電波監理審議会(第806回)議事要旨(平成10年2月19日公表)
1 日時
平成10年1月23日(金)16:00〜17:31
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、岩男 寿美子、
辻井 重男、常盤 文克
(2)電波監理審議会審理官
金谷 利二
(3)幹事
渡辺 信一(審議会室長)
(4)郵政省
谷電気通信局長及び品川放送行政局長ほか
4 議題
(1)意見書の説明
放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案に関する意
見の聴取の手続を主宰した審理官の意見書について
(2)諮問事項
ア 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
イ 電波法施行規則の一部を改正する省令案について
ウ 日本放送協会所属放送局の廃止の認可について
エ 日本放送協会の株式会社放送衛星システムに対する出資の認可について
(3)報告事項
ア 通信衛星を利用した通信・放送の中間領域的な新たなサービスに係る
通信と放送の区分に関するガイドラインについて
イ 無線局免許申請等処理状況(平成9年度第3四半期)について
ウ 平成10年度情報通信行政関係予算(案)の概要について
5 議事模様
(1)放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
通信衛星JCSAT−4号機を用いたデジタル多チャンネル放送に係る
委託放送業務への参入希望に対応するための放送普及基本計画及び放送用
周波数使用計画の各一部変更案について、意見の聴取の手続を主宰した審
理官から提出された調書及び意見書に基づき審議した結果、当該各計画の
変更案は適当である旨、答申を行った。
(2)電波法施行規則の一部を改正する省令案について
実験局及び実用化試験局の無線局免許の有効期間を延長するための電波
法施行規則の一部を改正する省令案について、郵政省から説明があった。
・ 無線局免許の有効期間については、電波法第13条で5年を超えない
範囲内において省令で定める期間と規定され、電波法施行規則第7条で
無線局の種別毎に有効期間が定められている。
・ 本件は、実験局及び実用化試験局について、免許人の負担の軽減の観
点から有効期間を延長することとし、実験局については2年から5年に、
実用化試験局については1年から2年にそれぞれ延長するため、所要の
改正を行うものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 本件に伴う手数料に関して質問があり、郵政省から、現在、実験局の
手数料については、1局当たり3850円であり、特に今回変更するも
のではない旨、説明があった。
・ 放送試験局及び放送試験衛星局の免許の有効期間に関する質問があり、
郵政省から有効期間がいずれも2年間であり、放送試験局については実
験局で確立された技術を早期に実用化することを目的としたものである
こと、周波数の再配置が必要となることがあること、また、放送試験衛
星局については免許の有効期間内に目的を達成しており再免許の実績が
ないこと等から今回の省令の改正案の中には含まない旨、説明があった。
・ 実験局の免許有効期間の5年間の必要性、電波の有効利用への影響、
デジタル化による影響等について指摘があり、郵政省から電波技術に関
する実験というもの以外に、例えば環境測定等というような長期間にわ
たってデータを収集する目的のものがあり、データの信憑性を高めると
いう観点から実験期間が長くなるものもある旨、説明があった。
本件は意見の聴取の必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
手続を主宰する審理官を指名した。
なお、審理官の指名に当たって、電波利用の拡大に伴い周波数が逼迫し
ている状況において有効期間の延長を行うことは、一方で新たな実験を行
う周波数がなくなることも考えられるので、学識者等を参考人として招き、
意見を聴取する等の配意をされたい旨要望があった。
(3)日本放送協会所属放送局の廃止の認可について
日本放送協会所属テレビジョン放送局(中継局)の廃止の認可申請につ
いて、郵政省から説明があった。
・ 奈良県吉野町において協会が開設している吉野六田テレビジョン中継
局等3局のエリアにおいて有線テレビジョン放送施設が設置されたこと
に伴い、エリア内の受信者が当該有線テレビジョン放送施設へ加入し、
中継局からの放送を受信する者が皆無となったことから、当該3放送局
を廃止したい旨の申請である。
・ 本件申請について、申請に係る放送局の受信者が皆無となっているこ
と、有線テレビジョン施設について将来にわたって安定した運営が見込
まれること及び本件申請の放送局の廃止に関して地方公共団体の同意を
得ていることから当該放送局の廃止を認可することとしたい。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 協会による放送の全国普及義務と他者の施設による放送受信との関係
に関する質問があり、郵政省から本件のように有線テレビジョン放送施
設が設置されたとしても協会による放送の全国普及義務は免除されるも
のではなく、普及義務は、地上放送、衛星放送、有線放送等の手段を総
合的に考慮し視聴できる環境を整えていく仕組みとなっているものと考
えており、必ずしも受信料だけで視聴できる環境を整えなければならな
いという観点での普及義務はないと考えるが、今後とも様々なケースを
見ながら、普及義務に関する考え方を整理していきたい旨、説明があっ
た。
・ 難視聴への対応に関する質問があり、郵政省からビルの建設等による
人為的な原因による難視聴は当該原因者において措置するものであり、
協会としては地形等の自然的な原因によるものに対する措置が中心とな
る旨、説明があった。
審議した結果、適当である旨答申を行った。
(4)日本放送協会の株式会社衛星放送システムに対する出資の認可について
日本放送協会の株式会社衛星放送システムに対する出資の認可申請につ
いて、郵政省から説明があった。
・ 本件は、放送衛星3号を引き継ぐ放送衛星(BS−4先発機)による
衛星放送を継続して確保することを目的に出資するものであり、放送法
第9条の2の規定に基づき認可申請があったものである。
・ BS−4先発機を調達するために設立された(株)放送衛星システム
が増資するに当たり、協会が株主として出資割合(59.38%)に応
じ、11億8750万円を出資しようというものである。
・ 本件出資については、衛星放送の安定と継続を確保することを目的と
するものであり、また、出資は平成9年度の収支予算、事業計画及び資
金計画に定められているところである。さらに、同社は放送法施行令に
定める協会の業務に密接な関連する事業を行うものであると認められる
ので、出資を認可することとしたい。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 出資者の中に多くの銀行が含まれている理由について質問があり、郵
政省から同社が衛星調達等で多額の借入れにより衛星の調達等をしてお
り、その借入先である各銀行に出資をお願いしているという形態となっ
ているが、最終的には各銀行における利益等経営上の判断により参画し
ているものと推察している旨、説明があった。
審議した結果、適当である旨答申を行った。
(5)報告事項
ア 「通信衛星を利用した通信・放送の中間領域的な新たなサービスに係
る通信と放送の区分に関するガイドライン」について
郵政省から昨年11月に経済対策閣僚会議において決定された「21
世紀を切りひらく緊急経済対策」において、予備校による受験生宅への
通信衛星による授業等、通信衛星を利用した通信・放送の中間領域的な
新たなサービスについて、ガイドラインを作成し、通信と放送の区分を
明らかにするよう決定されたことを受けて、通信から放送を切り分ける
に当たって、従来から、放送法の定義に基づき、公衆に直接受信させる
ことを送信側が意図していることが、送信者の主観だけでなく客観的に
も認められるか否かを基準として整理した旨、説明があった。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ ガイドラインが規制緩和として考えられていることに関して質問が
あり、郵政省から行政手続法は行政手続の透明性に資するための規制
緩和の一つであると理解しており、本ガイドラインについては、行政
手続そのものではないが、行政の考え方を一般的によりわかりやすく
するものであり、結果として行政手続の透明性につながるものである
ことから広い意味で規制緩和に該当するとの理解をしている旨、説明
があった。
イ 無線局免許申請等処理状況(平成9年度第3四半期)について
郵政省から平成9年度第3四半期における放送関係に係る免許申請等
及びその処理状況について説明があった。
ウ 平成10年度情報通信行政関係予算(案)の概要について
郵政省から平成10年度情報通信行政関係経費を中心とした予算案に
ついて説明があった。
(文責:電波監理審議会事務局 速報につき、事後修正の可能性あり。)