意 見 書
平成12年6月9日
電気通信審議会
電気通信事業部会長 殿
郵便番号 277-0835 (ふりがな) ちばけんかしわしまつがさき 住所 千葉県柏市松ヶ崎1191-6 (ふりがな) にほんこうしんもう 氏名 日本交信網 有限会社 代表取締役 岩ア 信 印 |
電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定
により、平成12年5月25日付け郵通議第3015号で公告された郵政省令案に関し、別
紙のとおり意見を提出します。
別 紙 (赤字は意見、緑字は修正案、黒字は原文)
電気通信事業法施行規則の一部改正について |
< 目 次 > ○ 電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令案の概要 1 改正の目的 2 電気通信審議会の要望 3 改正内容 4 根拠となる法律の条文 ○ 別紙 電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令案新旧対照条文 参考資料 電気通信審議会答申(平成12年2月18日)抜粋
電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令案の概要 1 改正の目的 指定電気通信設備との接続に係るコロケーションの手続等について、電気通信 審議会答申(平成12年2月18日 郵通議第126号)における要望を踏まえ、 所要の改正を行うもの。 2 電気通信審議会の要望 東・西NTTの平成11年度の接続料の認可に際する電気通信審議会答申(平 成12年2月18日 郵通議第126号)において、郵政省に対して、「コロケ ーションに際して、接続事業者が工事や保守を行うことに関して、その手続等が 円滑な接続のために重要であることに鑑み、これを接続約款において規定するよ うルールを整備すること」が要望された。 3 改正内容 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者(以下「東・西NTT」と いう。)が、コロケーションに関する以下の事項を指定電気通信設備との接続に 関する接続約款に定めることを義務付ける。
(1) コロケーションに関する手続(次の手続を含む。) (電気通信事業法施行規則(以下「施行規則」という。)第23条の4 第3項第2号イ) |
1 他事業者がコロケーション可能な空きスペースに関する情報の開示を受け るための手続 (施行規則第23条の4第3項第2号イ(1)) ⇒ 現在、コロケーションに関しては空きスペースについての事前の情報開 示がなく、円滑なコロケーションが実現していないとの意見が接続事業者 から出されており、情報開示手続を接続約款に規定することとする。 (日本交信網意見)全国のMDF接続可能な指定電気通信設備設置局舎の所在地、 その局舎の管轄サービスエリアマップ、市内局番、契約者数等の情報は常時閲 覧可能な状態で情報開示されるべきである。 それらの情報へのアクセス方法を 接続約款に規定することとする。 2 他事業者が東・西NTTに対しコロケーションを請求し回答を受ける手続 〔他事業者による当該請求に係る建物への立入りの手続を含む。〕 (施行規則第23条の4第3項第2号イ(2)) ⇒ 現在、コロケーションの請求と回答を受ける手続について接続約款に規 定されているが、接続事業者がコロケーション可能なスペースや、コロケ ーションの条件に関して、建物に立ち入り、これを確認することが出来な い。今回これらを可能とするためにその手続を接続約款に規定することと する。 (日本交信網意見)当社はNTT東日本の応諾によりこれまでに2つの電話局舎内に 立ち入り、ある程度の状況を確認することができたが、不十分な点も多いことは 否定できない。 接続形態がMDF接続の場合は、MDFと同一フロア、かつMDFから可能な限り最短距 離に設備設置場所が確保されることが望ましく、それが、MDFと異なるフロアに 設置する場合の壁貫通工事費を削減し、ケーブル長に伴うケーブル敷設コスト増 を最小にすることになり、接続に伴う初期費用を最小値に抑えることにより、 利用者料金の低廉化を促進することになり、公共の利益の増進となる。 接続事業者が「MDFと同一フロア」等の局舎内のどの場所にコロケーションをする かを指定することが可能であり、その場所に設置不可能であるという不利益回答 が出た場合にはその点について確認することを可能にするための手続きを規定する ことが望ましい。 その検証結果として、MDFと同一フロアに十分な空きスペースがあることが接続事 業者によって確認されたにもかかわらず、NTT側がそれを妨げるためだけの架空 理由を捻出するようなことがある場合には協議が整わず、最終的には事業法に基 づく裁定手続きによることが公共の福祉の増進になるものと考えられる。 NTT側の主張と接続事業者の主張が食い違う場合には、原則として接続事業者側 の主張が優先されることが規定されることが望ましく、指定電気通信事業者の優 越的地位の濫用を抑制し、公共の利益の増進につながる可能性が高い。 NTT側の主張に従えば画一的、高額な工事費、非効率な接続手続きとなりがちで あり、それが利用者料金の高騰につながり、公共の利益の増進に反することにな る。 3 他事業者が工事・保守を行う場合の手続 (施行規則第23条の4第3項第2号イ(3)) ⇒ 現在は接続事業者がコロケーションに関して自ら工事や保守をすること が認められておらず、東西NTTにこれを委託している。電気通信審議会 答申(平成12年2月18日 郵通議第126号)における要望を受けて、 今回接続事業者が自ら工事や保守を行うことが出来ることとする。 (日本交信網意見)接続事業者が工事業者を自由に選択でき、選択された工事 業者がNTTに不利益待遇を受けることを防止するための罰則規定等の法整備が 必要である。 実際に、弊社の設備設置工事の見積もりを完了した工事業者が、(NTT東日本 からの確認電話後)NTTからの報復待遇(受注減等)を恐れて請負辞退したと いう事実が発生している。 NTT東日本によれば、NTT建物内については、「NTT電気通信設備請負工事競争参 加資格」を有する工事業者のみが工事できるということであり、その資格を所持 するA業者に工事見積もり依頼したところ、以下のとおりであった。 1.当社からの直接発注ではなく、NTTからの発注でなければ受け付けられないの ではないかと危惧している様子であった。 2.一旦は、NTT側の了解さえ得られれば、当社からの直接発注でも可能という 意思表示をしたが、その後、NTT側からその工事業者に電話確認が入ると、態 度が急変し、受注拒絶状態となった。 「NTT電気通信設備請負工事競争参加資格」がない工事業者でもNTT建物内工事 を施工できるための技術的条件等の情報開示が必要と考えられる。 4 東・西NTTが工事・保守を行う場合に、他事業者が立会う手続 (施行規則第23条の4第3項第2号イ(4)) ⇒ 現在は東西NTTが行う工事・保守について立ち会うことが出来ず、工 事等について必要な対応が迅速かつ適切に出来ないとの意見が接続事業者 から出されており、今回、この立会いを可能とするためにその手続を接続 約款に規定することとする。
(2) コロケーションの請求からその実現までに要する標準的期間 (施行規則第23条の4第3項第2号ロ、ハ) |
⇒ 現行の接続約款では、コロケーションの請求から回答までの期間(1月半) のみが規定(第16条第5項)されており、その後のコロケーション実現まで の期間については規定がない。コロケーション手続全体の期間について、長く かかり過ぎるとの意見が接続事業者からは出されており、今回、コロケーショ ンの請求から回答と工事着手までの期間と、工事の期間とに分けて標準期間を 定めるべきことを規定する。 (日本交信網意見)接続申込(接続約款第11条 事前調査申込)はコロケーション の請求をも伴わざるを得ないものであるから接続約款第16条の相互接続点調査申 込手続きは不要と考えなければならず、単に接続手続きをより煩雑かつ長期化する ためのみではなく、実際になされたかどうかも不確かな作業に費やされたかどうか も明白ではない独善的な時間数に、高すぎる時間単金を乗じるような、不当に高額 となる可能性のある手続費を課し、暴利をむさぼり、相互接続を抑圧するための条 項であり、このような接続制度を継続することは公共の利益に反することとならざ るを得ない。 一般的に相互接続点の設置が不可能である可能性は極めて低く、その極めて僅かな 設置不可能性のみを否定するだけの推量をするのみで回答可能であることを考慮 すれば、その後の相互接続に伴う接続料利益を得る者の責任において当然なされる べき程度の回答であるものと考えられる。 以上により、接続約款第16条は削除可能となり、次のような認識に正すことが望ま しいものと考えられる。 ⇒ 現行の接続約款では、コロケーションの請求から回答までの期間(1月) のみが規定(第13条)されており、その後のコロケーション実現まで の期間については規定がない。コロケーション手続全体の期間について、長く かかり過ぎるとの意見が接続事業者からは出されており、今回、コロケーショ ンの請求から回答と工事着手までの期間と、工事の期間とに分けて標準期間を 定めるべきことを規定する。
(3) 他事業者のコロケーション設備について東・西NTTが工事・保守を請け負 う場合に他事業者が負担すべき金額 (施行規則第23条の4第3項第2号ホ) |
⇒ 現行の接続約款では、コロケーションに関する工事・保守に関して負担する 金額が規定されていない。工事・保守の金額が不透明で、高いとの意見が接続 事業者からは出されており、今回これを接続約款規定事項とする。 (日本交信網意見)東・西NTTが工事を請け負うというよりも、NTTが選択する 工事業者が工事を請け負うことに実質的になるのであれば、その工事費について は実コストのみの工事費が請求され、利益等は上乗せされるべきではないものと 考えられる。 工事費用支払者の当然の権利として、工事施工業者による工事費用明細書が提出さ れなければならないものと考えられる。 4 根拠となる法律の条文 ◎ 電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)
第三十八条の二 (略) 2 (略) 3 郵政大臣は前項の認可の申請が次の各号に適合していると認めるときは、同項 の認可をしなければならない。 一 次に掲げる事項が適正かつ明確に定められていること。 イ〜ハ (略) ニ イからハまでに掲げるもののほか、指定電気通信設備との接続を円滑に行 うために必要なものとして郵政省令で定める事項 二〜四 (略) 4〜14 (略)
電気通信事業法施行規則の一部を改正する省令新旧対照条文 ○電気通信事業法施行規則(昭和六十年郵政省令第二十五号) (傍線部分は改正部分)
改 正 案 | 現 行 |
(指定電気通信設備との接続に関する接続約款の認可の基準) 第二十三条の四 (略) 2 (略) 3 法第三十八条の二第三項第一号ニの郵政省令で定める事項は 、次のとおりとする。 一 (略) 二 他事業者が接続に必要な装置を指定電気通信設備を設置す る第一種電気通信事業者の建物、管路及びとう道に設置する 場合における次の事項 イ 他事業者が接続に必要な装置を設置する場合の手続であ つて次に掲げる事項を含むもの (1) 他事業者が接続に必要な装置を設置することが可能 な場所に関する情報の開示を他事業者が受ける手続 (2) 他事業者が接続に必要な装置の設置の可否及び条件 の検討を指定電気通信設備を設置する第一種電気通信 事業者に請求し当該検討の結果の回答(当該設置を拒 否するものである場合にはその合理的な理由を含む。 )を受ける手続(他事業者による当該設置の請求に係 る建物への立入り(当該回答に関する確認のための立 入りを含む。)の手続を含む。) (3) 他事業者が工事又は保守を行う場合の手続 (4) 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者 が工事又は保守を行う場合の工事又は保守に他事業者 が立会いをする手続 (5) 他事業者が接続に必要な装置を、どこに、どの 程度の設備規模で設置するか否かを判断するために必要な情 報(指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者の全 サービスエリアにおける指定電気通信設備設置局舎所在地と その局舎管轄サービスエリア地図、局番情報、契約回線数 等)の開示を他事業者がすみやかに受ける手続 ロ 他事業者が接続に必要な装置の設置の可否及び条件の検 討を指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者に 請求した日から当該検討の結果の回答を受け当該回答に係 る設置の工事が始まる日までの標準的期間(当該回答が接 続に必要な装置の設置を拒否するものであるときは、当該 回答の日までの標準的期間)(他事業者の責めに帰すべき 事由による期間を除く。) ハ 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者が工 事を行う場合の工事の標準的期間(他事業者の責めに帰す べき事由による期間を除く。) ニ 建物及び土地に関して他事業者が負担すべき正味固定資 産価額(当該建物、管路及びとう道の取得原価から減価償 却相当額を控除した額)を基礎として接続料の原価の算定 方法に準じて計算される金額 ホ 指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者が工 事又は保守を行う場合の工事又は保守に関して他事業者が 負担すべき金額 ヘ その他他事業者が接続に必要な装置を設置する場合の当 該他事業者が負担すべき金額及び条件 三 他事業者が接続に必要な装置を指定電気通信設備を設置す る第一種電気通信事業者の電柱等に設置する場合における次 の事項 イ 他事業者が接続に必要な装置を設置する手続 ロ 他事業者が負担すべき金額 ハ その他他事業者が接続に必要な装置を設置する場合の条 件 四〜八 (略) | (指定電気通信設備との接続に関する接続約款の認可の基準) 第二十三条の四 (略) 2 (略) 3 法第三十八条の二第三項第一号ニの郵政省令で定める事項は 、次のとおりとする。 一 (略) 二 他事業者が接続に必要な装置を指定電気通信設備を設置す る第一種電気通信事業者の建物、管路及びとう道に設置する 場合において負担すべき正味固定資産価額(当該建物、管路 及びとう道の取得原価から減価償却相当額を控除した額)を 基礎として接続料の原価の算定方法に準じて計算される金額 及び条件 三 他事業者が接続に必要な装置を指定電気通信設備を設置す る第一種電気通信事業者の電柱等に設置する場合において負 担すべき金額及び条件 四〜八 (略) |
罰則、工事業者に対する不利益待遇の禁止
電気通信事業法の一部を改正する新旧対照条文 ○電気通信事業法 (傍線部分は改正部分)
改 正 案 | 現 行 |
第九十条 二 その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内である電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業。 三 (略) 四 郵政省令で定める基準に満たない規模の電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業。 |
第九十条 二 その一の部分の設置の場所が他の部分の設置の場所と同一の構内(これに準ずる区域内を含む。)又は同一の建物内である電気通信設備その他郵政省令で定める基準に満たない規模の電気通信設備により電気通信役務を提供する電気通信事業 |
(理由)この表記では同一の構内でのみ線路敷設可能であるとの誤解を招きやすい。構外であっても郵政省令で定める基準に満たない規模の伝送路設備設置が第二種事業者であっても可能であることを明確化することとする。 MDF接続の際に、電気通信設備をMDF収容建物外の接続事業者建物内に設置する場合を想定すると、接続事業者建物から公道上の電柱共架、地下管路、とう道借用を経てNTT建物内MDFまで数百〜数キロメートルのケーブルを敷設することもありうるので、それが第二種電気通信事業者であっても法によって禁じられていることではないということを明確化する。 |
附則 この省令は、平成十二年十月一日から施行する。
以上
本件に関するご意見、お問い合わせ先
日本交信網 政策部: seisaku@koushinmou.com