加入者系ネットワークにおけるxDSLの可能性

第6章 その他の問題


   1 接続ルールとの関係

   2 その他





1 接続ルールとの関係

(1) 電気通信事業法の改正
 1996年12月の電気通信審議会答申(「接続の基本的ルールの在り方について」)において、加入者回線を有する事業者は、「技術的に接続が可能なすべての不可欠設備上のポイントにおける接続」を提供すべきとの原則の下、加入者回線を最低限アンバンドルすべき設備の一つとして明記している。
 本答申を踏まえ、先般、技術的・経済的に可能な接続箇所における接続を規定する電気通信事業法の改正が行われたところである。
 今回、電気通信事業法の改正において義務化されることとなった加入者回線のアンバンドルには、xDSLサービス等のためのアクセス回線のアンバンドルも含めるべきであるとの意見がある一方、xDSLのためのアクセス回線のアンバンドルは、技術的に困難であり、上記の義務づけになじまないとの意見も出された。
 この点に関しては、どのような技術的課題が存在し、どのような条件であれば接続が可能になるのか、という技術的側面での検証を早期に実施し、その結果を踏まえ、今後、接続ルールを踏まえた公正競争条件の確保等の観点を含め、更に議論を行うことが必要である。

(2) 米国におけるアンバンドルの義務化
 米国においては、1996年の通信法改正により、既存の地域通信会社(Incumbent Local Exchange Carrier) には、地域網(local loop)のアンバンドルが義務づけられている。また、これを受けて出された同年8月8日のFCC命令(FCC First Report and Order:FCC96-325)においては、地域網のアンバンドルの具体的内容として、技術的に可能な限りでのADSL等のためのアンバンドルも含まれるという趣旨の記述がなされている。

(3) 英国におけるアンバンドルの考え方
 英国では、設備ベースでの競争を促進する観点から、市内電話相互間の接続においては事業者が加入者回線を建設・所有するインセンティブを損なうことのないよう、加入者回線のアンバンドルは行われていない(ブリティッシュ・テレコムへの免許条件においては、同社は、接続要求事業者のシステムと接続することを求められており、ネットワーク相互間の接続が前提となっている)。




2 その他

(1) ISDNとの優先関係について
 今後、xDSLサービスが開始された場合に、xDSL信号が流れている回線を収容しているケーブルを共有する利用者からISDNサービスの契約をしたいとの需要が出てきた場合に、漏話の問題から、両者が共存できない場合に、両者の優先関係を整理する必要が出てくるとの意見が出された。
 ただし、この点については、第3章1(3)に述べたように、ISDNのDSUにフィルタ機能を挿入するなどの対策を講ずれば、xDSLへの影響は軽減できるので、余り大きな問題とはならないのではないかとの意見も出されている。他方、この点に関しては、そのコスト負担の問題もあることから、今後の実証実験等を通して、検討していくことが必要である。

(2) バックボーン回線の増強の必要性
 アクセス部分の高速化が図られると、バックボーン回線に対する負荷も大幅に高まることが予想されるバックボーン回線の増強も必要ではないかとの意見がある。