意 見 書

平成10年2月18日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

郵便番号  163−03          
住  所  東京都新宿区西新宿2丁目3番2号
氏  名  国際電信電話株式会社      
       代表取締役社長  西本 正  



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平成10年2月4日付け郵通議第122号で公告された「日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款案」に関し、別紙のとおり意見を提出します。




(別 紙)

NTTの「指定電気通信設備との接続に関わる契約約款(案)」への意見

 日本電信電話株式会社が認可申請を行った「指定電気通信設備との接続に関わる契約約款(案)」について、以下のとおり当社の意見を提出致します。

  1. 相互接続点の設置範囲(第8条、第16条関連)
     NTTの通信用建物以外の場所にPOIを設置する場合において、第16条に定める要件を満たしている限り、設置範囲を制限する合理的な理由は無いと考えられ、第8条第2項におけるPOIの設置範囲の制限は不要と考えます。
     仮に、何らかの合理的な理由に基づき、POIの設置範囲に制限を設けるのであれば、加入者交換機、中継交換機等との接続で、NTTの通信用建物にPOIを設置する場合はZA内、NTTの通信用建物以外にPOIを設置する場合はMA内と、異なる制限を加えている根拠を明確にする必要があると考えます。

  2. 接続用設備の設置又は改修の申込み等(第21条、第25条関連)
     加入者交換機及び中継交換機等に関わる伝送用設備の設置又は改修については、協定事業者は翌年度分を当年度5月までに申込みを行う*との規定となっており、約2年先の回線需要等を確定せざるを得ないことから、機動的な事業展開が阻害される恐れがあります。
    当年度9月までの変更は可能ですが、軽微な変更に限定されています。
    よって、少なくとも半期毎に申込み期限を設け、且つ申込時期から接続までの期間を更に短縮すべきと考えます。

  3. 接続用ソフトウェアの開発(第28条〜第32条関連)
     協定事業者が、ソフトウェアの開発の申込みを行った後であっても、開発内容の変更を可能とするよう要望します。
     変更の申込みを行った時期が、仮にソフトウェア開発着手後である場合であっても、提供時期の見直しや変更に係る費用負担等についてNTTと協定事業者との間で協議を行うことにより、開発内容の変更を可能とすべきであると考えます。

  4. 予測トラヒックの通知(第48条、第79条関連)
     指定電気通信設備の設計・調達に関わる需要予測のために、予測トラヒックを提示する等の協力を行うことは吝かではありませんが、以下の理由から、提示するトラヒックはPOI毎のもので十分であり、必要以上に詳細なトラヒックを提示する必要は無いと考えます。
    新規サービス等について3ヶ年度分の詳細な(市内局番毎等)予測トラヒックを提示することは困難であること
    指定電気通信設備の設置事業者であるNTTは、当該設備を利用する通信においても圧倒的なシェアを占め、同社のトラヒック予測と協定事業者が提示するPOI毎のトラヒック予測により、当該設備の設計・調達は可能であると考えられること
     また、48条は相互協力を規定した条文であるにも拘らず、79条において協定事業者の予測トラヒックに著しい乖離が生じた場合には費用負担を求めることができるとの規定は合理的でないと考えます。

  5. 工事費の適用(料金表第2表第1)
     トランスレータ等の工事費についても、複数の事業者が同時に工事を実施するような場合には、NTT側の作業も効率化が図れる場合があると想定されます。
     NTTは、事業者と協議のうえ工事費(実費)を決定するとしていますが、協議の前提として工事費の具体的な算定根拠(設備毎の作業単価等)及び複数事業者が同時に工事を実施する場合の費用の按分方法等について、明確な規定を設けるべきと考えます。

  6. 接続形態(第52条、別表2関連)
     接続約款は、指定電気通信設備との透明、公正、迅速且つ合理的な接続を確保することを目的としたものと理解しており、別表2の接続形態についても、POIの位置、網使用料の支払義務者等の基本的な項目を包括的に規定することにより、協定事業者が新規サービス等を提供する場合において、接続約款に基づき迅速に接続を実施することを可能とする必要があると考えます。
     例えば、原案では同じ接続形態により異なる役務の接続を実施する場合であっても接続約款の変更が必要となり、迅速な接続が実施できなくなることから、役務別の接続形態の分類は不要と考えます。
     同様の観点から、「中継事業者」「端末系事業者」等の事業者識別を行わずに、「NTT」「発信事業者」「着信事業者」「経由事業者1、2、・・」等の規定を用いることにより、簡略化することが望ましいと考えます。
     また、原案では、例えば専用線の「NTT−中継事業者−地域系事業者」間の3者接続はどの接続形態に該当するのかが不明確であり、「端末系事業者」、「着信事業者」等の事業者識別を行うのであれば、定義を明確にする必要があると考えます。

  7. 網使用料に関する経過措置(附則第4条関連)
     「接続の基本的ルールの在り方」の答申の主旨に則り、指定電気通信設備との基本的な接続機能については、早急に本来あるべき負担方法に移行すべきであり、経過措置の期間は可能な限り短縮すべきであると考えます。

     また、経過措置を講じる機能の基準、及び具体的な取扱い方法等について、以下のような事項を明確にする必要があると考えます。
    経過措置の対象となるのは附則第4条に列挙されている機能のみであるのか、或い は何らかの基準により今後も経過措置の対象とする機能を設けることがあるのか
    既存の協定事業者が、附則第4条に規定される機能の変更を行った場合はどうなるのか
    既存の協定事業者が、同様の機能を新規に申込みを行った場合は、経過措置の対象外となるのか
    新規に接続を行う事業者が、附則第4条に規定されている機能を利用する場合も経過措置の対象となるのか
    仮に、経過措置の期間中に当該機能の利用を中止した場合の取扱いはどうなるのか


以 上