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第3章 第3節

(2)コンピュータ西暦2000年問題への対応

国民生活に重大な影響を及ぼす問題発生せず

 コンピュータプログラムが西暦年を下二桁で取り扱っている場合に、西暦2000年を西暦1900年と誤って認識してしまうことによって生じる「コンピュータ西暦2000年問題」は、社会・経済活動のあらゆる分野において、コンピュータシステムへの依存度が高い今日、極めて重大な問題と認識され、その防止のために、官民一体となって、種々の方策が講じられた。
 政府としては、高度情報通信社会推進本部において、コンピュータ西暦2000年問題に関する行動計画、危機管理体制を決定し、コンピュータ西暦2000年問題に対する具体的な行動の徹底を図った(図表1))。年末年始においては、万一の場合への危機管理に万全を期すため、官邸対策室を頂点とする情報連絡網を整備し状況の監視を行うとともに、総理大臣官邸等のホームページ等で内外で生じた事象についての情報提供を行った。
 郵政省の取組としては、郵便、郵便貯金及び簡易保険等の重要システムについて、模擬テストの実施や危機管理計画の策定等の対応を11年7月末までに終了するとともに、民間重要分野である情報通信分野の事業者に対して、同様の措置を要請し、特別な理由のあるものを除き、11年9月末までにすべての対応を完了した。また、年末年始においては、郵政省と情報通信分野の事業者との間で、万一の場合の連絡体制を整備するとともに、本省及び地方局等に電話相談窓口を設置する等国民への情報提供を強化した。
 以上のような取組の結果、郵政省が所管する情報通信分野及び郵政事業分野のいずれにおいても、国民生活に重大な支障を及ぼすような大きな問題は発生しなかった。ただし、コンピュータ西暦2000年問題に起因すると考えられる不具合が、1月1日に通信関係で3件、放送関係で1件、郵便関係で1件発生したが、通信・放送関係は当日のうちに復旧し、郵便関係についても判明後迅速に復旧した(図表2))。なお、今回のコンピュータ西暦2000年問題に際して、年末年始には郵政省所有の災害対策用衛星携帯電話を12省庁に24台貸し出し、万一の際の重要通信の確保を図った。
 また、西暦1900年は閏年ではないが、2000年は閏年であるため、コンピュータが2000年を1900年と誤認識していた場合に閏日(2月29日)に問題が発生する可能性があった。この閏日問題についても、政府として、官邸連絡室を設置して緊急連絡体制を敷く等の対応を行い、全体としては国民生活に大きな影響を及ぼすような問題は発生しなかった。郵政事業分野では、郵便貯金のATM(自動預払機)の一部(約1,200台)が内蔵チップの不具合から起動しない事例が発生したが、当日午後には復旧した。

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関連サイト: コンピュータ西暦2000年問題
  http://www.kantei.go.jp/jp/pc2000/index.html
  西暦2000年問題(郵政省)
  http://www.mpt.go.jp/whatsnew/y2000/index.html