凡例 第1章 特集 ITがひらく21世紀 第2章 情報通信の現況 第3章 情報通信政策の動向 情報通信年表・注記・調査概要

第3章 第2節

(2)新料金制度の導入

プライスキャップ規制の円滑な導入に向けて

 現在、我が国の電気通信市場においては、新規参入者の着実な増加に伴い、競争が急速に進展しつつある。こうした中、事業者の積極的な経営展開の促進、利用者ニーズの多様化への対応などから、事業者のより迅速かつ機動的な料金設定を可能とする必要がある。
 一方、地域通信市場においては、部分的な新規参入はあるものの、実質上東西NTTによる独占的なサービス提供が行われている。このように競争が不十分な分野においては、市場メカニズムを補完するため行政による一定の規制が必要であるが、その場合にも、事業者に経営効率化を進める誘因を賦与することにより料金低廉化を促していく必要がある。
 郵政省では、こうした近年の電気通信市場の実態や競争状況に適合した料金制度として、10年5月、電気通信事業法の一部を改正し、第一種電気通信事業者の電気通信サービスに関する料金について、原則認可制から原則届出制へ変更した(図表1))。また、競争が十分に進展していないサービスであって、利用者の利益に及ぼす影響が大きいサービスについては、適正な原価や物価等の経済事情を考慮して、適切な料金水準である基準料金指数を設定し(図表2))、基準料金指数以下の料金は届出対象料金とする一方、基準料金指数を超える料金は認可対象料金とする、上限価格方式(プライスキャップ規制)を導入することとした。
 また、郵政省では11年度においても、本方式の円滑な制度導入にむけて、より詳細な問題点等の検討を行っている。具体的には、10年4月から開催されてきた「新たな料金制度の運用等の在り方に関する研究会」において、11年6月に報告書を取りまとめ、上限価格を設定する際に必要となる基準料金指数のより詳細な算定方式、及び適用される役務の範囲等についての提言を行い、11年10月から開催された「上限価格方式の運用に関する研究会」においては、基準料金指数を設定するために必要な生産性向上見込率(X値)を算定する際に留意すべき考え方を検討し、12年2月に報告書を取りまとめた。

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