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第3章 第5節

(3)視聴覚障害者向け放送番組の充実

字幕番組、解説番組、手話番組の充実を支援

 視聴覚障害者向け放送の充実を図り、放送を通じた情報へのアクセス機会の均等化を実現することは情報格差是正における重要課題である。郵政省では、視聴覚障害者がテレビジョン放送の内容を理解する上で必要不可欠なサービスである字幕番組、解説番組、手話番組の充実を促進するための措置を講じている。
1)字幕番組・解説番組等の制作促進
 「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律」に基づき、5年度から、字幕番組等を制作する者に対し、所要経費の1/2を上限に通信・放送機構が助成している。11年度においては、助成対象を字幕番組、解説番組及び手話番組のすべてに広げ、制度の拡充を図るとともに、予算額を大幅に増額した(図表)。
2)視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発
 8年度から12年度にかけて、通信・放送機構において、ニュースや情報番組等、内容の要約しやすいジャンルで、かつ、音声がすべて原稿化されている番組を対象として、字幕を自動的に制作・付与するシステムの研究開発を実施している。今後は、15年度を目途に、ほぼすべての録画番組を対象に、音声がすべて文字化された原稿がない場合でも、短時間で自動的に字幕を付与できるシステム実現のための技術確立を目指す。
3)視聴覚障害者向け放送番組制作施設整備事業
 放送の多メディア・多チャンネル化の進展に伴い、視聴覚障害者向け放送に対するニーズが高まっている。これを受け、9年度には、視聴覚障害者向け専門チャンネルに対し番組を供給することを目的に視聴覚障害者向け放送番組制作施設を整備する者、及び文字多重放送の実施に必要な放送番組制作送出設備、無線設備を整備する者に対し、日本政策投資銀行等による低利融資を行う制度が創設されている。

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※ 9年度において、従来の通信・放送機構における衛星放送受信対策基金の運用益を活用する助成に加え、新たに一般会計からの補助金を原資とする助成制度を創設した。
郵政省資料により作成