオがあくまで音声を中心としたサービスを行うのであれば、たとえ技術的にラジオとテレビが近似してくるということになりましても、基本的にラジオならではのこの特性は変わらないということが言えるのではないでしょうか。
  また、5ページでございますが、地上波ラジオは、現在、非常に地域に密着したメディアであります。このローカルメディアという特質もデジタルになっても変わらないのではないでしょうか。リアルタイム性を持った情報を24時間送り続けているのが現在の地上波ラジオであります。これがデジタル化され、データなども多彩に活用することによって、さらにきめ細かな情報を送ることができるようになったり、また、音声とデータを連動させることによって、デジタルラジオは今までのラジオ以上にリスナーにより高い利便性を持った、なおかつ、活発なアクションを起こさせることが可能となるのではないでしょうか。
  次に、6ページでございます。デジタルラジオの端末イメージでございます。現在のラジオは移動性、携帯性に優れていると申し上げましたが、極めてパーソナルなメディアであるということも言えるのではないでしょうか。もちろん、キッチン・ラジオとかラジオつきミニコンポなど、固定型受信の可能性を否定するものではございませんが、デジタルラジオにあっても、主な聴取環境は携帯型ラジオ受信機、携帯電話端末、あるいはカーナビなどのモバイル環境にあると思われます。ラジオのパーソナルユース性を生かし、リスナーにも優しい、小回りのきく付加価値サービスを目指していけば、相当高度で豊かなメディアとなることが期待できるのではないでしょうか。また、受信機の普及に向けては、放送の送り手側だけではなく、メーカー等、受信機供給者のインセンティブが働くようなサービスモデル、ビジネスモデルも考慮すべきではないかと考えるわけでございます。
  そこで、7ページでございますが、デジタルラジオのこういったものを総合しまして、基本的なサービスイメージとして考えられるものでございます。その柱として考えられますのは、「クリアな高音質を生かした多チャンネル放送」と「クリアな高音質+データ放送を生かした多彩なマルチメディア放送」ということになるのではないでしょうか。また、このデータ放送ということにつきましては、必ずしも番組連動ということではなく、「独立型のデータサービス」という分野にあっても、デジタルラジオは大きな可能性を持っていると考えられるのではないかと思います。
  実務者ワーキングの中では、こういったサービスについてさまざまに活発な意見が出されました。これらはすべて収れんされたものではございませんが、主な意見ということで次に書かせていただきました。
  8ページが、「クリアな高音質を生かした多チャンネル放送」に関する意見でございます。高音質の音声を中心にした多チャンネル放送は、デジタルラジオの柱の1つ。チャンネル数は「ラジオが変わった」と人々に認識される程度は最低必要である。専門雑誌のようなセグメント化が必要なのではないか。あるいは、有料か、無料か、1つの者がどの程度のチャンネル編成権を持つのかということによって、「多チャンネル」の具体的なイメージが大きく変わってきますが、そういうことにも留意が必要である。それから、放送がリスナーの行動をいろいろと起こすための、あるいは、ダウンロードのためのトリガーになるということで、放送がとても重要であるという意見がございました。
  次に、9ページの「クリアな高音質+番組連動データ放送を生かした多彩なマルチメディア放送」に関する意見としましては、データ放送への期待は大きく、柔軟性を確保すべきである。具体的モデルは基本的にはビジネスの問題であるが、デジタルラジオとは何かを示すために、新規リスナー開拓の可能性がある幾つかの主なアプリケーションをまとめることが必要である。通信との連携を考えた場合に、通信側の具体的なメリットが必要である。カーナビ地図のダウンロードなど、地域性を有する地上波によるデータ放送にはメリットがある。それから、こういうサービスを行うに当っては、ストレスのない機能性といったものが必要になってくる。これは並列的に意見をここにまとめたものでございまして、これがワーキングの中で完全に結論が出ているということではございませんが、ここに書かせていただきました。なお、このサービスイメージについては、本日の懇談会のご議論を踏まえまして、多チャンネル放送、データ放送それぞれについて、実務者ワーキングの中で整理する予定になっております。
  また、その他の意見といたしまして、10ページでございます。モアチャンネルであるデジタルラジオにあっては、新規のリスナー開拓が不可欠であり、ノウハウのある事業者と連携を図りつつ、サービスイメージ、ビジネスモデルを検討すべきである。それから、現在のアナログ放送の「サイマル放送」、もしくは一部の「サイマル放送」を行う可能性も残されているのではないか。もちろん、現行番組をサイマル化するにあたっては、デジタルラジオならではの付加価値を持った放送を実現することが前提でございます。それから、デジタルラジオは、現行のアナログラジオの聴取困難エリアの解消にも役立つことが期待できるということでございます。それから、インターネットとの差別化を考えた場合に、地域性の確保が重要であり、デジタルラジオになればラジオ事業の構造も変わってくる。それから、多チャンネルにおけるジャンル別管理等を考えれば、プラットフォーム型の運営も検討課題だといった意見が出されました。
  ここでちょっと話は変わるのですが、携帯性、軽便性を特徴とするラジオの機能が生かされた例として、災害時の情報提供ということでご報告させていただきます。11ページから12ページにかけてでございます。
  災害時に安否情報はもちろん、ライフラインの復旧情報など、生活に密着した必要な情報を提供することができるメディアとして、ラジオは過去にも極めて重要な役割を果たしてきております。これがデジタル化されることによりまして、ラジオは必要なときに複数のサービス帯域から、さらに細分化された生活情報を特定のエリアに送ることもできるようになるでしょう。また、文字や地図などのデータを併用することによって、より細かな情報発信が可能になるのではないかと考えます。12ページのタイムテーブル図にありますように、過日の新潟県中越地震にありましても、デジタルラジオは実用化試験ではありますが、NHKVICSの副音声2チャンネルを使って、5日間にわたり臨機応変に地震情報と安否情報を放送いたしました。また、FMの文字多重を使って、幾つかのエリア単位でライフライン情報を提供されたと伺っております。中越災害につきましては、後ほど事務局からもご紹介があるように聞いておりますが、デジタルラジオについてはまだまだ試験段階です。本格的に実用化された暁には、より高度できめ細かなサービスが提供できるように思います。
  そこで、13ページの早期の本放送開始のための課題でございます。これを整理してみますと、現在のラジオをめぐる諸情勢を考えますと、デジタルラジオについても早期に本放送を開始する環境を整備することが望まれます。そのための課題として、サービスイメージとかビジネスモデルの検討以外に、周波数帯域の確保の問題がございます。特に、デジタルラジオでは、アナログテレビ放送が現在使用している帯域において実現するということを想定しているわけで、おくれをとることのないよう、2011年に予定されておりますアナログテレビ放送の停波以前に本放送を開始する場合には、混信等の障害を生じることなく、どのように周波数帯域を確保するかということが課題となります。このために、DRP(デジタルラジオ推進協会)でも、技術的な観点から自主的な検討を始めたところでございます。
  今後、実務者ワーキングではデジタルラジオに関してさらに議論を深めてまいりますが、そのポイントといたしまして、高音質多チャンネル、多セグメンテーション音声放送について、ビジネスモデルを含めたより具体的な検討。それから、データ放送を含めたマルチメディア放送について、サービスの具体像を検討するとともに、それを実現するための課題について検討。さらに、デジタルラジオの可能性を発展させる観点から、早期本放送開始に向けたビジネスモデルのあり方についても検討を進めてまいります。
  最後に、ご参考までに、過去4回のこの実務者ワーキングで議論されましたテーマについてご紹介してございます。
  以上、ご報告いたしましたように、デジタルラジオは大きな可能性を持ったメディアであると考えられますが、実用化に向けては幾つかの課題がございます。早期の本放送の実現、それから、全国規模での展開につきまして、本懇談会にてご討議いただければと思います。よろしくお願いいたします。
  ご報告は以上でございます。ありがとうございました。
林座長 ありがとうございました。
  本日は時間もございませんので、引き続き議事を進めてまいり、最後にご質問、ご意見の時間をとるということでご了解いただきたいと思います。
  それでは、議事の2でございます。KDDIの高橋構成員よりご説明をお願いいたします。
高橋構成員 KDDIの高橋でございます。
  本日は、「デジタルラジオにおける放送通信連携サービスへの期待」ということでご説明をさせていただきたいと思います。
  1ページをおめくりいただきます。KDDIでは、既にFMケータイということでFMと通信の連携したサービスを始めておりまして、その状況をご報告いたします。0312月の発売以来、現在3機種、あるいは、0410月末時点で、既にFMを搭載した携帯電話を120万台程度世の中に出すことができておりまして、この左側のグラフの推移のような形で数を伸ばしてきております。実は、FMケータイといいますのは、携帯電話でFMを聞きながら、その本放送で流れた情報に基づいて「着うた」と言われる新しい音楽を買うことができるサービスを提供しておりますが、右側のグラフにありますように、このFMケータイを使っていただいたユーザーと、このFMケータイではない端末を使っていただいた方の場合に、コンテンツをお買い求めになっていただいている額にこのような変化がございまして、特に、通信と放送を連携したサービスの場合にはコンテンツをたくさん買っていただけるという状況がこの中に出ております。
  次のページでございます。後先になりますが、そのFM連携サービスへの取り組みということで、実際にどのようなサービスを提供しているのかということでございます。この図のように、これは携帯電話の画面でありますが、携帯電話でFMの放送を聞くことができるような形になっております。このFMを聞きながら、真ん中のセンターボタンを押していただきますと、下の図のポイント1につながっていきます。この放送で流れている音楽のタイトルが、この中に通信を通じて情報として取得できることになっております。また、このフレームのアプリケーションで、♯ボタンを押すことによって、右側の上になりますけれども、全国53局の民放FM局さんのウェブサイトに携帯の電話が中で飛ぶような形、サイトでリンクするような形になっております。また、右側に関連CP様と書いてありますけれども、関連するコンテンツプロバイダーさんの中にもリンクを張っていくような形になっております。4つのポイントを下に書いておりますけれども、番組聴取促進機能の提供であったり、FM局サイトへの強力な誘導であったり、キャリアによる回収代行ということで、このFM放送をトリガーとしたコンテンツビジネスの提供というものにリンクしていったり、また、放送誘導での商流の発生ということで、FMで何か物販につなげていけるような連携が既にとれる形になっておりまして、放送と通信の1つの連携モデルとして既に実現をしているということでございます。
  次のページになります。昨今、携帯電話も料金が定額制になりました。定額制になるまでは、常に通信を使っていただきたいという利用シーンを我々は想像するわけですけれども、定額制になりますと、放送でありますとか、ほかのものと非常に連携がとりやすくなります。つまり、我々からしますと、定額4,200円をいただいていれば、通信ばかりを使っていただかなくて、放送もより使っていただくことによって新たな生活シーンが広がると考えているわけでございます。そのために、FMケータイをやったことでよくわかったこととして、放送でトリガーをかけて、つまり、放送でいろいろな情報を流してあげて、それに伴って、今度は通信で物をとりにいくというトリガーとアクションという連携が、これから通信が定額制を迎える時代においては非常に重要になってまいります。下にございますけれども、EZチャンネルと言われるもの、これは、我々が携帯電話の中で放送のようなサービスを一部やっているわけですけれども、この中で、先ごろ、今話題になっている「着うた」と言われるもののランキング放送を流しています。このランキング放送を聴いたユーザーの約2割の方が、その瞬間に「着うた」というものを買いに行かれるわけですね。このように、放送でトリガーをかけて、通信で新しい商流通を生むという形が今後非常に重要なものになると思っております。
  次のページでございますけれども、ここから先につきましては、現在、アナログだけではなく、地上デジタル放送というものに対しても実験をいろいろとやっておりまして、これについてのご紹介でございます。
  まず、最初のページにございますのが「地上デジタルテレビ放送の携帯受信機の開発」ということで、我々の研究所とKDDINHKの放送技術研究所さんと共同で、地上デジタルテレビの放送受信可能なプロトタイプの実験を行っております。下にサービス事例がありますけれども、例えば、我々のCMと最寄りのショップの検索、あるいは、音楽を流しながらオンラインのリクエスト、ドラマ、緊急ニュース、スポーツというように5つのサービス事例に基づきましてこのようなサービスを提供しております。これも、先ほどと同じように、やはり、放送と通信の連携というスタイルを思い起こすにおいて、放送でトリガーをかけて、それに伴ってユーザーさんがどういう行動を起こしていかれるのか、一番サービスが成り立つのかという実験を繰り返しているという状況にございます。
  その次のページでございますけれども、デジタルラジオにおいては、3セグメントにおける実証実験というものをエフエム東京様と我々KDDIとの共同で、PDAの形をした地上デジタルラジオ放送通信連携端末の開発を行いまして、下にありますような4つのサービス実験を行っております。これも、くどいんですけれども、放送でトリガーを引いて通信で何かを起こすということになりますが、具体的なサービス例としましてファイルのダウンロード。1セグメントを使いまして動画を使った放送を流しながら、そのバックでファイルをダウンロードしてあげるようなサービスのイメージ。あるいは、放送をトリガーとしてチケットを販売する。また、放送をトリガーとしてアンケートの応募をする。また、EPGの配信と言われるもの。このような連携実験を既に始めておりまして、これにつきましては非常に皆さんからも反響をいただいているところでございます。
  次のページにございますのは、具体的に実証実験のアンケートをいただいたケースでございます。このような実験において、EPG、チケット販売、アンケート、CD販売といったものはおおむね好評でございまして、青色、えんじ色のところで大体6割程度のユーザーさんが「まあまあおもしろい」ということで、このようなサービスを使ってもおもしろいのではないかとおっしゃっていただいています。特に、音楽のダウンロードという耳から入ってくるコンテンツ、代表的な音楽というものにつきましては、約8割のユーザーさんが「非常におもしろい」「使ってみたい」というコンテンツの事例として上がっておりまして、音楽というものは、このデジタルラジオを考えていく上においては1つ非常に重要なコンテンツとして位置づけられるだろうと思っています。
  その次のページでございますけれども、「デジタルラジオの機能として魅力的だと思うものは何ですか」ということにつきましてはこのような結果が出ておりまして、CD並みの高音質。やはり、音楽の配信というものに対しては非常にたくさんの、72.6%のユーザーの方が反応していただいております。また、ニュース、あるいは番組に連動したデータ放送サービス、それから、先ほどからの繰り返しになりますが、楽曲のダウンロードサービス、このようなものにつきましては50%、あるいは50%を超える方が非常に魅力的だと思っていただいております。この音楽と、リアルタイム性を持ったコンテンツの配信といったものにつきましては、次のサービスを考える上においては非常に重要なポイントだと思われます。また、右側にありますけれども、「どのようなデジタルラジオの受信機が欲しいですか」ということに対しては、圧倒的に携帯電話内蔵型と言われるもの、それから、車載オーディオ、車載カーナビ型と言われるものが、非常に利用シーンとしてはユーザーさんにはわかりやすいということが言われておりまして、単体のデジタルラジオといったものよりも、このような複合型のものでいろいろなサービスと連携することが非常に重要ではないかと思われます。
  一方、地上デジタルラジオの1セグ放送につきましても実証実験を始める予定にしておりまして、地上デジタルラジオ放送のラジオ局6社さんとご一緒になりまして、我々が開発した、KDDI共同で放送通信連携サービスの実証実験のデモンストレーションを行おうとしているところでございます。デモンストレーションの例としましては、通信の連携、あるいはダウンロードサービスもやってみたいと思っておりますし、先ごろ話題になっております2次元バーコード(QRコード)と連携をした商流通の提案も進めていきたいと思っております。
  最後のページになりますけれども、このようないろいろな実験をする中において、我々としての今回のデジタルラジオに対しての期待でございますけれども、新しい連携サービスの提供が可能なプラットフォームとしての期待を非常に大きく持っております。若干長い文章になってしまいますけれども、放送だけ、通信だけではなし得ない、また、アナログの世界で放送と通信が連携したとしてもなし得ない、デジタルならではの新しい連携サービスを提供可能なプラットフォームとしての位置づけがデジタルラジオにはなければいけないのかなと思っております。効率的なダウンロードスキームとしての有効性と書いてございますけれども、トラフィック集中が予見できる人気の高いコンテンツについては、放送によるダウンロードが非常に効率的だと思われます。ただ、既に携帯電話の中においては、我々は2.4Mbpsメガビーピーエスという非常に速い高速ダウンロードが実現できておりまして、平均スループットとしても既に600キロありますので、少なくともこの600キロは、将来的にはこういうファイルダウンロードが実現できなくては、やはりプラットフォームとしての有用性はないのかなと思います。また、通信側では、これに加えて「認証;課金」というものが非常にすぐれておりますので、これが「データカルーセル方式」において取りこぼしたパケットを通信で取得することによって、放送ではなし得ないものを通信でカバーすることによって、これまで実現できなかった放送通信連携によるサービスを実現できるということ。これを実現できるプラットフォームとしてのデジタルラジオというものを、今回、我々としては非常に期待するものであります。
  やはり、1セグとか3セグというような議論がたくさんあるわけですけれども、今回のデジタルのプラットフォームというものをあまり細かく分離して利用していただくということではなく、もう少し大きなプラットフォームととらえていただいてこのようなものが実現できていくことが、我々にとっても非常にメリットがあるのではないかと思っております。また、携帯電話機にチューナー搭載することによって、上記サービスの提供可能性が格段に高まると思っておりますが、ただ、やはり、全国シームレスな周波数の早期割り当てというようなもの、これは地域単位の割り当てとなる場合でも、端末開発の先鞭をつけるためには、できる限り広域性を確保する必要が当然あると思っておりますし、また、我々としても問題になってくる地下街対策への期待ということで、サービスエリアとしてカバーされている面的範囲においては、場所を問わず、確実にサービスが受けられる環境を確保することが必要だと思っておりますので、このようなことを課題としながら、非常に大きな期待を持ってデジタルラジオを見ているところでございます。
  以上でございます。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、続きまして、トヨタ自動車の伊原構成員よりご説明をお願いいたします。
伊原構成員 トヨタ自動車の情報事業を担当しております伊原です。
  それでは、「トヨタの目指すクルマ社会とデジタルラジオへの期待と課題」というタイトルでご報告したいと思います。目次を見ていただきたいと思うんですが、まず最初に、トヨタ自動車はカーメーカーとしてどういったクルマ社会を目指すのかという話、クルマとラジオのかかわり、トヨタ自動車の基本的なスタンス、今回のデジタルラジオに対するいろいろな課題という4つについてお話をさせていただきたいと思います。
  まず最初は、トヨタが目指すクルマ社会です。これは、先月、名古屋でITS世界会議がございましたが、そこでトヨタ自動車のビジョンをご説明いたしました。一言で言いますと、安全・安心・快適に暮らせるクルマ社会をつくっていきたい。持続可能なモビリティー社会の実現というものをトヨタのビジョンとして考えております。ご承知のように、クルマの持っている機能として、右にございますように、クルマを運転することで楽しいとか、わくわく感、心地よさという非常にプラスの話、こういったものについてMaxi-mizeさせる、もっと大きくさせるという話と、どうしても負の構造として交通事故がある、交通渋滞がある、CO2を出すといった世の中の皆さんにご迷惑をかけている部分については、できる限りZero-nizeという形で交通事故等をなくしていきたい。こういったことがトヨタ自動車が目指すクルマ社会のビジョンでございます。
  中でも、交通事故についてご説明をさせていただきますが、今、特に高級車マジェスタ、ハリアー、セルシオといったクルマにプリクラッシュだとか、自動的にブレーキがかかるといった機能のデバイスを持っておりますが、そういったクルマの中だけで自動的に安全を考えながら運転をするということを自律系安全装備と呼んでおりますが、こういったものだけをやっても、実は、交通事故はゼロになりません。我々の試算では、この青の部分ですが、4割ぐらいしか減らない。もう少し減らすためには、道路の信号にある情報をもらって、それをクルマにもらうことによって、前にクルマがいますよとか、死角に何かありますよといった、インフラと協調することによって、あるデバイスをつくりながら交通事故を減らしていきたいということを考えております。実は、これを全部のクルマ、7,000万台に乗せてもまだ交通事故はゼロにならなくて、最後に残るのは実は人間の教育です。赤信号にもかかわらず、知っていて無視して飛び込んだとか、そういったことが非常にあるものですから、最終的には、青がクルマの部分、赤がインフラの部分、残った部分が人間の部分という形で、やはりこの3つを連動しておかないといけない。我々としては、特にインフラと協調することが大事だと考えております。
  では、インフラ協調に向けて、我々は何をやっていきたいのか。特に、今回のデジタルラジオに代表される通信との関係ですが、我々は、安全・環境・快適という3つのキーワードを実現させるために、1つは外部のインフラです。例えば、ここに書いてございますけれども、情報センターだとかネットワークといった、この中にデジタル放送が入るとしても、こういった外部インフラを整備すること。それから、クルマの中でアンテナ、ナビ、ラジオだとかといった形のクルマの端末としてあるものを装備しておくこと。それから、クルマそのものがそれに合わせてやっておくこと。こういったインフラ対応をするためには、インフラと協調するためには、カーメーカーとしては下のクルマと端末をやっていきますが、どうしても外部インフラの、特にネットワークの部分についていろいろな協調をしていかなければいけない。そういった意味で、今回の放送のデジタル化というのは、我々の目指す社会には関係していると考えております。
  続きまして、クルマとラジオの環境を簡単にご説明します。左下のグラフはラジオの出荷台数を書いてあります。昨年度、年間1,890万台のラジオが出ております。このうちの600万台がほぼ新車、800万台が中古車ということで、約1,400万台は実はクルマに載っております。それ以外にラジカセとかいろいろな形がありますけれども、やはりクルマに載っているものが非常に多いということが1つ。右を見ていただくと、FM多重波を利用している状況ですが、VICS(交通情報)が900万台も累計で普及しております。7,000万台のクルマのうちの900万台に既に載っている。D−GPS(高精度位置情報)のクルマも既に500万台を突破しているという形で、クルマとラジオというのはいろいろな情報をとる、特に最近はそういった交通情報をとるという意味で非常に連携が深いという認識をしております。
  では、お客様がクルマの中で求めているサービスは一体何かということを、クルマメーカーとしていろいろと調査をいたしました。左下に「クルマの情報サービスの必要度」が書いてございますが、1番が圧倒的に道路交通情報です。渋滞をしているとか、していないとかといったものが1番です。その次が盗難防止、3番目が駐車場、あと気象情報、店舗、音楽、ニュースといった、言ってみれば位置情報つきの地域情報サービスといったものが欲しいということでございます。それから、先ほども出ておりまして、いろいろと皆さんも困っていると思いますけれども、カーナビの地図などをこういったもので更新できないかということで聞いたものが右のグラフです。簡単に言いますと、色がついている赤のところは自動的に更新してくださいと。一々ディスクをかえるのは面倒くさいですというのが大半のお客さんです。やはり、ラジオ、あるいはナビと連動することによって交通情報をもらい、なおかつ情報等をどんどん更新してもらうといった道路交通情報をお客さんが非常に求めているということがわかっていただけるかと思います。
  では、カーメーカーとしてこういったネットワークを活用する中で、トヨタの基本的なスタンスをご説明したいと思います。左に安全、環境、快適・利便と3つに分けて、その中にいろいろなサービスが書いてございます。左に「求められる主なネットワーク特性」とございますが、これはカーメーカーにとっては非常に大事です。例えば、安全においては、即時に反応してくれないと、タイムラグがありますと非常に事故を起こしてしまいます。それから、確実性、100%の保証がないとクルマではなかなか実施ができない。環境といった意味においては、リアルタイムで、なおかつ全エリア、日本中をカバーしないとなかなか難しい。快適性という意味では、普及させるためには大容量であったり、コストが要る。ここに具体的ニーズが書いてありますが、こういったものが必要となってきます。したがって、これをできるネットワークとしては移動体通信であったり、DSRC、無線LAN、デジタル放送(ラジオ/テレビ)といろいろな形態がございます。我々としては、極端なことを言いますと、どれでも構いません。ただし、ここに書いてあるネットワークの特性を満たしてくださいというのがカーメーカーの基本的なスタンスです。したがって、全部を満たす必要はありませんが、個々のニーズに応じた形でネットワークの中で必要なものを我々としては選んでいきながら、お客様に提供していくということが基本的なスタンスだと考えています。
  では、その中で、今回のデジタルラジオについての我々としての期待を述べさせていただきたいと思います。いろいろな課題がございますが、優先順位からしまして大きく4点ぐらいがあるのではないかと。クルマの車載、クルマとして対応するための条件が2つ、普及するための条件が2つと考えています。クルマの中に載せる問題として最大の問題は例のデジアナ併存問題ですね。これは、テレビについてはかなり明確になっておりますけれども、全体スケジュールが見えていない。あるいは、受信エリアの全国一斉放送のめどが立たないという2つから、クルマに載せるときのスケジュールと、全国一斉の展開ができないということが最大の問題点です。それから、普及の問題は、必ずしもテレビが片づいているわけではありませんけれども、データ容量の問題、ビジネスモデルの問題の2つが大きい問題だと思います。
  この1つずつについて簡単にご説明します。まず、デジタル化のスケジュール問題です。ご承知のように、クルマというものは中古車になってからもかなり使われて、今は、新車を買われて中古車になって、廃車されるまで平均11年間クルマに乗っていただいています。したがって、来年2005年にこのデジタルラジオに対してある仕様を決めて、じゃあ、これでつくりましょうと言っても、開発するのに2年ぐらいかかるので、廃車することも考えると2018年ぐらいのことまで想定しておかないとまずい。来年決めるときには、2018年の時代を考えた上でクルマに載せるものを開発しておかないとまずいというのが実態です。テレビにつきましては、2011年にアナログからデジタルに全部かわるということが決まっておりますので、カーメーカーとしてはもう既にこれに対応する形の車載の開発が動いております。したがって、こういうもの全部に対応します。ところが、今、ラジオの場合は、これが併存されるという形になっておりますので、このどちらで対応するのかということについては、まだどのカーメーカーも決め切れていないというのが実態です。早く決めないと、突然、「クルマのデジタルが出ました。しかし、これは中古車では全く聴けません」とか、「新車のセルシオを買ったにもかかわらず、新しいサービスは受けられません。その次に買ったヴィッツのほうが聴けます」とか、非常に変なことが起きてしまいますので、やはり、これは早い段階で早期にスケジュールを決めていただきたいというのが我々の最大のお願いです。
  2点目が受信エリアです。クルマは移動体で、日本中全部を走るということを前提にしているんですが、どこかの地域では放送しているが、どこかの地域ではないということが起きますと欠落をいたします。そうすると、やはり、全国的には差ができてしまいますので、できる限り均一な全国展開をしていただきたいと希望いたします。
  それから、普及のための条件の1つですが、先ほどもKDDIさんのお話にも出てきましたけれども、もう既に通信では2.4Mbpsメガビーピーエスの速度でかなりの大容量のものが送れる時代になっております。残念ながら、今のFM多重、デジタルラジオの予測では、これの半分以下とお聞きしております。このスピード、あるいはこの容量では高速移動するクルマの中でいろいろとデータを授受するにはちょっと不向きではないか。もう少しスピードがあるものでも瞬時にデータ放送ができるような技術を開発していただきたいと考えております。
  最後に、これは非常に難しいビジネスモデルの問題ですが、大きく考えて、お客様が使ったときに払うというビジネスモデルのやり方と、クルマを売ってしまったときに一発であるものをやるというやり方の2つがあるんですが、本来の姿でいきますと、やはり、使った方が使った分だけお金を払うというのが本当は一番いい方法なんですが、これはテレビも含めてそうなんですが、今の携帯のいろいろなコンテンツは、使った人が自分で払うという形になっておりますけれども、ああいった形のビジネスモデルを何らかの形でつくらないとなかなか普及するのは難しい。特に、変な課金の仕方をしますと一発で普及に抵抗を示すということがありますので、ここについては、これは必ずしも皆様の問題ではないのですが、一緒になって考えていかなければいけない問題かなと思っております。
  以上、我々としては、何とかクルマと皆様のデジタルラジオとのいい関係をつくりながら、新しい世代に向けて進めていきたいと思っております。どうもありがとうございました。
林座長 ありがとうございました。
  では、続きまして、インフォシティの岩浪構成員よりご説明をお願いいたします。
岩浪構成員 それでは、「ユビキタスネット時代のデジタルラジオサービス」という題で若干のご説明をさせていただきます。
  1ページ目はアジェンダですので飛ばしていただきまして、まず初めに、「検討に当たっての整理」の1番目として、「データ放送について」の考えを述べさせていただきたいと思います。お手元にあるものよりもスクリーンのほうをごらんいただければと思います。私はかれこれ10年近くデータ放送に多少なりともかかわってきましたけれども、「データ放送」という言葉は使い方が非常に難しいと感じています。私も時としてこのようにテレビ放送、ラジオ放送、データ放送というように同列に並べて語ってしまうわけですが、これは別に間違いというわけではないとは思いますけれども、そのように語ってしまうと最後には「ではデータ放送とは何なのか」という話に常に戻ってしまうという印象を持っています。例えば、伝送サービスの部分と、その上に乗るアプリケーションの部分で分けて考えてみた場合、実際には、テレビとかラジオの放送は、事実上、アプリケーションは1つしかないと考えられます。つまり「テレビ番組」「ラジオ番組」というアプリケーションです。そして、そのテレビ番組、ラジオ番組というアプリケーションは使う人も、つくる人も、あるいは提供する人もそのアプリケーションイメージは出来上がっていますので、それでは、そのアプリケーション今後どうするのかという話は議論しやすいと考えられます。
  それと比較して、データ放送の場合は、実はアプリケーションイメージは決まっておらず、あるいは、語る人々の中で、全く違うものを想定して語り合ったりしているといったようなところあるかと感じております。また、アプリケーションイメージが未定であるということとともに、おそらく単一のアプリケーションということにならなくて、複数の多様なアプリケーションが登場するということになるのではないかと思っています。
  データ放送というものを語る場合、実際にはアプリケーションのタイプというのはさまざまであるのに、時として全てまとめて一緒に語っているようなところがあると思います。例えば、ここにはデータ提供型アプリケーションとマルチメディアコンテンツ型アプリケーションと分けて書きましたけれども、VICSみたいなものは、そもそもまだアプリケーションの体をなしていないデータそのものを放送しているわけです。もちろん、最後はアプリケーションとして使えるような形になりますけれども、そういうタイプと、例えば、BSデータ放送に代表されるような音声とか画像といったものを複合したマルチメディアコンテンツみたいなものなど、実際にはいろいろなタイプがありますので、区別して語る必要があると思います。それから、またこれもデータ放送を語るときに、よく「データ放送で何ができる」といったような言い方がありますが、これは機能としてのデータ放送を語っている場合だと考えられます。他に、コンテンツ表現として語っていたり、あるいは、簡易なプログラミング言語みたいなものとして語ったりしている場合などもあると思います。
  次のページでは、ラジオのデジタル化ということについての簡単なまとめみたいなことをしております。デジタル化というのはさまざまな高機能をもたらすわけですが、その機能自体が利用されるわけではなくて、下の矢印の先にありますように、実際には基本サービスの品質や利便性の向上を達成するという目的か、あるいは、高度サービス、新規サービスを実現するという目的。おそらくさまざまな高機能がもたらすものは、このような2つの目的にまとめることができるのではないかと思っております。
  次の5ページでそれをさらに分けております。大きく「基本サービスの高度化」と「高度サービス」とに分けて、さらに、高度サービスを「新規型の放送サービス」と「放送に連携した通信サービス」というように分けることができるのではないかと思っております。基本サービスはラジオ番組がより高度になる。高音質化したり、多チャンネル化したり、番組タイトル、あるいは楽曲のようなインデックス的なデータがついたり、また、それとは別のEPGが提供されるということです。高度サービスの方は、ここにずらずらと書きましたけれども、まさにさまざまなアプリケーションが考えられるわけですが、それらのイメージを今後もっと詰めなければいけないのかなと考えております。
  またページをめくっていただきまして、「ユビキタスネット時代のラジオ」ということで、デジタルラジオを考える際に、まずデジタルラジオを取り巻く環境の変化の方をまとめてあります。詳細資料としては先日行われたワーキンググループで出させていただいて、最近のトピックスなどを紹介させていただきました。
  一番上の地上デジタルテレビの話は、皆さま既にご承知だと思うので飛ばします。ユーザーのネットワーク利用の増大というものもご説明するまでもないと思いますけれども、定額制ブロードバンドインターネットの普及で、今現在、ADSL以上の常時接続の定額ブロードバンドが1,700万世帯契約ということになっております。これは本当にこの2年間程度の話であって、2年前と現在では全くエンドユーザーの利用状況が違ってきています。僕は、2003年を境に、その前と後では考え方を全く変えたほうがいいのではないかという話を最近よくさせていただいていますけれども、定額制ブロードバンドインターネットの普及は、今後のビジネスを考えるにあたって大変な変化であると感じています。モバイルインターネットの普及は、もちろん言うまでもなく7,000万以上の契約ですけれども、これももしかしたら今後徐々にいわゆる定額になっていくのかなと考えると、ユーザーが何しろネットワークを使い倒す時代になる、ということはまず押さえておかなければいけない重要なポイントだと思います。
  次に音楽流通の変化です。iPodとかiTunesの話は皆さまもよくご存じだと思いますが、このネットワークにおける音楽流通というのは、96年ぐらいにMP3というフォーマットが発見されて以来さまざまな紆余曲折がありました。数多くの事業者が相当な苦労をして、なかなか市場が立ち上がらなかったわけですが、ここに来て急速にユーザーに受け入れられ、現在、もしかすると音楽コンテンツの流通全体が変化するのではないかという話にもなってきています。これも簡単に説明しますと、初期にいろいろな事業者が参入してあまりうまくいかなかった。その後、アメリカでは5大音楽メジャーがそれぞれ直接参入するような形で、Press PlayとかMusic Netとかをスタートさせたわけですけれども、それも現在は、コンテンツホルダーが直接やるところは事実上残っていなくて、ご承知のとおりiTMSと、もう一つ、実は、これはReal Networks社に買われてしまいましたが、Listen.comがやっていたRhapsodyというサービス。これはもうインターネットラジオに近いわけですけれども、現在、これらが相当なユーザー数を集めていて、この2つをマイクロソフトさんとかソニーさんとか、あるいは再生したナップスターといったところが追いかけるという状態になっている。いずれにせよ、音楽流通全体が変わりそうな雰囲気がやっと出てきたということです。
  それから、インターネットラジオは、実際にはReal PlayerかマイクロソフトのMedia Playerとか、あるいはiTunesもそうですけれども、iTunesでも、実際にはラジオの機能は日本でプリインストールしても370局ぐらいのラジオがあります。Real Playerだと3,000局以上だと思います。これらは、実際結構多くのユーザーがいます。また、よく例に出されるのがBBCの事例ですが、すべてのラジオ放送を全部そのままインターネット上に流していて、これも相当なユーザー数を持っているといったようなことが起こっています。
  次は高機能で多様な端末の登場というについてです。携帯電話とカーオーディオの話はもうされたので飛ばします。この携帯音楽プレーヤーですが、これはiPodばかりでなく、現在、家電量販店さんとか秋葉原に行くと、いわゆるMP3プレーヤーの末裔みたいな端末が山ほど出ています。この分野のこのところの傾向は、ラジオ機能搭載型が非常に多くなってきているということです。シリコン・オーディオプレーヤーとかばかりではなく、パソコンに挿すUSBメモリーにFMチューナーがついているといったものも出ています。一時は、ユーザーがラジオを聴く環境は車の中と、ミニコンポあたりに限定され、単独のラジオというものは随分少なくなってきて、ラジオを利用する機会自体が一時的には減ってきたのかなという印象を持っていたんですけれども、ここに来て、結構たくさん搭載機が出てきている。この10月、11月に発売される各社のこの手のシリコン・オーディオプレーヤーのメイン機種はほとんどラジオがついているといった状況になっています。一方、まだそれほどは出ていないと思いますが、いわゆるミニコンポのようなオーディオ機器もネットワーク対応になるという話や、PCにおいても、マイクロソフトさんは、Windows XP Media Center Editionを2005年には大々的に出てくる、あるいは出すと言っていて、すべてのPCの3分の1から半分ぐらいはMedia Center Editionにするというお話です。
  最後の無線系ネットワークの高度化に関してはご専門の方に聞いていただいたほうがいいのかもしれませんけれども、移動体通信においてもマルチキャスト技術が実現しつつあります。例えば、クアルコムからは3GPP2のRevision.Aのセルブロードキャスト、つまり移動体通信上の放送に対応したチップも出荷されようとしていますので、こういったところでも放送的なサービスが実現する可能性が出てきている状況です。あるいは、無線LANなども含めた、対応ワイアレス機がたくさん出てきますので、現在のラジオを検討するにあたっては以上のような周辺状況を捉えておく必要があるかと思います。
  次の8ページ目にあるデジタルラジオの特性に関しては改めて私から言うことではないのかもしれませんけれども、これは特性というよりはアドバンテージだと思って書いています。まず、音声主体のサービスであること、デジタルであること、また現在の事業者のアドバンテージなど何点か挙げられると思っております。音声主体サービスであることは、実際には、ユーザーの心理的な利用障壁が低いというアドバンテージがあると思っています。いわゆる映像系コンテンツに比べて随分ユーザーの利用に至るところの障壁は低くて、先ほどのワーキンググループからのご報告にもありましたけれども、ユーザー自身が拘束されないという特性があるので、実は、それが潜在的な利用シーンの多さであるとか、機器実装の軽さなどとも相まって、ユビキタス時代のサービス、あるいはユビキタス時代のアプリケーションとしては非常にすぐれているのではないかと考えております。
林座長 すみません、岩浪さん。時間が相当押しておりますのでご協力いただけますか。
岩浪構成員 
  申し訳ありません。時間がありませんので少し飛ばしまして急ぎます。9ページ目でどのように展開するのかというところだけを申し上げて後は省略したいと思います。ここに書きましたのは、基本サービスは1つのアプリケーションという想定になると思うものの、高度サービスについてはメジャーなアプリケーションのイメージをいつくか作らなければならないのではないかということです。主要アプリケーションを1つか2つ、あるいは3つぐらいつくって、同じアプリケーションを複数の事業者が提供するということが非常に重要だと考えております。
  次に10ページ目です。今後検討するにあたっての課題が幾つかあるかと思っております。まず、上に「アプリケーション・リファレンスの確立」と書きましたけれども、やはり、2、3のメジャーアプリケーションのイメージを固め技術的なリファレンスを確立するということが課題です。また、それを達成する場合ビジネスモデルを想定することが必須になります。それから、高度サービスをやろうと思った場合には、結局は、共通機能基盤みたいなものを模索しなければなりません。有料サービスを想定した場合などはもちろんですが、実際の機能実現、あるいは単純にコストや効率のことを考えても、こういったものが必要になるのではないだろうかというお話です。
  次の11ページは今後の展開に向けてのまとめのようなものです。まず、現在アプリケーションイメージが不在であるけれども、3点ほど申し上げた本来の優位性を生かして高度アプリケーションを想定する。ひとつ、実装のポータビリティのところだけは言いませんでしたが、やはり、軽い実装で、あらゆる機器に入るような形にすることが重要です。あまり重い実装になってしまうことは良くないと思っております。後半端折ってしまいましたが、以上のようなことを検討していただいて、「ユビキタス時代のキラーサービスとしてのデジタルラジオ」といったようなものが実現できるといいなと思っております。
  長くなりましたが、以上でございます。
林座長 ありがとうございました。大変興味深いお話を急がせまして申しわけございませんでした。
  では、次に、日本ラジオ広告推進機構の真野構成員、よろしくお願いいたします。
真野構成員 すみません、お待たせいたしました。日本ラジオ広告推進機構の真野と申します。お時間は10分ということでございましたので、お手元にお配りしている中からかなりのページを削除してございますので、こちらのほうをごらんいただきながら進めたいと思います。ラジオ広告の現在の広告業界の動きと、広告主としてのデジタル化への期待ということをこれからお話しさせていただきます。
  私どもの組織の参考となっておりますイギリスが既にデジタルラジオをやっておりますので、私どもの組織ができた経緯も含めて若干触れさせていただきます。イギリスも現在の日本の状況と全く同じように、ラジオというものに対して広告費が毎年非常に落ちておりました。ここに出している図のように、広告主、メディアプランナー、CMの製作者、あるいは営業がなかなかラジオを売らないという状況の負の活性の悪循環が起こっておりました。その中で、イギリスでは、本当の顧客に向けた作業を行おう、あるいは、広告主がラジオを効率的に利用する手助けをしよう、そのためのオリジナルな調査をしよう、そして、ラジオ業界もその顧客に向けて、そのニーズに合わせたサービスをしていこう、さらには、ラジオ局とこの組織は独立してやっていこうということで取り組まれました。その結果、イギリスでは1992年にこの組織ができたわけでございますが、そのときに282億円だったものが、何と、12年たちました2003年には広告費が4倍になったという結果を得ております。
  イギリスのラジオ業界の活性化の要因を分析いたしますと、このRABという第三者機関の設立が貢献。2つ目としては、全国統一基準による聴取率調査機関の同時設立が貢献。3つ目として多局化が貢献しております。この多局化についてイギリスでいろいろとお聞きしたところ、やはり、バラエティーに富んだ放送サービス、そして、局ごとにそれぞれのターゲットが明確になっているというところが大変聴取者に受けているんだということでございました。さらには、免許行政というものがこれに貢献していると申しておりまして、1つの資本がたくさんの局を所有するという形の免許緩和。2つ目に、同じサービスを1地域でやらないという、同一地域内においての異種類の放送サービスの徹底。同一地域内で単一資本の支配を排除。聞いているところによりますと、BBCプラス2資本以上が1地域にあることと聞いております。それから、現在、彼らのところで売れているのは、デジタルラジオは音質ももちろんさることながら、それ以上にモアチャンネルとして受け入れられていると聞いております。
  そこで、私どもがこれを参考にいたしましてつくりましたのが日本のRABJで、今年の10月1日にできております。ラジオ広告推進の第三者機関として秘密保持、中立的な立場でやっていく。ラジオ局が資金提供をいたしますが、広告主の立場に立って活動する。広告主と広告会社に対してサービス提供を行い、成果は無償でやるという組織でございます。
  ここで行いましたアンケートがございます。これはこれからのデジタルラジオにどのように広告が出てくるのかというところにも若干関係いたしますので、ポイントだけをご説明いたします。結果のポイントでございますが、5つでございます。実は広告主と一般の聴取者の聴取状況がずれていたということが第1。第2点は、ラジオの媒体効果の認識というものが十分でなかったということ。3つ目としては、特に宣伝部長様がお聴きになられていないところが、実はラジオを使っていない。要するに、広くあまねくいろいろな媒体として接触されているものについては出すけれども、ご自分が接触していない媒体には出さないという傾向がここで見えてきております。4、5については要望になります。確かに担当者は大変ラジオというものについて認識を上げているけれども、社内説得、そういう部長様等の社内を説得する資料が足りないとか、メディア・ミックスの成功事例が欲しいというようなポイントをいただいております。その中で1つだけ押さえておきますと、広告主の要望としては費用対効果、あるいは販促データという形のもの、要するに商売直結の形のものが非常に強く出てくれば、効果があれば、そこに対して広告費を出しましょうということが非常に強くあらわれたわけでございます。
  今日、いろいろとご審議されているこういうデジタルラジオについても、やはり、6兆円に近い広告費というものが今までの媒体産業を実は支えているわけでございまして、この3年間で残念ながら広告費全体は3,700億円ぐらい落ちております。その中で、ラジオは1,800億円と全体から比べれば小さいですけれども、かなりの額がここに投下されております。ただ、4媒体を見ますと、この3年間で約3,000億円落ちておりまして、実は、新聞が一番落ちている。テレビも1,200億も落ちている。ラジオは191億落ちているということで、各媒体ともに非常に厳しい状況に今来ているということでございます。そこで、媒体のこと、あるいは広告主のことを考えてみますと、実は、広告費というのは全体の企業のマーケティング費用の中の一部であるということに我々は気がついております。実は、それ以外の販促費というのは広告費の1.7倍ございまして、広告主がこれをどのような配分で使うかというところが中心になる。したがって、販促にも役立つメディアという形のものであれば、お金というものはそこに流れ込んでくるんだということをご認識いただければと思います。
  また、現在はネット時代で、ネットの普及がどんどん進んでおりますけれども、その中で、これはビデオリサーチのMCRデータと言いまして、関東地区30キロ圏のデータでございますが、1日の媒体接触を100とした場合、それぞれのメディアに何%ずつ使っているのだろうかということでございます。下の図を見ていただきますと、ネットユーザーにおいてはラジオについての接触時間の割合が年々上がってきております。ということで、ラジオの業界としてもネット時代の到来、あるいは進行がますますラジオについても非常な追い風になるのではないかと期待しているわけであります。
  最後に、広告主の媒体に対する考え方でございます。ここについてはもう皆様よくご存じなので上の1から6は申しませんけれども、要するに、ラジオというのはほかの媒体にはない特性を持っております。ここのところに広告主は注目しております。すなわち、このマルチメディア、マルチ・チャンネル時代というのは、広告主から見れば、ターゲットに対して広告メッセージを届けにくい、リーチを確保しにくい時代。フリークエンシーというのは何回も、何回も広告メッセージを伝えるという意味でございますが、これがしにくくなっている。メディアをいろいろと組み合わせてメッセージを送るというメディア・ミックスを確保するということが重要になってきております。したがって、ラジオでなければ接触できない層というものがある限り、我々はここの部分の活性化を非常に望んでいるということでございます。
  一方で、現在のマーケティング業界の中でのキーワードを見ますと、消費者に対しては限定感、要するに地域を限定したり、あるいは、「あなただけ」という個別サービス、あるいは、情報過多の時代の中にあって「お勧め」、要するにリコメンドということが非常にキーワードとして重要になってきております。最後に、そのお客様、あるいはマーケッターがどのようにしたいのかというニーズをソリューションするという意味で、ソリューションというキーワードがございます。また、それを受ける企業側で言えば、すなわちデジタルメディア・ミックス、それからデータベース・マーケティング、もう一つは、やはり自分たちだけではできないのでコラボレートする、この3つがマーケティングの今のキーワードと理解しております。
  といったことの中で、ラジオに求められる機能として4つを一応考えております。まず、ターゲティングできるということが非常に重要になってきているということでございます。それは「狭く」+「深く」が望ましいと思われるわけです。2つ目は、当然、売りにつながるということで、今までのマス媒体というのは、一言で言ってしまえば告知媒体ということでございますが、そこにプラスアルファの機能がつくことによって、例えば、放送プラス映像のようなチラシで情報を与え、さらにはその情報を、あるいはアンケートをダウンロードしていただいて通信でバックしてもらうとか、こういう形の1つの媒体の中で完結するということを非常に望むわけでございます。3つ目としては、地域と時間を自由に選べるということでございまして、どことかの地域しか広告ができないという形では非常に使いづらいということでございます。例えば、北は北海道から南は九州までございますと温度差もございますし、それぞれの地域の売れるものも違います。そうしますと、投資ウエートとか告知内容が当然違ってまいります。4番目に、タイムリーな情報提供ができる。先ほど来より、いろいろとプレゼンの中でもございましたけれども、広告的に見た場合にも、これだけ多メディアになってまいりますと、お客様に対してタイムリーにお勧めができる機能というものが非常に望まれております。インターネットの場合、日本の国内には約1億サイトがあると言われておりまして、幾らネットが進んだからといっても、それぞれのお客様に情報を瞬時に伝えるということが非常に難しゅうございます。その中で、この放送を使った中で、さらに、そこに「プッシュ」の機能を入れていく。それも、ダウンロードに四、五秒かかるのではお客様が興味を失ってしまいますので、やはり、1秒以内の、非常に高速でいろいろな情報を放送と連動してできるということが欲しいということです。
  最後にまとめでございますが、要望という形でまとめてみました。多チャンネル化ということに対しては、ターゲティングしやすくなるということで広告主側としても大変期待をしているということでございます。2つ目です。付加機能としてのデータ放送に期待をしております。これは費用対効果ということで、先ほど来申し上げているように放送とデータ放送を組み合わせる、さらには通信と組み合わせることによって、ソリューションの最後のところまでをいろいろとマーケティング的に使えるということであれば、より使い勝手のよい媒体になるということでございます。3つ目は、全国同時サービス開始を要望したいということでございます。地域限定ということでは、やはり広告投下のことを考えますと、全国スポンサーもございますがエリアスポンサーもありますので、そういう中でこの媒体を使っていくためには、全国一律にサービスが使えるということが必須でございます。最後に、広帯域によるサービスを要望という意味では、先ほども申し上げたように、タイムリーに情報提供が行えること。ダウンロードに時間がかかるという形では広告的に……。こちらとしては見ていただかなくてはいけない。それがスムーズに、ストレスなく届くということが非常に重要と考えているわけであります。
  以上、日本ラジオ広告推進機構として、広告主の立場としてのデジタルラジオに期待することを申し上げました。ありがとうございました。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、次ですが、本日、小島構成員は欠席となっておりますけれども、本懇談会での検討に資するために、ラジオパーソナリティーの立場からデジタルラジオに関してコメントをいただいておりますのでご紹介したいと思います。   
(ビデオ上映)
小島構成員 TBSアナウンサーの小島慶子です。せっかく懇談会に名前を加えていただきながら、私の仕事の関係で出席することができませんことをまず最初におわび申し上げます。そして、今回、このように事前にビデオ収録の形でお話をさせていただく機会をいただきましたことに心より感謝申し上げます。テレビとラジオの両方に携わる私の仕事ですけれども、その立場からラジオの今、そして将来についてお話ししようと思います。
  ここは、たった今オンエアが終わったお昼のニュース、「ニュースフロント」のスタジオです。普段、ニュースの番組ではこの角度からは撮影しないので、実は、画面の外側にあるああいうごちゃごちゃしたものですとか、この辺の汚い鉛筆ですとかが映っております。テレビの画面というのは、番組として皆さんにご覧いただくときには、もちろんご存じの方もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、だれが見ても「ああ、これは確かにニュース番組だ」とか、「このニュースは信用するに足る、信頼できる情報である」ということが言わなくてもわかってもらえるようにさまざまな工夫が凝らされています。セットもニュース番組だとわかるようなセット。服装もニュースキャスターらしい服装。メークもニュースキャスターらしいメーク。そして、たたずまいもニュースキャスターらしいたたずまい。しゃべり方ももちろん、「このニュースは大事なニュースなんだな」「事実そうなんであろう」と思っていただけるようなしゃべり方を工夫する。それが私の仕事です。テレビはたくさんの方が「自分以外にもたくさんの人が同じ画面を見て、同じ情報を得ているんだ」、そして「それは事実なんだ」と安心して思ってくださるためにさまざまな視覚的な演出がなされています。このセットなんかも実際には汚かったりするんですけれども、でも、やはり、画面を見たときに、だれもが説明されなくても「きちんとしたニュース番組だ」「自分はみんなと情報を共有している」と思っていただけるような安心感、信頼感というものを持っていただけるためにいろいろな工夫をしてあり、私は自分の体と声を使ってそれを実現するというのがテレビでの仕事です。
  今度は、ラジオのスタジオに場所を移しました。テレビのスタジオとは全然違うんですよね。広さは10畳ぐらいです。ドアを閉め切ってしまうと、黙っていると耳が押されるぐらいに静かです。既に、この空間自体が私にとって大変パーソナルなものです。おそらく、先ほどとはしゃべっている感じが違うと思うんです。テレビのスタジオというのは、当然ながらたくさんの人に見られている。もちろんスタッフもそうですけれども、画面を通じてものすごい数の人に見られているということを常に意識する仕事です。皆さんもご経験でおわかりだと思いますが、一たび人の目を意識したときに人間がどれほど守りに入るというか、自由を失うかということはどんな方にもご経験のあることだと思います。ここに座ると、電話をかけるときと非常に似た心理状態ですね。「聞いてくれている人がいるから今日は何を話そうかな」「何の意見をお聞かせくださるのかな」「どんなリスナーの方とお話しできるのかな」などと、このラジオのスタジオに座ると、特に、生放送でリスナーの方から電話をいただけるような番組の場合は、非常に個人的に人との触れ合いを楽しみにする気持ちでいっぱいになります。
  ラジオは電話と一緒で、やはり、その人の声を聴いている、その曲を聴いているということ自体が、自分自身が毎日生きている、自分の日常がそれによって満たされるというものです。テレビとは正反対といいますか、音とか相手の声が自分の生活のほうに流れ込んでくるんですね。だから、受け手の方にとっても非常にパーソナルな、身近なメディアだと言うことができるのかもしれません。持ち歩けたりという手軽さもありますけれども、非常に寄り添うメディアだなと私は思っております。今、一般に言われています人とのかかわりがすごく浅くなっているだとか、深くかかわることを恐れるだとか、あるいは、深くかかわっているつもりでも、いろいろなメディアとかツールが発達したことによって、そういう錯覚に陥るところにとどまっている。だから、自分では意識しないうちに非常に孤独であったり、あるいは、自分自身の考えていること、他人の感じていることに対して思いをいたすことが足りなかったりということが非常に指摘されていますけれども、やはり、ラジオというものはそういうものを、「ああ、一人じゃないんだな」とか、雑踏の中で自分の隣を歩いている人も自分と同じように感じていることがあるのかもしれないといった、自分は世の中と確かにつながっているという、先ほどの表現で言えば「有機的に世の中とつながっている」と思えるような感覚を持てるメディアです。
  私は、恥ずかしながら、本当にこの間初めてデジタルラジオの機械を見たんですけれども、もともとラジオが持っている電話のような感覚、番組を聴いていて、「電話をちょうだいね」と言ったら電話をかけるとか、「はがきをちょうだいね」と言われたらはがきを書いてみる、ファックスを出してみるといった電話に近いような、もともとラジオが持っている特性とか使い勝手というものがものすごく効率化されて、しかも、わかりやすい形で1つの中におさまっているなと、技術の進歩ってすばらしいなと思いましたけれども、大変驚きました。
  私は家では主婦なんですけれども、キッチンに立っているときにラジオを聴いていることがとても多いんですね、FMでもAMでも。そうすると、例えば、冷蔵庫にラジオがついていて、冷蔵庫からラジオが聞こえていて、ぱっと見たいと思ったときに、冷蔵庫は白いですからそこにデータが出たりですとか、そこで買い物ができたりですとか、そういうものがあったら非常に便利だな、あったらいいなと思いますね。それから、子育てもしているんですけれども、実は、子供というのは、生まれてすぐから1年間というものはものすごく発達が早いんですね。変な話、最初は内臓の一部が出てしまったみたいなえたいの知れないものなんですけれども、それがだんだん生き物になって、動物になって、人間になって、もうちょっとすると怪獣になっちゃうんですけれどもね。それだけものすごい、1カ月ごとの単位で成長が変わっていくものですから、同じ育児番組でも、「今、うちの息子は3カ月だから、同じぐらいの3カ月の発達をしている子供たちを持っているお母さんたちの声を聴きたい」とか、その発達に合わせた育児の悩みですとか、留意点というものを聴きたいと思うんです。育児番組というのは、なかなか細かくすべての発達段階に合わせてインフォメーションをくれるわけではないので、デジタルラジオだったらそれができるかもしれないなと。それで、自分の子供が半年になり、1年になりとなったら、同じ番組の中でも、同じ子育てラジオの中でも選んでいくチャンネルが変わっていくというのは便利だなと思います。
  今回の新潟県中越地震でも、私はラジオの力というものを改めて思い知りました。テレビのキャスターとしての仕事をしておりましたけれども、非常にラジオの持つ力が大きいなと実感いたしました。実際に、私が過去4年間ナビゲーターを務めておりましたTBSラジオ「アクセス」という番組も、今回の地震で震災というものを集中的に取り上げて番組をいたしました。実際にその様子をお聴きください。
(ビデオ上映)
  ラジオというのは、まさに今、その災害のただ中にある人、ここではない、どこかではなくて、ここで自分が大変な目に遭ってしまっているという方々のためにあるメディアだということがおわかりいただけたのではないかと思います。避難生活で、車の中で寝起きしていらっしゃる方々がラジオを聴いて、そして電話をしてきてくださった。これがまさに象徴的だなと思います。こういうメディアはほかにはないと私は思います。
  災害報道という点でも、それから個人の生活の中に入っていくという点でも、ラジオはほかのメディアには取ってかわれない力があり続けると私は信じておりますし、デジタルラジオはそれをさらに拡大して、さらに人々にラジオを身近なものにするとても大きな一歩だと思っています。その技術を最大限に生かして、人々が予想しなかったような新たなコンテンツですとか、あるいは、使い方というものを提供していくということももちろんですが、何よりも、そこには人々が必要とする、人々に届くコミュニケーションがあるんだ、これは人に通じる道なんだということをデジタルラジオに携わる人みんなが信じて、それを実現していこうとすることが一番このデジタルラジオの持っている大きな可能性ではないかと。また、それが実現されれば、私が予想するよりもずっと大きな花を咲かせ、実りのあるメディアになっていくのではないかと思っております。
  私のような経験の浅い者が、社会的な地位もおありになって、ご経験も豊かでとても専門性の高い皆様の前でこうしたお話をするのも恐縮なんですけれども、このラジオとテレビの現場にかかわっている者の1人としてこうしてお話をさせていただくことができましたのは、本当にありがたいことだと思っております。少しでも何かお役に立てることがあれば光栄ですし、幸いだと思っております。
  本日はまことにありがとうございました。
林座長 小島構成員からのコメントは以上のとおりでございます。
  それではお待たせいたしました、これまでの関係者の皆様からのプレゼンテーションを踏まえまして討議を行いたいと思います。たくさん論点をいただきましたので、あえて交通整理はいたしませんので、どこからでも、どのプレゼンテーションに対するご意見、ご質問等でも結構でございますので、よろしくお願いいたします。
  はい、どうぞ。
後藤構成員 エフエム東京の後藤でございます。
  1つは、KDDI高橋さんのお話の中で、10ページに書いてある「新しい連携サービスを提供可能なプラットフォームとして」という、このプラットフォーム論というものはどう解釈すればいいのかなと実はちょっと迷っておりまして、1年ほど前でしょうか、この受託と委託の関係で、これはやはり分けるべきではないという放送局全体の傾向がございました。当時は、確かに受託と委託の分離という問題はいろいろな角度から検討されたと思いますけれども、今のこの1つの提案は、周波数の有効利用からいうと、このプラットフォームがあったほうがいいと私には読めるのでございますけれども、この問題については、非常に慎重な対応を国もご検討いただきたいというメッセージかなと判断をしておりますので、これをひとつよろしくご検討のほどを。私の解釈が違っていたらごめんなさいということでございます。前にそういう懇談会が開かれたばかりでございますので、それに対する疑問でございます。
  それからもう一つ、あわせて申し上げたいと思うのでありますけれども、皆様方、先生方から本当にいろいろなプレゼンテーションをいただき、そしてまた、私も本当に新しい刺激を受けたような形で、このデジタルラジオの将来が非常にあるんだなという感じを持っておりますが、その中で、本当に実感をしたことをお話しさせていただきたい。FM多重というFMのデータ放送で、本当に苦労をした話でございます。これは抽象論ではなくて、経験した者でないと本当に語れない、泣くに泣けない苦労話でございますので聞いていただきたいと思います。
  それは、トヨタ自動車の伊原さんが先ほど書いていらっしゃったところに、データの数字が出ていましたけれども、何ページだったでしょうか、要するに、FM多重の場合は6.8Kという非常に帯域がナローバンドである。ところが、これは実際は15Kぐらい使っているんですが、半分はエラー修正に使っているから、実際のところは6.8であるというように、超ナローのところでいろいろと頑張ってきたわけでございます。ですから、例えば、先ほど来出ているように、通信のほうは2.4Mとかまで来ているわけでございますから、例えば、1セグで330KくらいのKbpsキロビーピーエスを使える。その中で多チャンネルをやるとすると、ああ、そうか、CD並みの音をというと144かかるから、2チャンネルやると288、290使っちゃうなと。そうすると残りは30から40しかないなと。そうすると、実際に使えるのは15Kbpsキロビーピーエスかというようなことを考えますと、それでは見えるラジオのちょっと色がついた程度の、毛が生えた程度しかないなということを本当に実感として持ったわけであります。
  ですから、多チャンネルにし、新しいデジタルラジオのデータサービスを本当に定着させるためには、やはり広帯域が必要なのだなということを痛感いたしました。そして、また、私がこういうことを申し上げたのは、この多重でも何とか知恵で、その狭帯域をブロード化する方法はないのだろうかということで、いろいろな伝送方式も開発してまいりました。しかし、なかなか限界がございます。ことに、今度の中越の地震でも、パパラビジョンという電光掲示板みたいなデータ放送の掲示板を27カ所に配置しましたけれども、また、デジタルのG−COMという機械も配置しました。これは文字データ放送であります。このデータ放送のすごさは、それぞれの避難所に配置し、それぞれの避難所に別々の情報を一緒に送れるというすごさであり、ああいう震災・災害の時には非常に有効な武器だし、貴重なものだと思って、全国のFM社からパパラビジョンを集めて新潟に集結させました。ところが、たまたま国が長岡に臨時のFMをつくっていただいたおかげで、そことの連係プレーがきいたので、長岡、小千谷地区の避難所にデータ放送を出すことができた。そういった意味では、50ワットにしていただいた臨時のFM長岡コミュニティーの政策は我々も非常に助かりました。
  というようなことがございますけれども、そこで何が起こったかというと、一斉に、1,000万カ所にでも別々の違った情報を同時発信はできるけれども、電波のスピードがないと、それから、受信状態によって受からないとページが抜けちゃうという問題がございます。例えば、1ページから10ページまでのどこどこの地域、小千谷のどこどこの中学校の避難所では水が何時に来ますとか、何日にはふろが入りますというデータを混乱の中でやっていますから、やはり、それを伝えるまでに相当緊迫した状況の中で文字を打って、それを流すわけですが、これが電波が弱いとライブに届かないという問題。そして、再三、繰り返し、伝送しながらそのエラーで抜けたものを補うという作業を続けなければならない。これが本当に生で、本当に余裕があればそういうことなしに、1回送れば向こうに届く、しかもスピーディーに届くという環境をつくるにはやはり広帯域が必要だなと。そうすることによって、先ほど来、いろいろなプレゼンテーションをいただきましたけれども、我々のその辺の事業化の道も非常に明るくなってくるのではないかなと思った感想を述べさせていただきました。
  以上でございます。
林座長 ありがとうございました。
  ひと当たりご意見とかご質問を先に伺って、もし、まとめて事務局のほうでお答えいただけるものがございましたら、お答えいただくということにさせていただきたいと思います。
  どうぞ。
富塚構成員 ベイエフエムの富塚と申します。
  私の要望といいますか、意見は、簡単に申し上げますと、東京、大阪及びそれに準ずる大都市圏、この大都市圏というのは地域住民の生活エリアといいますか、生活慣習、習慣が1つの県域内に閉じていないという意味での大都市圏ということなんですが、そういった地域におきましては、現行アナログでやっております県域局、我々は5キロの出力を認めていただいているんですが、この県域局を置局せず、広域局もしくは準広域局に統一していただきたいという要望でございます。
  その理由を申し上げます。まず第1点は、先ほど、ビジネス上の観点からKDDIさん、あるいはトヨタさんから広い受信エリア、これは今でもラジオの1つの特性と言われているんですが、デジタルにおきましても、KDDIさん、トヨタさんも当然ながらビジネス上の観点から広い受信エリアという要望がなされております。私どもベイエフエムは千葉県内のFM放送局ですが、災害情報のリスナーに対する伝達という観点から広い受信エリア、すなわち、広域局もしくは準広域局ということで統一していただきたいと申し上げたいわけです。
  具体的に言いますと、我々千葉県の場合で言いますと、終戦直後の千葉県内の人口は200万人でございます。現在は600万人です。400万人増加しております。この400万人というのがいわゆる俗称「千葉都民」と言われる方々でございまして、昼間は都内もしくは近接県で学び、働き、夜間は千葉の自宅でくつろぐという生活習慣を持っています。また、自宅におられると思われるおじいちゃん、おばあちゃん、あるいは奥様も東京に買い物に出かけたり、行楽に出かけたりということも通常の行動範囲ということです。こういった方々のライフスタイルの中でデジタルラジオが始まりますと、いわゆるクリフエフェクトということで、例えば、千葉県を出たあるところで一方的にぷつんと切れて、音が出なくなるという状況になります。現在、DRPでも試験放送をやっておりますけれども、デジタルの場合のメリットはともかくとして、デメリットとして非常に狭域でしか通じないということがはっきりわかっております。アナログですと、千葉を出ますとだんだんノイズが高くなって、ついには聞こえなくなるということなんですけれども、デジタルの場合につきましてはクリフエフェクトによりまして、ある一定県域、千葉を出た場合にぷっつり聞こえなくなってくる。そういうことになりますと、昼間人口、すなわち、先ほど言った400万人の千葉都民の方々が都内で、例えばビジネスを、あるいは学校に行っているという場合については、災害が昼間時に発生した場合には帰宅難民が多数発生すると言われておりますけれども、そういった意味では、我々としては地域のきめ細かな災害情報、あるいは交通情報といったものを、そういった方々に対して伝えることができないという非常に大きな問題が出てまいります。
  それから、もう一つ、営業上の観点から言いますと、従来、ローカルといいますか、アナログの場合でもスポンサーさんはついてきていただいたのですが、いわゆる都内なり、準広域の中では一切聞こえないということになると、アナログ時代についていただいたスポンサーさんが脱落するということが十分想定できるわけでございます。そういった意味では、現在の県域局の経営の非常に大きな障害になってくるという事態も十分に予測される。あるいは、追加の意見なり、先般の懇談会でも中国放送の社長さんが話しておられましたように、我々の地域ラジオというのは地域のライフラインだという自覚を強く持っております。災害時において、リスナーに対して安全で確実な情報を的確・タイムリーに伝えるという責務、そして、我々は、地域情報はライフラインだという自覚のもとに営業上のデメリットをさせないように、ぜひデジタルの場合については、特に大都市圏における場合については県域局という縛りをなくして、広域もしくは準広域に統一させていただきたいということのお願いでございます。
  以上です。
林座長 ありがとうございました。
  ほかに論点をお持ちの方はいらっしゃいませんでしょうか。
  どうぞ。
塩見構成員 関西インターメディア、FM COCOLOの塩見と申します。私からは、外国放送免許をいただきましてFMラジオ放送を行っている者の立場から一言申し上げたいと思います。
  端的に申し上げまして、前回の懇談会では、今回も同じでございますが、やはり、強者、強い者の立場、あるいは大手の立場からのご発言が大半ではなかったかと思うんですが、実際、デジタルラジオが出現しました暁には、アナログラジオの収入減につながる恐れが大いにあると考えます。そうしますと、よって、デジタルラジオに参加できなかったラジオ局というのは、遅かれ早かれ舞台から消えざるを得ないということになるのではないかと思います。本懇談会におかれましては、デジタル時代におけるラジオの基本的役割についてもご検討いただけるということでございますので、ぜひ、ラジオの公共性、社会的役割というものも視野に入れていただきまして、弱者救済への道も示していただければ幸いであると思います。
  どうもありがとうございます。
林座長 ありがとうございました。
  ほかにコメント、ご意見、あるいはご質問等はございませんでしょうか。
  事務局で、ただ今上がったご意見すべてがこの懇談会で取り上げるのが適切かどうか難しい部分もあるかと思うんですが、お答えいただける範囲で何かコメントがございましたら、よろしくお願いいたします。
南地上放送課長 地上放送課長でございます。
  事務局の立場で、今、ワーキンググループが過去に4回、いろいろとご議論を重ねていただいている中でも、具体的なデジタルラジオのサービスイメージですとか、あるいは、サービスイメージとはまた別途のビジネスモデルという観点から、制度上の設計をどうするのかという議論に先立って、そういうサービスイメージをどうするべきなのか、デジタルラジオの中心的なサービスはどういうものが想定できるのか、それを提供して、ビジネスとして成り立たせるためのビジネスモデルというものを事業者の皆さんはどうお考えなのか、そういった考え方をできるだけワーキンググループのご議論の中で集約できるものは集約させていただきたいと。そういうご議論の中でも、いろいろなご議論が今出ております。そういう意味で、先ほどのKDDIの高橋さんからもご提案いただいたようなプラットフォーム的なものができないのかというような、現行の制度の中でのイメージというよりも、ビジネスモデルとして、そのビジネスを活性化していくためにはどういうビジネス形態があり得るのだろうかということを、本当に今けんけんがくがくご議論いただいているところでございます。さらに、ワーキンググループの中で多セグメンテーション、あるいは多チャンネル放送と一言で言っても実はいろいろなイメージがありまして、メンバーの間でも必ずしもこれで決まりというようなイメージで統一されたものもございませんので、その辺は、私どもとしても本日のご議論も踏まえまして、議論をさらに深めさせていただければありがたいと思っております。
林座長 ありがとうございました。
  菅谷委員、何かコメントをいただけますか。
菅谷座長代理 前回、最後のほうに感想を言わせていただきましたが、そのときに、100メーター競争で、今日はもう60メーターぐらい走っちゃったという感想をお話ししたんですけれども、今日聞いておりまして、これは何か個人競技というよりも、団体競技ということなのかなと思ったんですね。どういうことかと言いますと、デジタルラジオということですけれども、番組の制作があって、プラットフォームというものをどのようにとらえるかはあれですけれども、ネットワークがあって端末があると。今、考えてみますと、今日はKDDIさんから携帯系のご報告がありましたけれども、ああいう情報は実は全部固定系のネットワークで、パソコンを通して流れているわけです。固定系のほうは、実はネットワークは全部アンバンドル化されて、それぞれもう完全に個人競技のような形で、皆さんが得意な分野でマーケットに参加されて、それがだんだん発展しているということなんですね。ところが、携帯のほうは、よくよく考えてみると、かなり垂直統合が進んでいるんですね。特に、KDDIさんが頑張ってやってこられているというのは、端末なんかもきちんとしたものが出ているからということだと思うんです。ですから、そういう意味で、これからデジタルラジオがそういう市場の中に入っていくときに、どうしても競争していかなければならない。そのときに、ラジオの中で個々にやっていてはなかなか勝ち残れないのではないかと。そういう意味で、団体競技ということで頑張っていただくというのがきょうの感想です。
  また3回目にどうなるのかはわかりませんけれども、今日はそういうことで……。
林座長 団体競技とおっしゃったのは、垂直的に統合されたチーム同士の競争というようなことになるのではなかろうかということかなと、私は個人的には解釈いたしましたが、つまり、番組を制作する事業者だけの視点でもだめであり、ネットワーク業者、端末、さらにはエンドユーザーに対して何か指導したり、助言したり、使い勝手のよさを教えたりするような、何か垂直的に一体となったもので新しく利用可能となる電波資源でデジタルラジオを社会の役に立てていく、そういうところも1つ考えなければいけないのかなと、私も同様な感想を持ちました。
  今日は、事業者の方々からいろいろとご苦労のお話、あるいは、技術的可能性のお話、ラジオに対する思いを聞かせていただいたわけですが、やや口幅ったい言い方をしますと、エンドユーザーといいますか、リスナーはどう考えるだろうかということであります。せっかく新しい電波資源、これは何十年に1回しか出現しない、いわば国家的資源と言ってもいいものです。現在、多くの国々では、電波帯域はオークションにかけて、お金を払える人が、ビジネスモデルの知恵のある人が使ってください、ラジオに使おうが、携帯に使おうが、何に使おうが結構ですという言い方をしていて、広く天下国家に呼びかけて、「我と思わん者はお金を払って使ってください」という言い方をしている。我が国では、電波資源をそういうオークションにかけるという方策はまだ見えておりません。したがって、何かの形でそれを獲得して、どういう活用をするのかをその方に考えていただくということになっているわけです。私は経済学者なものですから、必ずしもオークションを全面的に賛成するのではありませんが、仮に思考実験として、電波帯域にお金がかかるのだとすれば、たくさん帯域を確保してお金をたくさん払っても成り立つようなビジネスは当然お考えになっているはずでしょうし、少ない帯域で成り立つビジネスはそれとしてお考えになるはずだと思われますので、一度そういう思考実験をしてみていただくといいのかなという気がいたします。
  そして、何よりも、その帯域を確保しても、あるいは端末が開発されても、消費者がそっぽを向いちゃうとこのビジネスは成り立ちません。先ほどのチームとしてということもあるかと思うんですけれども、これからどうやって消費者に訴えていくのか。消費者にアンケートをして聞いても無理なんですね。こういう新しいものは、どういうサービスが欲しいですかと聞いても大概の場合は無理なわけでして、やはり、こちらから提案して、使っていただいて、見ていただいて、触っていただいて、そしてそれが広がっていくというマーケットでの実験といいますか、これはある意味では社運をかけた実験になるのかもしれませんが、そういうことをやっていただくということが最終的にだれが勝者かということを決めることになるのかなと。大変口幅ったい言い方ですが、そんな感想を持ちました。
  それでは、まだ、若干審議事項が残っておりますので、まず初めに、事務局からこの会の進行について何かご提案があるということですので、ご説明をお願いいたします。
磯課長補佐 今回、デジタルラジオについてを中心にプレゼンテーションをいただき、どういったサービスとしてやっていくのか、あるいは、どういったビジネスモデルが必要かについてそれぞれの方々から貴重なご意見をいただきました。もちろん、ワーキングのほうでもこれまでもそういった議論をしてきたわけでございまして、近衛主査からその点についてはご報告していただいた次第でございます。
  第1回懇談会でご提示した予定ですと、一応、デジタルラジオの関係で、ここで一たん中間的な取りまとめ骨子的なものを作成していきたいと考えております。実務者ワーキングは、今後、第3回懇談会までに4回程度開催していきたい。その中で、1の各項目にあります、既に近衛主査からのご報告の中でどういった議論をしていくかということは指摘していただいておりますが、デジタルラジオとはどのようなメディアなのか、あるいは、新規リスナー開拓をしていくために、先生がおっしゃった垂直統合的な話も含めて、あるいは、いろいろな社会的な話も含めてどうあるべきか、あるいは、将来予測・海外動向といったものを全体的にまとめていく形で、ロードマップというものをどう考えていくのかといったところを議論してまいりたいと思っております。
  これを整理する過程で、その間、懇談会をこういった形で開くということは難しいかと思いますので、事務局で個別にご意見等をお伺いしながら、中間取りまとめ骨子案を作成してまいりたいと思っておりますので、ご協力方よろしくお願いいたします。
  以上でございます。
林座長 これまでもワーキンググループを4回開催していただいて、大変精力的にご協力いただきました。私も議事録を拝見いたしましたけれども、率直なご意見をたくさん出していただいておりまして、参考になる点が多々ございます。また、第3回懇談会までにまた4回程度開催していただくということで、主査の近衛構成員には、ご苦労でございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
  ワーキングについて何かご質問、ご意見等はございませんでしょうか。
  事務局で追加はございませんでしょうか。よろしいですか。
磯課長補佐 はい。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、この懇談会といたしましては、ただいまの説明に沿って、実務者ワーキングで精力的に検討を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  次に、先ほども少しご説明いただいたところでございますけれども、今般の、1023日に発生いたしました新潟県中越地震におけるラジオ関係の取り組みについてご報告いただけるようですので、よろしくお願いいたします。
磯課長補佐 それでは、引き続き事務局からご報告させていただきます。資料7として「新潟県中越地震でのラジオ関係の対応」につきまして取りまとめさせていただいております。
  コメントさせていただく前に、こういった不幸な地震が起こって、たくさんの被害者が出た、あるいは、現在も避難生活を送っておられる方々がいる。その方々の必要な情報ツールとしてラジオが活用されたのですが、そのためにいろいろと皆様方に鋭意ご協力いただけたことを、事務局からまずお礼を申し上げたいと思います。
  内容につきましては、もう皆さんご案内といいますか、小島構成員からのプレゼンテーション、近衛主査からのプレゼンテーション、あるいは後藤社長からのコメントにもありましたように、既にご説明していただいているところでございますが、時間もございますので簡単にご紹介させていただければと思います。
  資料を2枚めくっていただきまして、2ページでございます。大きくはこういった項目でご対応いただいているというご紹介でございます。災害情報を被災者に確実に提供するために、NHK様及び新潟放送様が中継局を臨時に設置していただいた。さらに、TBSラジオさん、文化放送さん、ニッポン放送さんのほうで現地対策本部を通じて携帯ラジオを無償配布していただいた。J−WAVEさんは、手巻き充電式のFM携帯ラジオを日本コミュニティー放送協会さんを通じて無償配布していただいた。さらに、エフエム東京さん等、全国FM放送協議会加盟社さん38社において、先ほどご紹介のありましたパパラビジョンを避難所27カ所に無償設置していただいたということでございます。総務省といたしましても、こういった場合における臨時災害用FM放送局等につきまして、臨機の措置により免許等を付与させていただいているところでございます。
  今回の地震では、避難所ではなくて、かなりご自身のご家庭で避難生活を送られているといった意味で、非常にばらけた形で避難されている方がいらっしゃるということで、ラジオのこういった情報伝達手段としての機能を、非常に皆様方のご尽力によって再確認する1つのきっかけになろうかと思っております。私どもはこういった事例も踏まえて、今後のこの懇談会の整備に当っていきたいと思っておりますので、また、ご意見があったらよろしくお願いいたします。
  以上です。
林座長 ありがとうございました。
  余談ですが、私は神戸に住んでおりまして、ちょうど10年前の阪神・淡路大震災を経験いたしました。そのときにもラジオが大活躍いたしました。当時、普通の電話が使えませんので、携帯電話を大量に配布して利用しようということで、近畿電気通信監理局も相当頑張られたんですが、しかし、携帯電話には当時は1つの弱点があった。1つは、通信量が多くて、通信が輻湊してなかなかかからないという問題があったんですが、それ以外に電池の問題がありました。停電しておりますから、電池が切れたときに充電できない。ということで、電池の長寿命化ということが痛切に感じられました。その点、ラジオは普通のバッテリーで、これは停電でも物を運びさえすれば補充できるということで、ラジオの簡便さ、有用さというのは現地では非常にありがたく感じたわけです。どこの家庭も、押入れの中から古ぼけたラジオを引っ張り出してきて使ったというのがまだ記憶に新しいところでございます。
  ありがとうございました。
  それでは、その次に、資料8に、先ほど多少ご発言もいただいたんですけれども、第1回の懇談会後に構成員より寄せられましたご意見を資料として配付しておりますので、ごらんいただければと思います。
  最後に、その他ということで、この際ご発言をいただける構成員の方がいらっしゃいましたらお願いしたいのですが。よろしゅうございますでしょうか。
  はい、どうぞ。
堀江情報通信政策局長 先ほど、担当の磯から新潟の災害時の話に簡単に触れさせていただきましたけれども、私ども役所でどういうことができるかということを含めまして、放送事業を担当している部門としては、許認可とかは当然のことで臨機応変の対応をどんどん急いでやっていくと。それ以外に、許認可にかかわりなく、放送事業者の方は現地のためにどういうことができるかということでいろいろとやられる。そういう関係の情報も集めてほしい。政府部内でも、総務省は消防庁も抱えておりますけれども、対策本部もありますし、政府全体の本部もありますが、そういう中で放送事業者はこういう有用な活動をしておられるんだということをぜひ知ってもらう必要がある。そして、また、これを我々行政の部門でも、これから役に立てることがあればいろいろと考えていく材料にすべきだという気持ちでおりますので、放送事業者の方もたくさんご出席ですので、改めましてお礼を申し上げますとともに、これからもぜひ頑張っていただきたい。私どももできることをやりたいということをここで申し上げさせていただきたいと思います。
  ありがとうございます。
林座長 ありがとうございました。
  それでは、今後の委員会の開催等についてのご案内をお願いいたします。
磯課長補佐 それでは、今後の本懇談会のスケジュールについてご説明させていただきたいと思います。次回の第3回会合ですが、こちらは若干飛びまして、来年2月2日10時からです。第4回会合は3月16日水曜日10時からということで開催を予定しております。場所につきましては、次回以降は総務省内で開催する予定で今場所を確保しております。決まり次第ご連絡申し上げますので、よろしくお願いいたします。
  以上でございます。

(3) 閉会
林座長 それでは、よろしくご予定のほど、お願いいたします。
  それでは、以上をもちまして本日の第2回会合を終了させていただきます。お忙しいところご出席いただきまして、まことにありがとうございました。

(以上)



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