2 加入者網 アクセス方法の多様化が進む  公衆網にアクセスするための加入者網は、従来、電話回線を中心に構成されてきたが、近年のインターネットの普及等に伴い、高速データ通信の需要が高まっており、加入者網の多様化が急速に進んでいる(図表)。  FTTH(Fiber to the Home)は、加入者宅まで光ファイバを敷設し、高速・大容量伝送を可能とするものであるが、これにはかなりのコストがかかるため、メタリックケーブルと光ファイバの複合型であるPDS(Passive Double Star)方式等の導入・実証試験が進められている。また、NTTグループでは、松下電器産業、松下通信工業と共同して、12年4月から1年間、金沢市(石川県)において、FTTHを利用した情報流通ビジネス実証実験を開始している。これは、金沢市内の約40か所の一般家庭や商業施設等をLAN型光ネットワークで結び生活情報の流通等を行うもので、ユーザーインターフェースやネットワークと情報家電が調和できる諸条件や、光伝送機器等の低コスト化を検証することとしている。  メタル系では、既存のメタリックケーブルにモデムを接続して高速伝送を可能にするDSL(Digital Subscriber Line: デジタル加入者線)技術による高速アクセスサービスが導入されつつある。DSLには、上り下りの速度が違う非対称型のADSLや、対称型のSDSLがあり、低コストで高速インターネットアクセスを実現する等の実用性の高さから、米国では、既に10年からADSLを中心にDSLサービスの提供が本格化されている。我が国では、11年に入ってから、四国情報通信ネットワークがSDSLによるインターネット接続サービスを開始したほか、東京めたりっく通信(ADSL及びSDSL)及び東西NTT(ADSL)においても地域限定で定額制インターネット接続試験サービスを開始した。また、12年度中には日本テレコムが自社回線を用いたADSLサービスの提供を予定している。  無線系では、FWA(Fixed Wireless Access:加入者系無線アクセスシステム)が地域電気通信市場の競争を促進するとともに、広帯域の情報通信を無線により可能とするシステムが注目されている。FWAでは、光ファイバやメタリックケーブルで構築されているアクセス回線部分を無線で代替するため、ケーブル敷設の必要がなく、ネットワーク構築コストを抑えることが可能である。