電波監理審議会(第807回)議事要旨(平成10年3月16日公表)
1 日時
平成10年2月20日(金)15:30〜17:53
2 場所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1)電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、辻井 重男、常盤 文克
(2)電波監理審議会審理官
金谷 利二
(3)幹事
渡辺 信一(審議会室長)
(4)郵政省
谷電気通信局長及び品川放送行政局長ほか
4 議題
(1)意見書の説明
ア 放送法施行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令
案並びに放送普及基本計画の一部変更案に関する意見の聴取の手続を主宰
した審理官の意見書について
イ 無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一
部を改正する省令案に関する意見の聴取の手続を主宰した審理官の意見書
について
(2)諮問事項
ア 放送法施行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令
案並びに放送普及基本計画の一部変更案について
イ 無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一
部を改正する省令案について
ウ 無線従事者規則の一部を改正する省令案について
エ 関西セルラ−電話株式会社、九州セルラ−電話株式会社及び沖縄セルラ
−電話株式会社所属特定無線局の包括免許について
オ 電波法第38条の2の規定に基づく指定証明機関の指定について
カ 電波法第102条の18第1項の規定に基づく指定較正機関の指定につ
いて
キ 岡山地区における一般放送事業者の超短波放送局の予備免許等について
ク 日本放送協会平成10年度収支予算等に付する郵政大臣の意見について
ケ 日本放送協会の財団法人放送番組センタ−に対する出捐の認可について
コ 株式会社スペ−スビジョンネットワ−ク及び株式会社衛星チャンネルの
委託放送業務の認定の更新について
サ 株式会社日本サテライトシステムズ所属放送衛星局の予備免許について
シ 標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式の
全部を改正する省令案、放送法施行規則、無線局免許手続規則、無線設備
規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案並びに放送
普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
(3)報告事項
ア 放送法関係審査基準の一部改正について
イ 放送法の一部改正について
5 議事模様
(1)放送法施行規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令
案並びに放送普及基本計画の一部変更案について
通信衛星を利用したデジタル多チャンネル放送への委託放送事業の一層
の促進を図るためマスメディア集中排除原則の緩和等を行うとともに、特
定の放送事項を専ら放送する放送事業者に対して放送番組審議機関の設置
義務や放送番組の保存義務の適用除外とする放送法施行規則及び放送局の
開設の根本的基準の各一部を改正する省令案並びに放送普及基本計画の一
部変更案について、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調
書及び意見書に基づき審議した結果、各案は適当である旨、答申を行った。
(2)無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一
部を改正する省令案について
マイクロ波帯等の周波数の電波を利用する電気通信事業用固定局及び公
共業務用固定局における使用周波数帯及び各システム固有の技術基準を整
備し、当該固定局の開設申請を行う者の利便の向上に資するとともに、V
SAT地球局の無線設備の技術基準適合証明の対象範囲を拡大し、今後の
衛星通信システムの一層の進展を図る無線設備規則及び特定無線設備の技
術基準適合証明に関する規則の各一部を改正する省令案について、意見の
聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書に基づき審議
した結果、各省令案は適当である旨、答申を行った。
(3)無線従事者規則の一部を改正する省令案について
総合無線通信士資格免許証の様式を改める等のための無線従事者規則の
一部を改正する省令案について、郵政省から説明があった。
・ ITUの無線通信規則が1995年に改正され、航空機局等のための
無線電信通信士証明書が削除されたので、わが国の無線従事者免許証の
記載を改めるものであり、具体的には、無線従事者免許証に記載してい
るわが国の資格と無線通信規則上の資格との対応において無線通信規則
上の航空の無線電信通信士関係を削除するものである。
・ 無線従事者資格の取得方法は、従事者養成課程を終了し、国家試験に
合格することであるが、現在、養成課程を修了した者は従事者免許を取
得した後、船舶局無線従事者証明の申請を行っているが、今回、GMD
SS制度の完全実施に向け、従事者の免許申請と船舶局無線従事者証明
申請を同時に行うことを可能とし、手続の迅速化を図るものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 本件手続のような迅速化等緩和に向けた措置については、もっと前倒
しで行うべきとの意見について、郵政省から、全体的な見直しを行って
いる段階である旨、説明があった。
本件は、意見の聴取の必要があるため、意見の聴取を行うこととし、そ
の手続を主宰する審理官を指名した。
(4)関西セルラ−電話株式会社、九州セルラ−電話株式会社及び沖縄セルラ
−電話株式会社所属特定無線局の包括免許について
CDMA方式による携帯・自動車電話の包括免許について、郵政省から
説明があった。
本件は、電波法第27条の2の規定に基づき携帯・自動車電話に係る包
括免許の申請があったものであり、審査した結果、電波法第27条の4各
号の規定に適合していると認められるため、同法第27条の5の規定に基
づき包括免許を与えることとするものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 電波法第27条の4各号の審査基準における周波数の割当て可能性に
関する審査方法について質問があり、郵政省から、行政手続法第5条に
より定めた審査基準に基づき審査を行った。具体的には、現在アナログ
方式の電話で使用している周波数をCDMA方式に重複して割り当てる
ものであり、問題はなく、審査基準に合致している旨、説明があった。
審議した結果、諮問のとおり包括免許を付与することについて、適当であ
る旨、答申を行った。
(5)電波法第38条の2の規定に基づく指定証明機関の指定について
有料道路料金収受等の5区分の9特定無線設備に係る指定証明機関の指
定申請について、郵政省から説明があった。
・ 電波法第38条の2において、郵政大臣は省令に定める特定無線設備
について、電波法第3章に定める技術基準に適合していることの証明を
行い、又はその指定する者にこれを行わせることができるとされている。
・ 本件は、(財)無線設備検査検定協会から、携帯移動衛星デ−タ通信
用地球局等の無線設備の技術基準適合証明の指定証明機関に係る申請が
あり、電波法第38条の3に規定する指定の基準、今回新たに定めた審
査基準に基づき審査した結果、適合するものと認められ、指定証明機関
として指定するものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 審査について、他に証明機関がないので証明業務の適正な実施が阻害
されることはないものと認められるとされているが、競争状態があり得
るとの前提で審査する必要がある旨意見があった。
・ 証明員の資格、能力等について質問があり、郵政省から測定やその結
果の評価を行うため、一定の技能が求められることから一定の要件を満
たす証明員を配置することとしている旨説明があった。
審議した結果、諮問のとおり指定証明機関として(財)無線設備検査検定
協会を指定することについて、適当である旨、答申を行った。
(6)電波法第102条の18第1項の規定に基づく指定較正機関の指定につ
いて
無線局認定点検事業者が無線設備の点検に用いる測定器等の較正を行う
指定較正機関の指定申請及びその審査結果について、郵政省から説明があ
った。
・ 本年10月施行の改正電波法により、無線局検査における民間能力の
活用の観点から無線局認定点検事業者制度を導入し、検査事務の簡素合
理化を図るが、測定器の正確性を担保するため、認定点検事業者は郵政
大臣の指定する機関により測定器の較正を受ける必要があり、電波法第
102条の18第1項の規定に基づき、(財)海上無線検査協会から当
該指定較正機関の指定の申請があったものである。
・ 本件申請については、電波法第38条の3に規定する指定の基準、審
査基準に基づき審査した結果、適合するものと認められることから、指
定較正機関として指定するものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 既に他の較正機関が指定されているが、今回の指定に関し較正の業務
が適正かつ確実な実施を阻害するものではないと判断した理由について
質問があり、郵政省から、実際には棲み分けになると思うが、競争があ
っても問題ない旨説明があった。
・ 競争により品質について懸念される場合、行政指導を行うのかとの質
問があり、郵政省から、複数の者が参入する場合、業務の執行状況を見
て必要に応じ、行政指導を行う旨説明があった。
審議した結果、諮問のとおり指定較正機関として(財)海上無線検査協会
を指定することについて、適当である旨、答申を行った。
(7)岡山地区における一般放送事業者の超短波放送局の予備免許等について
岡山地区における一般放送事業者の超短波放送局の免許申請及び審査結
果について、郵政省から説明があった。
・ 岡山地区については、昭和59年11月に超短波放送の周波数の割当
てがあり、496件の申請が出され、その後、最近開局の動きが出て、
496件のうち495件が1つの申請にまとまり、現在、2件の申請が
出されている。
・ 岡山地区において割り当てることができる周波数が1波であることか
ら、2つの免許申請について比較審査した結果、岡山エフエム放送(株)
について、電波法第8条第1項の規定により予備免許を付し、他の免許
申請について、電波法第7条第2項第4号の規定に適合しないので免許
を拒否するものである。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 岡山地区における超短波放送局の免許処理に10年余り要したことの
経緯及び免許申請の記載事項等の手続について質問があり、郵政省から、
496件という多数の申請があり、内容が極めて類似していることから
比較審査で優劣をつけ難かったが、昨年から申請者間において開局の機
運が高まり、免許処理に至った旨説明があった。また、免許申請手続に
ついては、省令において事業計画等について記載様式があり、具体的な
記載例も併せて示されている旨説明があった。
審議した結果、諮問のとおり岡山エフエム放送(株)の超短波放送局の予
備免許を与え、他の免許申請について拒否することについて、適当である旨、
答申を行った。
(8)日本放送協会平成10年度収支予算等に付する郵政大臣の意見について
日本放送協会平成10年度収支予算等に付する郵政大臣の意見について、
郵政省から説明があった。
・ 協会の予算、事業計画、資金計画は経費の増加の圧縮に努め、必要な
施策を計画しており、おおむね適当と認める。
・ なお、協会は、引き続き効率化等を徹底し、わが国の放送発展のため、
事業計画等の実施に当たって、受信料体系の在り方の検討等配意すべき
である。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ 新年度の意見で例年と違った内容について質問があり、郵政省から地
上放送をはじめ全ての放送のデジタル化の推進について先導的役割を求
めている他、政府の規制緩和推進計画に指摘されたBSスクランブル化
を含めた受信料体系の在り方についての検討、アニメ問題等視聴覚的効
果への配慮を求めている点が新しい内容であるとの説明があった。
・ 「おおむね適当なものと認める」の意味について質問があり、郵政省
から意見に付した6項目について引き続き協会に取り組んでもらいたい、
一層の努力を求めたい意味で、おおむね適当なものとしている旨、説明
があった。
審議した結果、諮問は適当である旨、答申を行った。
(9)日本放送協会の財団法人放送番組センタ−に対する出捐の認可について
日本放送協会の財団法人放送番組センタ−に対する出捐の認可について、
郵政省から説明があった。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ なお、本件は例年のことながら、いつまで本件措置を続けるのかとい
う指摘があった。
審議した結果、諮問は適当である旨、答申を行った。
(10)株式会社スペ−スビジョンネットワ−ク及び株式会社衛星チャンネルの
委託放送業務の認定の更新について
株式会社スペ−スビジョンネットワ−ク及び株式会社衛星チャンネルの
委託放送業務の認定の更新について、郵政省から説明があった。
・ 上記二社の委託放送業務の認定が、本年7月に効力を失うことから、
両社から業務認定の更新の申請があったものである。
審議した結果、諮問は適当である旨、答申を行った。
(11)株式会社日本サテライトシステムズ所属放送衛星局の予備免許について
(株)日本サテライトシステムズ所属放送衛星局の予備免許について、
郵政省から説明があった。
・ (株)日本サテライトシステムズは、昨年2月17日、JCSAT−
4を打ち上げ、今般、受託国内放送事業者として、今春サ−ビス開始予
定のJスカイBに衛星を使用させるため放送衛星局の開設申請があった
ものである。
審議した結果、諮問は適当である旨、答申を行った。
(12)標準テレビジョン放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式の
全部を改正する省令案、放送法施行規則、無線局免許手続規則、無線設備
規則及び放送局の開設の根本的基準の各一部を改正する省令案並びに放送
普及基本計画及び放送用周波数使用計画の各一部変更案について
BS−4後発機におけるデジタル放送のための省令の変更等の制度の整
備案について、郵政省から説明があった。
・ 電気通信技術審議会の一部答申「デジタル放送方式のうち、11.7
GHZを越え12.2GHZ以下の周波数を使用する衛星デジタル放送
の技術的条件」(平成10年2月9日)を踏まえ、「標準テレビジョン
放送等のうちデジタル放送に関する送信の標準方式」及び「無線設備規
則」の改正を行う。
・ BS−4後発機における1周波数当たりの帯域幅(34.5MHZ)
や参入希望ヒアリング(平成9年10月〜11月実施)の結果を踏まえ、
放送普及基本計画第二において受託国内放送の番組の数の目標を設定す
る。
・ BSデジタル放送に関するマスメディア集中排除原則として、1の委
託放送事業者(これを支配する者又はこれらに支配される者を含む)が
保有できる最大の通信速度(1秒当たりのシンボル数)を定める等のた
めの放送法施行規則の改正を行う。
・ 我が国に割り当てられた放送業務用周波数8(東経110度)のうち、
4周波数を規定するための放送用周波数使用計画の変更を行う。
主な質疑応答は以下のとおり。
・ マスメディア集中排除原則における一秒当たりのシンボル数の単位を
「個」としているが、「スロット」としてはどうかとの質問があり、郵
政省から検討するとの説明があった。
・ WOWOWが移行チャンネルのみとなるとWOWOWは不利となるが、
保有チャンネルはどうなるかとの質問があり、郵政省からWOWOWは
移行チャンネルのほか本体としてHDTVチャンネルにも申請はできる
旨説明があった。
・ マスメディア集中排除原則という表現について、自由な競争の場を提
供するという前向きで未来指向的な用語にしてはどうかとの意見があり、
郵政省から検討していきたい旨説明があった。
・ マスメディア集中排除原則については、地上放送のデジタル化に関す
る制度設計の中で、いずれ放送全体として見直す時期が来るのではない
かとの意見があり、郵政省から、地上放送のデジタル化によって環境変
化が確定的となるなど放送全体の問題としてとらえ直す時期が来ると考
えられる。
また、今回の見直しの部分と今後の見直しと両方的確に対応していきた
い旨説明があった。
・ マスメディア集中排除原則等について、郵政省のヒアリングにおいて
いろいろ意見が出ており、本件は、大変論点の多い問題であるので、郵
政省の考えている理論的な枠組みを提供しつつ、幅広く意見を聴取され
たい旨意見があった。
本件は、意見の聴取の必要があるため、意見の聴取を行うこととし、その
手続を主宰する審理官を指名した。
(13)報告事項
ア 放送法関係審査基準の一部改正について
イ 放送法の一部改正について
上記報告事項については、次回に改めて質疑を行うこととなった。
(文責:電波監理審議会事務局 速報につき、事後修正の可能性あり。)