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情報通信審議会 電気通信事業政策部会 接続政策委員会(第2回)議事概要

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日時

平成21年3月31日(火)10:00〜12:00

場所

第3特別会議室

参加者

接続委員会 東海主査、酒井主査代理、相田委員、関口委員、
  藤原委員、和久井委員
総務省 武内電気通信事業部長、淵江事業政策課長
  古市料金サービス課長、
  村松料金サービス課企画官、
  飯村料金サービス課課長補佐、
  大矢料金サービス課課長補佐

議事要旨

1 電気通信市場の環境変化に対応した接続ルールの在り方について
 ○ 総務省から資料説明が行われた後、討議が行われた。

主な発言等

酒井主査代理: EUの事例について、1つの国に2つのキャリアがあった場合、 LRICで算定した接続料は同じ値段が出るのか。
事務局: EUにおける勧告案の背景をみると、接続料水準の非対称性と書いて いて、個々の接続料水準の差異は好ましくないという問題意識はあるものの、 規模や周波数などの違いによって原価が異なり、その結果接続料水準が違う ことは否定されていない。
酒井主査代理: 固定は東西だけだが、携帯では複数の事業者が出てくる。全部 一緒に扱うのは強引だが、極端に水準が異なるのもおかしいのではないか。
事務局: 固定電話については、東西均一の接続料となっているが、元々は東西 別々となっており、水準が異なることは否定されない。
相田委員: ボトムアップLRICで、基地局の設置については、今ある事業者 ごとにそれぞれ対応するのか。
事務局: 実際のNWから削る方式ではなく、基地局から積み上げてNWをモデ ル化していくということ。
酒井主査代理: 800MHzや2GHzで、それぞれ値が決まってくるのでは ないか。
藤原委員: EUで全体的な仕組みをどの程度決めるか分からないが、メンバーステートのレギュレータに細目に係る判断をどの程度委ねるかよって、国ご とに実施形態も違ってくるのではないか。
事務局: フランスではボトムアップLRICを採用するとういことで、勧告案 と同じだが、それ以外にもグライドパスで、目標値を決めて段階的に下げて いく手法を採っている国もある。 何かしら統一的ルールを決めようという中 で、接続料の在り方の議論が行われている。
藤原委員: 我が国は、マーケットシェアや、事業がどういう段階にあるかを考 慮し、一律にやるのはおかしいという議論をしているが、EUでは、すべて 着信ボトルネックだと、各国は割り切ってやっているように見える。マーケ ットシェアの低い事業者は、メンバーステートの中にどの程度存在するのか。
事務局: 勧告案の概要にあるように、着信ボトルネックという考え方は既に適 用されているが、規制が課されていない事業者も各国の運用の中で存在する ようだ。
東海主査: P18の左のグラフで、完全費用配賦方式からLRIC方式と書い てある意味は、かかった費用をすべて配賦するのではなくて、インクリメン タルを理論的に考えようとしているのではないか。
日本のLRICは、インクリメンタル性はあまりなく、ヒストリカルと比 較している。日本は実際費用と理論値が対象で、コストの範囲は幅広に入っ てくる。EUではコストの範囲を絞り込んでいるのだろうか。
事務局: EUでも、すべてを接続料原価に入れるのではなく、共通費的なもの について、どう入れ込むかという議論はなされている。
東海主査: ボトムアップLRICだから、こういう場合はこういう考え方で、 と範囲を決めているのではないか。
酒井主査代理: 固定の場合は、NTT東西が公社時代からアクセス系を独占し て持っていることがボトルネック性の根拠となっているが、携帯では有限の 帯域を割り当てるという点が、ボトルネック性の要素になっている。NGN はどこの会社でも作れるが、携帯は周波数が割り当てられなければ作れない。
東海主査: 技術的な意味のボトルネック性と、市場という意味でのボトルネッ ク性がある。
相田委員: 周波数の割り当て方針について、考え方を教えてほしい。
事務局: 別途説明させて頂きたい。
和久井委員: 二種指定制度とその規制は、独禁法などのように本人の行為が市 場に与えるインパクトで切り分け、法に照らして違法な行為ないし非難すべ き行為を見つけ出すというのではなく、シェアで多数を占めていることや、 ブランドなどに由来したドミナント性をもつことで、競争が阻害され、ユー ザの利便性が損なわれているのであれば、規制をかけるのもありうるということか。
事務局: 然り。電波の有限・希少性や、端末のシェアにより強い交渉力を持つ 場合に、その濫用のおそれに着目して規制対象としている。
和久井委員: ヨーロッパで着信ボトルネック性という話をしているが、日本で も2005 年に競争評価の場で議論したことがある。
この際に、欧州と同じ立場をとらない理由として、日本では友人間や家族 間で話をすることが多く、相手がかけた通話であっても相手の支払い分につ いてセンシティブになっており、どの電話を選ぶかという選択がなされてい ることと、規模が同じNWなら値上げのインセンティブはないと考えられる ことなどが挙げられた。欧州での、着信で選びようがないから一律に「ボト ルネックであり市場・市場支配力を画定すべし」という議論と比較して、精 緻な議論をしていたと思う。
なお、大きいNWから小さいNWへは、戦略的に排除を行おうとして接続 料を上げようとするインセンティブが働く可能性が理論的に存在する、とい う点が示唆されていた。
東海主査: EUでは国家間の調整が問題となるのだろう。日本では国内にいる 事業者間の公正な取引がなされることが大事で、技術的な要因等で偏りがあ れば調整を行う、ということがベースにある。EUの着信ボトルネック規制 についてはどう考えているか。
事務局: 日本と欧州では環境が違うこともあり、EUでやっているから日本で やるべき、という単純な議論にはならない。
相田先生: ある端末を別の国に持っていったときに、ローミング先をどこにす るかは、どう決まっているのか。
事務局: 国際間のローミングについては、GSMならアソシエーションという 国際的団体がある。また、事業者間でローミング協定を結んでおり、自社の ユーザが他の国に行ったときに、相手国の特定の事業者が当該ユーザとの間 でサービスを提供する、というローミング協定を個別に結ぶ。
相田先生: SIMカードに契約を結んでいる事業者の情報が入っていて、それ に従ってローミング先の優先順位などが決まるということか。
事務局: 細かく見ると、ドイツのユーザがフランスに行った時、フランスの複 数の会社と協定がある場合、優先度の高い順に自動的につながるか、あるい はユーザの選択によるか様々であると聞いており、具体的にはローミング協 定で決まっている。
相田先生: 日本で2台以上携帯を持っている人に理由を尋ねたところ、同一事 業者内であれば無料だからという場合が多く、かける相手のキャリアによっ て使い分けているとのこと。これに、さらにローミングが絡むと、端末一台で、どのキャリアにかけるかという複雑さが生じて、固定のLCRと同じよ うに、日本だけ独自仕様のガラパゴスになってしまうのではないか。
一種指定のアンバンドルは、技術的に可能で、経済的にみて不合理でなけ ればアンバンドルをするというルールだが、携帯のアンバンドルで可能な限 りすべてというと、違う気がする。
どちらかというとプラットフォームの考え方に近く、上から下の縦割りの 中で、いわゆるプラットフォーム機能、標準的接続箇所という、事業者間の 有効競争や利用者利便につながる部分を抽出していくべきではないか。
東海主査: MVNOが出ていることにも関係しているのでは。色々な接続の形 態が増えてきているなら、アンバンドルのやり方も増えていくということか。
相田委員: 方向としてはそうだが、有限・希少なのは周波数で、それと関係な い部分について、可能な限り切り離さないといけない訳ではないだろう。
関口委員: 紛争処理委員会について、日本通信は手続に時間がかかるといって いる。紛争処理委員会の在り方についても、少し議論をする場を設けること が必要。資料に民民だと、紛争委では取り上げられないとあるが、MVNO、 あるいはその上に乗る電気通信事業者でない事業者についても、紛争を仕掛 けられるなど、様々な想定ができるので、迅速により多くの紛争事案を解決 できるような組織にして頂きたい。
事務局: P1のIIIに紛争処理機能等という項目もあり、可能な限り取り上げる。 和久井委員:紛争処理委員会については、他の紛争解決機関と比べると、迅速 に処理が行われていると思うが、よりスピードアップをお願いしたい。
紛争処理委員会に持ち込む前に、事前の予測可能性を高めておかないと、 事業が始められないという指摘もあったと思う。
関口委員: 一種指定と二種指定の規制根拠については、現状のボトルネック性 という一種指定と、交渉優位性という二種指定の差を、どのような形で埋め ていくか、しっかり整理しないと。何%に変えればいいのかという議論なの か、あるいはEUのように着信全部に独占性があると考えるのか。根拠とし ての説明をどこに求めるかで、議論の仕方が大きく変わってくる。
東海主査: 然り。統合といっても、一種指定と二種指定の統合が必要なのか。 市場が違うのだから、違った整理を考えて構わない、という整理もありうる。
関口委員: そのような整理が可能であれば、それを採れば良いが、25%や5 0%のように、設備に着目して、その設備の割合を25%や50%で切って きたやり方について、今後も踏襲できるか議論が必要。
藤原委員: NTT法との関係があり、日本では固定と移動の統合をドミナント 事業者が行うのは難しいが、ドイツテレコムなどは両方やるという戦術に変 えてきた。NTTの在り方問題を頭に入れた上で、両者の仕切りを強く意識した現状を維持すべきか、新しい市場ニーズに応じて再検討すべきか、議論 が必要。
相田委員: 2000年の答申と比べて、何が変わっているか。大手3社の人口 カバー率を見ても、人が住んでいる所は設備構築が済みつつある中で、緊急 時を考えると、人が住んでいないところに設備を打っていくのか。
新規の1.7GHzにイーモバイルが入ってきたが、既存3社が先に設備 を打っているところや、採算の合わない地域にとっては、何が利用者利便に つながるのか考える必要がある。
固定でいう2σを超える地域について、携帯についてもコストに見合う地 域とそうでない地域を分けるのか。クリームスキミングも困るので、バラン スをとるのが難しい。
東海主査: ヒアリングでもユニバーサルサービスの話題が出た。事業者の方々 は、モバイルをユニバに入れるかについては、敏感になっているようだ。義 務を課されることには現状では躊躇している印象。FMCも絡めて、近い将 来詰めていく必要がある。
相田委員: 鉄塔共用について、景観条例との関係で建てられない地域は、どの くらいあるのか。
事務局: 定性的にデータを収集していないので、具体的に数字を出すのは難し いという話を聞いているが、具体例として、先行事業者が鉄塔を建ててしま っているので、後発事業者は不利な場所しか空いてない場合や、鉄塔を建て たいと申し込んだが良い返事をもらえなかったなどの事例があるようだ。
相田委員: 景観条例の内容について、誰かが鉄塔を建てようとすると、公示が 行われるような仕組みはあるのか。
事務局: 一部の自治体で、占有許可等を出す場合に、事業者に声かけをする自 治体もあるとは聞いているが、具体的なスキームとして確立しているかは分 からない。
和久井委員: 景観条例があるから仕方なく共用を認めるというより、規制の側 で、環境保護の必要性や、重複投資を避けるという理由から、積極的に共用 してほしいという立場は取れないのか。
また、設備競争は大事だが、鉄塔を建て合うことを含めた設備競争と、鉄 塔は共用した上で設備競争をするということでは、どれくらい競争の程度に 差が出るのか、よく分からないところがある。
東海主査: 景観という言葉だけで整理すべきではなく、人間の体に対する影響 なども含め、自由に設置がなされるというのは適切ではない。日本経済とし ても、そういう形での設備投資競争をやっていくことが適切かどうか。
相田委員: 好ましいと思う一方で、鉄塔を建てる時には、自主的に計画を公開しなさいとか、他事業者との事前協議を義務づけるというのは、やり過ぎで はないか。800MHz、2GHz、どのくらいの間隔で鉄塔を建てたら良 いかは、持っている周波数によって違ってくる。方向性として望ましいのは わかる一方で、具体的にどこまで要求するか難しい。
事業者に聞いてみないと分からないが、単にここに建てるという計画の公 表くらいは大丈夫だろうか。
東海主査: 事業戦略の一環ではあるだろう。
酒井主査代理: 計画的に考えれば、1つの鉄塔が1つのエリアを仕切った方が 良いが、そうすると競争が成り立たない。競争する以上は自分で建ててもら った方が良いが、1エリアに鉄塔が3本建つかもしれない。一般論では言い にくく、ケースバイケースだろうか。
相田委員: 1社の設備だけ持たせれば良いなら、スリムな鉄塔で良いが、3社 分持たせようとすると、がっしりとした鉄塔が必要となるかもしれない。
和久井委員: イギリスで鉄塔を見てきたが、たくさん付いていた印象がある。 東海主査:共用するとデコレーションが大きくなるのか。
相田先生: やり方次第だと思うが、重くなるので、それだけしっかりしたもの を建てる必要はある。1つ付けるために作ってある既存の鉄塔に、後から簡 単に追加できるかどうか、強度的な問題が起こりうる。
酒井主査代理: 同じ周波数帯の場合など、1つのアンテナを、2社で使うこと はできないだろうか。
東海主査: 地理的条件があるし、どういう鉄塔、というレベルがあるだろう。
事務局: KDDIは鉄塔の種類は4種類あると言っていて、強度に合わせた形 で、色々なものを用意する。事業者としては将来の予想も含めて、とりあえ ず自分たちが乗せるアンテナに合わせて、鉄塔の種類・工法を選ぶ。他社の 共用を求められた場合は、前向きに検討しているとのこと。
部分補強も選択肢としてありうるが、上の部分だけでなく、場合によって は下のコンクリート部分も地固めが必要で、大がかりな工事になり得る。 東海主査:事務局で整理しておいてほしい。
藤原委員: 立地によっては、補強工事自体に対する抵抗がありうる。
和久井委員: 販売奨励金について、営業費の一部として接続料原価に算入して いる。ネットワーク外部性を根拠として営業費を入れることに対しては、市 場が飽和状態になってくると、それもおかしいのではないかという議論があ る。まだモバイル市場は伸びており、多少入れるのはいいのかもしれないが。
東海主査: :実態を整理した上で、今のやり方を受け止めるのか、新しい考え方 の中では不適切とするのか、考えないといけない。実態について、都合の良 い屁理屈を言っている。営業行為を原価に含めているのは、本来適切ではない。固定系でも、スタックテストをやりながら、接続料原価とユーザ料金の 間の幅をチェックしている。
P13のプロセスは、基本的には適切な流れだと思っている。販売奨励金 などの考え方を、どう整理すべきか課題である。
藤原委員: 販売奨励金は、すべて接続料に入れているのか、一部だけなのか。
事務局: 契約・トラフィックの維持・獲得等につながるものは入っている。
酒井主査代理: 何を入れるかは、細かい議論になるが、きっちり分ける話にな るのだろう。
東海主査: 完全配賦か、それともインクリメンタルの考え方を入れていくのか。
藤原委員: ソフトバンクの算定プロセスの図はないのか。
事務局: ソフトバンクは二種指定事業者でないので、内訳はない。また販売奨 励金については、ドコモ・KDDIはコストとして接続料原価に入れている が、ソフトバンクはコストではなく、ネットワーク外部性追加料金として加 味している。ボーダフォン時代から、英国のオフコムの形式を踏襲している とのこと。
和久井委員: 入れ方は違うものの、ネットワーク外部性を追加しているという 思想は同じであると。
事務局: 思想は同じで入れ方が違うが、外部性追加料金を入れること自体の適 否と、固定通信では加味をしていないことの整合性について、議論頂きたい。
東海主査: 環境や市場の成熟度、規制をしてきた年数が違うので、固定と同じ ようにやる必要はなく、モバイル独自の規制で良いと思うが、何らかの形で 方向性を示す必要がある。
酒井主査代理: ローミングについて、全部認めるか全面禁止が一番楽だが、そ うもいかない。国際ローミングについて、欧州では、地域内料金と同じくら いになるのか。日本では外国にいくと、日本経由の料金になるが。
事務局: ドイツからフランスに入った場合、フランスの事業者から受けた役務 提供の対価に手数料を加えたものを、ドイツの事業者からローミング料金と して請求される。商慣習上、著しく高いということはないようだ。
藤原委員: EU域内は、1つの市場と考えたいということで、域内のローミン グはゼロに近づけるという思想がある。
事務局: 現在はローミング料金ということで、プライスキャップをかけて、引 き下げる方向で議論が進んでいる。
相田委員: P26の右側の図のようなローミングの接続協定形態ができると、 NGNにも影響があるのではないか。
つまりNTTのNGNと他事業者の接続点の数が少ない中で、NTT内で 閉じるような呼を、接続事業者のサービスとして提供するような枠組みを作ることになる。
ローミングについて、事業者に設備を打ってもらうのが原則である。高コ スト地域や、緊急通報の話について、すぐにローミングできるかというと、 日本は端末が各社ごとに特化されているので、他事業者の電波を捕まえられ ないだろう。大きなスパンで考える必要がある。
携帯についてLRICを考えるなら、高コスト地域という概念で、接続料 が地域によって違う、ということが生じうる。一つの事業者だから、端末が どこにあっても接続料一定というのは、携帯でも妥当なのか。大都会と山の 上では、3分当たりの接続料が違っても良いかもしれない。
酒井主査代理: 高コスト地域は、固定の場合はNTTしかないが、携帯は複数 あるので、地域によってここはドコモ、ここはKDDIと分けるやり方にす ると効率が良いのかもしれない。
東海主査: 二種指定制度を作ってから10年で、制定当時と大きく環境が違っ てきている。事業者の方々にそれぞれ、見解の相違はありながらも、移動体 に対する競争環境について、整理をすべきという方向性については理解を得 られていると思う。
酒井主査代理: 相田先生が言われたように、携帯の場合、帯域を割り当てると いう行為で影響が出てしまうので、それを踏まえた接続ルールが必要。
藤原委員: あまり強い規制にシフトすることは問題。市場は動いているので、 現状だけで判断すべきでなく、電波の割り当て方による構造的な問題も考慮 すべき。
  以上

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