2 地理情報システム(GIS)構築のための研究開発の推進 地理情報の高度利用に向けて  地理情報システム(GIS:Geographic Information Systems)とは、デジタル化された様々な地理データと統計・台帳データ、画像データ等を電子的に統合することにより、地理情報の高度利用を図るシステムである。GISの実用化により、カーナビゲーションシステムの高度化、防災対策及び物流管理システム等の効率化等が期待される。  郵政省では、GIS利用環境の整備に資するため、以下の研究開発を推進している。 1)分散型GIS構築のための情報通信システムの研究開発  10年度から3か年計画で、国土庁、建設省、通商産業省及び自治省の4省庁と連携の下、分散型GISの構築に向けて、効率的な検索・配信機能の開発に必要な通信プロトコル、検索技術及びデータ圧縮技術等の要素技術の研究開発を実施している。  11年度は、10年度に行った調査及び概念設計を踏まえ、各要素技術の通信条件を検討し、分散型GISのためのアプリケーションモデルを開発した。  12年度には、GISに即した検索エンジン暗号技術等の研究開発成果を拡充し、認証プロトコル、分散型データ共有プロトコル等に関して、11年度に開発したアプリケーションモデルを利用した実証実験を行う予定である。 2)3次元GIS構築のための情報通信技術の研究開発  11年度から4か年計画で、国土庁、建設省、通商産業省、運輸省及び自治省の5省庁と連携の下、3次元GISデータの作成に必要な要素技術等の研究開発に取り組んでいる。  11年度は、要素技術として、ビデオ画像、静止画像から3次元データを作成する技術、3次元空間データを検索利用する技術の研究開発を行うとともに、3次元GISのプロトタイプを作成し、評価及び検証を行った。  12年度以降は、3次元GISに適合する効率的なデータ圧縮技術等の研究開発を実施することとしている(図表)。 3)GISのための研究開発用共同利用施設の整備  11年度第2次補正予算の措置により、通信・放送機構は、GISの普及に向けた大容量データの蓄積と効率的な伝送処理を実現する機能をもつ共同利用が可能な施設であるGISセンターの整備に着手した。  GISセンターでは、膨大なGISデータを一元的に蓄積することにより、蓄積媒体等の資源やGISデータの共同利用を促し、地方公共団体及び民間によるアプリケーション開発を促進することとしている。