会議資料・開催案内等


情報通信審議会総会(第12回)議事録




第1 開催日時及び場所
平成16年7月28日(水) 10時30分〜11時40分
於、総務省8階第1特別会議室

第2 出席した委員等(敬称略)
委員
秋山 喜久、齊藤 忠夫、生駒 俊明、川田 隆資、古賀 伸明、後藤 滋樹、
酒井 善則、佐々木かをり、清水 英一、畑 文雄、多賀谷 一照、
竹中 ナミ、土居 範久、土井 美和子、東海 幹夫、根岸 哲、根元 義章、
原島 博、藤原 まり子、宮崎 久美子、村上 輝康、村上 政敏、安田 雄典
臨時委員
村井 純

(以上24名)

第3 出席した関係職員等
 (1)   総務副大臣、大臣政務官及び大臣官房
田端 正弘(副大臣)、松本 純(大臣政務官)、松井 浩(総務審議官)、
平井 正夫(官房長)、鬼頭 達男(技術総括審議官)、
藤岡 道博(官房審議官)、山川 鉄郎(官房参事官)、
安村 幸夫(官房参事官)

 (2) 情報通信政策局
堀江 正弘(情報通信政策局長)、安藤 友裕(放送政策課長)、
武井 俊幸(技術政策課長)

 (3) 総合通信基盤局
有冨 寛一郎(総合通信基盤局長)、江嵜 正邦(電気通信事業部長)、
竹田 義行(電波部長)、石田 直裕(国際部長)、

 (4) 事務局
福岡 徹(情報通信政策局総務課長)

第4 議題
本会議は、情報通信審議会議事規則第9条の規定により、公開にて行われた。

1   答申事項
「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」について【諮問第8号】

2   諮問事項
「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について【諮問第9号】
3   報告事項
分科会及び部会の審議状況について
  ア  情報通信技術分科会の審議状況について
  イ  電気通信事業部会の審議状況について







  開会

秋山会長  それでは、定刻となりましたので、第12回の情報通信審議会総会を始めさせていただきます。本日は、臨時委員を含めまして30名中24名の出席を予定しておりますので、定足数を満たしております。
  はじめに、7月2日付で人事異動があり、情報通信政策局長が交代されましたので、ごあいさつをお願いいたします。
堀江情報通信政策局長  情報通信政策局長の堀江でございます。よろしくお願いいたします。
秋山会長  ありがとうございました。
  それでは、本日の議事に移りたいと存じます。本日の会議は、情報通信審議会議事規則第9条の規定によりまして公開いたしたいと思います。傍聴者の方々は、傍聴に当たりましては、留意事項をお守りいただきますようお願い申し上げます。また、本会議の模様をインターネットによりまして中継しておりますので、ご了承願いたいと思います。
  それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事を進めさせていただきたいと思います。


  答申事項

    「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」について【諮問第8号】

秋山会長  初めに、諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」につきまして、審議いたします。
  本件は、平成16年1月に諮問され、幅広い分野における地上デジタル放送の今後の利活用の在り方や、その実現に向けた課題と解決方法について、「情報通信政策部会」及び「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」において精力的に審議いただきまして、本日中間答申案をとりまとめていただきました。
  それでは、中間答申案につきまして、後藤部会長代理からご報告をお願いいたします。
後藤情報通信政策部会長代理  情報通信政策部会部会長代理の後藤でございます。ただいま会長からご紹介いただきましたように、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」につきまして、中間答申の案をとりまとめましたので、検討経緯もあわせてご報告申し上げます。よろしくご審議いただきたいと思います。
  本件は、情報通信政策部会に新たに地上デジタル放送推進に関する検討委員会を設置いたしまして検討を行いました。半年にわたり検討を行ってまいりまして、お手元の中間答申案をまとめさせていただきました。この過程では、情報通信政策部会におきましても放送事業者の方をお招きして、直接にヒアリングする。また、検討委員会には放送事業者の方にも委員として加わっていただきまして、直接に意見を伺う。さらに、検討部会の主査及び主査代理には、検討委員会の会合の他にも機会を設けて情報のやりとりをしていただきまして進めてきたものでございます。
  まず、地上デジタル放送の全国普及を加速推進するためには、ここでの見方といたしましては、携帯端末向け放送、サーバー型放送など、地上デジタル放送ならではの高度なサービスの開発普及が不可欠であるという議論がありました。これを受けまして、政府として重点的に推進すべき施策といたしまして、次のような提言をとりまとめました。
  概略を私のほうからまずご紹介いたします。第1に、高度サービスを公共分野に導入した場合の機能や効用を、具体的に目に見える形で実証する実験を実施する。地方公共団体や地域住民の認知と理解の向上を図るということでございます。
  第2に、地上デジタル放送の全国的に均整のとれた整備を実現し、高度サービスの全国普及を促進するという観点から、国としては、引き続き地上デジタル放送に関する投資促進のための環境整備に努めるべきこと。あわせて、放送事業者における条件不利地域での伝送手段の選択を広げるという観点から、地上デジタル放送の補完的なサービス提供としての通信インフラの利用を含め、さまざまな伝送手段のメリット、デメリット、実現可能性を検証する実証実験を実施すべきこと。こうした取り組みとあわせて、地上デジタル放送にかかわる民間事業者は従来以上の主導性を持って事業活動に取り組んでいただくということが不可欠であるということでございます。
  概略は以上のとおりでございますが、詳細につきましては検討委員会の主査であります村井臨時委員よりご報告をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。村井主査よろしくお願いいたします。
村井臨時委員  皆さん、おはようございます。それでは、今の概略を説明していただきました「地上デジタル放送利活用の在り方と普及に分けて行政の果たすべき役割」ということでの、地上デジタル放送推進に関する検討委員会として議論されたことのディテールを資料1−1を用いてご説明させていただきたいと思います。
  まず、めくっていただきまして、流れのことで今ご説明があったとおりでございます。その次をめくっていただきます。まずは、大体半年程度の放送開始後の状況というのが現状でございますけれども、大枠としては基本的な開始前の予想を上回ったと言ってもいいと思うんですけれども、認知度、そのほかの例えば機器の普及度、価格の値下がりとか、そういった視点では当初の予定よりやや上回るといいますか、価格は下回るということで、つまり順調にいっている部分もございます。下の価格とかそういうところで見ていただきますと、そういった感じです。
  それから、その下の認知度というのがございまして、これもいろいろな意味で東名阪で開始をして、それから現在に至るまでの認知度でも、非常に大事な議論のポイントの1つでございました2011年にアナログ放送が終了するということの認知度というのは確かに上がってはいるわけですけれども、この認知度というのは限りなく100%に近づいていかなければならないという使命を持っているわけですから、そういったためにはどういうことをやればという大変大きな課題もあることになるわけです。
  というわけで、次に1枚めくっていただきまして、全国普及ということが放送というメディアの性格上非常に大きな使命となりますので、この中で幾つかの視点がございますけれども、その中では、やはりデジタル化ということの中から生まれてくる特徴あるいはアドバンテージ、あるいはほかのデジタルテクノロジーの発展、こういうものとの関連ということの中でとらえていく必要がございまして、このことはe-Japan戦略の中でもはっきりととらえられて議論されてきたことでございます。
  というわけで、一番下の枠のところを見ていただきますと、そうなってまいりますとまず大きくサービスの種類を2つに分けることができるだろうということでございますが、1つは基本的なサービス、つまりテレビを見るという、あるいはテレビの放送をするということでございます。この中ではご存じのようにハイビジョン放送であるとか、サラウンドのいいクオリティーの音声であるとか、電子番組表であるとか、そういったことが出てまいります。それに対して、もう一つの側面はこういったインターフェースの問題が出てまいります。これはこの次の高度なサービスとも関連がございます。
  もう一つの、テレビとしての基本的なサービスに加えまして高度なサービスというのがございます。つまり、放送と通信の連携、すなわちデータ放送をどういうふうに使うかとか、それからモバイル放送をどういうふうに使うか。サーバー型放送と言われている新しいアプリケーションをどういうふうに使っていくのかというような課題がございまして、こういうことを含めますと、テレビという端末がリモコンで操作できる非常に簡単なデバイスであるというような側面からの大きな期待というのも出てまいります。
  基本的には高度な放送サービスの開発普及ということのいろいろなインフラ整備、そういうことに対しては基本的な考え方としては、民間部門が創造性と主導性を発揮して進める、主導するということが非常に大事なポイントだということがデジタルテクノロジーの基盤全般に言えることかと思います。
  そして、その次のポイントとして、こういった新しいサービスがどういうふうに普及展開をしていくかということに関しての1つの大きな仕掛けをつくっていく必要があるだろう。これが公共分野においての高度な地上デジタル放送のサービスを先行的に導入するということに結びつくだろうということでございます。
  3番目は、やはり放送というメディアということの性格としての重要性というのがございまして、あるいはセマンティクスがございまして、これに関しまして全国的均衡のとれた整備ということが必要になります。そのための環境整備をいかに進めていくかというための関係者全部が一体となった統合的な努力が必要になるだろうということでございます。
  次のページにいきまして、放送と通信の連携ということでございますけれども、それぞれ性格の違うものですから、それが補完的に機能するようなことを考えて、やはり利用者の視点にとってより利便性の高い多彩なサービスを広い範囲でつくっていくということが必要になります。
  そのためには、これも2つに分けることができまして、伝送路における連携、それから端末における連携。つまり端末も通信と放送の両方を享受できる端末というものをもう既にこれがモデルとなっておりまして、それから伝送路がどういうふうに補完し合えるのかということも1つのモデルになっております。
  伝送路の連携というのは、例えば既存光ファイバを使ったハイビジョンのたくさんのチャンネルを配送するという、これは電波で左のほうで受けておいて、それを今度は光ファイバを利用して配信する。こういうB−PONという技術のモデルでございます。
  それから、次のページを見ていただきますと、いろいろなカバレージを上げていくという視点では、通信インフラのカバレージを入れていく。あるいは高速の光ファイバの布設を推進するという施策は既にとられておりまして、そういったリソースが既にある地域もございますので、こういったものをどうやって地域内の情報格差の解消に向けて利用できるかということの技術的な課題、制度的な課題、このようなことがあるということでございます。
  次のページを見ていただきますと、端末での通信と放送の連携ということは、既に試作品等も今写真で見ていただきますようなものがございますように、放送波を移動端末の中で使える。これは、こういう携帯電話のイメージを持っていただいても結構ですし、自動車の中での受信のようなものを持っていただいてもいいかと思います。そういうデバイスが通信と放送の両方の連携をしているということで端末の例でございます。
  今度は端末が今のテレビ、市販の地上デジタルが映るテレビ、衛星デジタルのときからそうですけれども、要するにデータ放送というのがございまして、双方向、つまり受信するだけではなくて情報を発信するというメカニズムを持っていまして、こういうものを利用しながらの実証実験が幾つか自治体で既に行われていまして、これの検討も委員会でいたしました。
  ここの中での一番大きなインパクトというのは、パソコンではなくてテレビという端末がこういう複合的な機能を持っているということのアドバンテージ、これが非常に強く報告されたのではないかと思います。つまり、簡単なインターフェースなんだよということの、かなりユニバーサルな対象を相手としたサービスをつくっていくための端末の有効性ということが、特にテレビの役割ということも議論されました。
  次を見ていただきますと、今回の日本のデジタル放送のメカニズム、放送技術の中では、この中で1セグメントということで携帯電話用の放送技術が決まっております。エンコーディングの方法は知的所有権の問題で少しおくれておりましたけれども、この問題も解決をいたしました。したがいまして、この可能性というのが出てまいりまして、地上デジタルの電波を使いますと、受信ができている限りは非常に鮮明な映像を受け取ることができるということがあります。これが携帯電話との連携の中でどういう可能性があるかということに関しての可能性は非常に大きな期待があるかと思いますけれども、それに関しての検討と説明あるいはデモンストレーションというのも委員会の中で行いました。
  それから、その次に携帯電話には、自動起動とそういった受信が連携し、それからさらに避難地などを検索していくようなことがインターネット、それから放送、両方を使いましたこういった防災分野でのいろいろな提案というのができておりまして、これもかなり説得力を持つメカニズムあるいはデモンストレーション、技術開発が進んでいるようなところがございます。こういったことも1つの1セグメントモビリティーの部分の応用例として期待されている部分かと思います。
  次の次のページを見ていただきます。サーバー型放送というのがありまして、このサーバー型放送というのはちょっと言葉があれですけれども、基本的には電波で受信したものを一たんストレージの中に蓄えまして、今度は蓄えた放送をどういうふうに利用できるかということでございまして、そのからくりといますか仕組みとしては、放送の中にメタデータ、その映像データがどういうことを意味しているかというデータを同時に放送しておりますので、そのデータを使いまして検索をしたり、そうすると一部分の利用を進めたり、こういうことができるというからくりでございますけれども、このことでメタデータの推進をして、それから新しい応用ができるということになります。
  次のページはその例でございまして、教育分野などで教材としての放送あるいは教材として利用できる放送を1回蓄積いたしまして、その蓄積の中からオーサリングをしたりすることを、先ほどのメタデータ、映像と一緒についているデータを利用してつくっていくというような例でございます。
  その次を見ていただきますと、やはり今度は遠隔医療、あるいはそういった電子的なデジタルテクノロジーを使った医療や介護の仕組みというのが非常に推進されているわけですが、この中でやはり今申し上げたようなデジタル放送の役割あるいは簡単なインターフェースであるという側面あるいはそのデジタルテクノロジーを使った認証やセキュリティーのメカニズムを使ったプライバシーを尊重した上でのこういった医療、介護関係での応用ということも出てまいりますが、これに関しましては制度、行政の責任というようなものが非常に絡んでまいりますので、この辺を進めていくためには公共的なメカニズムがやはり必要になるということになると思います。
  というわけで、この次のページに参りますと、今後、ではどういうふうに進めていけばいいのかということになります。今のような幾つかのアプリケーション、テクノロジーの期待、新しいサービス、こういうようなものに関して国民とより多くの接点を持つ地域における公共サービス分野、こういうところの先行導入というものに対しての大きな効果が期待できるということでございまして、国はもちろんですけれども、地方公共団体も一定の役割を果たしていくということが期待できるだろうということでございます。
  それから、2点目としては、実証実験を行って、こういったメカニズムあるいはこういったアイデアがどういうふうに人と社会に受け入れられるかというメトリックを確立していくということがとても大事なことになるだろうということでございます。
  では、これをデジタル移行ということを2011年、その他の最初に申し上げたようなプランに基づいて進めていくということになりますと、全国に均衡のとれた整備ということが大事になります。
  特に、条件不利地域をどういうふうにしていくかということですけれども、その中では実際に既存インフラの活用ということがとても重要なかぎになります。現在でも幾つかの技術を経まして、ケーブルテレビを介して地上デジタルを利用するということの接続ボックスが2段階に分けて進んできたのではないかと思いますけど、1段階は転送を行うということでしたけれども、現在では双方向の本来のデータ通信も含めたメカニズムを実現できるSTBができておりまして、これを現在は約3割がケーブルテレビを介しての視聴でございますけれども、今度のデジタル可能のところでもケーブルテレビのそういった補完的な役割ということでございます。
  それから、もう一つは先ほど申し上げましたような条件不利地域における通信インフラの整備が進んでおりまして、こういったものとの補完的な連携ということが全国的な均衡のとれた整備に貢献をするんではないかということでございますが、この通信と放送というもののセマンティクスのいろいろな違いということをかんがみて、そのための一定ルールあるいは条件、こういうものをはっきりとした上で進める。あるいは技術的な要件を満たせるのか。こういうことも必要になってくるかと思いますので、コスト、フィージビリティー、アドバンテージ、ディスアドバンテージ、こういったものが明確になるような実証実験が必要になるだろうということでございます。
  というわけで、その次のページを見ていただきまして、そういった形で利用者の視点で利便性があるかということ、それからサービスの具体的なイメージが展開をして、浸透していけるかどうかということの実証実験が大変重要になってくるだろう。それから、地方公共団体が公共サービスの手段として実証実験をやっていることは大変有効になるだろう。
  それからもう一つは、こういったメタデータ、教育の現場での利用、そういった新しい通信技術の発展ということを考えますと、やはり我が国はこの2005年を目指してデジタルコミュニケーション、デジタル情報基盤の最先端の国家になるということを目指して進めてきたわけですけれども、やはりこの分野はそういった1つの基盤になるというふうに考えられているわけですから、そうだとすると、国際的な競争力あるいは国際的な大きな貢献、あるいは国際的に貢献できるような成功モデル、こういったようなものを考えていく必要がありますので、技術としては国際標準ということになるわけですが、その利用や社会制度の作成や転換のプロセス、こういったこと自身も世界に貢献できるような成果をつくっていく必要があるだろうということでございます。
  実証実験としてはやはりそういったことをかんがみますと、非常に厳しいといいますか、はっきりとした評価の基準や目的の明確化、こういうものを持っておりまして、それに関して実証実験の評価がどういうふうになっているのかということがわかるようにすることが重要であると同時に、教育、防災などの公共関係の私たちを取り巻くさまざまな環境との関係が出てまいりますので、関係各省庁、それから地方公共団体との密接な連携というのが必要で、その上で実証実験を進めることが必要だということで、3点目としてこれは最初にも申し上げたことですが、この技術がほんとうに進んでいくための民主導という中での積極的な取り組みが期待されるという点でございます。
  ご説明としては以上でございます。
秋山会長  どうも後藤委員、村井委員ありがとうございました。ただいまの中間答申案につきまして、ご意見、ご質問がございましたらよろしくお願いいたします。
土井委員  私もこの検討委員会に参加させていただきましたが、今、村井委員のほうからお話がありましたように、実際に国際標準をつくっていくということは非常に重要なことだと思いますが、この諮問がありましたときに、たしか村上委員から2011年に全部やっていくときに、アメリカでも進めているから、それにちゃんと対抗できるようにしていくことが重要だと、グローバルな視点での進め方が重要だというご指摘があったと思うんですけれども、そういう点で携帯端末という日本が非常に強い技術と、放送、情報家電ということで、これも日本が今、景気を牽引しているものなんですが、それが融合してできるというところが1つ試していけるというのが非常に重要なことだと思います。
  また同時に、サーバー型放送、先ほど村井委員のほうからもご指摘がございましたが、地方自治体のところでいろいろ実験をしていただいて、そうするとパソコンではうまくインターネットがマウスとかダブルクリックできなくて使えない、だけどリモコンであれば使えると。そういう実証実験がたくさん上がってきておりまして、そういう形でほんとうに情報家電からインターネット、通信を使っていただくという、技術を意識せずにユーザーの方が使っていただけるという環境がサーバー型放送のところで実現できると思います。
  ということで、ぜひこういう実験をやっていただいて、ユーザーの方、国民の皆様にも、たし今日いらっしゃっていませんけれども、諮問のときに吉岡委員からデジタルになって高いお金を払うけど何がいいことあるんですかというご指摘がありましたけれども、やはりただ単にテレビを見る、もちろんそれも大事な、非常に品質の高い放送が受信できるわけですけれども、それ以外にもユーザーが参加していくような新しいサービスが受けられるんだということを教育の場でやっていただくと、お子さんがわかります。そうすると、お子さんに教えていただいて親御さんも一緒になってわかる。あるいはおじいちゃん、おばあちゃんも一緒になってわかるという意味で家庭のコミュニケーションにもつながると思いますので、ぜひこういう実証実験をやっていただきたいと思います。
  あともう1点、私、参加させていただいたときに、自治体の皆様から今まで一生懸命ケーブルを引いた、あるいは光ファイバを引いた、そういうのはどうなるんですかというご指摘がありましたけれども、そういうものに関しましてもこのような実証実験を通じていくことで、先ほど村井委員からお話がありましたように、この地域ではこれぐらいケーブルがある、これぐらい光ファイバがある、だからこうしましょう、ここはないからちゃんとアンテナを立てましょうみたいなマイルストーンをきちんと示してほしいというお話がありましたので、ぜひこういう実証実験を通じまして、こうするとどういうふうになるのかということを明らかにした上でマイルストーンを示していくということが、国民に対して説明するという意味でも非常に重要なことかと思います。
  以上、参加させていただいた上での意見を述べました。
秋山会長  どうもありがとうございました。そのほか、どなたかご意見ございましたらお願いいたします。
村上(政)委員  先ほどのご説明、非常に理路整然としていて環境が整いつつあるという意味では非常に大きな進歩をしていると思います。ただし、これはハードとソフトということで言いますと、ハードの問題で、そちらは非常に進んできているというふうに思いますが、問題はソフトなんですよね。そのソフトというのは非常に金がかかることでして、例えば経営的に考えましても、そう簡単にいかない。普及度なんかでも日本の場合、ほとんどの方がテレビとか放送というのはただで聞ける、見られるというふうに思っていますから、ここで言われているのは多分有料放送を頭に置いておられると思うんですけれども、それはお金を出してこういうものを見る人が何人ぐらいいるのかというふうに考えますと、そう簡単な話ではないと思うんですよね。
  したがって、ここでいわれている環境整備、実験を含めてですけれども、いわゆる環境整備という場合にハードの面の環境整備だけではものは多分進まないだろう。やはりソフト面でどういうことをやるのか。それは民間が考えることだというだけでは、なかなか実態は進まないだろうと思います。その辺をどのように、検討された経緯がございましたら教えていただきたい。
村井臨時委員  おっしゃるとおりでございまして、つまりハード、ソフト、コンテンツがどういうふうに発展していくかというのが大変重要なことになってまいります。それで、コンテンツも、やはり先ほどご説明させていただいたような大きく分けると2つの種類がございまして、今までのテレビジョンのコンテンツ、これ自身がデジタル化をされた映像のコンテンツとして広がっていくという側面が1つありまして、今度はそういったデータ放送などを含めました双方向の新しい基盤というところにマッチをした新しいコンテンツという2つの側面がございまして、これはいずれもご指摘のように活発に広がっていかなければならないということで、これに関する政策的なアプローチというのをもっといろいろな視点から進めていく必要があるということが議論されました。
  もう一方では、デジタル化をされたときのコンテンツづくりというのは、やはり環境が非常に変わってまいりまして、これも委員会の中で1回議論が出ましたけれども、そのデジタル化のコンテンツをつくる機材というのが今までのアナログ映像をつくっていくということから、今のようなコンピュータをベースにしたパソコンの中では今大変高度な映像がつくれるようになっていますが、そういうものとの距離感が近づいてまいりまして、そういう中から、そういったクオリティーの高いコンテンツを競争的にたくさんの人がつくれるような環境をつくっていくということで、我が国全体のコンテンツの産業あるいはコンテンツの力、こういったものが広がっていく方向の基盤として、こういった地上デジタルの枠組みが進んでいかなければならない。こういうことが役割としての課題でございます。
  それから、この地上デジタルの議論をしていく中では、放送の議論の中で進めているわけですから、有料の部分、例えばデータ通信をしているとか、あるいは何かをダウンロードする、こういうところの有料化というのはありますけれども、今までのビジネスモデル、すなわちコマーシャルを入れた放送としてのモデル、この両方がやはりこの技術の中で発展をしていくということでとらえていますので、そういった意味の中で、おっしゃるような意味での今日ご説明しただけでもサーバー型、携帯型、それから普通の放送、それぞれがデジタル化に伴う新しいコンテンツのマーケットができて、そこでの競争ができる。これこそがまさに国際的な競争力を持つことが必要なジャンルですので、これに関してのいろいろな議論が必要になるだろうということで、それの基盤としてこの地上デジタルのシステムがどのように普及していくか、発展していくかということで議論してきたということでございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。村上委員のご指摘は今、村井委員がおっしゃいましたように、これからの重要課題だと思いますので、最終答申に向けて、さらに検討していただくようにいたします。
竹中委員  10ページのところの防災分野で、以前危機管理がテーマのときにもお話をしたんですけれども、このたび新潟と福井であのような大きな災害もあって、やはり広報車が走るというようなのは既に時代おくれといいますか、頑張られる広報車の方には申しわけないんですけれども、やはり的確に聞こえない方や聞こえにくくなられた高齢者の方も含めて一様にそういう危機の情報が届くように、ぜひこの分野は強力に進めていただきたいということと、そういう大雨という状態になったときに、どの程度電波が正確に届くのか、素人で全然わからないんですけど、そういったことの実験、検証などもあわせて進めていただければ、地上デジタルの推進によって安全が図られるということも非常に国民にとっては大きなメリットといいますか、プラス要素だと思いますので、ぜひその分野に力を入れていただきたいと思います。
村井臨時委員  今見せていただいた画面をもう一度見せていただくといいんですけれども、11ページを見ていただきたいんですけど、今ご指摘の点は大変重要な点で、要するに幾つかの例えば津波の事件であるとか、今回のような水害、幾つかのところで例えば10分、20分のディレイがやはりフェイタルな結果を招いたという歴史を私たちは大分持っていまして、それが今これだけ携帯電話が普及したときにどういうふうに働くかということのイメージというのは、いつでも考えられていると思いますが、今ここで見ていただいたように、先ほどご説明飛ばしたんですけれども、要するに放送の電波が待ち受け状態の携帯電話を強引にオンにするというメカニズムそのものが幾つかの方法であるわけですが、これが何かそういう災害やパニックが起こったときにはコンジェッション(congestion)が起こってしまうというのが通信の技術、電話などではよく知られているわけですが、それが放送の電波をコントロールとして使ったときに、またそういったようなことでどこでも受信できますので、それがこういったスイッチをオンにするというコントロールでもうまく働くんじゃないかという意味での通信と放送の補完的なことも議論されました。
  したがいまして、今、竹中委員のご指摘のような意味での技術検証も含めまして、これをぜひ進めていくというのが答申の中に含まれているとお考えいただければいいと思います。
多賀谷委員  今の防災の話について一つつけ加えたいんですけれども、昨日テレビで新潟の洪水のときの話で、三条市の場合においては防災行政無線が各戸に配置されていなかったために、緊急警報がおくれたという事例がございます。我が国では一方において防災行政無線という同報通信のシステムがあるわけですけれども、基本的に今後かなりの間、携帯電話によるウエークアップ型の防災情報と防災行政無線というのがおそらく併存するということになると思います。特に、山間地においては防災行政無線システムがやはり中山間地の場合にはなお有力でしょうけど、都市部においてはおそらく携帯のほうに移らざるを得ないだろう。
  そうすると、ぜひお願いしたいことは、基本的に両方とも送るコンテンツは同じものであって、その場合においては二重に別々のソフトをつくるような体制になっては困る。基本的に同じような防災情報という緊急情報等を流す場合に、それが防災行政無線にも流れ、そして同時にこの携帯のウエークアップ型にも流れる。そういうような形でコンテンツをつくるような工夫をしていただきたい。ぜひ二重投資はしないでいただきたいというふうに思います。
秋山会長  どうもありがとうございました。いろいろご意見あるかと思いますけど、最終答申を来年の7月に予定しておりますので、その間いろいろご意見をお寄せいただきたいと思います。
  それでは、第8号議案につきまして、中間答申として本案のままでよろしゅうございますか。
  (「異議なし」の声あり)
秋山会長  ありがとうございました。それでは、本案をもちまして中間答申とさせていただきます。
  ただいま田端副大臣と松本政務官がいらっしゃいましたので、これから答申書をお渡ししたいと思います。
  (報道関係者入室)
秋山会長  それでは、諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」につきまして、中間答申を行いたいと思います。
  答申書。平成16年7月28日付諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」をもって諮問されました事案につきまして、審議の結果、別添のとおり中間答申を行います。


  田端副大臣あいさつ


秋山会長  それでは、田端副大臣にごあいさつをお願いしたいと思います。
田端副大臣  総務副大臣の田端でございます。本日は、麻生大臣所用のため欠席になっておりますので、かわりに私のほうから一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。
  秋山会長をはじめ皆様には、平素から大変に情報通信行政に関してご支援、ご指導いただきまして心から感謝申し上げたいと思います。特に、秋山会長には私は地元大阪でも大変にご指導いただいているところでございます。
  ただいま「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割について」ご答申をいただきました。秋山会長、後藤部会長代理、それから村井委員会主査はじめ委員の皆様には、積極的かつ精力的にご審議をいただきましてご答申をとりまとめいただきました。心から深く感謝申し上げたいと思います。ありがとうございます。
  総務省におきましては、昨年12月より開始されました地上デジタル放送を、全国各地において円滑に普及推進するためにさまざまな施策を展開してまいりました。今回いただいた中間答申におきましては、地上デジタル放送ならではの高度なサービスとその利用可能性、また公共分野における利活用の具体像と利用者のメリット、そしてまた高度サービスの普及に向けての行政の果たすべき役割等々についてご提言をいただきました。総務省におきましては、本日のこのご答申を受けまして、今後の施策や予算要望に一層これらの問題を反映させていく所存でございます。そして、また今後とも皆様の一層のご指導とご支援をお願い申し上げて、ごあいさつにさせていただきたいと思います。本日はまことにご苦労さまでございます。ありがとうございます。
秋山会長  田端副大臣どうもありがとうございました。副大臣と松本政務官は所用がおありとお伺いしておりますので、ご退席いただきます。
  (報道関係者退室)



諮問事項


    「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について【諮問第9号】

秋山会長  それでは、審議を再開したいと思います。
  続きまして、諮問事項に移りたいと思います。諮問第9号「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」につきましては、最初に総務省よりご説明をお願いいたします。
武井技術政策課長  技術政策課長でございます。諮問第9号「ユビキタスネット社会に向けた研究開発の在り方」について、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。資料2、諮問書の2ページに諮問の理由、答申を希望する事項等ございますので、これに従いまして簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
  本件につきましては、簡単に申し上げますと平成22年、2010年のユビキタスネット社会を視野に置きました今後の研究開発の在り方、研究開発ビジョンといったことにつきましてご審議をお願いしたいというものでございます。
  1番の諮問の理由にございますように、これまでe-Japan戦略あるいは総合科学技術会議の決めておりました科学技術基本計画、こうしたものに従いまして、国としても情報通信関係の研究開発あるいは普及といったものを精力的に進めてまいりました。民間各界のさまざまなご努力の結果、現在日本ではブロードバンド環境といったものが非常に進歩いたしまして、世界で最も安く高速のサービスが実現している。あるいはモバイルの分野につきましても、インターネット利用といったものが世界の中でも大きくリードをしているという状況にあろうかと思います。
  今後こうしたブロードバンドあるいはモバイルのインフラ、あるいは今後登場してまいりますデジタル放送、こうしたようなものをプラットフォームの面で日本が得意といたしますような情報家電でございますとか小型の携帯機器とかあるいは大容量の光通信の技術、こうしたものを活用しながらユビキタスネット社会というものの実現に向けて、これから積極的に取り組んでいくということが求められていようかと思います。
  また、ネットワークの利用が広まる一方で、セキュリティーの不安でございますとか、あるいはインターネットのバックボーンの通信量の増大とか、やはりいろいろ今後解決すべき課題も多々発生しておりまして、こうした問題解決型の研究開発ということも非常に重要になってまいりますが、いずれにいたしましても、こうした今後のユビキタスネット社会の実現、あるいはさまざまな諸問題を解決するためのさまざまな研究開発課題というものを改めて見きわめまして、特に重点的に加速して推進していく分野というものをはっきりさせていくということが必要になってこようかと思います。
  こうした研究開発、技術的な観点とともに、こうした研究開発を担う産官学がさまざまなこれ以外につきましても、最近の状況をいろいろ拝見させていただきますと、民間企業におきましては、いっときのITバブル崩壊の影響といったものは脱しつつあるわけですが、やはり選択と集中ということでいろいろ企業体質の改善の中で、民間における研究開発もだんだん構造が変わりつつあるのかなと思っておりますし、また、学の分野でも、ことしの4月から国立大学が法人化したといったような状況でございます。
  こうした中での政府の科学技術基本計画、これは平成13年に定められまして5年計画ということでございますが、平成18年度から次期の科学技術基本計画に移るだろう。また、総務省関係の情報通信に関する唯一の公的研究機関でございます独立行政法人の情報通信研究機構が本年発足いたしましたが、これにつきましても、次期の中期計画といったものが平成18年度からスタートするという状況にございまして、政策的な観点からも研究開発をどのように進めていくかということにつきまして、産官学の連携の在り方、こうしたことも踏まえて状況がいろいろ変わってくるのかなと思っております。
  こうした中におきまして、今後やはり経済産業のインフラでございます情報通信といったものにつきましてよりよいサービスを行うとともに、国際的な技術競争力ということを保ちつつ、受け入れた上で国とか公的機関あるいは民間、各界どのような形で今後の研究開発を進めていくべきか。こうしたことにつきましてご議論をいただきたいということでございまして、平成22年、2010年のユビキタスネット社会の実現に向けた研究開発の在り方ということにつきまして、2にもございますように今後特に重点的に取り組む分野、いわゆるナショナルプロジェクト的なもの、それからその中での国や公的機関の役割、さらに日本の情報通信技術の国際競争力の強化でございますとか、あるいは日本発の技術の国際展開、こうしたものの方策につきましていろいろご検討、ご答申をいただければというふうに期待しております。
  答申を希望する時期といたしましては、18年度以降のさまざまな政策ビジョンなどに反映する、こうしたことを踏まえまして来年の平成17年7月ごろにご答申をいただければというふうに期待しているところでございます。
  ただいま申し上げましたようなことを簡単に絵でかきますと、次の3ページのようなことになりますが、さまざまな現在の情報通信分野への取り組み、今後の課題といったことにつきましてさまざまな研究開発を、日本の情報通信分野の研究を取り巻く環境がいろいろ変化するだろうという中で、今後平成22年に向けた研究開発のビジョンといったことについてご検討いただきたいというものでございます。
  簡単ですが、以上でございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。ただいまの説明につきまして、ご質問、ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。
村上(輝)委員  私、先月韓国に行ってきたんですけども、韓国で「u-Korea推進8・3・9戦略」について聞いてまいりました。一般に韓国はホームネットワークについては熱心だが、ユビキタスについてはちょっと距離を置いている、という認識を私は持っていたんですけれども、おそらく日本でu-Japan構想なんかが出たインパクトもあると思いますが、非常に素早く韓国はそれに対応してユビキタスネットワークに関して新しい政策体系を打ち立てようとしております。また、ユビキタスネットワーク関係の技術を見ていますと、米国の軍事研究開発の役割の大きさをひしひしと感じます。RFIDもそうですし、UWBにしましても、これから重要になってまいりますセンサーネットワークにしましても、淵源をたどりますと全部米国の軍事研究開発に行き当たるという状況がございます。
  こういう中で、今回の諮問が出ているわけですが、このような韓国や米国における動き対応して、我が国が戦略的なポジションをとっていくためには、韓国のように政策開発のスピードを上げる、あるいは米国の軍事研究開発に対応するような研究開発の新しい仕組みを考えるということも重要ですけれども、おそらく最も重要なのは、利活用の視点を、日本のユビキタスネット研究開発については忘れないということではないかと思います。
  この諮問には国際的な視点は明確に出ておりますが、どちらかといいますと供給サイドの視点が強くなっているように思いますので、これがどんな成果を利用者にもたらすのかという利用者サイドの視点を最後まで崩さないで、諮問に対する対応をいただければというふうに思います。
武井技術政策課長  ご指摘はごもっともでございまして、研究開発をするプレーヤーのほうから見ると当然やはり国際的な競争にもしっかり勝っていきたい。あるいはこれまで村上委員ご指摘のように、インターネットはやはりどうしても米国のほうが有利だったわけですが、日本の強みといったものをどのようにしっかり確立するか。国際的にも貢献していくというスタンスでどうしていくか。これが重要なわけですが、ただそうはいいましても、やはり技術といったものは、最終的にはユーザーたる一般の国民の方々の生活の向上とか、あるいは最近は安心、安全な社会生活の実現ということにいかに役立つかということなしには意味がないわけでございまして、当然ご指摘のような視点を最後まで忘れずに、どのように研究開発を進めていくべきなのかということで議論をさせていただければと思っております。
生駒委員  この分野は当然のことながら経産省とあるいは文科省との連携協力が必要だと思いますけれども、この辺はどういうふうにお考えになっているのでしょうか。今、私はJSTの科学技術振興機構の中の研究開発戦略センターというのが最近できまして、その中でまさにこれと同じことを検討するセンターでございまして、土井先生にいろいろお願いをして、我々も全く同じことを検討しております。その辺のタイアップというか、連携をどういうふうにお考えでしょうか。
武井技術政策課長  特に総合科学技術会議の科学技術基本計画、この中で現在情報通信分野は、重点4分野の1つということで取り上げられておりますが、実際に情報通信として考えている中身は今先生ご指摘のような、省庁でいきますと主として総務省、経済産業省、文部科学省、こうした分野の集合体になっております。総合科学技術会議の側からでも次期科学技術基本計画に向けて、各省庁それぞれの立場からどういう展望を持っていて、どのように国としての科学技術基本計画の向上に寄与できるか。いろいろとコントリビューションしてくれと、このようなことが求められております。
  そうした中で、今回この諮問という形ではネットワークの立場からいろいろ特徴的ビジョンをご検討いただきたいと思っておりますが、当然最終的には政府としての科学技術基本計画への反映といったことも踏まえていくと、当然ご指摘のように関係省庁といろいろ役割分担をどのように考えていくのか。これも十分に念頭に置きつつ、うまくコミュニケーションしながら検討を進めてまいりたいというふうに思っております。
竹中委員  実はプロップ・ステーションはアメリカのペンタゴンにあるキャップというところと連携をしているんですが、それはどのような組織かというと、ペンタゴンやナサで開発された最高の科学技術を使って最重度の障害を持つ方までもが社会に参画し、政府の職員になったり、あるいは企業のトップリーダーになったりというようなことを推進している米国の国策によるセクションなんですね。今もおっしゃいましたように、インターネットの分野というのは非常に米国がさまざまなユニバーサルに関しても進んでいまして、その裏づけの1つとしてリハビリテーション法508条のような法整備がある。つまりすべての人がインターネット、ICTというものにアクセスできるべきだという極めて強烈な国の意思を示したような法律がある。
  例えばプロップで、ある全盲の青年がおりました。大変コンピュータの達人で天才的な青年でしたが、残念ながら日本のコンピュータの書物というのはほとんど最新のものが点訳されていないという状況の中で、彼は非常に英語も堪能でしたので、アメリカのインターネット網に入っていって、508条によってすべての書物、文字のものが、公的なものも私的なものもオンラインで公開する。これは有料、無料もちろん両方あるわけですが、そういったものにアクセスをして、自分で学んで一層の技術を磨いて、現在は大手のコンピュータメーカーの技術者としてアクセスビリティーを担当しているんですが、そのような経験からいいますと、やはり日本でもユビキタスあるいはユニバーサルITジャパンということを提唱される上で、ぜひそういった国策的な大きな方向性を出していただくことと、何らかの法整備といいますか、法による位置づけみたいなことを総務省が推進をしていただければうれしく思います。ぜひ、そういうことも議論の中に加えていただければと思います。
武井技術政策課長  ご意見十分に踏まえてご検討をお願いできればと思っております。
秋山会長  そのほか特にご意見がないようでございましたら、本件を諮問することにつきまして了承したということにさせていただきたいと思います。
  なお、本件につきましては、これを効率的、機動的に審議するために、また基本的かつ総合的な政策について所管しております情報通信技術分科会におきまして、広い分野から専門的に審議していただこうと思っております。分科会へ検討を依頼するということでよろしゅうございますか。
  (「異議なし」の声あり)
秋山会長  ありがとうございました。それでは情報通信技術分科会に検討をお願いすることといたします。


  報告事項

    分科会及び部会の審議状況について
    ア  情報通信技術分科会の審議状況について

秋山会長  続きまして、報告事項に移りたいと思います。
  まず情報通信技術分科会の審議状況につきまして、齊藤情報通信技術分科会長から報告をお願いいたします。
齊藤情報通信技術分科会長  それではご報告させていただきます。情報技術分科会の分科会長をさせていただいております齋藤でございます。
  情報通信技術分科会につきましては、本年の1月の総会でご報告申し上げておりますが、その後の6カ月間の状況について資料3をご用意させていただきましたので、それに従いましてご報告させていただきたいと存じます。
  第1項目の審議体制でございますが、ここにございますように平成16年7月28日、本日現在11委員会をつくってやらせていただいているということでございます。恒常的な委員会としてITU−R、ITU−Tの2つの委員会がございまして、それぞれお手元の別紙、今ごらんになっている資料3の3ページでございますが、委員会を設けております。ITU−T、ITU−Rの委員会につきましては、従来と同じでございますが、ITU−Tのスタディーグループに対応しまして、それぞれその下に委員会を設置しているということで、効率的な審議を行っているということでございます。
  ITU−T、ITU−Rにつきましては、それぞれのスタディーグループに対応した委員会でご議論いただきまして、それをITT部会、ITR委員会にご報告するという格好でございます。
  開催状況でございますが、技術研究会につきましては原則毎月1回開催するということでございますが、1月以降ほぼ6カ月の間に4回開催いたしまして、諮問事項を審議いたしました。
  ITU関係の2つの部会につきましては、年に2回程度ということで、それぞれの委員会からのご議論の結果を報告いただくという形でございますが、両部会につきましては2月に開催いたしまして、その後8月に開催するということでございます。それが会議の開催状況でございます。
  分科会の主な審議内容といたしましては、新規の諮問案件が1月以降1件、答申案件が1月以降2件ございました。1件目の諮問案件でございますが、本年の6月に諮問がございましたものでございます。船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムについての技術的条件についてということでございますが、これは従来地上でも使われているような衛星を使った通信方式によって、船舶でもそれが使えるようにするということでございまして、運行中の船舶内における旅客等のeメール等の送受信、ウェブ閲覧等インターネット接続サービスを提供できるようにする。そういうニーズが高まっているということでございまして、船上地球局による高速・大容量海上衛星通信システムについての諮問ということでございます。
  これらの諮問によって技術的条件が明確にされますと、それを使って日本国籍の船舶ということでございますが、海上において高速インターネットアクセスができるようになるということでございまして、現在衛星移動通信システム委員会において調査検討を進めております。
  答申案件2ページ目に2件示してございます。1つ目は第3世代移動通信システムの技術の進展に伴うものでございまして、携帯電話等の周波数有効利用方策のうち、第3世代移動通信システムの高度方策についてということでございますが、これにつきましては第3世代移動通信システムの技術が発展いたしたということでございまして、特にHSDPA、第3世代の中でメガビットクラスの高速移動通信を実現するという方式がございますが、これをW−CDMA方式の一部でございますが、800MHz帯においても実現するようにするということについて高度化方策としてとりまとめたものでございます。
  もう一つの件は、電気通信事業における緊急通報機能等の高度化方策のうち携帯電話からの緊急通報における発信者位置情報通知機能に関する技術的条件ということでございます。これは携帯電話から110番、119番等をしたときに、その端末からその電話をかけた人がどこにいるかということが警察、消防署その他に自動的に伝わって、適切な対応がとれるようにするというために位置情報をどのように通知するかということについての技術的条件についてとりまとめて答申したものでございます。
  これができますと、それぞれ消防署、警察その他において、それに対応する設備をつくっていただかなければいけないわけでございますが、消防署、警察その他においても2年後をめどにそういう準備ができる予算措置を講ずる見込みがあるということでございますので、それに対応して携帯電話等においてもそういう設備をつけて、これについては携帯電話等のとりかえその他によって、次第にそういうものが増えていくということでございますが、早急にそういう機能をつけた携帯電話が普及するようにするということの技術的条件をとりまとめたものでございます。
  以上でございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。ただいまの情報通信技術分科会の審議状況につきまして、ご質問、ご意見がございましたらよろしくお願いいたします。
  特にご意見ございませんでしたら、報告を了承することとさせていただいてよろしゅうございますか。
  (「異議なし」の声あり)
秋山会長  ありがとうございました。
  分科会の委員の皆さん方には精力的にご審議いただきましてありがとうございました。引き続きまして、審議を要する事項につきましてよろしくお願いしたいと思います。


    イ 電気通信事業部会の審議状況について

秋山会長  それでは、最後の議題でございますけれども、電気通信事業部会の審議状況につきまして、根岸電気通信事業部会長からご報告をお願いいたします。
根岸電気通信事業部会長  電気通信事業部会長をしております根岸でございます。我々の部会の審議状況につきましては、本年1月の総会にご報告しておりますので、それ以降約6カ月間の状況について資料4に沿って報告させていただきます。
  我々の部会の審議体制でありますけれども、これまで諮問された事項のうち接続等に関する事項につきましては接続委員会で、また基本料及び施設設置負担金等に関する事項につきましては基本料等委員会で調査検討を行い、その結果を踏まえまして我々の部会で審議してまいりました。
  続きまして、会議の開催状況、1ページの真ん中あたりですけれども、前回の報告以降、部会は第38回から第44回の7回、接続委員会を第50回から第62回の13回、基本料等委員会は第1回から第8回まで8回、その接続委員会と基本料等委員会合同部会1回をそれぞれ開催し、諮問された事項につきまして調査審議をやってまいりました。基本的に会議は公開ということでありまして、審議の透明性を確保しているということでございます。審議に当たりましては、広く国民の意見を反映させるということで、必要に応じまして意見募集とか関係者からのヒアリングを実施しているところでございます。
  資料1ページの3、答申事項から昨年の7月以降に諮問があったものを掲載しております。およそ6カ月間の間に審議いたしました諮問事項は9件ございます。そのうち8件について当部会で答申を行いました。また審議中の案件が1件ございます。
  我々の部会で答申を行いました事項あるいは現在審議中の案件について、主な項目ごとにその概略を説明いたします。
  接続約款の変更の認可ということですけれども、これは1ページから3ページにわたりまして計7件ございました。一番最初、1ページのところですが、スペクトル適合性の確認が行われていないDSL方式による接続の条件の削除。2番目、2ページでございますけれども、実際費用方式に基づく平成15年度の接続料等の改定。3番目は平成15年度接続料に係る見込み通信量等による精算。4番目は接続等の停止・中止等に係る規定の整備。5番目が料金回収手続費の見直し等。6番目が3ページにまいりまして、中継・局内光ファイバに係る標準的期間の見直しについて。7番目が(2)と書いてありますが3ページのところですけれども、ルーティング伝送機能(地域IP網)の接続料の改定について。この合計7件の接続約款の変更につきまして、意見募集、接続委員会での検討を踏まえ審議いたしまして、それぞれ認可することが適当である旨の答申を行いました。
  省令等の一部改正でございますけれども、これは3ページから4ページにかけまして3件ございます。いわゆる事業法、NTT法の施行に関する省令案につきまして、接続料規則の一部を改正する省令について。それから、次のページになりますけれども、平成13年総務省告示第243号(電気事業法の第38条の2第1項の規定に基づく指定に関する件)の一部改正案について意見募集を踏まえ審議いたしました結果、それぞれ諮問のとおり改正することが適当である旨の答申を行いました。
  それから、その他といたしまして、4ページのところにございますけれども、公益事業者の電柱・管路等使用に関するガイドラインというのをつくっておりますけれども、これの見直しにつきまして資料のとおり4点ございますけれども、4点について見直すということで改正することが適当である旨の答申を行いました。
  最後でございますけれども、現在審議中の案件でございますけれども、平成17年度以降の接続料につきまして、昨日部会を開きまして答申案の審議を行いました。昨日より本案に関する意見募集が開始されたところでございます。
  以上でございます。
秋山会長  どうもありがとうございました。今のご報告につきまして、ご意見、ご質問がございましたらよろしくお願いいたします。
  特にご意見ございませんでしょうか。それでは、ただいまの報告を了承することとさせていただいてよろしゅうございますか。
  (「異議なし」の声あり)
秋山会長  どうもありがとうございました。部会の委員の皆様方には、大変多岐にわたる審議事項につきまして精力的にご審議いただきましてありがとうございました。また、審議が継続している事項につきましては、引き続きよろしくお願いしたいと思います。


  閉会


秋山会長  以上で、本日の議題はすべて終了いたしました。
  事務局のほうから何か特にご報告ございますか。
福岡情報通信政策局総務課長  特にございません。
秋山会長  それでは、本日の会議をこれで終わらせていただきます。どうも長時間ありがとうございました。
  なお、次回の総会の日程につきましては、別途確定した後で事務局からご連絡申し上げることとさせていただきます。
  本日はどうもありがとうございました。

  ―― 了 ――


  本会にて配付された資料をご覧になりたい方は、総務省にて閲覧及び
貸し出しを実施しておりますので、下記までご連絡をお願いいたします。

担当:総務省情報通信政策局総務課情報通信審議会係 飯島

電話 03−5253−5694
FAX 03−5253−5714
メール t-council@soumu.go.jp








ページトップへ戻る