意 見 書

企発9第27号   
平成10年2月18日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

郵便番号  108−8525       
住  所  東京都港区芝浦4丁目9番25号
氏  名  東京通信ネットワーク株式会社 
       代表取締役社長  岩崎 克己



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平 成10年2月4日付け郵通議第122号で公示された接続約款案に関し、別紙のとおり意見を提出 します。




(別 紙)

平成10年2月18日

日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る
接続約款案に関する意見について

東京通信ネットワーク株式会社


I.約款本文について

  1. 第21条(接続用設備の設置又は改修の申込み)
    2(4)前項第2号から第5号に規定する伝送装置又は伝送路
    翌年度分の伝送装置等又は伝送路については、当年度5月。

     GC接続の場合、加入者交換機(ユニット)単位に接続回線数を算出する必要があります が、そのためには、当該加入者交換機(ユニット)に収容されるNTT加入者の規模,NTT加 入者交換機(ユニット)の新増設計画などNTT設備計画の提示が必要です。したがって、当 年度5月の申込みに先立つNTT設備計画の提示時期を明確にすべきと考えます。
     しかしながら、現実には、NTT加入者交換機に係る設備計画の変更は頻繁に行われてお り、年1回の申込みに対応する計画提示は、NTTにとっても困難と考えます。
     したがって、現実を踏まえるならば、GC接続に係る接続回線数の申込み(接続用設備の 設置又は改修の申込み)は年4回とし、申込時期は接続開始の6ヶ月前、NTTからの計画提 示は申込時期の2〜3ヶ月前とすることが適当と考えます。

  2. 第36条(標準的接続期間)
    (3) ……接続用ソフトウェア開発契約に基づく接続用ソフトウェアの開発は7月又は1月に 着手し、開発着手後概ね18ヶ月以内

     当該規定が開発期間の免罪符とならないよう、すなわち、ソフトウェアの開発期間は18ヶ 月まで許されるというモラルハザードが生じないよう、規模によってはより短い期間での開発 に努める旨を規定すべきと考えます。

  3. 第48条(予測トラヒックの通知)
     協定事業者は、協定事業者の予測する翌年度から3ヶ年度分の相互接続点ごとのトラヒッ ク及び回線数、単位料金区域ごとのトラヒック、市内局番ごとのトラヒック等当社が協定事業 者ごとに要請する予測トラヒックを、当年度5月までに当社に通知することに協力するものと します。

    (1) GC接続の場合、第21条に対する意見で述べた通り、年4回の申込みにリンクした通 知条件とすべきと考えます。
    (2) トラヒックデータは重要な経営データであり、必要最低限のデータのみの通知であるべ きと考えます。特にGC接続の場合、複数年ではなく単年度の各交換機ごとのトラヒック と回線数のみの通知で十分であると考えます。

  4. 第52条(接続形態)別表2(接続形態)
     今後、当該別表に記載されていない多種多様な接続形態が出現することが考えらます。 当社においても、別表2に記載されていない、NTTと接続交渉中の形態もあります。したがっ て、別表2の変更手続きが原因で、接続開始時期が大幅に遅れることを懸念しています。つ きましては、接続形態の追加のルールを明確にしておく必要があると考えます。
     また、現在、業務委託の扱いである国際系事業者との接続については、本約款において ふれられておりませんが、今後の相互接続への移行に向けて扱いを明確にしておく必要が あると考えます。(技術的条件集には、国際系事業者との接続に関する事項があります。)

  5. 第79条(トラヒックが乖離した場合の取扱い)
     通知した予測トラヒックが乖離した場合の罰則が規定されていますが、トラヒックの乖離の 主要因が必ずしも接続事業者であるとは限らず、NTTの場合もあると考えます。したがって、 接続事業者に対し予測トラヒックの罰則規定を設けることは、現実的では無いと考えます。

II.料金表について

  1. 新旧接続料金差の解明
    接続料金が変化する主な要因として、次の3点が考えられます。
     しかし、当社側で、旧接続料金の説明資料をもって新接続料金との差を解明することは困 難です。
     したがって、新接続料金の妥当性の評価のために、どのような要素に変化があって新旧接 続料金差が生じたのか、解明する責任がNTTにあると考えます。

  2. 端末系交換コストと中継系交換コストの差の解明
     本約款案では、中継系交換コストは0.27円/回+0.0009円/秒、端末系交換コストは0.99円/ 回+0.0289円/秒となっています。これらの秒課金部分を比較すると端末系交換コストは中継 系交換コストの約30倍という数値です。GC交換コストに限定してもおそらく20倍程度と推測さ れます。そもそも、交換機能を有する装置間の価格差として20倍の差がつくというのはどのよ うな理由によるのでしょうか。
     当社の推測では、加入者交換機の加入者線収容部が、相当影響しているものと考えます。 この加入者線収容部は、加入者交換機コストの相当部分を占めていると考えられますが、使 用量や回数といったトラヒックに比例しない固定部分であります。
     したがって、この加入者線収容部を加入者線に係るコストとして位置づけ、端末系交換コ ストから除外すべきと考えます。

  3. 競争阻害的なISDN接続料金の見直し
     本約款案では、GC接続の場合のISDN網利用料は、3.38円/回+0.0860円/秒となってお ります。これを3分3分制換算した場合の数値は公表されておりませんが、おそらく10円前後 と推測でき、発着信では20円前後となると考えられます。
     当社の「東京電話」は、市内通話への競争導入という点で、社会から高い評価をいただい ておりますが、一方で、今後サービス開始を予定している「東京電話ISDN版」も市内9円で サービスを提供するものと期待されております。
     しかしながら、20円前後の網利用料を負担しながらNTTの市内10円料金と競争すること は不可能なことです。すなわち、この網利用料が、ISDNの市内競争を阻害していると考えま す。
     したがって、公正な競争条件が確保されるような接続料金への見直しのご検討をお願いし たいと考えます。
     具体的には、原価の算定期間を複数年とし、将来原価により算定する手法が考えられま すが、重ねてご検討をお願いいたします。

  4. 多様な接続料金制度の適用
     NTTは、現在、「テレホーダイ」という定額料金サービスを行っていますが、競争事業者が、 従量制の接続料金を負担しながら定額料金サービスを行うことは非常に困難であります。 ユーザー料金の多様化を図る観点からは、従量制のみの接続料金というのは大きな足か せとなります。
     多様なユーザー料金設定を可能とし、競争を促進するために、多様な接続料金制度を要 望いたします。

  5. 標準的な接続箇所における接続料金の明記
     本約款認可後は、第2章第5条(標準的な接続箇所)に示されるポイントでの接続は、本約 款に則り接続が可能となりますが、(2)端末回線を収容する伝送装置,(5)専用回線ノード 装置の伝送装置の接続料金が明示されておりません。
     当該箇所での接続を検討する上で、接続料金は欠かせない要素です。接続の円滑化, 公正性のために明記する必要があると考えます。

  6. 非効率資産のチェック
     本約款案では、NTTの現有設備を所与のものとして接続料金を算定されておりますが、 資産が提供サービスに対して真に有効なものであるかのチェックが必要と考えます。
     今回、算定した接続料金の中に、過大な予備設備や先行設備、遊休土地等が算入されて いる場合には、その非効率性が接続事業者に転化されることとなりますので、この点につい て検証が必要であると考えます。

  7. 投資等の明確化
     投資等がレートベースに算入されていますが、その内容及び算入の必要性を明らかにし ていただきたいと考えます。
     権利金や敷金等が例示されていますが、それらの大半は営業店舗に係るものではないか と考えます。

III.附則について

  1. 網使用料の経過措置の前倒し
     第4条(網使用料に関する経過措置)で、経過措置の期間が平成13年3月31日(平成12 年度末)までとなっております。
     しかし、平成12年度には接続ルールの見直しが予定されており、平成13年度からは新し い接続ルールが適用される計画があります。
     このような状況の中で、経過措置の期間を見直し年度の末までとすることが合理的なので しょうか。そもそも、当該経過措置は例外規定であると認識しています。
     したがって、附則第4条にかかげる機能の経過措置期間を一括して平成12年度末とする のではなく、機能によっては経過措置期間をより短縮することを要望します。

  2. NTT料金設定呼の適用除外
     第4条(網使用料に関する経過措置)「(14)活用型PHS事業者と端末系事業者との接続 機能」の備考欄に規定されている別表2(接続形態)の(その1)第21号は、NTTが料金設定 事業者となる通信であることから、当該第21号の適用は誤りと考えます。

  3. 番号案内利用機能に関する経過措置の扱い
     第9条(番号案内利用機能に関する経過措置)で、中継事業者は、番号案内利用機能に 係る網使用料(赤字負担)を支払うこととなっておりますが、この算定原価から報酬等は除外 すべきと考えます。

IV.その他

  1. 標準的な接続箇所の追加(MDF接続)
     第2章第1節第5条(標準的な接続箇所)において、端末回線接続は「端末回線を収容す る伝送装置(伝送速度の制御が可能なものに限ります。)…」とあります。これは、郵政省令 (指定電気通信設備との接続に関する接続約款の認可の基準)第二十三条の四 「二 指 定市内交換局において、指定端末系伝送路設備と指定端末系交換等設備との間に設置さ れる伝送装置(伝送速度の制御が可能なものに限る。)」によるものと認識しております。 したがって、「端末回線を収容する伝送装置を介さない端末回線接続(MDF接続)」は、 現状、標準的な接続箇所とはなっておりません。しかし、MDF接続については、xDSL等の 実証試験の結果を待って判断することとなっておりますが、市内競争促進の上で、非常に効 果のあるものと認識しておりますので、極力早い時期に実現できるようよろしくお願いいたしま す。
     また、技術的に特に問題の無いサービスもあると考えますので、サービス限定でのMDF 接続についてもご検討願いたいと考えます。

  2. 接続番号について
     技術的条件集において、天気予報について記載されておりませんので、以下の接続番号 を追加する必要があると考えます。
    00XY + 市外局番 +177

<本件に関するお問い合わせ先>
営業企画部料金課 塚本
TEL:03-4555-2404
FAX:03-4555-4872