1999年10月19日 電気通信審議会 電気通信事業部会 御中 全国消費者団体連絡会 事務局長 日和佐 信子 接続料算定の在り方についての意見書 9月21日に発表されました『接続料算定の在り方について』につきまして、消費者(利用者)の立場から以下のように意見を提出いたします。 1. 規制改革の最大の目的は消費者(利用者)利益の実現 電気通信事業をはじめとした政府の規制改革の最大の目的は、言うまでもなく消費者利益の実現にあります。規制改革を進めていく場合に、事業者の経営効率化や競争促進による料金の低廉化、選択肢の拡大などによって、最終消費者の利益が実現されるものであるのかどうかが重要なポイントとなります。 そうした視点から見ると、接続料金に関する実際費用方式から長期増分費用方式への転換は、東西NTT網に接続するすべての長距離・国際事業者、地域事業者の料金引き下げを通じて消費者利益の実現に直接つながるものであり、大いに評価されるべきものです。長期増分費用方式の趣旨にそった正しいモデル設定と計算をもとに接続料金の改定が行われることを期待します。 2.耐用年数と保守コストの見直しなど研究会で早急に再検討を 長期増分費用を算定するにあたって、設備の耐用年数をどのように設定するかはきわめて重要なファクターとなりますが、研究会報告書が採用している耐用年数と諸外国の政府や事業者が提起しているものの間には大きな開きがあります。また、国内外の事業者からは保守コストの前提が高すぎるとの指摘もあります。さらに、付加機能使用料や施設設置負担金をモデル算定家かから控除すべきとの指摘も出されています。 これらの費用は接続料金のみならず基本料金設定の前提となるコストとして計算されるため、できるだけ議論を詰める必要があります。とりわけ、光ファイバーケーブルの耐用年数については研究会モデルと諸外国の政府・事業者のモデルには2倍以上の開きがあります。また、き線点RTの耐用年数が6年とされていますが、諸外国の状況などとの比較が必要と思われます。 以上の論点を含めて、早急に研究会において、最新のデータを活用しながら、長期増分費用について再検討をすべきと考えます。 3.基本料金の引き上げを容認できる環境にはない 規制改革の成果を適切に消費者利益に結び付けていく必要がありますが、それらは最終消費者である利用者の理解と納得のもとに進められるものでなければなりません。そうした意味では、日本の今日の経済環境と国民生活の現状は、電気通信に係わる公共料金の引き上げを容認できる環境にはないということをふまえておく必要があります。とりわけ、すべての利用者が定額で毎月負担をする基本料金については、可能な限りコストの見直しによって低廉化をはかるべきものです。国民生活の現状を鑑みるならば、接続料金の在り方の見直しに伴って基本料金の引き上げが行われるなどということは利用者の理解と納得を得られるものではありません。 き線点RTコストについての帰属の見直しがはかられる場合でも、前記のように耐用年数の見直しなど再検討がはかられるならば、基本料金の引き上げを伴うような結果にはならないと考えます。研究会での適切な再検討結果をもとに、基本料金の引き上げを伴わない形で、接続料金の引き下げとそれに伴う電気通信料金全体の引き下げがはかられることを強く期待します。 最後に、今回の内容が消費者(利用者)の参加のもとで、透明で公正なプロセスによって取りまとめられることを要望いたします。 以上