凡例 第1章 特集 ITがひらく21世紀 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 情報通信年表・注記・調査概要

第1章 はじめに

3 生活の多様化への対応

 第二次世界大戦後の急速な経済成長を達成し、先進国の仲間入りをした我が国は、ある程度の経済的な豊かさを充足してきたと考えられる。しかし、その過程で地方から大都市圏への人口移動による過疎と過密の問題などが発生し、特に大都市圏では、人口に加え、企業活動の中枢、物流及び情報などが集中していることや、交通については、鉄道、道路等の混雑が発生している。住宅についても、居住水準の向上は遅れており、建設コストが高いとの指摘がある。 
 このような必ずしも豊かさが実感できない状況の中で、国民の生活に対する価値観の変化や多様化が生じてきている。「国民生活に関する世論調査」によれば、今後、「レジャー・余暇生活」に重点を置いた暮らし方をしたいと回答している人の割合が最も高く(図表4))、余暇を有効に活用し、人と人との交流やふれあい、趣味・娯楽により多くの時間や労力を注ぐことに生きがいを見出し、生き生きと生活している人も少なくないと考えられる。また、国民の時間の使い方も変化し、コミュニケーションや消費などの活動が、深夜にも行われる24時間化の現象が生じている。
 21世紀に社会経済においては、経済的な豊かさだけではなく、このような価値観の変化や多様化に対応し、人々が生活に豊かさを実感できる社会を実現していくことも大きな課題である。
 さらに、豊かな生活は、あらゆる人々によって享受されるべきものである。この点、高齢者や障害者の生活を向上させていくことも21世紀の大きな課題である。高齢者や障害者が可能な限り自立し、自己の経験を生かしながら就業することはもとより、生活の向上のために必要な情報収集を容易に行うことができ、趣味・娯楽を楽しみ、人々との交流を深め、生きがいを得られることが重要である。

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※ 自動車、電気製品、家具などの耐久消費財の面
「国民生活に関する世論調査」(総理府)により作成