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電波監理審議会意見の聴取(第352回)意見書(平成12年12月8日公表)






 インマルサットF型船舶地球局及び高速データ通信用ミニM型携帯移動地球局の
導入並びにデジタルMCA陸上移動通信システムへの適応変調方式の導入に係る電
波法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第14号)及び無線設備規則(昭和25年
電波監理委員会規則第18号)の各一部を改正する省令案について、電波法第99条の
12第1項の規定により、意見の聴取を行った(平成12年11月21日)結果、下
記のとおり意見を決定する。

  平成12年12月8日

                       主任審理官  石 田 義 博


                  記


第1 意 見

  各省令改正案は、それぞれ適当である。


第2 事実及び争点

 1 改正案の内容等
  (1) 電波法施行規則の一部を改正する省令案
   ア 改正の内容
    (ア) インマルサット船舶地球局のインマルサットF型及びインマルサット
     携帯移動地球局のインマルサットミニM型の送信設備について、無線高
     速データによる通信を行う場合の空中線電力は平均電力で表示すること
     とすること。(第4条の4関係)
    (イ) インマルサット船舶地球局のインマルサットF型の無線設備を使用し
     て、遭難通信又は緊急通信を行う方法を定めること。(別図第2号及び
     別図第8号関係)
   イ 施行期日
     公布の日から施行すること。

  (2) 無線設備規則の一部を改正する省令案
   ア 改正の内容
    (ア) デジタルMCA陸上移動通信システムへの適応変調方式追加のための
     無線局の無線設備の技術的条件を定めること。(第7条第10項第1号及
     び第49条の7の2関係)
    (イ) インマルサット船舶地球局のインマルサットF型の無線設備の技術的
     条件を定めること。(第7条第19項、第40条の4、別表第1号、別表第
     2号、別図第1号及び別図第4号の9関係)
    (ウ) インマルサット携帯移動地球局のインマルサットミニM型の無線設備
     について、無線高速データによる通信を行う場合の技術的条件を定める
     こと。(第7条第21項、第49条の24関係)
    (エ) その他所要の規定の整備をすること。
   イ 施行期日
     公布の日から施行すること。

 2 郵政省の陳述の大要
  (1) インマルサットF型船舶地球局及び高速データ通信用ミニM型携帯移動地
   球局の導入関係
    今般、インマルサットでは、ノートブック型パソコン程度の大きさの可搬
   型端末で64kbpsの高速データ通信を実現した高速データ通信用ミニMシス
   テムによるサービスを開始し、また、同システムを船舶向けに改良し、遭難
   安全通信を優先的に確保する機能を備えたFシステムによるサービスの提供
   を予定しており、我が国でもこれらの新しいシステムの早期導入が期待され
   ている。
    本案は、このような状況の中、本年7月の電気通信技術審議会答申を踏ま
   え、これらのシステムの円滑な導入に向けて関係の規定を整備するものであ
   る。

  (2) デジタルMCA陸上移動通信システムへの適応変調方式の導入関係
    物流等の分野においては、近年のインターネット等による電子商取引等の
   普及に伴い企業内の情報化が急速に進展しており、多様な情報通信ニーズに
   的確に対応できる移動通信システムの実現が強く求められている。
    本案は、このような状況の中、この分野で広く利用されているデジタルM
   CA陸上移動通信システムについて、本年7月の電気通信技術審議会答申を
   踏まえ、適応変調方式を導入するために関係の規定を整備するものである。
    適応変調方式は、陸上移動通信で常に変動する電波伝搬路の状態を総合的
   に判断し、その時点での最良の変調方式を自動的に選択して切り換える方式
   で、伝搬路の高品質化や伝送速度の高速化、周波数の有効利用等の効果が期
   待できるものである。

 3 利害関係者の陳述等
   本件省令改正案に関し、利害関係を有する6者が準備書面を提出し、このう
  ち5者が意見の聴取の期日に出席して陳述した。また、意見の聴取の期日に欠
  席した社団法人電気通信事業者協会については、電波監理審議会が行う審理及
  び意見の聴取に関する規則第42条において準用する同規則第17条の規定に
  より、当該準備書面のとおり陳述したものとみなした。
   6者の省令改正案に対する賛否は、次のとおりであり、いずれも賛成として
  いる。
利害関係者
賛   否
備 考
水洋会           
     賛   成     
    
(社)全国船舶無線工事協会  
     賛   成     
    
(株)ディーディーアイ    
     賛   成     
    
(財)テレコムエンジニアリング
  センター        
     賛   成     
    
    
(社)電気通信事業者協会   
     賛   成     
 欠 席 
(社)電波産業会       
     賛   成     
    

第3 理 由

 1 インマルサットF型船舶地球局及び高速データ通信用ミニM型携帯移動地球
  局の導入関係
   インマルサットの提供する高速データ通信サービスを付加したミニMシステ
  ムと同システムを船舶向けに改良し遭難安全通信を優先的に確保する機能を付
  加したFシステムを我が国でも利用できるように、船舶地球局及び携帯移動地
  球局の無線設備の技術基準等を規定するため、電波法施行規則及び無線設備規
  則の一部を改正するものである。

   通信の方法、技術基準等の内容は、インマルサットの定めた規格であるシス
  テム定義文書に準拠したものになっているが、これは、インマルサット衛星を
  経由してインマルサットが委託して運用する海岸地球局又は携帯基地地球局と
  通信を行う本システムの構成に照らすと必須であり、適当と認められる。また、
  我が国で運用されている他のシステムとの干渉については所要の配慮がなされ
  ているものと認められる。さらに、利害関係者から賛意が表明されており、各
  省令案は適当と認められる。

 2 デジタルMCA陸上移動通信システムへの適応変調方式の導入関係
   データ通信の伝送効率を向上する適応変調方式をデジタルMCA陸上移動通
  信システムに導入できるように、デジタルMCA陸上移動通信を行う無線局等
  の無線設備の技術基準を規定するため、無線設備規則の一部を改正するもので
  ある。

   適応変調方式は、変調効率に差のある複数の変調方式から常に変動する電波
  伝搬路の状態を総合的に判断して最適の変調方式を自動的に選択し、データ通
  信の伝送効率を向上しようとするものである。周波数の有効利用に資するもの
  であり、その導入は適当と認められる。さらに、利害関係者から賛意が表明さ
  れており、省令案は適当と認められる。



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