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第1章 第6節

6 電子政府の推進

郵政省所管手続の235件が電子化完了

 我が国では、行政の情報化を総合的・計画的に推進するため、「行政情報化推進基本計画」(6年12月閣議決定、9年12月改定)を策定し、情報通信技術を活用し、行政と国民の接点、行政内部の事務・事業を高度に情報化する「電子政府」を21世紀初頭に実現することを目標としている。
 11年度における政府の申請・届出等手続の電子化の進捗状況をみると、各省庁が「電子化に対応した申請・届出等手続の見直し指針(8年9月行政情報システム各省庁連絡会議了承、9年7月改定)」に沿って見直しを行った対象手続9,089件のうち11年度までに3,024件(56.8%)の電子化が進められることとされており、12年度までに3,157件(59.3%)が、13年度までに3,163件(59.4%)が電子化される予定である。
 郵政省においても、7年度以降、規則改正等を行い、従来、紙による申請書等の提出が義務付けられていた申請・届出等の行政手続を、オンラインでの提出や、フロッピーディスク(FD)による提出も可能とした。無線局の免許申請に関しては、インターネット上で、FD申請制度の案内及び申請FD作成プログラムを順次公開していく予定である。また、書類による免許申請においても免許手続の簡素化を目的として、10年3月、添付書類について、記載事項の簡素化等を図った新様式に改定したほか、電波法、電気通信事業法等により、民間事業者等に義務付けている帳簿、書類の保存規定16項目について、10年3月、省令改正等を行い、磁気ディスク等による保存も可能とし、11年度までに、郵政省所管の総手続数370件のうち235件の手続について電子化が完了している(資料7参照)。
 しかしながら、真正性の保証の問題がある等やむを得ない理由により電子化が当面実施困難な手続は、政府全体で3,766件あるのが実情である。
 こうしたなか、「雇用創出・産業競争力強化のための規制改革(11年7月産業構造転換・雇用対策本部決定)」が発表され、11年度中に各種手続の電子化・オンライン化を一層推進するための基本的な枠組みが策定された。これを受けて、各省庁別にタイムスケジュールを含めた具体的なアクション・プランを策定するとともに、政府認証基盤(GPKI)の構築を進めることとなった。「経済新生対策」(11年11月経済対策閣僚会議)においては、15年度までに民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用しペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築すること、具体的な電子申請システムの構築に当たっては、必要な規制緩和、制度改革との同時実施を目指すことが提言されている(3-1-4参照)。そして、小渕前総理直轄の省庁連携タスクフォースとして10年12月に設置されたバーチャル・エージェンシーでは、既存の省庁の枠組みにとらわれないプロジェクトとして自動車保有関係手続のワンストップサービス、政府調達手続の電子化、行政事務のペーパーレス化等を推進し、11年12月には、報告書が取りまとめられた(3-1-5参照)。また、「ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について」(11年12月内閣総理大臣決定)では「電子政府の実現」が打ち出され、2003年までに、民間から政府、政府から民間への行政手続をインターネットを利用してペーパーレスで行える電子政府の基盤を構築することとした(1-5-4参照)。
 さらに、1)申請者等の認証、2)手数料等の納付方法、3)申請・届出等の到達時期等、4)電子文書の原本性確保、といった申請・届出等手続のオンライン化に伴う課題(図表)について幅広い検討を行うため、総務庁において、民間有識者等によって構成される共通課題研究会が各省協力の下に開催され、12年3月に報告書「インターネットによる行政手続の実現のために」が取りまとめられた。
 同報告書では、1)受発信される電子文書の真正性を確認するために公開鍵暗号方式によるデジタル署名と公開鍵発行の仕組みが考えられる、2)オンラインによる申請・手続等において、従来の印紙、現金による納付では、オンライン化の意義が減殺されるため、手数料の納付の一方法としてインターネットによる口座振込みの仕組みが考えられる、3)電子文書が、当該手続に関する行政受付システムに入った時点、あるいは申請者が契約するプロバイダに置かれた申請者のメールボックスに入った時点をもって到達したとみなし、法律上の効果発生の起点とみなすことができる、4)電子文書は改ざんが容易でその痕跡が残りにくい等の性質を有しているが、「完全性」、「機密性」および「見読性」の要件が確保されていれば、紙文書と同様の状態にあるとみなすことができる、等の考え方が示された。
 郵政省においては電子政府へ向けた取組として、総務庁等と連携した政府認証基盤の整備推進や申請・届出等手続の電子化のほか、公共電気通信システムの研究開発、地理情報システム(GIS)等によるデジタル情報の官民共有化へ向けた研究開発、地方公共団体と連携した郵便局におけるワンストップ行政サービス等を推進している。

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「インターネットによる行政手続の実現のために」(総務庁)による

関連サイト: 雇用創出・産業競争力強化のための規制改革(http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/990719koyou2.html
 

経済新生対策

  http://www.epa.go.jp/99/b/19991111b-taisaku.html
  バーチャル・エージェンシー(http://www.kantei.go.jp/jp/topics/vragency/991221saisyuu.html
  申請・届出等手続の電子化に係る実施計画(http://www.mpt.go.jp/whatsnew/densika.html
  ミレニアム・プロジェクトについて(http://www.kantei.go.jp/jp/mille/index.html
  インターネットによる行政手続の実現のために(http://www.somucho.go.jp/gyoukan/kanri/000316a.htm