加入者系ネットワークにおけるxDSLの可能性

第1章 検討の背景


   1 インターネットの急速な普及

   2 伝送速度への不満

   3 早期に高速アクセスを実現する必要性





1 インターネットの急速な普及

 近年、インターネットは世界的に急速に拡大をしており、インターネットを使えば、誰でもが、地理的制約を感じることなく、世界中と情報交換を行うことができるようになっている。こうしたグローバルな性格に加え、操作の容易さもあり、インターネットは、企業のみならず、一般家庭にまで広く普及してきている。
 ある調査によれば、1997年1月現在、全世界では約1600万台のホストコンピュータがインターネットに接続され、このうち、我が国の接続ホストコンピュータ数は約70万台(対前年比約2.7倍)にのぼると推定されている。また、インターネットの利用者数は、全世界で5千万から1億人程度、我が国でも7百万人前後にのぼると推定されている。

日本のインターネットホスト数の推移
米国Network Wizard調査


 これに伴い、インターネット接続サービスを提供する電気通信事業者数も急増しており、1997年3月現在で、1703社と、対前年比で約 4.6倍の伸びを示している。
 また、最近では、バーチャル・モール等のインターネットを利用したビジネスに向けた取組みも本格化しており、回線伝送速度、信頼性等の利用環境に対する利用者ニーズも高度化している。

インターネット・サービス提供事業者数の推移
郵政省調査
(注)事業者数は、各月末時点でサービスを提供している事業者数(累計)を表す。


インターネット上の仮想商店数
(出所)NRI、サイバービジネス・ケースバンク、サイバー社会基盤研究センター





2 伝送速度への不満

 WWW(ワールド・ワイド・ウェッブ)とその機能を引き出すブラウザソフトの普及により、インターネット上でのテキスト、静止画、映像、音声といったマルチメディア情報の取扱いが容易となり、インターネットの利用者の拡大に一層の弾みがついている。
 他方、WWWの利用の普及等により、画像情報等の大容量の情報の伝送が一般化したことから、伝送速度の高速化に対する利用者ニーズが拡大してきている。
 こうしたなか、例えば、1997年3月現在の我が国のISDNサービスの提供回線数は、約110万6千回線と過去1年間に倍以上の伸びを示している。このようなISDNサービスに対する最近の需要の急激な増加の主な要因は、インターネットを利用する個人ユーザが、より高速の回線を求め、従来の電話網の利用から、ISDNの利用に移行していることによるものと考えられる。
 また、本年2月に郵政省がまとめた電気通信サービスモニターに対するアンケート調査によると、インターネットの利用に関する不満として、「利用料金に関すること」(57.4%)に次いで「画像の伝送等に時間がかかること」(52.5%)を掲げた利用者が多くなっている。



 さらに、近い将来、インターネット等において、MPEG1、MPEG2等の画像圧縮技術を用いた動画情報の伝送が一般化することが予想され、それに伴い、個人ユーザの間でも、1.5Mbpsから6Mbps程度の伝送速度へのニーズが拡大することが想定される。




3 早期に高速アクセスを実現する必要性

 現在、2010年の光ファイバ網全国整備完了に向けて政府、電気通信事業者の取組みが行われているところであり、これが実現すれば、メタル回線並みのコストで一般家庭において高速・大容量の通信を享受できるようになることが期待される。
 しかしながら、上記のとおり、高速アクセス回線利用に対するニーズは既にかなり高まっていることに加え、国際的にも、インターネット技術及びそのアプリケーション技術は、極めて変革の激しい分野であることから、我が国においても、高速アクセスを一刻も早く実現することにより、インターネット及びそのアプリケーションに関する技術開発を促進していくことが、極めて重要であると考えられる。