平成9年10月9日

〒100−90
東京都千代田区霞ヶ関1−3−2
郵政省電気通信局業務課
接続担当 御中

日本BT株式会社
取締役 政策渉外本部長
ラリーストーン


前略

BTは、この度の郵政大臣による下記の諮問につきまして、添付の意見(英国のケース)を提出させていただきます。英国における慣行を基にした意見がそのまま日本において適切であるか、躊躇するところではありますが、ご参考にして頂ければ幸いです。

接続に関する基本的ルールの明確化および充実、そしてそれを施行することは、事業者間の効率的かつ有効な競争を確立するうえにおいて、きわめて重要であると考えております。

今般の添付資料に対する不明な点につきましては、是非お問い合わせくださいますようよろしくお願い申し上げます。

草々



諮問内容

改正電気通信事業法第38条の2の規定による指定電気通信設備との接続に関する会計の整理の方法を定めた郵政省令案「指定電気通信設備接続会計規則の制度について」及び適正な原価の算定方法を定めた郵政省令案「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制度について」

以上




電気通信の競争市場における会計分離
英国のケース

郵通議第64号についてBTの意見書

現在、British Telecommunication plc ("BT")は、主な免許条件である20Bにより、免許条件に定める各事業区分ごとに、また当該事業がその事業内容によってさらに細分化される場合には、その個別事業区分ごとに、歴史的コスト計算による会計報告の提出が義務づけられています。
これは一般に会計分離と呼ばれています。

会計分離の主な目的は、相互接続料金を算出するためのコストに関する情報、およびこの料金そのものが、不当に差別されていないことを立証するための報告機能を提供することにあります。

会計分離システムの究極の目的は、すべての“卸売”の顧客(BTの小売システム事業を含む)に、ネットワークサービスの料金を同等に課することにあります。 この料金は、透明性が確保され、効率的で、維持可能であり、不当に差別されておらず、事業者が納得して取り扱うことができるものにすることにあります。

現在、会計分離は、歴史的コスト計算による総配賦コストにもとづいて料金を表示する会計報告の作成と公表を義務づけています。 この会計報告は、BTの法定連結財務諸表と一致する必要があります。

1997/98年以降は、会計原則は長期増分コスト(LRIC)に変更となります。既存コスト会計による将来を見通したコストは、長期に渡って評価されます(すなわち、埋没コストがないこと)。 また、事業活動を着手するための増分コストは、発生するコストと資産のレベルが、長期にわたる事業量の増加に対してどう変化するかを鑑定する“トップダウン・アプローチ”により定量化されます。

会計分離に基づく会計報告は、下記の事業区分とその個別事業区分について作成されます。

事業区分      :      個別事業区分

アクセス事業      :      事業所
住宅

ネットワーク事業      :      −−−−−

小売システム事業      :      市内通話
     :      市外通話
     :      国際通話
     :      移動体通信
     :      番号案内
     :      公衆電話
     :      専用線

設備提供事業

付帯サービス事業

その他

事業とその個別事業内容の詳細は以下のとおりです。

アクセス事業
市内交換回線の接続、取得および保守の提供に関する収入、コスト、資産と負債に係わる事業。

ネットワーク事業
他の通信事業者に提供される標準サービス、またはBT小売システム事業に提供される同様なサービスに関するシステムの総配賦コスト、資産と負債に係わる事業、収入は、通信事業者からのものと、BT小売システム事業によるネットワークの個別利用の利用料金から構成されます。 他の通信事業者やBT小売システム事業へのネットワーク料金は、標準ネットワークサービスのネットワーク要素(構成要素)にバンドル(くくりつけ)された使用量にもとづいています。構成要素の単位コストは、資本コストを含む構成要素の総配賦コストにもとづいています。また、その料率は、オフテルによって決められますが、BTの実際の資本コストを必ずしも反映するものではありません。

小売システム事業
ネットワーク事業から購入したネットワークサービスを販売する事業であります。小売システム事業の個々の事業活動は、以下のとおりです。

  1. 市内通話
    通常回線、ISDN,および私設電話網から発生する市内ダイアル通話

  2. 市外通話
    市内通話に課金されない英国内ダイアル通話、また、BTネットワークから英国内の他の固定ネットワークへの通話も含みます。

  3. 国際通話
    通常回線、ISDN、および私設電話網から発生するヨーロッパ大陸内、大陸間、およびアイルランド共和国への通話。 また、海外オぺレータ扱い呼、キャッシュレス通話も含みます。

  4. 移動体通信
    通常回線、ISDN、および私設電話網から発生するダイアル通話であり、移動体網(非固定網)への通話。

  5. 番号案内
    オペレータ扱いによる英国と海外の電話番号案内のための国内と国際の通話であり、企業、または住宅電話から、あるいは公衆電話からかけられ、電話による番号案内データベースへの通話を含みます。

  6. 公衆電話
    現金、テレフォンカード、またはクレジットカードによる公衆電話からの市内、市外、および国際ダイヤル通話

  7. 専用線
    顧客の構内からの国内および国際専用回線の賃貸、保守、接続、移設および変更に伴う事業であり、公衆電話網(PSTN)へのアクセスもあります。

  8. その他の事業
    プレミアム料金、Lo−call、およびフリーフォンといったその他すべての電気通信サービスであり、これらはシステム事業に含まれBT内の他の事業へ販売されます。

設備提供事業
国内における宅内機器の賃貸と販売に関する事業

付帯サービス事業
特定のデータおよび付加価値サービスの提供に関する事業

その他の事業
他の事業に含まれないその他すべてのBTグループの収入、コストおよび資産と負債に関する事業。

会計書類
会計報告は、1995年3月31日にBTとオフテル間で最初に合意された会計書類に基づいて作成され、営業許可により必要とする場合には、オフテルとの合意により修正されます。
会計書類は、会計報告の作成に必要な詳細規定から構成され、オフテルの指示事項を含んでいます。その指示の一つは、ネットワーク事業とアクセス事業から小売システム事業への料金に含まれる平均使用資本の年間収益です。

作成基準
BTは、電気通信の製品とサービスを総合的に提供する一元的事業を運営しています。
BTの営業許可によって定義される事業区分の構成は、BTの経営と会計処理のための組織とは異なるものです。そのために、会計報告は、BTとその子会社および関連事業(BTグループ)の経営と会計処理の構成に、営業許可の要件を重ねあわせて作成されます。

これら会計報告は、各事業と個別事業に関するBTの総勘定元帳と他の会計記録の貸借対照表に帰属させることにより作成されます。可能なかぎり、収入、コストおよび資産と負債は、事業活動および会計記録に記載された構成要素に関連づけられ、その項目に直接帰属されます。

直接の関連付けができない場合には、残る収入、コスト、資産と負債は、総配賦会計システムを用いて、収入、コスト、資産または負債の因果関係を反映する割当基準により、2つ以上の事業、個別事業活動あるいは構成要素間で配分されます。
事業、個別事業および構成要素に帰属する収入、コストおよび使用資本は、採用される帰属手法に大きく依存します。一般には、総配賦会計システムでは、一連の帰属手法を用いることができます。

適切な帰属手法、および会計報告の作成で使用される帰属モデル用の適切な非会計データを選択しながら、BTは、通常の会計原則を尊重しつつ、かなりのものを推測し、判断を行なわねばなりませんでした。
これら会計原則は、会計書類の要件を遵守するために、コストの因果関係と客観性を含めて、会計報告が提出されるべき 一般規則を述べています。

会計報告の内容
各々の会計報告は、つぎの内容から構成されます。
  1. BTの年次報告書の基準をもとに計算された総配賦コストの報告を含む
    (さらに、規制決定の結果も含む)損益計算書。
  2. 平均使用資本計算書、および
  3. 規制決定の以前に計算されたコストと、条項20B.16のもと計算報告書を修正する権限により、オフテルによって課せられた規制決定後に計算されたコストとの照合.
会計報告書は、つぎの内容も含みます。
  1. ネットワーク事業のコスト計算書、および
  2. ネットワークと標準サービスのコスト計算書、および
  3. 全事業の総売上高、営業利益、および平均使用資本と、当該年度の年次報告書で開示されたBTグループの売上高、営業利益、および使用資本との照合。

10月 1997

British Telecommunications plc