電波監理審議会(第817回)議事要旨(平成10年12月14日公表)
1 日 時
平成10年11月20日(金)15:31〜17:25
2 場 所
郵政省審議会会議室(郵政省12階)
3 出席者(敬称略)
(1) 電波監理審議会委員
塩野 宏(会長)、秋山 喜久(会長代理)、辻井 重男、 常盤 文克
(2) 電波監理審議会審理官
小山 隆生
(3) 幹事
小野寺 敦子(審議会室長)
(4) 郵政省
天野電気通信局長、品川放送行政局長ほか
4 議 題
(1) 議決事項
ア 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関
する規則の各一部を改正する省令案(10.11.20諮問第54号)に関する意見の
聴取の手続を主宰する審理官の指名について
イ 電波法施行規則、特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則及び無線
局認定点検事業者規則の各一部を改正する省令案(10.11.20諮問第55号)に
関する意見の聴取の手続を主宰する審理官の指名について
ウ 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更案(10.11.20諮問
第59号)に関する意見の聴取の手続を主宰する審理官の指名について
(2) 意見書の説明
電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関す
る規則の各一部を改正する省令案に関する意見の聴取の手続を主宰した審理
官の意見書について (10.9.18諮問第34号関係)
(3) 諮問事項
ア 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関
する規則の各一部を改正する省令案について(10.9.18諮問第34号)
イ 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関
する規則の各一部を改正する省令案について(10.11.20諮問第54号)
ウ 電波法施行規則、特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則及び無線
局認定点検事業者規則の各一部を改正する省令案について
(10.11.20諮問第55号)
エ 電波法第38条の2第1項に規定する指定証明機関の指定について
(10.11.20諮問第56号)
オ CSデジタル放送に係る委託放送事業者の認定について
(10.11.20諮問第57号)
カ CSデジタル放送に係る委託放送事業者の委託放送事項の変更について
(10.11.20諮問第58号)
キ 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更案について
(10.11.20諮問第59号)
(4) 報告事項
ア 無線局免許申請等処理状況(平成10年度上半期)について
イ BS−4後発機におけるBSアナログ放送のサイマル放送に係る届出結果
について
5 議 事 模 様
(1) 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関す
る規則の各一部を改正する省令案について(10.9.18諮問第34号関係)
準ミリ波・ミリ波帯加入者系無線アクセスシステム及びワイヤレスカードシ
ステムの導入並びにPHSの高度利用に係る電波法施行規則、無線設備規則及
び特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則の各一部を改正する省令案に
ついて、意見の聴取の手続を主宰した審理官から提出された調書及び意見書に
基づき審議した結果、概ね適当である旨、答申した。
なお、準ミリ波・ミリ波帯加入者系無線アクセスシステムの導入に関して、
同システムの接続方式を時分割多元接続方式としていることについて、意見聴
取の場において利害関係者から、他の通信方式も認められたいとの意見があり、
同意見には相当の理由が認められたことから、答申に当たり、「周波数の有効
利用に資する範囲で他の接続方式も認められるよう相当措置すること」との意
見を付した。
また、「PHS」を法令用語として使用することとしたことについて、会長
から、今回の措置がPHSの普及のためにやむを得ないものであるという事情
は理解したが、審理官の意見書にもあるとおり国内のみにしか通用しない和製
英語を法令中に使用することは本来適当とは言えないので、今後は法令用語の
使用について慎重に対応されたいとのコメントがあった。
(2) 電波法施行規則、無線設備規則及び特定無線設備の技術基準適合証明に関す
る規則の各一部を改正する省令案について(10.11.20諮問第54号関係)
400MHz帯等業務用無線のデジタル・ナロー通信方式の導入に係る3省令
の一部を改正する省令案について、郵政省から説明があった。
・ 本件は、400MHz帯及び150MHz帯を使用する業務用無線について、最新のデ
ジタル技術を活用することによって周波数利用効率の向上とデータ伝送等の
通信の高度化に対応しようというもの。
・ 400MHz帯では現在1チャンネル当たり12.5KHz使用しているが、これが半
分の6.25KHzになる。
主な質疑応答等は、次のとおり。
・ 昔からの振幅変調技術とデジタル技術を組み合わせてうまく利用している
との意見があった。
・ 意見聴取では思わぬ意見(提案)が得られる可能性があり、また、そこに
意見聴取の意義もあるので、適切に対応されたいとの意見があった。
本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、そ
の手続を主宰する審理官を指名した。
(3) 電波法施行規則、特定無線設備の技術基準適合証明に関する規則及び無線局
認定点検事業者規則の各一部を改正する省令案について(10.11.20諮問第55号)
電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に関する法律
(平成10年法律第58号)による技術基準適合証明制度の改正に係る規定の整備
に関する3省令の各一部を改正する省令案について、郵政省から説明があった。
・ 本件は、電気通信分野における規制の合理化のための関係法律の整備等に
関する法律により、電波法の一部が改正されたことに伴い、所要の規定を整
備するもの。
・ 電波法改正の背景には、電気通信分野の国際化の進展により、無線設備に
係る基準認証制度の国際的調和を図ることが要請されていること、携帯電話
等への加入者数の急増に伴い技術基準適合証明制度の簡素合理化を図る必要
が生じたこと、が挙げられる。
・ 電波法改正の内容は、外国機関が行う証明の結果等を受け入れる制度の創
設、大量生産機種向けの簡素な制度の創設、国内外の民間事業者が行う点検
の結果を受け入れる制度の創設、というもの。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 外国との相互相互承認について、ITUでどのような検討が行われている
のかとの質問があり、郵政省から、ITUでは国際的に利用される衛星通信
分野に限ってMOU(覚書)という形で取り決めができており、APECで
は早期実施項目の中でも優先分野の一つということで議論されている旨の回
答があった。
・ 外国での結果を受け入れるに当たって、相手国でも日本の結果を受け入れ
ることになっているのか、それとも日本が一方的に受け入れることとしてい
るのか、との質問があり、郵政省から、後者であり、その意味では国際的に
も先んじている旨の回答があった。
・ 本件については、政府の規制緩和推進計画での扱いはどうなっているのか
との質問があり、郵政省から、同計画に基づいている旨の回答があった。
・ 外国機関からの申請は日本語に限られるのか、他国語も認める場合には、
どこまで認めるかという広げ方について他の制度と整合をとる必要があると
の意見があり、郵政省から、今回のは例えばアマチュア局の国際免許と同じ
ように申請書自体は日本語で記載してもらうこととなるが、添付資料につい
ては英語であれば差し支えない旨の説明があった。
・ 技術基準について、各国との基本的な差はどういうところにあるのか、と
の質問があり、郵政省から、周波数も違うがシステム自体がそもそも異なっ
ており、例えば同じような携帯電話であっても各国でシステムが全く異なっ
ている旨の説明があった。
本件は、意見の聴取を行う必要があるため、意見の聴取を行うこととし、そ
の手続を主宰する審理官を指名した。
(4) 電波法第38条の2第1項に規定する指定証明機関の指定について(10.11.
20諮問第56号)
電波法第38条の2第1項に規定する指定証明機関の指定について、郵政省
から説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。。
・ 本件は、準マイクロ波帯(1.9GHz帯)加入者系無線アクセスシステム
(PHS−WLL)用の無線設備に係る技術基準適合証明を行う機関とし
て、財団法人テレコムエンジニアリングセンターから指定申請があり、審
査の結果、同法人を指定しようとするものである。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 指定証明機関の指定申請において、同一の特定無線設備について、複数の
申請は考えられるのかとの質問があり、郵政省から、制度上排除してい
ないが、実際に複数の申請があったことはない旨の回答があった。
・ 証明の手数料をどのように定めるのかとの質問があり、郵政省から、手数
料の額については認可制をとっている旨の回答があった。
(5) CSデジタル放送に係る委託放送事業者の認定について(10.11.20諮問第57
号)
スーパーバードC号機を利用する委託放送業務の申請及び審査結果について、
郵政省から説明があり、審議の結果、適当である旨、答申した。
・ 本件は、本年10月13日から10月30日までの間に申請があった標準
テレビジョン放送7社34番組、超短波放送3社37番組、データ放送2社
4番組について、放送法第52条の13第1項各号及び行政手続法に基づき
公にしている放送法関係審査基準に基づいて審査した結果、適合しているこ
とから、全て認定しようとするものである。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 今回の審査においては、審査で基準を満たしていない事業者はなかったと
いうことかとの質問があり、郵政省から、そのような事業者はなかった旨の
回答があった。
・ チャンネルの空き状況について質問があり、郵政省から、まだ若干の余地
がある旨の回答があった。
・ CS放送は、いろいろな番組を放送することが可能であるが、今回の申請
において、面白いものはあったかとの質問があり、郵政省から、今回も様々
なジャンルの番組の申請があったが、初めてのジャンルのものはなかった旨
の回答があった。
(6) CSデジタル放送に係る委託放送事業者の委託放送事項の変更について
(10.11.20諮問第58号)
株式会社ヘルスネットワークから申請のあった委託放送事項の変更許可申請
及び審査結果について、郵政省から説明があり、審議の結果、適当である旨、
答申した。
・ 認定時においては、委託放送事項を「教育」、「教養」としていたが、
「報道」、「娯楽」、「広告」を追加して、放送内容に幅を持たせ、ジャン
ルを拡大するとともに、収入の多角化を図るものであり、審査した結果、基
準に適合していたことから許可しようとするものである。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 委員から、申請の時は、認定されやすいもので申請して、認定された後で、
変更するということを考える者もあり得る。周波数がもう少し逼迫してきた
ら厳格に対処すべきではないかとの意見があった。
・ アダルトではないのに、ペアレンタルロックをかけるというのはどういう
番組があるのかとの質問があり、郵政省から、高齢者の性というようなこと
等も取り扱うことが考えられる旨の回答があった。
(7) 放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更案について(10.11.
20諮問第59号)
名古屋市を放送対象地域とする外国語放送(超短波放送)用の周波数の新規
割当てに係る放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画の一部変更案につい
て、郵政省から説明があった。
主な質疑応答は、次のとおり。
・ 外国語放送局の収入はどうなっているのかとの質問があり、郵政省から、
基本的には広告料収入である。放送が主に外国人向けとなることから、経営
的には厳しい面がある旨の回答があった。
・ 外国語放送の周波数はコミュニティ放送と競合し、影響があり得るのでは
ないかという質問があり、FM放送であることから、県域・外国語・コミュ
ニティで周波数をどのように割り振るのかということになるが、一般的な周
波数事情として、これから開局するかもしれないコミュニティに影響は考え
られる旨の回答があった。
本件は、意見の聴取を行う必要があると認められたため、意見の聴取を行う
こととし、その手続を主宰する審理官を指名した。
(8) 報告事項
ア 無線局免許申請等処理状況(平成10年度上半期)について
郵政省から、平成10年度上半期の無線局免許申請等処理状況について、
コミュニティ放送が100局を超えたこと、及び文字多重放送が開始された
こと、地上データ多重放送及び字幕放送が全国的に普及していること、衛星
放送の契約が延びていること等の報告があった。
イ BS−4後発機におけるBSアナログ放送のサイマル放送に係る届出結果
について
郵政省から、本年11月1日から同14日までの間、標準テレビジョン放
送及び超短波放送に関し、BS−4先発機におけるアナログ放送と同一の放
送(サイマル放送)を行う委託放送業務について届出を受け付けたところ、
日本放送協会(NHK)から標準テレビジョン放送2チャンネル、衛星デジ
タル音楽放送(セント・ギガ)から超短波放送1チャンネルの届出があり、
日本衛星放送株式会社(WOWOW)からは標準テレビジョン放送のサイマ
ル放送を行う旨の届出がなかったこと、また、このWOWOWから届出のな
かった分の容量については、データ放送に係る制度整備に合わせ、改めてそ
の利用方法等を定めたいとの説明があった。
(文責:電波監理審議会事務局 速報につき事後修正の可能性あり)