再 意 見 書

営料発9第32号
平成9年11月7日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

郵便番号  108            
住  所  東京都港区芝浦4丁目9番25号
氏  名  東京通信ネットワーク株式会社 
       代表取締役社長  岩崎 克己



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平成9年9月26日付け郵通議第64号で公告された郵政省令案に関し、別紙のとおり再意見を提出します。



(別 紙)

平成9年11月7日


指定電気通信設備会計規則及び指定電気通信設備の接続料
に関する原価算定規則の制定案に対する再意見

東京通信ネットワーク株式会社

 去る10月17日付けで提出された他事業者の意見に対する当社の再意見をここに提出いたします。なお、文中において各事業者の敬称は略させていただいております。

[全体に係る再意見]
  1. 今回の省令制定にあたって各事業者の意見を聴取していただいたことは接続ルール決定の透明性確保という点から高く評価しておりますが、こうして提出させていただいた意見が審議会でどのように評価され判断されたのかが気になるところです。接続ルールの答申では、審議会の議事内容を明らかにするとありますので、その趣旨に則り、例えば接続小委員会の議事内容を明らかにするなどの措置を講じていただくことを要望いたします。

  2. 今後、省令ではなく通達により詳細を規定する事柄が発生してくると予測されますが、通達内容の決定にあたっては、省令と同様に透明性確保の観点から、審議会へ諮問し各事業者の意見を聴取し公開するというステップを踏んでいただくことを要望いたします。

[指定電気通信設備会計規則に対する再意見]
  1. 第10条(接続会計報告書の公表等)
    1〜3 (略)
     前二項の規定にかかわらず、事業者は郵政大臣の許可を受けて、その事業上の秘密の保持の必要により接続会計報告書の一部を公衆の縦覧に供しないこと又は公表しないことができる。
    (当社の再意見)
     前回の意見書でも申し上げましたが、事業上の秘密を理由にした非開示を安易に認めるべきでないというJTの意見に賛同いたします。

  2. 別表第一 勘定科目表
     試験研究費の科目
    (当社の再意見)
     純粋基礎研究について、NTTは、指定設備の効率化・高度化に寄与する面も持つことから指定設備管理部門にも帰属させることが合理的と主張されていますが、試験研究費は指定設備管理部門への帰属が明確なもののみ接続料金原価への算入を認めるべきと考えます。
     例えば、純粋基礎研究のうち指定設備管理部門への帰属が明確な研究テーマとしてどのようなものがあるのでしょうか。そもそも純粋基礎研究というからには、指定設備への帰属を明確にすることは困難なのではないでしょうか。帰属がグレーなものは排除すべきと考えます。
     この点につき、NTTの意見に反対しTWJの意見に賛同いたします。
     なお、試験研究費は性格上特にグレーな部分が多くなりがちな費目であることから、接続原価に算入される試験研究費についてその不経済性をチェックできるような仕組みづくりを要望いたします。

  3. 別表第二 接続会計財務諸表様式
     様式第2 使用平均資本及び資本報酬計算書
    (当社の再意見)
     使用平均資本及び資本報酬計算書について、NTTは、会計報告書になじまないため削除することが適切と主張されていますが、DDIの意見にあるように透明性確保の観点から必要と考えます。
     この点につき、NTTの意見に反対しDDIの意見に賛同いたします。
     なお、BTの接続会計報告書にも使用平均資本明細表が含まれており、現在の省令案どおり接続会計財務諸表様式に含めることが妥当と考えます。

  4. 別表第二 接続会計財務諸表様式
     様式第4 固定資産帰属明細表
     様式第5 設備区分別費用明細表
    (当社の再意見)
     指定設備利用部門に係る情報の扱いについて、NTTは、必要最小限の範囲とし、特に公表には慎重な取扱が必要と主張されていますが、当該情報は指定設備管理部門との間で費用が適切に配賦されているかを検証するのに必要な情報と考えます。
     したがって、省令案の通り別表第二の様式第4及び第5において指定設備利用部門の資産・費用を開示する必要があると考えます。
     この点につき、NTTの意見に反対しTWJの意見に賛同いたします。

  5. 別表第三 接続会計報告書
    (当社の再意見)
     必要以上の予備回線を他事業者が負担することのないようにというTWJの意見に賛同いたします。
     指定事業者の不経済性を排除する観点からも指定事業者の予備回線等のデータを開示するなど必要な措置を講じていただきたく考えます。

  6. その他(接続会計の見直し)
    (当社の再意見)
     10月17日付意見書でも述べましたが、激しい変化に迅速に対応できるよう、平成12年度まで時期を待つのではなく、毎年度見直すなど柔軟な見直しのスキームを明確にする必要があると考えます。
     この点につき、DDI、TWJ、DDI−Pの意見に賛同いたします。

[指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則に対する再意見]
  1. 第3条(遵守義務)
     (略)ただし、特別の理由がある場合には、郵政大臣の許可を受けて、この省令の規定によらないことができる。
    (当社の再意見)
     10月17日付意見書でも述べましたが、番号案内サービス費用負担は、基本的に指定事業者の料金設定の問題であります。収入に見合うようコストダウンをはかるか、料金を改定するかにより対応すべきと考えます。本来、コストに見合ったユーザー料金が設定されていればこのような費用負担は発生しないものです。したがって、ユーザー料金の値上げが困難であるがゆえに他事業者へ負担を求めるというのは合理的理由とはなり得ないと考えます。
     仮に、番号案内料金の設定がユニバーサルサービスの維持に関連するというのなら、接続とは別の場の議論とすべきであると考えます。
     したがって、中継サービスを行う事業者が負担しなければならない合理的理由が全く理解できません。DDI、TWJも10月17日付意見書において、負担する理由は無いとしております。
     このように事業者間で真っ向から意見が対立している状況下においては、接続ルールの答申にある「原則として赤字負担は認めない」という方針に立ち戻って、いったん費用負担を凍結しとことん議論すべきと考えます。

  2. 第6条(指定設備管理運営費の算定の特例)
     (略)対象設備が法定耐用年数経過後において更改されていないときには、当該対象設備の取得固定資産価額から残存価額を減じた差額を法定耐用年数で除して得た額を控除するものとする。
    (当社の再意見)
     法定耐用年数経過後の減価償却費相当額の控除について、NTTは、個別管理が可能な設備のみを対象とすることを主張されていますが、個別管理が困難な設備であっても、法定耐用年数経過後の減価償却費相当額は指定事業者が本来得べからざる利益となることから、何らかの手法(モデル計算等)により控除すべきと考えます。

  3. 第8条(自己資本費用)
     (略)
     第一項の自己資本利益率は、事業者の発行する社債券の格付その他の指標に照らして事業者と類似していると認められる者の自己資本利益率及び事業者の電気通信役務に関する料金の算定に用いられた自己資本利益率を勘案した合理的な値とする。
    (当社の再意見)
     当社は10月17日付意見書でも述べておりますが、この点につき、TWJ、IDO、セルラー、KDD、IDC、DDI−Pの意見に賛同いたします。
     本来、自己資本利益率は投資リスクの大小によって決められるべきであり、この点から接続料金はユーザー料金よりもリスクが少ないと考えられます。したがって、自己資本利益率の決定にあたって本来勘案すべき事柄は事業リスクであるという原点に立ち戻るべきと考えます。

  4. 第14条(精算)
     事業者は、接続料を再計算し、その結果に基づき接続料を変更したときは、省令で定める機能ごとに、当該機能に係る変更前の接続料と変更後の接続料との差額に当該機能に対する需要の実績値を乗じて得た額の二分の一に相当する額を、指定電気通信設備にその電気通信設備を接続する他の電気通信事業者と精算するものとする。ただし、第4条第二項ただし書及び第6条の規定に基づき当該機能に係る接続料の原価を算定した場合は精算することを要しない。
    (当社の再意見)
    1. 負のタイムラグ精算は実施すべきではないというIDCの意見に賛同いたします。負のタイムラグの発生には様々な要因が考えられますが、不経済性の混入や需要の減少によることも考えられます。これらは総括原価方式による弊害とも考えられることから、長期増分費用方式の導入が明確になるまでの間、負のタイムラグ精算は実施しない方が妥当であると考えます。
    2. 将来原価により算定したものについても何らかの精算を行うべきというJT、DDI、TWJ、セルラー、OMPの意見に賛同いたします。

  5. その他(基本的な接続機能について)
    (当社の再意見)
     平成8年12月の答申にあるネットワークが本来有すべき基本的な接続機能の範囲を省令又は通達により明確化すべきというNTTの意見に賛同いたします。

  6. その他(経過措置の適用範囲について)
    (当社の再意見)
     経過措置の適用範囲及び適用期限について、指定事業者より提示された段階で判断したいと考えております。
     ただし、経過措置はあくまで例外的措置であることに鑑み、その範囲は極めて限定されるべきと考えます。例えば、網同期クロック費やソフト改造費など基本的な接続機能でありかつ事業者の増加による追加費用の無いものは経過措置の対象外とすべきであると考えます。
     また、適用期限についても長期にわたることは例外的措置としての性格上望ましくないと考えます。したがって、平成12年度の見直し以降も個別負担を継続することが無いことを担保していただきたく要望します。

  7. その他(GC〜ZC間設備を維持するための料金の設定について)
    (当社の再意見)
     ZC交換機やGC〜ZC間伝送路等の費用について、原因者負担の原則によりトラヒックを減少させた事業者が応分の費用負担すべきというNTTの主張に反対いたします。
     接続して利用する設備の費用を算出し接続料金を決定するという、今回の接続ルールの趣旨に反するものと考えます。
     また、GC接続への移行が進展することはNTTがネットワークのオープン化を公表した時点から予想できたことであり、既に事業計画上織り込み済みであるべき事柄と考えます。

  8. その他(加入者回線に係わる料金の設定について)
    (当社の再意見)
     網使用料の中に加入者回線利用料を含め他事業者も負担すべきというNTTの主張に反対いたします。
     現在、加入者回線コストはユーザーの基本料金で回収されているはずです。これが赤字だというのならば、コストダウンを進めるか料金を改定するかのいずれかにより対応すべきであり、他事業者へ負担を求めるべきものではないと考えます。
     なお、ユニバーサルサービスの維持という観点から他事業者へ負担を求めるならば、接続ルールの場ではなく別の場の議論とすべきと考えます。

  9. その他(NTT分離分割の費用)
    (当社の再意見)
     接続費用の中にNTT分離分割に伴う費用は含まれるべきではないとするタイタスの意見に賛同いたします。

  10. その他(長期増分費用方式の導入)
    (当社の再意見)
     当社は10月17日付意見書でも長期増分費用方式の早期導入を要望いたしましたが、TWJ、DDI−P、タイタス、ワールドコム、USWESTからも同様の意見が出されており、ここに重ねて長期増分費用方式の早期導入を要望いたします。


以 上