意 見 書

平成10年3月11日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿


郵便番号  163−0068       
住  所  東京都新宿区西新宿3−20−2
氏  名  株式会社ジュピターテレコム  



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平成10年2月4日付け郵通議第122号で公告された接続約款「日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款案」に関し、別紙のとおり再意見を提出します。




(別 紙)

平成10年3月11日
株式会社ジュピターテレコム

接続約款「日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係る接続約款案」への再意見



第1条 約款の適用について
 従来の接続協定の諸条件は、不可欠設備を有する指定事業者が圧倒的に優位に立ってまとめられてきた。今回の約款案が従来の協定に比べあまり改善されず多くの後退箇所さえ指摘されるのは、何よりもかかる指定事業者が単独で作成したからである。約款案が申請されたことを協定交渉に見立てると、一方の交渉当事者がその希望条件を先ずは表明しただけのことであり、その条件が、許される限り自己利益の確保を図るものとなるのは当然である。
 つまり、接続ルールで求める公正さはこの段階では実現されていないのであって、これから申請案を公正なものに格上げする必要がある。公正さを掲げる以上、守らなくてはならないことは、他方の当事者の言い分として出された意見・再意見を公平に扱うことである。単に参考とするのではなく「これらは、指定事業者からの申請案と競合して申請されたものとみなし、審議、答申を要する指定事業者の申請案と同等の重みをもったもの」として扱うことだと考える。
 施行規則案の審議時には、意見照会方法は同じでも郵政省案への事業者意見の提出であった。
 今回は、申請者と意見提出者とが利益相反する関係にある。更に出された結論は、今後の当事者同士の直接交渉の余地を大幅に制約するものである。意見提出側に不公平感のない取り扱いを要望する。


第4条 端末回線線端接続事業者の料金及び技術的条件等 について
 線端接続に当たり、事業者接続料金が提示あるべきとの日本テレコム殿ほかの意見に賛成する。
 これまでは、事業者間での端末回線線端接続が本来の接続箇所とはされていなかったため、流用可能なユーザー料金を流用する妥当性もあったが、既に施行規則で標準的接続箇所となっている以上、事業者向け料金の提示があって然るべきである。


第21条 接続用設備の設置又は改修の申込み について
 指定事業者の申込受け付けルールについて、東京通信ネットワーク殿に賛成し、同社提案どおりの変更を要望する。


第48条 予測トラヒックの通知 について
 需要予想のデータ提出について、東京通信ネットワーク殿に賛成し、同社提案どおりの変更を要望する。


第89条 双務的条件 について
 本接続約款を設けることによって、指定設備を保有しない接続事業者が、現在確保されている協定交渉の自由に制約を受けることは、望ましくない。おそらく改正事業法の事業者定義の精神からしても誤りであろう。協定交渉の期間短縮を理由とする意見に対しては、自由を制約することとの軽重を指摘する。従って、接続約款には接続に不可欠な指定設備を提供する側の条件を規定するにとどめ、本条項自体の削除を要望する。接続事業者の責務は、別途締結する協定において定めることとし、必要に応じ監督上の取り扱いを再整理すべきである。


料金表 第1表 第1 網使用料 について
 申請案によると、多くの通話秒数区間において、網使用料がNTTユーザー料金を上回る。(添付のグラフ中、斜めの折れ線が、ユーザー料金との差額を表し、これがゼロ水準線を下回る区間が、逆ざや区間)
 地域加入者系事業者が、指定事業者の料金より安い料金を設定した場合、1通話秒数は長引く傾向にあり、通話秒数でみた通話数の偏りは独自のものとなるため、一概に「逆ざやとなっていない秒数区間に通話が偏っていて収入は確保される」とは言えなくなる。指定事業者固有の通話統計に基づいて正当化せざるを得ない網使用料では困るので、どの通話秒数区間においても少なくとも自らのユーザー料金を下回る接続料を提示すべきである。
 また、指定事業者がタイムプラスサービス等で単位料金当たりの通話時間を広げると、逆ざや秒数区間が更に大きく拡大し、非常に反競争的な状況となっていることも指摘しておきたい。なお、当社は対抗措置として指定事業者と同様のタイムプラスサービスを計画したが、接続料が賄えず認可されなかった。地域限定型の参入事業者にとって、事業意欲を失いかねない事態である。


料金表 第1表 第1 2 料金額 2−8 番号案内機能 について
 NTT番号案内の利用者料金は大幅な値上げが認可され、5月から赤字が圧縮されるのであるから、番号案内サービス接続料も同時改定するよう要望する。
 なお、従来231円が申請案では217円と同水準であるのに対して、この度のユーザー料金の値上げは、平日昼間は月当たり1回目が30円から50円で67%、2回目以降が60円から80円で34%、深夜早朝は60円から120円で2倍である。
 利用者料金の審査が将来需要予測、一方の事業者料金の審査が決算値によるため、タイムラグが発生して正しく事業収支を見定めることができない。ユーザー料金との異常な乖離が事業上のリスクとなって、サービス自体が開始できない事業者にとっては、反競争的なシステムである。
 地域加入者系事業者としては、指定事業者からの契約切り替えに最も障害となっているのが、指定事業者がユーザーに常識と映る付加的サービスが欠けていることである。その中でもNTT番号案内サービスは、接続においても基本機能と位置付けられたように、加入者にとってなくてはならないものである。


料金表 第1表 第2 網改造料 1 適用区分(2) 網改造料の按分 ア について
 按分が避けがたい場合において、按分方法は事業者協議によるべきとの多くの意見者に賛成する。
 これまで指定事業者は、按分の基準が関係事業者の回線数等、経営情報に当たるものなので開示できず、従って指定事業者だけが情報を握って、按分後の分担額を提示するしかないと主張してきた。どの事業者との按分となるのかすら明らかにしていない。この意見照会において事業者間協議を求める意見が多いことは、接続事業者側には、費用按分に関する相互の情報開示は必要なものだとの共通認識があり、手続きを整備すれば事業者間協議は実現可能ということである。該当箇所は、意見どおり「事業者協議による決定」への変更を要望する。


附則 第2条 料金等の適用に関する経過措置及び第4条 網使用料に関する経過措置 について
 網改造費の網使用料化に経過措置を設けたいとの申請箇所につき、削除を要望する。
 網改造費は、月々支払い額に組み直され、初期投資額の減価償却費のほか保守費等の経費、更には、更新費などと共に負担していくが、機能を使う限り無期限に支払うものである。既存の接続事業者がそのような永遠の支払い義務を協定している中で、網使用料化はいずれ行わなくてはならないのであるから、経過措置期間が持つ意味が不明である。現時点でできないはずはない。これまで年経費を支払い続けてきたこととの整合性も、将来的な負担の多寡で整理するしかないのであり、経過期間の理由とはならないと考える。
 接続ルールでは、実施可能なものについて速やかに実施することとされ、これに従うべきである。

以 上


(参考)

GC接続


GC接続

逆ざやとなる通話秒数区間
*92〜180     
*209〜       



GC接続

逆ざやとなる通話秒数区間
*61〜90    *294〜360
*138〜180  *372〜   
*216〜270          

GC接続

逆ざやとなる通話秒数区間
*49〜90      
*119〜180    
*188〜       

GC接続


GC接続


GC接続


GC接続


GC接続

ZC接続


ZC接続

逆ざやとなる通話秒数区間
*135〜180    
*290〜360    
*444〜540    
*599〜       

ZC接続






ZC接続






ZC接続


ZC接続


ZC接続


ZC接続


ZC接続