(石黒構成員 |
)情報そのものとその中身をどう区別するのか。人間活動そのものがコンテンツであって、その一部がメディアというフィルターを通すことによって利用可能となっているのではないか。だから、コンテンツを扱うということは、人間の活動そのものを研究することもあるし、メディアを研究することもある。コンテンツを扱うということは、人間の活動をメディアを通じて支援していくという大きな枠組みの中で、技術の研究とそれ以外の研究が一体となって行われているのではないか。 |
(廣瀬構成員 |
)意味論であろう。例えば、ヒューマンインターフェース技術でマウスの使い勝手を研究する場合に、「何をするために使いやすいのか」の「何」があまり考えられてこなかったのではないのか。
また、ライフログという技術があるが、学生が実験で記録し続けたライフログ自体は、新しいコンテンツの創造には役立つかもしれないが、それ自体はコンテンツとはなり得ない。しかし、これが小泉首相のライフログであれば、コンテンツとして高い価値を持つ。 |
(石黒構成員 |
)利用する目的が明瞭な情報ということか。人間の利用目的も取り込んだ研究開発を行うべきということか。 |
(廣瀬構成員 |
)これまでのヒューマンインターフェースなどの技術開発では、この「動機付け」という部分があまり扱われてこなかった。 |
(羽鳥構成員 |
)懸念を述べると、コンテンツという言葉によりミスリードが起こる可能性がある。コンテンツの定義を、現在のエンターテインメントを目的とした消費財である考えた場合、若者を中心としてGDPの2%程度のシェアしか占めておらず、少子高齢化が進む中でユニバーサル・コミュニケーション技術の研究開発そのものをミスリードしかねない。
また、賛同する部分として、あるフレームワークを作って、次の研究開発に繋げていくなどの工夫をすることには賛成である。狭いところで考えると、リファレンスモデルを作る、テストベットを作るなど、成果を第3者に公開して検証して次の成果につなげることが大事。そこが、コンテンツ主導型の研究開発では大事ではないかと考えている。 |
(廣瀬構成員 |
)コンテンツと違う良い言葉があればと思うが、なかなかない。 |
(村上構成員 |
)(資料6−2のP6について)他省の研究会では、縦串を「ソリューション」と呼んでいた。日本では、横の連携は取れているが、縦の連携がないのが問題である。その構造ではそろそろもたなくなってきている。クロスをより多く作っていかないといけない。 |
(三木構成員 |
)成功している例としてi-Podがある。アジアでプラットフォームを、アメリカにてコンテンツを開発して、さらにアップルが縦にまとめた。コンテンツ研究開発も縦と横を意識して研究開発をしていくべき。 |
(廣瀬構成員 |
)縦を「ソリューション」と呼ぶことは正解に近いかもしれないが、コンテンツがもっているワクワク感が今一つ伝わらない。単なるソリューションではなくて、もう少し意味がついた方がよいと思う。
因みに、i-Podの他に、Suicaも良い事例かと思う。 |
(榎並構成員 |
)NHKでは撮像技術やハイビジョンテレビなど、下層レイヤー側からの研究開発を進めてきた。しかし今後は、さらにその上のレイヤーを目指して研究開発をすることが一つの方向性であると考えている。番組には、情報系とドラマ系があるが、例えばドラマ系では人間がどういうところに感動して、興味をもつかという視点に立って研究開発を進めていきたい。人に関する基礎的な研究も大事である。 |
(廣瀬構成員 |
)番組ディレクターの発想を織り込んで行われた研究が成功した例をいくつか聞いている。 |
(岩浪構成員 |
)i-Podに関していうと、ユーザーの音楽ライフを、すなわち「コンテンツサービスリファレンス」をアップルがたたき出したと我々は言っている。今後もこのような覇権争いが行われていくと以前の発表でもお話ししたところである。
そもそも、元々のプラットフォーム技術であったmp3の開発時には、音楽配信への利用は目的になかった。音楽配信への利用は、必然的に出てきたものではなく、発見されたものと言っても過言ではない。この点を考えるとコンテンツドリブンでこの市場ができたとも言える。
コンテンツ部分の研究はあるのかという厳しい意見もあるが、この部分の標準化獲得や覇権確立が現在のビジネスを大きく規定している。この点についてもご認識頂きたい。 |
(福永構成員 |
)産業分野との連携も大事である。議論の中では、消費者的アプリケーションが多く述べられてきたが、産業分野へ適用されることでものづくりの技術力が向上すること、環境共生型社会にユニバーサルコミュニケーション技術が役に立つことを書き加えて頂きたい。
また、異分野融合させるためには人を異動させないとダメではないかと考えている。例えば、金融工学のために、原子力のシミュレーション・グループを金融部門に移したりしている。 |
(羽鳥構成員 |
)(資料6−4)学会ベースで異分野融合を考察してる点は面白い。しかし、インセンティブがないとなかなか難しいと思う。また、そもそも知財重視の企業が学会への参加を減らしている昨今、産業界を引き込む枠組みを如何に作るかが問題。 |
(原島座長) |
学会と切り離した形でフォーラムなどの会合を設立する進め方は、「学」側の参加者を限定してしまうおそれがあり、好ましくはない。 |
(東倉座長代 |
理)人事異動はプロダクト指向の一つのやり方である。製品化や商品化戦略という方向で見るべきである。一つの成功のやり方は全く違う分野の人をチームの3割をいれることである。7割の人が新しい方向に向かうことを狙っている。その方法で具体的成果を上げている。新しい観点を取り入れることがよい方向に作用している。 |
(村上構成員 |
)かつての野村総研は文理が並走していた。80年代から文の中に理、理のなかに文を取り入れ、文理融合してきた。その要素には2つあり、1つめは非常に怖いお客様がいたことだ。お客様が何かをやりたいかよく知っていて、文理融合でもなんでもいいから絶対に作ってもらうよと迫られて、必要な分野の人が集まった。目的が大事ということだが、ユニバーサル・コミュニケーション技術の最終的な目標はまだまだ明確化されて無く、まだ議論すべき。
2点目は優れたプロジェクトリーダがいてまとめあげたことである。今回の4つの主な分野を誰がまとめあげるかが重要である。 |
(浅川構成員 |
)我々も手のひら認証の研究開発を行っていたが、当初パターン認識の専門家だけで開発をしていた。しかし、上手くいかず、他の分野の人に見てもらおうとのことで、銀行の方見てもらったところ、様々な気がつかなかった意見をもらい、一つの解がでてきた。単一の分野だけでは、世の中に出ていくまでにならない。この話はボトムアップの例であるが、現在社内ではトップダウンのことも話し合っている。プログラムマネージャーが立てたスケジュールや、リーダーシップを取る人がよいと大きいプロジェクトでも失敗が少なくなる。 |
(青井構成員 |
)(資料6−5、P5で)トップダウンとボトムアップを共にやっていかないとならないが、異分野では両者に溝が生じやすいのではないか。 |
(東倉座長代 |
理)プログラムマネージャーの役割大きい。個々の研究者とプログラムマネージャーとトップの意識が違うときは、プログラムマネージャーが上手くコントロールすることが一つの解決方法だと言える。 |
(畚野構成員 |
)(資料6−5のP5について)ボトムアップからトップダウンを上手くつないでいくような仕組みを作るのが大事 |