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ユビキタス時代における航空・海上通信システムの在り方に関する調査研究会(第4回)
議事要旨

 日時  平成16年1月29日(木) 14時00分〜16時00分

 場所  総務省 1001会議室(中央合同庁舎第2号館10階)

 出席者
(1) 構成員(五十音順、敬称略)
秋山 泰平、安藤 勝美、井家上 哲史、菅野 典夫(遠藤構成員の代理)、葛城 慎輔、加藤 隆一、小出 保之、坂上 充彦、沢津橋 辰己(佐藤構成員の代理)、鈴木 良昭、高畑 文雄、武内 賢次、鷲見 民次郎(ストレイト構成員の代理)、安達 靖人(中原構成員の代理)、中村 勝英、名取 直幸、西 泰樹、西尾 裕一郎、松崎 滋、山崎 保昭、小林 哲(若尾構成員の代理)
(2) 総務省
竹田電波部長、山内衛星移動通信課長、米子衛星移動通信課企画官、中澤衛星移動通信課課長補佐

 議事
(1) 開会
(2) 資料確認
(3) 議事
1)  第3回会合議事要旨(案)の確認
 座長から資料4−1議事要旨(案)について確認の発言があり、事務局から説明を行った後、了承された。
2)  構成員からのプレゼンテーション(その4))
 葛城構成員、坂上構成員、中村構成員及び西尾構成員から資料4−2、資料4−3、資料4−4及び資料4−5に基づき、プレゼンテーションがあった。質疑応答は以下のとおり。
  1】   航空・海上Kuバンド衛星通信システム
 スーパーバードC号機可動ビームについて、航空機へのサービスに使用しているのか。その場合、航空機が通るところにそのビームを向けるのか。
 航空機へのサービスは可動ビームではなく、固定ビームで行っている。可動ビームは海外からの特派員の中継などの際に、その地点にビームを向ける等の使用方法をとっている。
 固定ビームの範囲はグローバルビームであるのか。
 サウスイーストアジアビームであり、CBBシステムの場合には、東南アジアを航空機が通過する際に使用している。
 調達コスト低減のために超小型衛星を開発とあるが、具体的にどのようなイメージか。
 アイデアの段階だが、打ち上げ重量0.5トン、衛星本体、打ち上げ費用あわせて100億円以下と考えられる。通常の3トン級の静止衛星の場合、250300億円が必要であるため、コストを下げることにより、衛星通信の料金を安くすることが出来るだろう。
 低価格の衛星通信サービスが実現していけば、緊急通信を受け持つインマルサットは経営が苦しくなることが想定される。今後は、グローバル化が進めば、衛星通信事業者も緊急通信を負担し、公平な競争を行っていく必要があると考える。
 ユーザ専用サービスについて、周波数、通信速度等をユーザ毎にカスタマイズとあるが、具体的イメージはどのように考えているのか。
 現在の衛星ではインフラは汎用性のあるものにせざるを得ない。周波数帯もKuバンドのみであるが、今後の衛星についてはカスタマイズを可能なものとしたい。現在4機の衛星があり、基本的には違いはないが、例えばある衛星は海上のサービスに特化するといった衛星ごとの差別化は考えることができる。
 太平洋上の衛星はCBBシステムだけでなく他の用途にも使用しないとペイできないのではないか。
 航空・海上通信システムとして運用するためには、太平洋上にも衛星がなくてはならない。例えば他の地域で使用し、償却の終わったものを太平洋に移動させて使用すればコスト増を押さえることができる。
 スーパーバードKuバンドサービスについて、大西洋も海外事業者との提携により提案可能とあるが、具体的にはどのように考えているのか。
 具体的に話が進んでいるわけではないが、ヨーロッパの事業者が陸上用に打ち上げた衛星で、大西洋はカバーできると考えている。
 例えば太平洋で使用しているスーパーバード用装置は、船舶が大西洋に移動しても同じ装置で通信可能となるのか。
 船上局の方で両方に対応する装置があれば問題ないと考えている。
 衛星通信のコストを下げていくための方策としてはどのようなものが考えられるか。
 コストが下がらない理由としては、市場が小さく、量産効果が少ないことが挙げられる。衛星の小型化、量産化を進め、安くして参入を促す必要がある。用途の特化も一つの方策だろう。
  2】 ユビキタス時代の海上航空ネットワーク
 ニーズについて、海や空では陸上とはコスト感が異なり、高負担でもよいというユーザが存在するのではないかとのことであるが、他にもパーソナル化など個人での通信手段を持つことも必要とされていると考えられる。
 漁船はワールドワイドで操業しており、この立場でいえば、1通1円でも価値が無ければ高い。又、1通1万円でも価値があれば使う。遠洋鮪漁船の場合、1航海は1年から1年半程であるが、インマルサットの通信料の総額は概ね1千5百万円である。
 外航海運では、現在、通信は船単位で行っている。携帯電話は航海中、数か月にわたり使えなくなるわけだが、人材の確保の面から見てマイナス要素となっている。パーソナル化は必要と考える。
  3】 海上通信に係る法令・規則の概要
 義務船舶局の無線設備は、総務省の型式検定と国土交通省の型式承認の双方に合格した設備でなければならないとあるが、検査項目等ほぼ同じであるのか。また、データのやり取りは行われていないのか。
 検査項目は、同じものもある。ただし、総務省の検査は無線設備に関して、国土交通省は船舶の安全に関連しての検査であり、両省庁における目的はまったく異なる。データに関しては、実効的にはメーカーの方で総務省の型式検定のデータを取った上で国土交通省の型式承認に活用しているため、かなりの部分で省略されている。
 ユーザ側は総務省、国土交通省の検査で2つの業者に頼まなければならないので、コスト面から見て不都合ともいえる。
 本調査研究会として検討の対象とすべき課題であり、必要があれば考慮しなければいけない。
 船舶の遭難・安全のための通信の制度と一般通信、電気通信業務に係る通信の制度関係の見直し、とあるが、具体的にはどのようなことか。
 地上系と衛星系で無線従事者資格や船に積む設備が違うといったようなことが挙げられる。今後は共用等も考えていく必要があると思う。小型船舶などでは資格を取るのは難しいということで、携帯で済ます人も多い。また、最近の設備は高度化されていて特殊な操作は必要なくなってきているという現状もある。
 レジャー船の普及により海難事故はこれらレジャー船の占める割合が増えている。携帯の届く範囲は118番を使うが、緊急通信の設備が備わっていないのが現状である。緊急時の在り方も考えていく必要がある。
  4】 衛星通信の観点からみたユビキタス時代における航空・海上通信システムについて
 船舶ユーザが求めているニーズの一つに通信と放送の融合がある。現在は、地上系の短波を使ったFAX放送などがあるが、衛星系においても放送に目を向けて、低コストのブロードキャストを実現して欲しい。無線従事者資格についても、漁船の船員は停泊の合間をぬって国家試験を受けている。放送大学のような形で洋上にいながら学習できるようにしていくなどすれば用途も広がっていく。
 ユビキタスを実現するためには、利用者のアクセスの自由権がなければならない。
 必要な時に必要なデータを取得するのは重要である。双方向性も今後は必要となってくる。その意味では短波には限界があり、より高度なブロードキャストが求められている。
 海洋ブロードバンド構想の現状はどのようになっているのか。
 いくつかの実験などを行い、進めていっているものの、スケジュール的には途上である。
 外洋船の船上地球局が各国の海岸線に近づく場合、それぞれの国との間で調整が必要となってくる等の問題点の認識も重要である。
 周波数の共用をいかに合理的にするかは重要である。1つはわかりやすいシステムにすること、1つは運用面をどう改善していくかということである。
 船上地球局の制度化のスケジュールはどのようになっているか。
 まず局種をどうするのか、どのような利用形態になるのか、現在のMSSとの関係はどういう整理になるのか等、検討すべき事項が多く、スケジュールは未定である。
3)  その他
 今後の審議スケジュールについて、4月以降の予定として、4月下旬に第7回会合、6月上旬に第8回会合を開くこととなった。第5回会合は平成16年2月13日(金)14時から開催することとなった。
(4) 閉会


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