FTTHの実現に向けたネットワーク展望と課題
第1章 ネットワークの光化の現状


2 光ファイバ網整備の現状


   (1) 光ファイバ網整備の進捗状況

   (2) 光ファイバ網整備への投資額

   (3) 電気通信事業者のネットワーク構成とサービス

   (4) 地方公共団体における光ファイバ網の整備






第1章 ネットワークの光化の現状

2 光ファイバ網整備の現状

(1) 光ファイバ網整備の進捗状況

 ア 人口カバレッジ
 加入者系光ファイバ網については、2000年において人口カバレッジ20%を目標としている。その整備の状況については、96年度末現在で16%と順調に進捗しているところである。
 これは、当初の予測を上回るペースでの進展となっている。

光ファイバ網整備の進捗状況及び目標

光ファイバ網整備の進捗状況及び目標

 イ ケーブル長
 ケーブル長では、中継系回線の60%、加入者系回線の6.4%が光ファイバ化されている(95年度末現在)。加入者系光ファイバのケーブル長は、過去3年間で2.4倍という高い伸びを示している。また、ネットワーク構成に違いはあるものの、新規参入事業者(NCC)の加入者系光ファイバのケーブル長は日本電信電話株式会社(NTT)の約1.6倍と、NCCがNTTを上回っている。

光ファイバ比率の推移
(単位:千km)
92年度末 93年度末 94年度末 95年度末



総延長 1,073 1,091 1,115 1,144
光ファイバ 31 41 52 73
光化率 2.9 % 3.8 % 4.7 % 6.4 %


総延長 239 265 290 292
光ファイバ 101 127 161 176
光化率 42 % 48 % 55 % 60 %

 
 
総延長 1,311 1,356 1,405 1,436
光ファイバ 132 168 213 249
光化率 10 % 12 % 15 % 17 %


加入系の施設距離
(単位:千km)
92年度末 93年度末 94年度末 95年度末
NTT 12 15 (25 %) 20 (33 %) 28 (40 %)
NCC 19 26 (37 %) 32 (23 %) 45 (41 %)
合 計 31 41 (32 %) 52 (27 %) 73 (40 %)
※ (  )は、対前年度の伸び率を表す。





(2) 光ファイバ網整備への投資額
 光ファイバケーブル、関連装置等を含めた光ファイバ網整備への投資額は、95年度において、対前年度比88%と大幅に増加しており、翌96年度見込においても、対前年度比39%と、引き続き高い伸びを示している。また、96年度には、初めて加入者系光ファイバ網への投資額が、中継系光ファイバ網への投資額を上回る見込みである。

光ファイバ網への投資額の推移
(単位:億円)
94年度実績 95年度実績 96年度見込
加入者系 1,299 2,447 ( 88%) 3,412 ( 39%)
第一種電気通信業者
CATV事業者
1,259
40
2,394 ( 90%)
53( 33%)
3,295 ( 38%)
117 ( 120%)
中 継 系 3,414 2,972 (▲13%) 3,231 (  9%)
合  計 4,713 5,419 ( 15%) 6,643 ( 23%)
第一種電気通信業者
CATV事業者
4,673
40
5,366 ( 15%)
53( 33%)
6,526 ( 22%)
117 ( 120%)
※ (  )の数値は、対前年度増加比率。

【注】 加入者系の第一種電気通信事業者については、NTT及びNCC(地域系)を対象とし、中継系については、NTT及びNCC(長距離系及び地域系)を対象にした。





(3) 電気通信事業者のネットワーク構成とサービス
  
 ア  ネットワークに占める加入者系の構成は、各電気通信事業者によって区々である。例えば、NTTにおいては、一市町村に1ないし数カ所の電話局(市内交換機)を配置し、電話局から加入者までが加入者系回線とされているが、この加入者回線距離は約2kmとなっている。一方、代表的な地域系NCCにおいては、NTTの電話局に相当する伝送センタは、一都道府県に10ないし20カ所程度であり、各センタから広範な営業エリアをループ状の加入者回線で構成している。このようなネットワーク構成の違いから、地域系NCCは、比較的加入者系回線の距離が長いという特徴がある。

 イ サービスの提供に当たっては、一般に電話や128kbpsまでのデジタル通信サービスではメタルケーブルが使用されているが、128kbpsを超えるデジタル通信サービスでは光ファイバがSS方式(FTTH)で使用されている。なお、電気通信事業者の中には、将来の通信需要を考慮して、128kbps以下のサービスも光ファイバ(FTTO)で提供しているところもある。また、光ファイバの先行的整備が行われた地域においては、電話や低速のデジタル通信サービスについても家庭等の近傍まで光ファイバを用い、そこから各家庭まではメタリックケーブル等を用いる形態で提供されている。





(4) 地方公共団体における光ファイバ網の整備
 最近、地方公共団体において、行政の効率化、行政サービスの向上、地域振興等を目的として、自営通信網としての光ファイバ網の整備が行われているケースがある。整備事例は全地方公共団体の6.5%(97年3月郵政研究所調べ)とまだ少数ではあるが、県庁・市役所などの本庁と分庁舎等を接続し、下水道管理や財務会計処理など行政内部の事務処理や、町村では、CATVネットワークとして活用されているものが多い。また、整備された光ファイバのうち、約半分の心線が現在利用されておらず、心線に余裕をもって整備している状況がうかがえる。