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ユビキタス時代における航空・海上通信システムの在り方に関する調査研究会(第6回)
議事要旨

 日時  平成16年3月16日(火) 14時00分〜16時00分

 場所  総務省 1101会議室(中央合同庁舎第2号館11階)

 出席者
(1) 構成員(五十音順、敬称略)
秋山 泰平、安藤 勝美、遠藤 静夫、青木 一彦(葛城構成員の代理)、小出 保之、坂上 充彦、沢津橋 辰己(佐藤構成員の代理)、鈴木 良昭、高畑 文雄、武内 賢次、鷲見 民次郎(ストレイト構成員の代理)、安達 靖人(中原構成員の代理)、中村 勝英、名取 直幸、西 泰樹、横山 伊仁(西尾構成員の代理)、松崎 滋、山崎 保昭、若尾 正義
(2) 総務省
竹田電波部長、山内衛星移動通信課長、米子衛星移動通信課企画官、中澤衛星移動通信課課長補佐
(3) 有識者(敬称略)
羽根田 弘(鹿児島県鰹鮪漁業協同組合)、林 作治(パシフィックマリタイム株式会社)
(4) その他(敬称略)
壁矢 恵行(日本鰹鮪漁業開発株式会社)

 議事
(1) 開会
(2) 資料確認
(3) 議事
1)  第5回会合議事要旨(案)の確認
 座長から資料6−1議事要旨(案)について確認の発言があり、事務局から説明を行った後、了承された。
2)  有識者からの意見聴取(その1)
 羽根田氏、壁矢氏及び林氏から資料6−2、資料6−3に基づき、意見の聴取を行った。質疑応答は以下のとおり。
  [1]  ユビキタス時代の漁船漁業 (遠洋マグロ漁船通信事情)
 TNC(Terminal Node Controller)が実用化とあるが、伝送容量はどの位か。
 通常の伝送速度としては、数十kB/sというところだと思う。今年開発が終了し、フィールド実験を予定しているところ。(プレゼンテーションの中であった)周波数の割り当てがない部分についてはF1Bのところを潤沢に割り当てているが、船間用のF1Bは割り当てがない。これは、今までF1Bで船間通信をやることは当時考えられなかったことから、需要がなかったため割り当てがなかったということ。
 TNCの設備は、OPRTに加盟している漁業者の1500隻の船に積めれば良いのか、それとも、いろいろな漁船に積める方が良いのか。
 巻き網であるとか延縄であるとか、漁種別に情報を提供しあって、通信を行ったほうが良い。漁種別に割り当てられている周波数のグループがあるので、電話では、それぞれの国籍によって話す言語が違い、コミュニケーションがとれなくなる。GMDSSによって、モールス信号がなくなってしまったことは問題だと思う。
 そういった声は今まで届いているのかどうか。
 たくさん届いている。TNCとは、昔モールス通信をしていた人たちによって導入されている。今までほとんどモールスでやっていたところに、モールスがなくなって行政機関もなくなったため、簡単なアルファベットや数字等の符号の組み合わせで意思の疎通をとれるのではないかということ。
 資料によると、相手国によって必要となる通信設備が異なるということだが、船舶が各国領海を通過する時には、必ず該当国と交信しなくてはならないのか。
 そうではない。しかし、国によって違うが、国の領海内に入ったときに連絡しなくてはならないものがある。国ごとに違った通信システムで通信しなさいということが決まっている場合もあるため、設備が非常に多く必要となってしまう。
 日本ではこのような研究会をやっているわけだが、たとえば通信方式について国際的な標準方式が決まったとしても、漁業の世界では必ずしもその標準方式に従う必要がない、といった場合に、どういう方式を使うかというのを議論したいと言うことか。
 その通り。いくつもの機械を船に積まなくても良いように、一つの機械でいろいろなことができれば良いと思う。
 自分の国で決めることはあっても、それを国際的に反映するような場所がないということか。
 漁業の国際的な会議はあるが、電波のそういった会議に出たことはない。今アナログからデジタルへ急速にシフトしている。インマルサットAはアナログで、インマルサットB、Cはデジタルである。システムが変わったとき、機械だけ変えればよいのかというとそうではなく、配線そのものも変わってくるため、コストがかかる。そのときに、400隻余りの船がどれだけお金をかけなくてはならないのか、ということがわからない。それがあらかじめわかれば、そのように対応させて頂きたいと思う。
 今、漁業もグローバル化していく中で、とくに通信士という仕事につく人がいなくなってきている。なぜかというと、GMDSSにおいて無線がなくなると言うことで、通信士の仕事がなくなっている。船舶職員としての通信士は、国土交通省関係では、通信士の資格を取っても、海技士の免許を取らないと船舶通信士になれないことになっている。すでに総合通信士の資格を持った人は、また勉強して海上通信士の資格を取らなくてはならないのか。今はモールス信号の試験がないため、モールス信号がわからなくても通信士になれるが、通信士になってもモールス信号がわからないということになる。これでは、なんのためのみなしGMDSSとフルGMDSSなのか。昔のオペレーターは多くが引退し、次の世代のオペレーターがいなくなっている。鹿児島では、いかにハローワーク等で次のオペレーターを臨時で雇って船を出すかというのがメインの仕事となっている。これは違うと思う。GMDSSですべての問題が解決したと言われているが、逆の方向へ向かっていると思われる。
 全ての通信の基本はモールス信号だと理解していたが、そうでなくなっているということか。
 モールス信号であれば通信内容を間違えることはない。今までは、26のアルファベットと10の数字を組み合わせて50未満の符号を覚えればコミュニケーションがとれた。電話で話すようになると、いろんな言語が行き交って、安全通信であっても何を言っているかわからないと思う。そうなると、速やかな救難作業ができないと思う。これまでのSOSや緊急のXXX等の世界共通であったコミュニケーションがなくなっている。モールス信号はなくすべきではなかったのではないかと思う。
 アジアで運行している、OPRTに加盟している船の積んでいる設備は、日本の船舶と同じものなのか。
 もともとは日本の古い船を買い、台湾の方々が運航していたものであり、機械は同じものである。しかし、国によっては日本のように通信士がいなくては設備が扱えない等といったことはなく、風土が違うことがある。つまり、ある設備を扱う際の資格が違う。そのため、大きなハンデがついている。先日、業務競合問題で議論があったが、出席したのはほとんど船のオーナーであり、この議論を聞いても結局現場に反映できなかったということがあった。そのため未だにトラブルがあるので、OPRTに加盟する業者の船はTNCを積み、共通の情報を出してトラブルのないようにしていった方が良いと思う。
 TNCを使った、国籍の違う船間の通信は、共通の言語は記号になるのか、それとも英語になるのかどうか。
 電波法上、また国際的にも決まっているQ符号というものがあり、それを使えば事足りると思う。足りない分については、それらを組み合わせていく。電話で話した場合、どうしても内容に間違いが出てしまうことがあるし、モールス信号であれば絶対にそういう間違いがないので、OPRTに加盟している船ではTNCを積んで頂き、それで漁業通信ができれば良いと思う。
 OPRTに加盟している船の積んでいる設備の違いについて、大西洋に出ている漁船については、IMOのEU基準値というものがあり、厳しいものとなっている。しかし、太平洋、インド洋等ではゆるやかである。
  [2]  内航海運からみた航空・海上通信の在り方
 いろいろな設備が分散されて搭載されており、それらが一つの設備でできたら良いということだが、海洋関係のメーカーはどのくらいあって、需要はどのくらいあるのか。
 メーカーはいろいろ開発しており、各々で作って売っているため、船につけるものがバラバラになってしまっている。AISをレーダーで表示されるようにする等、一つのシステムにできれば良い。
 家電等ではメーカー側がユーザーの使いやすいように次々と新しい商品を出していく状況にあるが、AISの装置ではそのような状況になるのは難しいのか。
 AISは新しいものでこれからだが、今国際的には一つのシステムにしようとする流れはある。ただ、需要が小さいため、なかなか積極的に動いていかない状況にある。ただ、今はコストが高いためユーザーが増えないが、一つのシステムとすることでユーザーが増えるのではないか。そうなれば、コストも安くなると考えられる。
 内航運行の船においては、優先的に安全に関わる通信が重視されているとのことである。特別周波数(RS)を獲得して、そこを専用安全チャンネルに割り当てるということはあるのか。
 ある。ただし、コストが高く、特殊なレベルにあるため、なかなか多くの人は使えない。難を言えば、船は移動体であるため、衛星の位置等を追いかけるのが難しい。
 船の場合、内航船に装置をつけるとなると、ある規定に従った検査を受けないと、認められない等のシステムはあるのか。
 新しく作るものについては、検査があるが、今一般に使われている機器に関して言えば問題なく使える。個々に我々が使えるものがコンパクトになっていけばよいのだが、なかなかそういうものが出ない。
 外航船では、一部船内PHS等をトランシーバーの仕組みを使っているが、内航船ではそういうことはやっているのか。
 やっている。しかし、トランシーバーは距離が限られており、離れると使えない。通常、救命器具の一つにトランシーバーがあるが、それでも距離が狭い。今は特別に免許をもらって使っているトランシーバーは、船内と船から400メートル位の間の204人が使えるようになっている。
 トランシーバーを使っているのは、全員で聞けるという点がいいのか。
 そう。それが一番のメリット。
 外航船では一部、船内にLANをはってパソコン通信ができると聞いたが、内航船はどうなのか。
 全くやっていない。
3)  報告書骨子案の審議
 資料6−4に基づき、報告書骨子案について審議が行われ、了承された。資料6−5に基づき、報告書作成のため、各構成員において報告書起草に係るメモ作成を行うこととなった。
4)  その他
 今後の審議スケジュールについて、第7回会合は平成16年4月23日(金)14時から開催することとなった。また、第8回会合は平成16年5月28日(金)に開催することとなった。
(4) 閉会


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