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ユニバーサル・コミュニケーション技術に関する調査研究会(第6回)
議事要旨

  1.  日時
     平成17年11月2日(水) 1330分〜1550

  2.  場所
     三田共用会議所 4階 第4特別会議室

  3.  出席者
    (1)  調査研究会構成員(50音順、敬称略)
    青井孝敏(松下電器産業)、淺川和雄(富士通研究所、代理:潮田明)、
    岩浪剛太(インフォシティ)、榎並和雅(日本放送協会、代理:田中豊)、
    大森慎吾(情報通信研究機構、代理:松島)、春日井眞一郎(東京放送、代理:杉原啓介)、
    後藤幹雄(電通総研)、土井美和子(東芝、代理:住田)、東倉洋一(国立情報学研究所)、
    原島博(東京大学)、羽鳥好律(東京工業大学)、平田康夫(KDDI研究所)、
    廣瀬通孝(東京大学)、福永泰(日立製作所)、畚野信義(国際電気通信基礎技術研究所)、
    松山隆嗣(京都大学)、三木俊雄(NTTドコモ)、
    村上輝康(野村総合研究所、代理:山田澤明)、山田敬嗣(日本電気、代理:赤峰)
    (2)  事務局(総務省)
    松本技術総括審議官、武井技術政策課長、竹内研究推進室長、平技術企画調整官
    (3)  説明者
    文理融合が見込まれる分野に関する調査・分析(野村総合研究所:武田佳奈)
    ユニバーサル・コミュニケーションの利用シーン 家族・地域の絆(情報通信研究機構、島田淳一)
    諸外国における研究開発の動向(野村総合研究所:勅使河原元)
    ユニバーサル・コミュニケーション技術による社会・経済的効果(電通総研:美和晃)

  4.  配布資料
    資料6−1  ユニバーサル・コミュニケーション技術に関する調査研究会(第5回)
     議事要旨(案)
    資料6−2  コンテンツ主導型研究開発とは
    資料6−3  総合的な推進方策について
    資料6−4  文理融合が見込まれる分野に関する調査・分析
    資料6−5  異分野融合への取組と戦略
    資料6−6  ユニバーサル・コミュニケーションの利用シーン 家族・地域の絆
    資料6−7  諸外国における研究開発の動向
    資料6−8  ユニバーサル・コミュニケーション技術による社会・経済的効果
    資料6−9  最終報告案について

  5.  議事
    1)開会
    2)配布資料確認
    3)前回の議事録(案)の確認
    4)構成員からのプレゼンテーション
    1) 「コンテンツ主導型」による研究開発の進め方について
    廣瀬構成員から資料6−2に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
    (石黒構成員 )情報そのものとその中身をどう区別するのか。人間活動そのものがコンテンツであって、その一部がメディアというフィルターを通すことによって利用可能となっているのではないか。だから、コンテンツを扱うということは、人間の活動そのものを研究することもあるし、メディアを研究することもある。コンテンツを扱うということは、人間の活動をメディアを通じて支援していくという大きな枠組みの中で、技術の研究とそれ以外の研究が一体となって行われているのではないか。
    (廣瀬構成員 )意味論であろう。例えば、ヒューマンインターフェース技術でマウスの使い勝手を研究する場合に、「何をするために使いやすいのか」の「何」があまり考えられてこなかったのではないのか。
    また、ライフログという技術があるが、学生が実験で記録し続けたライフログ自体は、新しいコンテンツの創造には役立つかもしれないが、それ自体はコンテンツとはなり得ない。しかし、これが小泉首相のライフログであれば、コンテンツとして高い価値を持つ。
    (石黒構成員 )利用する目的が明瞭な情報ということか。人間の利用目的も取り込んだ研究開発を行うべきということか。
    (廣瀬構成員 )これまでのヒューマンインターフェースなどの技術開発では、この「動機付け」という部分があまり扱われてこなかった。
    (羽鳥構成員 )懸念を述べると、コンテンツという言葉によりミスリードが起こる可能性がある。コンテンツの定義を、現在のエンターテインメントを目的とした消費財である考えた場合、若者を中心としてGDPの2%程度のシェアしか占めておらず、少子高齢化が進む中でユニバーサル・コミュニケーション技術の研究開発そのものをミスリードしかねない。
    また、賛同する部分として、あるフレームワークを作って、次の研究開発に繋げていくなどの工夫をすることには賛成である。狭いところで考えると、リファレンスモデルを作る、テストベットを作るなど、成果を第3者に公開して検証して次の成果につなげることが大事。そこが、コンテンツ主導型の研究開発では大事ではないかと考えている。
    (廣瀬構成員 )コンテンツと違う良い言葉があればと思うが、なかなかない。
    (村上構成員 )(資料6−2のP6について)他省の研究会では、縦串を「ソリューション」と呼んでいた。日本では、横の連携は取れているが、縦の連携がないのが問題である。その構造ではそろそろもたなくなってきている。クロスをより多く作っていかないといけない。
    (三木構成員 )成功している例としてi-Podがある。アジアでプラットフォームを、アメリカにてコンテンツを開発して、さらにアップルが縦にまとめた。コンテンツ研究開発も縦と横を意識して研究開発をしていくべき。
    (廣瀬構成員 )縦を「ソリューション」と呼ぶことは正解に近いかもしれないが、コンテンツがもっているワクワク感が今一つ伝わらない。単なるソリューションではなくて、もう少し意味がついた方がよいと思う。
    因みに、i-Podの他に、Suicaも良い事例かと思う。
    (榎並構成員 )NHKでは撮像技術やハイビジョンテレビなど、下層レイヤー側からの研究開発を進めてきた。しかし今後は、さらにその上のレイヤーを目指して研究開発をすることが一つの方向性であると考えている。番組には、情報系とドラマ系があるが、例えばドラマ系では人間がどういうところに感動して、興味をもつかという視点に立って研究開発を進めていきたい。人に関する基礎的な研究も大事である。
    (廣瀬構成員 )番組ディレクターの発想を織り込んで行われた研究が成功した例をいくつか聞いている。
    (岩浪構成員 )i-Podに関していうと、ユーザーの音楽ライフを、すなわち「コンテンツサービスリファレンス」をアップルがたたき出したと我々は言っている。今後もこのような覇権争いが行われていくと以前の発表でもお話ししたところである。
    そもそも、元々のプラットフォーム技術であったmp3の開発時には、音楽配信への利用は目的になかった。音楽配信への利用は、必然的に出てきたものではなく、発見されたものと言っても過言ではない。この点を考えるとコンテンツドリブンでこの市場ができたとも言える。
    コンテンツ部分の研究はあるのかという厳しい意見もあるが、この部分の標準化獲得や覇権確立が現在のビジネスを大きく規定している。この点についてもご認識頂きたい。

    2)  総合的な推進方策について
    事務局側から資料6−3に基づいて説明があった後、村上構成員、東倉構成員から資料6−4、資料6−5に基づいて説明があった。主な質疑は次の通り・
    (福永構成員 )産業分野との連携も大事である。議論の中では、消費者的アプリケーションが多く述べられてきたが、産業分野へ適用されることでものづくりの技術力が向上すること、環境共生型社会にユニバーサルコミュニケーション技術が役に立つことを書き加えて頂きたい。
    また、異分野融合させるためには人を異動させないとダメではないかと考えている。例えば、金融工学のために、原子力のシミュレーション・グループを金融部門に移したりしている。
    (羽鳥構成員 )(資料6−4)学会ベースで異分野融合を考察してる点は面白い。しかし、インセンティブがないとなかなか難しいと思う。また、そもそも知財重視の企業が学会への参加を減らしている昨今、産業界を引き込む枠組みを如何に作るかが問題。
    (原島座長) 学会と切り離した形でフォーラムなどの会合を設立する進め方は、「学」側の参加者を限定してしまうおそれがあり、好ましくはない。
    (東倉座長代 理)人事異動はプロダクト指向の一つのやり方である。製品化や商品化戦略という方向で見るべきである。一つの成功のやり方は全く違う分野の人をチームの3割をいれることである。7割の人が新しい方向に向かうことを狙っている。その方法で具体的成果を上げている。新しい観点を取り入れることがよい方向に作用している。
    (村上構成員 )かつての野村総研は文理が並走していた。80年代から文の中に理、理のなかに文を取り入れ、文理融合してきた。その要素には2つあり、1つめは非常に怖いお客様がいたことだ。お客様が何かをやりたいかよく知っていて、文理融合でもなんでもいいから絶対に作ってもらうよと迫られて、必要な分野の人が集まった。目的が大事ということだが、ユニバーサル・コミュニケーション技術の最終的な目標はまだまだ明確化されて無く、まだ議論すべき。
    2点目は優れたプロジェクトリーダがいてまとめあげたことである。今回の4つの主な分野を誰がまとめあげるかが重要である。
    (浅川構成員 )我々も手のひら認証の研究開発を行っていたが、当初パターン認識の専門家だけで開発をしていた。しかし、上手くいかず、他の分野の人に見てもらおうとのことで、銀行の方見てもらったところ、様々な気がつかなかった意見をもらい、一つの解がでてきた。単一の分野だけでは、世の中に出ていくまでにならない。この話はボトムアップの例であるが、現在社内ではトップダウンのことも話し合っている。プログラムマネージャーが立てたスケジュールや、リーダーシップを取る人がよいと大きいプロジェクトでも失敗が少なくなる。
    (青井構成員 )(資料6−5、P5で)トップダウンとボトムアップを共にやっていかないとならないが、異分野では両者に溝が生じやすいのではないか。
    (東倉座長代 理)プログラムマネージャーの役割大きい。個々の研究者とプログラムマネージャーとトップの意識が違うときは、プログラムマネージャーが上手くコントロールすることが一つの解決方法だと言える。
    (畚野構成員 )(資料6−5のP5について)ボトムアップからトップダウンを上手くつないでいくような仕組みを作るのが大事

    3)  「家族の絆」「コミュニティの活性化」に役立つUC技術<イラスト>について
    4)  諸外国における研究開発の動向について
    5)  ユニバーサル・コミュニケーション技術による社会・経済的効果について
    それぞれ大森構成員が資料6−6、村上構成員が資料6−7、説明、後藤幹雄構成員が資料6−8に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
    (原島座長 )予測は我々が頑張るための努力目標である。(有効数字が5桁など)細かすぎるので、もう少し大雑把に数値を予測をしたほうがアピール力があると思う。
    (村上構成 員)足下の20042005年について予測はしているのか。
    (説明者) 平成16年度の情報通信白書にある。2003年度と予測として2007年がある。

    5)最終報告案について
     事務局が資料6−9に基づいて説明。主な質疑は次のとおり。
     その他、事務局から次回開催日12月8日などについて報告が行われ、了解。

    6) 閉会
(以上)







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