(6)放送の高度化に対応した放送ソフトの振興 放送番組の制作・流通・保存の各段階で、放送の高度化に備えた環境整備を推進  視聴者が放送のデジタル化に伴う多チャンネル化のメリットを最大限に享受できるようにするためには、多様な放送番組が豊富に提供されることが必要である。郵政省では、11年度においてそのための環境整備を、放送番組の制作・流通・保存の各段階において推進している。 1)放送番組の制作面の取組 (i)次世代インテリジェントコンテンツ放送システム開発促進事業  「創造的通信・放送システムの開発」の一環として、双方向性やバーチャルリアリティ等のデジタル技術を活用した高機能な放送コンテンツを実現し、放送における情報バリアフリー環境の整備に資するコンテンツ制作・放送システムについて、通信・放送機構において研究開発を委託して実施している。 (ii)広域的地域情報通信ネットワーク整備促進モデル構築事業(データ放送活用システム分)  広域地域におけるデータ放送を活用した地域情報通信基盤を整備する複数の地方公共団体の連携主体の中から、他の地方公共団体のモデルとなる優れたデータ放送活用システムを構築するものを公募し、当該モデル構築事業を委託している(図表1))。 (iii)放送番組制作設備等のデジタル化支援  今後の地上放送のデジタル化の促進を踏まえ、これに関連する放送番組制作設備等を対象に、税制上の特例措置及び日本政策投資銀行等による無利子・低利融資並びに11年11月に施行された「高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法」に基づく通信・放送機構による債務保証を行っている(図表2))。 2)放送番組の流通面の取組 (i)放送番組の流通情報の提供の在り方に関する調査研究会  11年7月に取りまとめられた報告書において、放送番組の所在や利用に当たって必要となる権利の所在等に係る流通情報の提供の在り方を検討することの重要性が指摘された。また、放送番組の流通情報の提供方策として、集約的な情報提供窓口を通じて放送番組の流通情報等の提供を可能にするシステムに係る社会実証実験に関して提言がなされた。 (ii)放送番組の二次利用促進のためのデータベースマネジメントシステムの開発  放送番組制作事業者等が個別に整備している放送番組の既存データベースを活用し、共通データベースの整備による流通情報を提供するためのマネジメントシステムの開発を、11年度から2か年計画で実施している。 3)放送番組の保存面の取組 (i)放送番組の保存の在り方に関する調査研究会  11年7月に取りまとめられた報告書において、放送番組をその時代の文化、芸術、社会、世相等を反映した国民共通の文化的・歴史的資産としてとらえ、体系的な保存体制を構築するため、(財)放送番組センター等の公的機関を文化的・歴史的資産としての保存を制度的に担保する機関に位置づけるとともに、放送番組の二次利用の推進と調和しつつ、その保存規模の拡充等に関して提言がなされた。 (ii)番組ライブラリのデジタルネットワーク化  放送番組を収集・保存する番組ライブラリ(注27)のデジタル化を行うとともに、これをネットワークで結び、遠隔地から高速で検索・視聴できるシステムについて、通信・放送機構において研究開発を実施している。 4)次世代放送コンテンツの振興に向けた取組  12年2月から次世代放送コンテンツの振興に関する調査研究会を開催し、近年の技術革新及び環境変化等を踏まえ、今後、利用者ニーズに応えることのできる多彩で豊富な放送コンテンツが提供されるための環境整備に向けた政策の在り方を検討している。なお、12年7月に報告書が取りまとめられる予定である。