Policy Reports 郵政省

目次線 電気通信審議会

意 見 書

平成10年12月18日

電気通信審議会電気通信事業部会
  会 長  齊藤 忠夫 殿

社団法人テレコムサービス協会


日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係わる接続約款の変更案に関する意見

 従来、我が国の「データ系通信サービス」の多くは、第二種電気通信事業者(以下「二種事業者」)が主導して進めてきた。サイバー時代の到来により、創意と工夫で多様な「データ系通信サービス」を展開する二種事業者の役割は、ますます重要になりつつある。

 豊かなサイバー社会の実現と、活力ある電気通信市場の創出のためには、規制緩和を進める一方で、第一種電気通信事業者(以下「一種事業者」)と二種事業者の間の公正有効競争環境を整え、多数の二種事業者が市場に参入し、活躍できるようにすることが不可欠である。

 しかし、現在の二種事業者は、「一般利用者と同一料金で一種事業者の基本通信サービスを利用せざるを得ない」というコスト構造を与件とされ、一種事業者と公正有効競争を行う環境は、確立されているとはいいがたい。

 「接続ルール」の策定と、これに基づいた接続約款の制定は、コスト構造面における、一種事業者と二種事業者の間の公正有効競争環境を整備するための根幹施策の一つであり、当協会は、法の精神に則った「二種事業者も利用できる」接続約款の早期実現を強く要望してきた。

 しかし、現在の接続約款は、未だ過去の接続事例の集大成の域を越えておらず、過去にNTTとの接続実績のない二種事業者にとり、利用は困難なものとなっている。
 この状況を前提とし、当協会の意見を述べる。


  1. 二種事業者の接続について

     二種事業者の利用が容易な接続約款とするため、以下の事項を強く要望する。

    (1) 接続料金

     二種事業者が主として提供しているデータ系通信サービスが必要とする指定電気通信設備は専用線設備である。専用線設備に関する料金は全て「専用サービス契約約款」の料金表を準用することになっているので、可能な限り早期に事業法の定める料金算定基準に基づく料金を設定することを要望する。
     この時には専用線網を構成する全ての伝送路設備,交換等設備のアンバンドル料金が提示されるようにして頂きたい。

    (2) 二種事業者POIと一種事業者POIの間を接続する伝送路(図1:A)の料金

     NTTの講じた措置の第3項で、当面は約款外契約により提供するとあるが、この伝送路は「指定電気通信設備」であるので、当面はやむを得ないとしても、遅くとも1999年秋に予定されている「指定電気通信設備接続会計規則」および「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」に則った料金改定時には、接続約款に記載すべきである。

    (3) 二種事業者POIに係わる約款外契約料金の算定の在り方について

     二種事業者POIに係わる設備の内、二種事業者POIと二種事業者ビル間の伝送路(図1:B)や、二種事業者側に設置するNTT設備(図1:C)等(以下「二種POI設備」と言う)は現在約款外契約で提供されている。
     二種事業者は伝送路を持つことができず、接続を行うためのPOI点を設定するためにはNTTより「二種POI設備」の提供を受けなければならない。
     「二種POI設備」を構成している伝送路/機器は全て「指定電気通信設備」に属するものであるので、「接続」の定義上これらの設備は、接続約款の範囲外との考え方もあるとは思うが、二種事業者が接続の世界に入るためには「二種POI設備」は不可欠の装置であるので、管路やとう道と同様の扱いで、接続約款に記載することを検討頂きたい。
     当面約款外契約での提供が行われている間は、「二種POI設備」に係わる約款外契約料金の算定には電気通信事業法第38条を準用し接続約款と同様の算定根拠を使用すべきである。

    (4) 専用線の「端末回線の線端」接続に係る接続料金の在り方について

     専用線をユーザーインタフェースで接続する方式が接続の一形態として規定されているが、料金は一般専用料金(エンドユーザ料金)とされている。
     しかし、接続料金と、本来は営業費用等を含むエンドユーザ料金とが同一になることは理解しがたい。
     早期に、他と同様の基準によって算定を行い、料金を定めるべきである。

    (5) 二種事業者POIを設置するNTT局舎への二種事業者装置のコロケーションの保証

     二種事業者と公衆網を接続するPOIの実現に向けて、長期間にわたりON協議会でNTTと二種事業者間で協議を行って来た。しかし、二種事業者に可能な投資の規模や事業規模等の範囲で採算の見込めるNTTの提案がなく、協議は難航していた。
     最近、「電気通信事業者間接続装置(プロトコル変換装置)(図2:A)」が新規開発され、これをNTT交換機設置局舎にコロケーション設置すれば、コスト的には「二種事業者と公衆網を接続するPOI接続」が可能となるようになった。
     このように、二種事業者装置をNTT局舎にコロケーションすることが保証されれば二種事業者の接続は大きく前進する。NTTはOCNサービスについては二種事業者持ち込みルータのコロケーションを保証しており、より通信サービスの多様化に効果が大きい二種事業者POIについては同様の措置が当然と考える。

     物理的な事情でどうしてもコロケーションが出来ない場合のバーチャルコロケーションの考え方の導入を含め、実現を強く要望する。

  2. 郵政省の講じた措置について

    (1) MDF接続を行うNTT局舎への二種事業者伝送装置のコロケーションの保証

     二種事業者は伝送路を所有していないので、二種事業者がMDF接続を行うためには、二種事業者の伝送装置をNTT局舎へコロケーションすることが必須である。(図3:A)
     MDF接続を行う場合は伝送装置のコロケーションを保証するべきである。

  3. NTTの講じた措置について

    (1) 保守費、工事費および手続き費の実額の記載

     工事や手続きの作業内容が開示されておらず、公正妥当かどうか、あるいは、費用削減のための適切な努力がなされているかどうか、等が判断できない。

     例えば、トランスレータ展開費用(NTTの交換機に、二種事業者の番号'0091NN'を登録する作業の費用)は、交換機1台当たり約1万円とされている。しかし、6桁の番号を登録する費用にしては過大であるとの印象を拭えない。

     工事内容等について、より詳細な開示を要望する。


以 上

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