Policy Reports 郵政省

目次線 電気通信審議会

平成11年1月14日


日本電信電話(株)の指定電気通信設備に係わる
接続約款の変更案に関する再意見

社団法人テレコムサービス協会


  1. 端末回線の線端接続に係わる接続料金に関する補足意見

     多くの二種事業者が、多様化の期待される通信市場の中で、先端技 術を活用したサービスや、地域、特定業務に密着したサービスなど、 一種事業者が機動的に対応できないサービスの事業化に積極的に取り 組めるように、

     「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」に則った線端 接続料金を実現することを要望する

    (1) 二種事業者に取っての「線端接続=アクセス回線」の重要性二種 事業者が提供している全ての電気通信サービスは、客先とのアク セス手段としてNTTの専用線サービス又は公衆網サービスを利 用している。(図1、図2)

    専用線線端接続
    公衆回線線端接続
    (2) 現在の線端接続料金の問題点
     NTTは、「事業者間接続料金の設備要素ごとの費用の内訳及び 費用範囲の見直しについて」(平成7年11月28日付け)にお いて「事業者間接続の費用範囲から除外する主な費用項目」とし て以下を公表している。
     しかし、現在の線端接続料金は利用者約款の料金が準用されてい るため、事業者間接続料金であるにもかかわらず、これらの費用 が除外されていない。

    (営業・運用費)
    個別ユーザを対象とするNTTネットワーク商品の販売活動費用
    (電話の利便性向上のための活動費を除く)
    NTTのテレホンカード販売に係る代理店費用等
    (NCC通話をする場合、NTTのテレホンカードは使用できない。)
    NTT商品の広告に関する費用
    大口ユーザを対象とした販売活動費用
    NTTの手動通話(100番通話等)のオペレータ費用
    (共通・管理費)
    営業・運用費で控除した販売関連費にかかる共通・管理費用
    NTTグループの経営戦略等の企画に要する管理費用
    (貸倒損失等)
    NTTユーザに対する債権の回収不能により発生する費用

    (3) 第一種電気通信事業者が利用者約款において設定している割引サ ービスの問題点
     現在、NTTは、利用者約款において二種事業者向けに「いわゆ る卸料金」として、専用線の大口割引制度や、電話料金の割引サ ービスを設定しているとしている。
     しかし、利用者約款における割引には以下のような重大な問題点 があり、本来の接続料金の代替とはならない。

    1 一般の利用者と二種事業者が全く同様の割引条件を適用されている
    2 割引率が利用金額に応じて段階的に拡大したり、割引利用のための 定額料(あるいは最低保証料)が設定され、接続料として不適当な ものになっている
    3 電話料金については、市外通話料の割引しかなく、基本料や市内通 話料には一切割引がない

    (4) 二種事業者が提供している「データ系通信サービス」  電気通信が自由化される以前から、電気通信と電子計算機を融合 させる利用技術の面で、現二種事業者は先駆的役割を担ってきた。
     すなわち:
     中小企業VAN、自由化以降の本格的VANサービス(データ交 換に代表される各種EDIサービス)、パケット交換サービス、 フレームリレー交換サービス、企業内専用線システム、企業内電 話網システム、付加価値FAXサービス、データベース提供サー ビス、インターネット接続サービス、ECサービス等々特に電子 計算機を活用した電気通信サービスに関しては、二種事業者がた えず他に先駆けて開発提供を行ってきている。

    (5)  二種事業者が「データ系通信サービス」を提供する上での問題点
    (1)で述べた通り、電気通信サービスを提供する上でのアクセス 手段はほぼ100%がNTTの「指定電気通信設備」に依存して おり、この利用料金がサービス提供原価に占める比率は50− 80%と非常に大きい。それだけに事業の成否に大きく影響する。
     問題は、NTTの専用線料金のリバランシング名目の料金改定 で接続専用線料金制度が出来、POI点による接続と線端接続と の間に料金格差が発生したことである。そして、接続ルールに則 った「指定電気通信設備の接続料に関する原価算定規則」による 接続料金(アクセスチャージ)が遅くとも今年の秋に実現すると、 この料金格差はさらに拡大する。
     二種事業者がPOI点を持つためには回線網の規模で採算を取る ことが難しいことより、二種事業者が利用するアクセスの為の専 用線は99%以上が線端接続を余儀なくされている。このため折 角二種事業者が先行開拓した電気通信サービス分野で、後発の一 種事業者の価格攻勢に耐え切れず撤退しているケースが多発して いる。

    (6) 二種事業者が期待されている役割
     インターネットが全世界的に普及し数多くの事業者が利用技術を 開拓してきた結果、データ系通信サービスの普及発展は目覚しい ものがあり、いまや世界的にはデータ通信が音声通信を上回って おり、米国では2001年には全体の伝送量の90%はデータに なると言われている。このままでは日本のデータ通信のアプリケ ーションは日本では育たず外国に制覇されてしまうことが憂慮さ れる。国策として二種事業者が「データ系通信サービス」の開拓 発展を事業として取り組む意欲を掻き立てることが必要である。 この事は数少ない一種事業者では世界に立ち向かうことは無理で あり、ユーザーに密着している二種事業者に期待すべきである。

    (7) 線端接続料金に対する要望
     二種POIを二種事業者がもっと簡単に持つ事が出来るようにす る事は繰り返し当協会より要望しているが、多くの二種事業者が 「データ系通信サービス」に意欲を持って事業化に取り組む事が 出来るように、早急に「指定電気通信設備の接続料に関する原価 算定規則」に則った線端接続料金を実現する事を強く要望する。 現在NTTは、線端接続料金に関し「原価算定規則」第3条に基 づき適用対象外として「利用者約款の料金を準用」しているが、 これはあくまでも「指定電気通信設備接続会計規則」による実績 数値がないための「特別の理由がある場合」に該当すると理解し ている。もしそうでないならばどのような「特別の理由」がある のかを情報公開し意見を求めるべきである。この事は非常に重要 であるので、はっきりとした見解をお示し頂きたい。接続ルール の精神に則った対応を節に願うものである。

     また、NTTは「契約者と同一の形態で接続する場合については、 そのトラフィックおよび使用する設備を契約者と区別して把握で きないこと」を利用者約款の料金を準用する根拠としてあげてい るが、NTTが個々の二種事業者に対して課金を行っている以上、 「区別して把握」することは可能であると考える。


  2. 二種事業者と公衆網を接続するPOI接続に関する補足意見
    地域における競争の促進のため、政策的な観点から以下の実現を 要望する。

    (1) 同一MA内のZC接続料金を同一とする
     大都市では同一MA内に複数のZCを持つため、ZC間の渡りが生 じると、接続料が割高となる。この解として、「指定通信事業者の 同一料金地域について、どのZCに接続しても同一MA内の接続料 を同一にする」ことを希望する。

    (2) 接続料(アクセスチャージ)の低廉化
     データ系通信では、平均の一通話時間が音声を上回る為に、接続料 が電話利用約款料金を上回ることが予想されるため、大きな参入障 壁となっている。少なくとも接続料が利用約款料金を下回るように して頂きたい。

    (3) ISDNとアナログ回線との接続料を同一とする
     市場の需要がアナログからISDNに変わりつつある。特にデータ 系通信ではこの傾向が顕著である。 しかし、今回の接続料案では アナログ回線に比べ、ISDNの料金が異常に高くこれも参入障壁 となっている。
     「相互接続におけるISDNの接続料金をアナログと同等にする」 ことを希望する。

以 上

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