再 意 見 書

平成9年11月7日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

郵便番号  163−14         
住  所  東京都新宿区西新宿3−20−2
名  称  株式会社ジュピターテレコム  



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平成9年9月26日付け郵通議第64号で公告された郵政省令案に関し、別紙のとおり再意見を提出します。



(別 紙)

1.  接続会計規則案に対する再意見等

1.1 接続会計規則案別表第一について
関係する他事業者の意見等
日本電信電話(意見書の指定電気通信設備会計規則の制定案に対する意見 (1))

 相互接続料金の算出に関しては、網に「直接」係わる要素のみを算入するという原則を守るべきである。純粋基礎研究に係わる費用は網に「直接」関連する要素とは考えられない。このような不確実なものに係る費用は算定根拠に含めるべきでないと考える。

2. 原価算定規則案に対する再意見等

2.1 原価算定規則第3条に関して
(1) 「特別な理由」適用事例:番号案内料
関係する他事業者の意見等
東京通信ネットワーク(意見書の電気通信設備の接続料に関する原価算定規則 6.)

 電話番号案内料の考え方につき東京通信ネットワーク殿の意見に賛同する。
 NTT電話番号案内の現行ユーザー料金は、初回30円、2回目以降60円と設定されているが、他社ユーザーが利用するとその約8倍にも当たる232円の負担を求められ、交渉の余地もない。従って、NTT番号案内が、地域系事業者にとって欠かせないサービスとしてあるにもかかわらず、提供するには、赤字の出ないユーザー料金(232円以上)を設定して料金面での悪印象を覚悟するか、NTT並みのユーザー料金を設定して大幅赤字を覚悟するしかない。結局は、競争を二の次にして、この接続を断念する事態となっている。
 このような料金体系は、旧独占事業者が従来行ってきた内部相互補助の仕組みを競争会社に押しつけるもので、明らかに非競争的料金体系である。更に、NTT内部で補填される赤字額は別サービスでの圧倒的収益力の下に行われ、他事業者の許容範囲を超えている。
 番号案内が基本的サービスとしてある一方で、旧独占事業者がその情報源を支配する状況下で、経過的であれ、このような料金体系を残すことは、旧独占事業者の番号案内市場の独占的支配を許し、他社の地域市場への参入誘因を損ね、消費者の利益に反するため、今回認められるべきではないと考える。

(2) 「特別な理由」適用事例:網改造費用などの経過的措置
関係する他事業者の意見等
日本電信電話(意見書の指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定案に対する意見(2))、日本テレコム(意見書)

 特別な理由で経過的措置を考慮すべきものとして、網改造費が例示されているが、現行の網改造費負担方式は、新規または追加接続の大きな障害となっており、一刻も早く省令案第10条に定める適正な単位での方式に切り替える必要がある。そのためには、契約や網改造の有無をもって一律に例外を判断するのではなく、他事業者にとって改正効果の得られるケースは新ルールを適用する、大臣許可に当たって例外を認めるのは、接続事業者側が納得のいく範囲とするよう要望する

2.2. 原価算定規則第4条に関して
関係する他事業者の意見等
アステル東京(意見書の3.)、東京通信ネットワーク(意見書の電気通信設備の接続料に関する原価算定規則7)、ワールドコム(意見書の2.)、タイタス・コミュニケーションズ(意見書)、USウエスト(意見書)、DDIポケット(意見書の2.)、

 長期増分費用方式の早期導入の検討に関して、アステル東京殿、東京通信ネットワーク殿、ワールドコム殿、タイタス・コミュニケーション殿、USウエスト殿、DDIポケット殿の意見に賛同する。

 省令案による公正報酬率規制方式では、指定通信事業者の報酬は確保されるため効率化努力へのインセンティブが働かない。競争条件整備のために、指定電気通信事業者の接続料の大幅低減が求められているところであり、これを促進するためには、公正報酬率規制方式によるものではなく、長期増分費用方式(LRIC)を導入すべきであると考える。
 諸外国での導入例をみても、長期増分費用方式は接続料を低廉化するための優れ指標になりうる。例えば、米国のFCCなどが行なっているように、郵政省殿が長期増分費用方式から算定される値から僅かに高め(共通費用と共同費用を含めたものとして)とする接続料金を指示することなどは、長期の独占状態にあった指定電気通信事業者に対して共通費用及び共同費用の削減、即ち不経済性、非効率の排除を促す圧力となる。

2.3 原価算定規則第5条(交換機の減価償却期間に関して)
関係する他事業者の意見等
特になし

 接続料算定に当たっての交換機の減価償却期間は、実質使用可能な年限を考慮し、諸外国のものと同等とするよう要望する。諸外国での交換機減価償却期間は次のとおり。

国 名 交換機減価償却期間(年)
  デンマーク*   10
  ドイツ*   10
  ギリシャ*   12.5
  アイルランド*   10− 20
  スペイン*   10
  英国*   11
  カナダ   20
  米国   〜 20
*資料: Arthur Anderson 調査結果:欧州共同体委員会からの依頼。DGXIII

理由:
(1)  現行の6年は、交換機のような主要資本投資に対する減価償却期間としては短か過ぎる。一般的に、交換機の寿命は10年もしくはそれ以上であって指定電気通信事業者が交換機を6年間の使用をもって廃棄処分にするとは考えられない。
(2)  本提案には税法その他国内の事情から反論があろうが、減価償却期間が4年長いと、償却費、即ち接続料算定上の交換機コストが6年間40%安くなる。接続料に占める交換機コスト比率を勘案すると、この償却期間差及び料金差をかかえたまま、接続の基本ルール第1章2「接続料金の現状」にある欧米並みの接続料水準(1/3)を目指すのは無理があるとも考えられるので、償却期間の国際水準化を提案するもの。

2.4 原価算定規則第8条第3項に関して
関係する他事業者の意見等
東京通信ネットワーク(意見書)

 報酬率に関する東京通信ネットワーク殿の意見に賛同する。
 一般的には「企業」はその投資に対し適切な報酬を得ることが認められるべきである。しかしながら、その報酬は、当該投資のリスクを反映して決まるべきものである。指定電気通信事業者が他社により代替できないボトルネックを有していることを考えると、接続に関する投資の報酬は、競争の進んだ小売部門の報酬率よりも大幅に低いことが合理的である。

2.5 原価算定規則案第14条について
関係する他事業者の意見等
DDIポケット(意見書)、第二電電(意見書主要な意見等5/6)、日本高速通信(意見書)

 接続料の再計算等の結果、差額が生じた場合はその差額の半分、50%が精算されるとある。これは、即ち残り50%は指定電気通信事業者へ追加収入として配分されることである。
 元々は全額が他事業者から支払われた料金であり差額が生じれば当然過払いとなった差額全額は接続事業者に返還されるべきものと考える。
 英国・米国の電気通信事業市場では、100%返還されている。

 また、指定電気通信事業者の旧独占企業体質から競争企業体質への合理化努力は、社会に対して負う義務であり、このようなインセンティブにより誘導していくものではないと考える。

3. その他他事業者の意見等について

3.1 基本的な接続機能について
関係する他事業者の意見等
日本電信電話(意見書の指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則の制定案に対する意見(1)及び(2))、タイタス・コミュニケー ションズ(意見書の4.)、第二電電(意見書の主要な意見等6/6)

 当社は以下のとおり考える。

 これまでNTT殿が独占環境下で提供してきたものは、相互接続事業者に対して基本機能として提供されるべきである。いわゆる「基本機能」が限定されたものになるのであれば、新規参入事業者への負担が増すこととなり、接続ルールの目的のひとつである「利用者利益の増進」、「公正かつ有効な競争促進」推進への大きな阻害要因となる。

 具体的には;
 「Any to Any」を実現するための全ての機能が含まれるべきである。即ち指定電気通信設備においては、指定電気通信設備を介して他事業者との通話を実現するために必要となる指定電気通信設備が有する網機能はこれに該当する。
 また、これまでNTT殿が独占環境下で提供し、電話サービスとして常識化してきたサービスを提供するための網機能はこれに該当する(フリーダイヤル、コレクトコール、番号案内など付加的なものも全て該当する)。

3.2 プロセスのオープン化
関係する他事業者の意見等
特になし

 競争政策の実行時にはルール作成・規制プロセスのオープン化も合わせて重要とえる。その点で、今回の郵政省殿の「グリーンペーパー方式」は評価に値するものと考える。しかし、意見照会に係る期間など改善すべき点が見受けられる。
 長年に亘る指定事業者と新規参入事業者間の接続協議における種々の事例の結果、今回の接続ルール作成に至ったと理解しているが、本施行/会計規則等が今後の競争ルール整備の中心であることを考えると、例えば接続小委員会における議論は、公開を原則とすべきと考える。これは「接続の基本的ルールの在り方について」答申「接続ルールの策定・執行に関する行政における透明性及びデュープロセスの確保を図る措置」の規定に盛られている。

以 上