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第2章 第5節

9 放送番組

地上デジタル放送開始を間近に控え、HDTVでの番組制作を開始

 最近10年間の民放ローカル局の開局や衛星放送開始等により、特にテレビジョン放送の多メディア多チャンネル化が全国的に進展し、多種多様な放送番組が提供されるようになった。ここでは、放送番組の動向について、視聴者に最も身近な地上テレビジョン放送、多チャンネルのCSデジタル放送及び高精細度テレビジョンであるハイビジョン(HDTV)を取り上げる。
1)地上テレビジョン放送における地域密着型番組
 地上テレビジョン放送については、郵政省が「全国で民放4チャンネル化」を目標に掲げた昭和63年度末に25都道府県であった達成数が、11年度末には33都道府県となった(2-3-6参照)。ほとんどの民放ローカル局が在京キー局(5局)の系列に加わっていることから(資料27参照)、キー局が全国ネットで放送する番組が、特定地域においてのみ視聴できないという状況は少なくなった。一方、11年4月の調査では、都道府県別の民放ローカル局の自社制作番組比率は、独立U局を有する関東、東海、近畿圏が高いものの、元年同時期と比較するとすべての都道府県で低下した(資料28参照)。
 また、10年度におけるNHKの地域放送番組(県域又は広域の放送として、地域に密着したニュース・情報番組、気象情報、教養番組等)は、全国52の地方放送局の平均で1日当たり2時間16分放送された(資料29参照)。
2)メディア・リテラシー番組の放送
 11年6月の「青少年と放送に関する専門家会合」において、青少年と放送の良好な関係を保つとともに、権利の主体としての青少年の自立した判断能力を高めるためのメディアリテラシー(メディアを選択し、主体的に読み解き、自己発信する能力)の必要性とその普及啓発の重要性が指摘された(3-5-5参照)。これを受けて、(社)日本民間放送連盟は、メディア・リテラシー教育用番組として「てれびキッズ探偵団〜テレビとの上手なつきあい方〜」を制作し、11年11月から12月に全国の民放テレビジョン放送127社で順次放送した。この番組は小学校高学年を主な対象に、テレビ番組制作の仕組みを説明するとともに、「テレビの世界」が「現実の世界」をそのまま映しているものではないことが理解されるように作られている(写真1))。
3)CSデジタル放送の認定番組数
 8年10月の「パーフェクTV(現在のスカイパーフェクTV)」、9年12月の「ディレクTV」開局により、放送の多チャンネル化が進展した。この2つのプラットフォームには、映画、ドラマ、アニメ、音楽、スポーツ、趣味、学習等の様々な分野の専門チャンネルが用意され、受信契約者は、これらの中から好みのチャンネル・番組を選択して視聴することができる。11年度末現在の認定番組数は548となっている(図表)。
4)ハイビジョン(HDTV)制作による番組
 ハイビジョンは、現行の標準テレビジョン放送(SDTV:Standard Definition Television)の走査線を2倍以上の1,125本に、画面の縦横比を16:9にした高精細度テレビジョン放送(HDTV:High Definition Television)である。現在、NHKと民放7社が共同で、BS-4先発機を利用したアナログによる実用化試験放送を実施しているが、12年12月のBSデジタル放送開始以降、デジタルに移行する予定である。このほかBSデジタル放送では、民放6番組がHDTV方式によることとされており、これに備えて、NHK及び民放は、HDTV方式による番組制作に取り組んでいる(写真2)、2-コラム3参照)。

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※ 8年度末はパーフェクTVのみ。9年度末はパーフェクTVとディレクTVの合算。10年度末及び11年度末はスカイパーフェクTVとディレクTVの合算。

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関連サイト: (社)日本民間放送連盟(http://www.nab.or.jp/