平成9年9月12日

電気通信事業法施行規則の改正案に対する意見


第二電電株式会社


1 はじめに

 今回の電気通信事業法施行規則の改正案制定において、広く事業者に対して意見聴取を行っていただいたことについては、透明性の確保の観点から高く評価できるものと考えております。
 今回の省令案は、概ね妥当であると考えておりますが、接続の基本的ルールの主旨を踏まえ、継続的な公正競争条件の担保等のために、以下に意見を述べさせていただきますので、よろしくお取り計らい下さいますようお願い申し上げます。



2 主要な論点

(1)第二十三条の二第三項について
 基本的に、省令案どおりで問題ないと考えております。
なお、解説資料のとおり、移動体、PHS事業者の設備は、指定電気通信設備の対象とする必要はないと考えます

(2)第二十三条の三について
[1] NTTは、当該省令に従って、認可申請書を提出しなければなりません。
[2] しかしながら、申請書の内容や程度も省令には何ら規定がないことから、接続の基本的ルールで定められたNTTの説明責任を満足するよう、詳細なものとすることを明文化していただきたいと考えます。
[3] また、接続の基本的ルールで定められた「申請書の公表」が明記されていないため、公表を明文化すべきと考えます。

(3)第二十三条の四第二項について
例えば専用サービス、OCN、フレームリレー、セルリレー、ATM等の機能について、伝送機能、交換機能、ノード機能をアンバンドルすることは、指定電気通信設備を設置する第一種電気通信事業者の恣意性により判断される可能性があるため、接続ルール第IV章第6節の1における、「アンバンドルは、基本的には他事業者の要望に基づいて行われるべきである。」という主旨が担保されないことが考えられます。
 したがって、省令案に規定される機能を、さらにNTTの再編、又は他事業者の要望等に応じて追加及び細分化していただきたいと考えます。

(4)第二十三条の四第三項について
[1] 建物並びに管路、とう道及び電柱等の空き情報等の接続に必要な情報についても、接続の基本的ルール及び法第三十八条の二第十一項(情報開示の義務)に基づき開示される必要があると考えます。
[2] 建物並びに管路、とう道、電柱等の負担すべき金額については、差別的な料金設定を防止する観点から、再調達価格ではなく、NTT自身が使用するときのコストである帳簿価格をベースに算定すべきであり、接続料金算定要領(指定電気通信設備との接続に関する接続料の原価算定の方法等を定める省令(仮称))で詳細に規定すべきと考えます。
 なお、料金を再調達価格をベースに算定することは、事実上、使用禁止的料金を設定することとなります。
*接続ルール第IV章第1節の4における、「不可欠設備との接続は、特定事業者の同様なサービスより不利でない条件であること。」を担保していただきたいと考えます。
[3] 負担すべき金額については、詳細な算定根拠の提出及び公開が必要と考えます。

(5)第二十三条の六について
[1] 届出接続約款については、郵政省の審査の対象ではありません。
[2] したがって、届出約款の対象とする事項は、極めて限定したものとし、特に設備の保守に必要なコストを算定するベースとなる保守単金等、接続事業者の事業に影響があると考えられる事項については認可約款に含める必要があると考えます。
[3] 上記以外で届出約款とする事項がある場合においても、NTTの説明義務を満足するよう認可約款と同じ資料を添付・公表することを明文化していただくとともに、NTTが毎年度接続約款の認可申請を行う際に、接続事業者に対して、当該事項を引き続き届出約款に含めることの是非を意見聴取していただきたいと考えます。

(6)第二十四条の二第一項について
 TTCにおいて標準化されたものについては、二百日前に届出とすると、機能提供が遅れてしまうことが考えられるため、二百日より少ない日数を要望いたします。また、TTCで標準化されたものについても工事開始前に公表及び他事業者の意見聴取を行っていただきたいことから、四十日程度を要望いたします。
 届け出た計画を取りやめる場合、他の電気通信事業者の経営戦略に多大な影響を与えることが予想されるため、その旨を郵政省殿へ届出及び第二十四条の三に規定される公表義務が適用されるべきと考えます。



3 各論

(1)第二十三条の二第三項について
「2 主要な論点」において記載。
法第38条の2第1項の郵政省令で定める割合については、透明性の観点から、運用上計算結果(過程)を公表して頂きたいと考えます。

(2)第二十三条の二第四項第三号について
NSP、NSSP、STP、信号用伝送装置及び信号用伝送路等も本項により指定されるものと理解しております。

(3)第二十三条の三について
「2 主要な論点」において記載。

(4)第二十三条の四第一項について
 接続ルールにおける「技術的に可能な場合にはアンバンドルして提供しなければならないこととする。」の主旨のとおり、一から五以外でも技術的に可能であれば接続できるものと理解しております。(今後一から五以外での接続の必要性が生じた場合には、個別の接続要求を行うか、あるいは本省令の改正を求めることとしたいと考えております。)
(5)第二十三条の四第二項について
「2 主要な論点」において記載。
「番号案内機能」については、データベースへの接続と、オペレータによる番号案内の機能及び接続料金が区分されるものと理解しております。

(6)第二十三条の四第三項について
 約款で定められるべきその他の事項として、指定電気通信設備のネットワーク構成、所在地、建物及び管路、とう道及び電柱等の空き情報等の接続に必要な情報について、法第三十八条の二第十一項に基づき、開示されるものと理解しております。
 料金的なものが本条項に含まれるのであれば、詳細な算定根拠の提出及び公開されるものと理解しております。

(7)第二十三条の四第三項第二号について
「2 主要な論点」において記載。

(8)第二十三条の四第三項第七号について
 毎年度、4月1日まで遡り適用することを明記していただきたいと考えます。

(9)第二十三条の六
「2 主要な論点」において記載。

(10)第二十三条の八
 基本的には問題ないと考えております。しかしながら、本年度に関しては、接続約款の認可のための審議会が3月20日と想定されます。年度初めへの遡及の関係から、年度末までに種々の多数の協定の認可が必要であるため、例えば、認可接続約款等の実施を公表の日の翌日等とするとともに、年度末までの迅速な認可処理をご配慮いただきたいと考えます。

(11)第二十四条の二
「2 主要な論点」において記載。

(12)第二十四条の三
 前段部分については、省令案で問題ないと考えます。

 後段部分については、機能の変更又は追加を請求した他事業者の名称及びサービス等が特定されないように公表されるべきと考えます。

(13)第二十四条の四
 接続ルールにおける主旨を鑑みて、他の電気通信事業者との接続に関するものは全て届出・公表対象であるべきと考えます。
 上記の趣旨が担保されているのであれば、省令案で特に問題ないと考えます。

(14)様式18について
 注6の「網間インタフェース」については、省令第二十三条の四第一項で定める接続箇所はもちろんのこと、接続可能な箇所が新たに追加されれば、その箇所のインタフェース条件も記載していただくよう要望いたします。
 上記以外については詳細に規定されており、省令案で問題ないと考えます。

(15)その他
 NTT再編後のNTT長距離の扱いについては、今後のNTT再編に係る整理にもよりますが、他の電気通信事業者とNTT長距離との公正競争条件の担保がなされるまでの間(指定電気通信事業者との資本の完全分離、ネットワーク設備の完全分離等)は、「他事業者」とは別扱いにしていただきたいと考えます。