再 意 見 書

経企第9−306号
平成10年3月11日

電気通信審議会
 電気通信事業部会長 殿

郵便番号  104−8508        
住  所  東京都中央区八丁堀四丁目7番1号
氏  名  日本テレコム株式会社      
       代表取締役社長  坂田 浩一 



 電気通信審議会議事規則第5条の2及び接続に関する議事手続細則第2条の規定により、平成10年2月4日付け郵通議第122号で公告された接続約款案に関し、別紙のとおり再意見を提出します。



(別 紙)

はじめに

 先に公表されました日本電信電話株式会社殿の指定電気通信設備に係る接続約款案に対して提出された各社等の意見を踏まえまして、下記のとおり当社の考えを再意見として述べさせて頂きますので、よろしくお取り計らい願います。

1.総 論

(1)今回の接続約款案の認可について
 今回の接続約款案の認可手続きにおいては、多岐にわたる意見が各社から提出されております。本約款の実施によって「接続ルール」の運用が開始されることになり、認可に際してはすべての論点を整理することが必要であると考えます。万が一、論点が未整理の状態で認可する場合は、あくまでも暫定的な解決とし、今後更に検討を行うことを条件に認可して頂きたいと考えております。

(2)長期増分費用方式の早期導入について
 現在の要回収額方式による算定では日本電信電話株式会社殿の設備面(例えば、技術的に過去の設備となっているものの増設)及び運営面の非効率性がそのまま接続料金に反映される結果となり、コスト削減のインセンティブが働かない構造となっております。そこで、ボトルネック設備の非効率性を排除した適正な接続料金を実現するため、長期増分費用方式の早期導入を要望致します。つきましては平成10年度内に導入の決定を行って頂きたいと考えます。

(3)その他
株式会社タイタス・コミュニケーションズ殿意見
 「接続の基本的ルールの在り方について」答申−電気通信事業法−施行規則−認可接続約款の流れはいずれも公開され、グリーンペーパー方式の為、意見申し述べの機会がありましたが、経過措置の許可申請は公開及び意見聴取なしに行われました。費用負担上きわめて影響が大である経過措置の設定が、利害関係者の意見聴取なしに許可されることは遺憾と考えます。

 株式会社タイタス・コミュニケーションズ殿意見のとおり既に経過措置の許可が行われているのであれば、当社としても極めて遺憾であると考えます。「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」第3条に関する許可は、特別に例外的な扱いを認めるものであり、このような案件について許可申請の段階で事業者の意見が反映されなければ、その後の約款申請における意見聴取の意味がなくなるものと言わざるを得ません。ユーザー約款の準用等許可申請が必要と考えられる条項についても、同様に考えます。

2.約款本文

 第36条(標準的接続期間)

第二電電株式会社殿意見
 期間内にNTT殿の接続の準備が整わないことにより、接続事業者のサービス開始時期が遅れることも想定されるため、公平性の観点から、NTT殿についても遅れのペナルティ等を指定していただきたいと考えます。
 (3)の18ヶ月の接続用ソフトウェア開発期間は長いとも考えられるため、ものによっては短い期間での開発も可能とする等の努力規定も含むべきと考えます。

東京通信ネットワーク株式会社殿意見
 当該規定が開発期間の免罪符とならないよう、すなわち、ソフトウェアの開発期間は18ヶ月まで許されるというモラルハザードが生じないよう、規模によってはより短い期間での開発に努める旨を規定すべきと考えます。

 NTT殿との接続に要する期間は接続事業者のサービス展開に大きな影響を与えるものであり、可能な限り接続機能の開発期間を短縮して頂きたいと考えることから、第二電電株式会社殿及び東京通信ネットワーク株式会社殿の意見に賛成致します。

 第52条(接続形態)
 先日の意見書でも述べたとおり、別表2で規定する接続形態については、事務の煩雑化等の観点から不要であると考えております。このことは日本高速通信株式会社殿・第二電電株式会社殿他各社の指摘するところであります。
 また、接続約款案の別表2を詳細に検討したところ、以下のように現行の接続形態でさえすべて網羅されていないことが判明しました。このような不完全な規定が接続約款に存在することは今後の接続の多様化を阻害する恐れもあり、改めて別表2は不要であり、接続形態は届出協定で整理すべきものと考えます。

 第79条(トラヒックが乖離した場合の取扱い)
第二電電株式会社殿意見
 (略)
(1) 設備の著しい過不足の発生原因について、通信の大半を占めるNTT自身のトラヒックの誤りや、網設計における誤りも多大な影響を与える可能性がありますが、NTT自身のペナルティーが規定されておりません。
(2)
(3) なお、現行の規定ではNTT自身のトラヒック予測や網設計の誤り等により発生した費用について、設備を利用する事業者で広く負担することとなる可能性もあり、公平な条件となっておりません。

東京通信ネットワーク株式会社殿意見
 通知した予測トラヒックが乖離した場合の罰則が規定されていますが、トラヒックの乖離の主要因が必ずしも接続事業者であるとは限らず、NTTの場合もあると考えます。したがって、接続事業者に対し予測トラヒックの罰則規定を設けることは、現実的では無いと考えます。

 トラヒック乖離の要因については当然NTT殿自身である場合も考えられ、またその場合の費用は結果として接続料金に反映されることから、接続事業者に予測トラヒックの義務を課し罰則規定を設けることは不合理と考えます。事実、毎年度末設備不足により専用線の開通が遅延する事象が発生しております。仮に双務的条件で協定を締結した場合であっても、担保されるのは接続事業者側のネットワークコストのみであり、NTT殿の要因による接続料金の増加についてペナルティは発生しないこととなります。したがって、第二電電株式会社殿及び東京通信ネットワーク株式会社殿の意見に賛成致します。

3.料金表

 第1表 接続料金
 第1 網使用料 1 適用

九州通信ネットワーク株式会社殿意見
 ISM交換機能、又はディジタル公衆電話機能を利用した場合には、ISM交換機能に係わる料金の支払が必要となっています。しかし、NTTがISM交換機能を利用して提供しているサービス(総合ディジタル通信サービス、ディジタル公衆電話サービス)のユーザー料金は、本機能を利用しない電話サービス又は公衆電話サービスと同額となっています。
 このような網使用料は「指定電気通信設備との接続条件は、自己の同様なサービスより不利でない条件」となっておらず、他の事業者が同サービスを行う上で実質的な障壁となる恐れが大きいと考えられます。
 従って、このような機能の網使用料は、特定事業者自らが提供するサービスのユーザー料金設定と同等の条件となるようにすべきと考えます。

 ISM交換機能に係わる料金についてはユーザー約款と比較して接続料金のみ高く設定されており競争禁止的であると考えられることから、九州通信ネットワーク株式会社殿の意見に賛成致します。

 第2 網改造料 2 料金額
 2―3 年額料金の算定に係る比率
日本高速通信株式会社殿意見
 設備管理運営費比率
 (2)において、個別に設備を管理できない設備に関する除却費についても、推計等により把握して頂きたい。

 日本高速通信株式会社殿意見に賛成致します。

5.附 則

 第4条(網使用料に関する経過措置)

第二電電株式会社殿意見
 万が一、経過的に個別費用として負担する場合であっても併合IGSの法定耐用年数経過後の減価償却費を明示しないことは、NTT殿の説明責任が満足されていないものと考えます。
 したがって、上記説明責任を満足するためにも、併合IGSの法定耐用年数経過後の減価償却費相当額を控除していただきたいと考えます。

 併合IGSについても経過措置ではなく網使用料として回収すべきと考えますが、仮に経過措置となった場合には、第二電電株式会社殿の意見と同様、何らかの方法により法定耐用年数経過後の減価償却費を控除して頂きたいと考えます。

以 上