(2)資金調達 新興企業向けの証券市場、マザーズが創設される  情報通信分野は、インターネットや移動通信、放送のデジタル化等メディアの高度化・多様化が進展しており、それに伴い新たなサービスが次々と出現している。他方、技術の急速な進歩や自由化の進展が相まり、市場も急速に拡大していることから、ベンチャー企業が大いに活躍できる可能性の高い分野となっている。しかしながら、資金調達環境をみると、我が国の情報通信ベンチャー企業の資金調達は、必ずしも円滑に行われているとは言い難い。  日米両国のベンチャーキャピタルの投資状況を、ベンチャー企業のステージ別にみると、日米両国のステージ間の厳密な対比は困難であるが、概ね米国の方が創設期から早いステージにおいて、ベンチャーキャピタルによる投資が行われていることが分かる(図表1))。  また、産業別投資状況をみると、米国は通信業、ソフトウェア・情報処理への出資が全体の50%を越えているのに対し、我が国の通信業、ソフトウェア業、情報処理サービス業への出資は10%にも満たない状況である(図表2))。  こうした中、11年11月、東京証券取引所は「マザーズ(東証新興企業市場)」(Mothers:Market of the high-growth and emerging stocks)を創設した。  マザーズは「高い成長の可能性を有する新興企業の資金調達を可能にし、新たな産業の育成に資するとともに、投資者に多様な投資物件を提供すること」を目的に掲げており、新しい技術やアイディア等を持ちながらも資金的制約が事業成長を妨げていることが散見されがちな、情報通信分野のベンチャー企業にとっても、今後、同市場の一層の成長が期待される。  12年2月現在、マザーズに上場した企業は以下の4社であるが、4社の事業内容はいずれも情報通信分野に関連している(図表3))。