会議資料・開催案内等


情報通信審議会総会(第17回)議事録




第1   開催日時及び場所
平成19年8月2日(木) 14時00分〜15時40分
於、総務省8階第1特別会議室

第2   出席した委員等(敬称略)
委員
庄山 悦彦(会長)、青木 節子、荒川 薫、伊東 晋、大谷 和子、大山 永昭、
長村 泰彦、清原 慶子、後藤 滋樹、酒井 善則、坂内 正夫、清水 英一、
関根 千佳、高橋 伸子、畑 文雄、滝 久雄、竹中 ナミ、辻 正次、
土井 美和子、東海 幹夫、長田 三紀、根岸 哲、根元 義章、御手洗 顕、
村上 輝康、安田 雄典、村井 純(臨時委員)
(以上27名)

第3 出席した関係職員等
 (1)   総務省
  菅総務大臣、鈴木総務審議官、森総務審議官、小笠原情報通信政策局長、
寺ア総合通信基盤局長、松本技術総括審議官、中田政策統括官、桜井官房総括審議官、
児玉技術政策課長、田中通信規格課長、武田衛星放送課長、
大原国際放送推進室長、小笠原コンテンツ流通促進室長、吉田地上放送課長、
三田地上放送課企画官
 (2) 事務局
  今林 顯一(情報通信政策局総務課長)

第4 議題
    1     答申事項
    ア   「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」について
【平成16年1月28日 諮問第8号】
    21世紀におけるインターネット政策の在り方」及び「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」のうち「デジタル・コンテンツの流通の促進」について
【平成13年3月28日 諮問第3号及び平成16年1月28日 諮問第8号】
    「「外国人向けの映像による国際放送」の在り方とその推進方策」について
【平成18年8月1日 諮問第10号】
  2 諮問案件
    「我が国の国際競争力を強化するための研究開発・標準化戦略」について【諮問第13号】
  3 会長代理の指名について






開会

○庄山会長  お待たせいたしました。ただいまから情報通信審議会総会(第17回)を開催いたします。
 本日は、皆様方、お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
 委員29名中、現在、25名、後ほど、お一方おいでになりますが、それから、臨時委員1名ということで、の皆様方が出席されておられますので、定足数を満たしておりますので会議を進めたいと思います。
 初めに、会議に先立ちまして、先日、総務省におきましての人事異動があったと聞いておりまして、順次、ごあいさつをよろしくお願いいたします。

○鈴木総務審議官  総務審議官となりました鈴木でございます。どうぞ引き続きよろしくご指導のほど、お願い申し上げます。

○小笠原情報通信政策局長  情報通信政策局長を拝命しました小笠原でございます。よろしくお願いいたします。

○中田政策統括官  同じく政策統括官を拝命いたしました中田と申します。よろしくお願いいたします。

○今林情報通信政策局総務課長  事務局を担当いたします情報通信政策局総務課長になります今林でございます。よろしくお願いいたします。

○森総務審議官  総務審議官を拝命いたしました森でございます。よろしくお願いいたします。

○寺ア総合通信基盤局長  総合通信基盤局長を拝命しました寺アです。よろしくお願いいたします。

○松本官房技術総括審議官  技術統括審議官の松本でございます。引き続きよろしくお願いいたします。

○桜井官房総括審議官  総括審議官を拝命しました桜井でございます。よろしくお願い申し上げます。

○庄山会長  ありがとうございました。
 それでは、本日の会議は公開で行うということでございます。傍聴者の方々は、お手元の留意事項をお守りいただきまして、静粛に傍聴くださいますようご協力お願い申し上げたいと思います。
 また、本会議の模様はインターネットによりまして中継してございますので、皆様方のご了承をお願いしたいと思います。
 それでは、お手元の議事次第に従いまして、議事を進めさせていただきたいと思います。


議題

答申事項


 「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」について【平成16年1月28日 諮問第8号】

○庄山会長  初めに、答申事項より審議を行いたいと思います。
 平成16年1月28日付で、諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」について審議をいたしたいと思います。
 本件につきましては、情報通信政策部会及び地上デジタル放送推進に関する検討委員会におきまして、精力的に調査・審議していただきました。このため、第4次の中間答申(案)を取りまとめていただきました。
 それでは、この取りまとめをいただきました村上情報通信政策部会長から中間答申(案)のご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○村上委員  情報通信政策部会長の村上でございます。
 「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たす役割」につきまして、第4次の中間答申を取りまとめましたので、検討経緯もあわせましてご報告申し上げまして、ご審議をいただきたいと思います。
 本件は、平成16年1月に当審議会に諮問されまして、情報通信政策部会に地上デジタル放送推進に関する検討委員会を設置して審議が行われてまいりました。昨年の8月に第3次の中間答申がまとめられまして、その後、本年1月から審議が再開されまして、合計7回の審議が行われております。
 また、委員会における検討結果を踏まえまして、部会でも3回審議を行いました。本答申(案)では、まず、現状認識といたしまして、アナログ放送の終了までもう4年を切ってしまったと。デジタル化を完了するための最終段階に入ったという基本認識を示しております。
 また、これまでの取り組みは一定の成果を上げておりますが、最終段階に入ったということは、さらに徹底した取り組みが必要であるということでございます。
 基本的な視点としましては、放送のデジタル化とアナログ放送終了の意義につきまして、地上放送のデジタル化によりまして、高度なサービス、あるいは新しいサービスの提供が可能になるということに加えまして、周波数の有効利用につながる点を意義として改めて挙げております。
 また、各主体の役割を明確化するとともに、取り組みの基本姿勢としまして、地上デジタル放送への完全移行。これは、送信側、受信側、いずれの対応が欠けても実施できないという基本認識を改めて示しました。
 こういう認識、あるいは基本的な視点に立ちまして、具体的な取り組みとして、送信側では、中継局整備支援の継続、あるいは衛星によりますセーフティーネットの措置の検討。受信側では、簡易で低廉なチューナー等の実現のための環境整備、受信機購入に対する支援の検討。あるいは、共聴施設の改修、周知広報。これは地域レベルでの相談体制の充実も含めての話であります。それから、公共分野への利活用。アナログ放送終了のための具体的な計画の検討等につきまして提言をいたしております。
 詳細につきましては、委員会の主査であります村井臨時委員からご報告をお願いいたします。村井主査、よろしくお願いします。

○村井臨時委員  それでは、私から、今、部会長からご紹介がありました検討委員会につきましてのご説明をさせていただきたいと思います。
 昨年8月の第3次答申以降、2011年のデジタル放送全面移行を実現するための課題ということで、さまざまな角度から検討してまいりました。今、部会長がおっしゃったように、いよいよ4年を切りまして、全国の放送も始まりまして、そういう意味では、地上デジタル放送に関するいろいろな意味でのリアリティーがいろんな方に感じていただけるようになったという状況でございまして、それだけに、今までもいろいろな形で検討を続けてきたわけですけれども、そういった現実性が増してきたという中で、新たな課題が発見されてきたり、新たな視点での議論が必要だということになりましたので、まずは、委員会に参加していただいている多様な方々に加えまして、消費者団体、流通関係者の方、つまり、実際にお店でお客さんに対応している方、アンテナをつける工事を受注している方、こういった方の視点というのは大変重要になってまいりましたので、専門委員として参加していただくことにしました。
 そういった中で周知広報、それから、工事体制などの観点からも、いろいろなご意見を伺えるような体制になったということでございます。
 それでは、概要版という資料17−1−1という横枠の資料に基づきましてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず1ページをごらんいただきまして、4年を切ったデジタル化への完了までの期間ということに関する現状認識がございまして、そして、先ほど申し上げましたように、これまでの取り組み、一定の成果を上げてきておりますけれども、最終段階に入ったということと、その現実性が非常に周知が広がったということにあわせまして、また、さらに徹底した新たな取り組みが必要だという認識でございます。
 課題ということで、送信側、受信側、あるいは周知広報についてということで、そこに記されております。先ほど、部会長からもお話がありました。これは、後でまた詳しく掘り下げてご説明させていただきたいと思います。
 2ページをめくっていただきたいと思います。
 ここで、リアリティーが迫ってきたということでございますけれども、非常に多くの、より多くの方がデジタル放送に関する認識や意識、あるいは接する機会というのが増えてくるに従いまして、改めまして、放送のデジタル化、アナログ放送の終了ということの意味や意義ということに関する興味といいますか、関心が高まっているということになっておりますので、そういう意味で、周波数の有効利用であるとか、新しいサービスの展開であるとか、そういったデジタル化に関する意義ということがより国民に理解を得られやすいように、そういったことの正しい理解といいますか、周知を行っていく必要だという議論が行われました。
 その周知の必要性の中には、なぜデジタル化をしなければいけないのかという根本的な議論も含まれていると思います。その中で、そういった点、総論、それから、6章の「周知広報」のところでも書き込ませていただいているということでございます。
 基本的視点の2番目としまして、各主体の役割の明確化ということでございまして、国が地上デジタル放送の推進のための個々の施策を着実に実行するということ、それから、デジタル化全体に関しては、関係者を束ねて推進する役割を担うという役割がございます。放送事業者に関しましては、電波の送信主体でありますので、アナログの電波で従来カバーしていた世帯を100%カバーしていくということがございます。
 それから、メーカー、流通、地方自治体等のあらゆる分野のそれぞれの役割を踏まえまして、主体的に行動できるように環境を整えて取り組みを加速するということが示されています。
 また、地デジの取り組みが、省庁といった場合に、今日は総務省の委員会ですけれども、ここに限るわけではなくて、関係するほかの省庁による取り組みを喚起して、確実にアナログ放送を終了するための政府全体としての取り組みが必要だという議論も行われました。
 そうした中で、完全移行ということに関しまして、送信側、受信側いずれの対応が欠けても実現することはできないという基本認識を「取組の基本姿勢」というところでは示しております。
 受信側での機器の購入、工事というのの集中、2011年7月にアナログが停波するといったときに、慌てて、その工事の依頼等々が集中してしまうと対応ができなくなるという事態が起こります。そういった意味で、デジタル放送の受信側の対応をスムーズに進めるということで、2010年までに行えることはすべて行っておいて、最終的な残ったことを2011年で行うというようなタイムラインのスケジュールが必要になるだろうということでございます。
 また、諸外国の地上デジタル放送の現状、それから、それにかかわる政策などに関しましては、各国においてメディア環境は異なりますので、それをそのまま日本に適用するとか、そういったことの議論はできませんけれども、しかしながら、そういった、先に持たれている諸外国での経験等々から参考にすべきところを参考にしながら、あるいは、メディア環境等の違いに留意をしながら考えていくという意味で、この答申にも書かせていただいているということでございます。
 3ページをめくっていただきますと、これは送信側の課題ということになります。これは、国や放送事業者その他の関係者が、電波で直接受信していたか否かにかかわらず、アナログ放送時における地上放送の視聴者はすべて、地上放送がデジタル化された後も、引き続きアナログ放送時に視聴していた放送を視聴できるということを可能にする、これが基準でございまして、それのための役割を果たしていくべきであるということでございます。
 それから、民間放送事業者の中継局整備に対する支援のあり方ということでございますけれども、デジタル中継局整備に関しましては、基本的に民間放送事業者が自助努力によって整備していくということでございます。
 一方で、放送事業者の一層の努力にもかかわらず建設の見込みの立っていない中継局の建設を確実にするために、来年度以降も引き続き中継局の建設についての財政上の措置を国として検討すべきであるということも記させていただいております。
 中継局のロードマップに関しましては、多くの方の努力により作成をされていまして、これが計画のいわば母体のデータベースになっておりますけれども、これもいろいろな進化といいますか、時期が迫ったことに関しましての更新といいますか、改善といいますか、そういったことの中で充実をさせていくという方向で進めていただいているということをご報告しております。
 4ページを見ていただきたいと思います。
 補完措置に関することでございますけれども、IPの同時再送信に関しましては、地上波中継局の補完措置として、条件不利地域における地上デジタル放送の受信を可能にするための有効な手段と考えることができますので、そのため、その実現化に向けたさらなる取り組みが必要だということでございます。
 また、山の中など、デジタル放送を送り届けることができない地域が存在することは避けられないと考えておりまして、そのような地域での視聴を確実にするというためには、衛星を使って全国をカバーするセーフティーネットの措置を講ずるということで、これは本年度中に検討を進めるべきという提言になっております。
 5ページを見ていただきたいと思います。これは受信側の課題でございます。
 まずは、災害時の放送などのデジタル放送のメリット、恩恵がきちんと享受できるようなデジタル受信機のさらなる多様化、低廉化ということを進めていく必要がございます。特にアナログ受信機に接続をしてデジタル放送を視聴することを可能にする、最小限の機能をベースにした簡易なチューナー等が早期に安価に市場に出回るよう取り組むことが重要だという議論がございました。
 例えば、安価なチューナー等に必要な機能の検討を通じて、2年以内に5,000円以下の簡易なチューナーが視聴者が望めば入手できるようにするということを目標とした取り組みが必要だということでございます。この点に関しまして、チューナー等が安くなりましても、デジタル放送の場合は、アナログ放送時に比べまして、アンテナの交換であるとか、場合によっては、室内のフィーダーの交換であるとか、幾つかのことが必要となるということで、多少複雑な状況になっていますので、こういったことに関しましても、正しく理解をされて、誤解が生じないようにすることが必要だということも触れております。
 それから、受信機の購入ということが、経済的に非常に困窮度の高いと認定された方に関して、厳密に限定するなどの一定の考え方を付した上で、その支援を行うという議論がございます。これに関しましても、その検討を平成20年夏までに検討して公表すべきと提言しております。
 それから、著作権の保護方式の見直しということで、この後でご説明させていただきますもう一つの答申(案)を踏まえた記述をしておりまして、著作権保護方式の見直し、また、字幕放送や解説放送などの充実ということがデジタル放送の1つの役割となるという議論が行われましたので、それについても記させていただいております。
 6ページをごらんいただきたいと思います。
 これは共聴施設の改修等に関する部分でございまして、辺地共聴施設、集合住宅の共聴施設など、こういった施設の状況を把握しまして、デジタル改修の進捗状況、共聴施設の管理者への改修の働きかけなどの具体的体制を構築すべきであると。こちらに関しましては、本年の秋までということで記述をさせていただいております。
 7ページは、周知広報に関することでございます。冒頭に申し上げましたように、なぜデジタル化が必要なのかという基本的なことから、国民の理解がさらに得られるような周知広報を行う必要があるということでございまして、その体制でございますけれども、これだけ時期が迫ってまいりまして、いろいろな多様性、地域の多様性、受け取る側の多様性ということもございます。そういった地域の実情に対応したきめ細かな相談体制が必要であって、そういった相談体制を平成20年度中に整備をしていくべきであると提言させていただいております。
 また、アナログが停波するので大変だということのキーワードの悪徳商法というものが登場してきているということでございますので、そういったような悪徳商法の防止という視点でも周知広報が必要であるということを記述させていただいております。
 8ページをごらんいただきますと、これは公共分野への利活用の件でございます。地上デジタル放送を公共分野で利用するための実証実験を行っております。その中で、いろいろな地上デジタル放送の特性を生かした公共性の高い情報をどう提供するかということが実証された部分がございます。そういったところの利活用、地上デジタル放送の公共分野への利活用を、実証ができたわけですから、それを実用にどのように移していくかという段階に入っていると考えられます。その有用性を周知、PRしていくことも必要だということでございます。
 9ページをごらんいただきたいと思います。
 アナログ放送が2011年7月に終了する、ここまでに4年を切るということは再三申し上げているとおりでございます。アナログ放送の終了が円滑に行われるということを進める、つまり、アナログ放送が終了したときに生じる可能性のある混乱をどうやって最小限にできるかということが大変重要になります。そのためには、もちろん起こり得る課題を理解しまして、その課題に関する対策をとるということが必要になるわけです。しかしながら、起こり得る課題はすべてわかるのかというと、これを知っていくというプロセスはやはり大変大事な、重要な、手だてが必要になるということでございます。
 例えば、予行演習、リハーサル、こういったことをやることによって、あっ、ここがやはり必要だったんだ、こういうところがまだ欠けていたんだということが発見できる。この発見をする方も、主体の方もさまざまな方がいらっしゃると思います。いずれにせよ、あらゆる主体の方が参画をする予行演習、リハーサルのような取り組みを行って、現時点では気づかないような課題を抽出して、その課題を解決するというプロセスが必要だということでございます。
 そういった主体というのは、官も民もそれぞれのプレーヤーがやはり積極的に取り組んで初めて成功するものではないかということでございますので、そういった官民一体となった取り組みが、あるいは多様性を持った主体による取り組みが必要だということでございます。
 その中には、先ほども申し上げましたが、官の役割という中に、総務省だけではなくて、経済産業省、文科省など、あらゆる省庁における役割というものもございますし、民も放送事業者、メーカー、流通、地方自治体等々のあらゆるプレーヤーの参画が必要だということだと思います。
 それから、アナログ放送をどう終了するかということも大変重要な課題でございまして、視聴者がデジタル放送受信のための対応を行うための重要な情報になるということでございますので、国及び放送事業者において早急に検討を開始して、平成20年夏までに計画を立案して公表・周知をしていくべきだということを記させていただいております。
 ご説明、以上でございます。

○庄山会長  どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明につきまして、委員の皆様方のご意見、ご質問をお受けしたいと思います。どなたからでも結構でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

○清原委員  清原です。私は、部会及び検討委員会のメンバーとして、この検討に加わらせていただいておりましたので、今、部会長、そして、村井委員長が説明された中で、特に改めまして、多様な主体が総合力を持って協働して取り組んでいくことの有用性を強く強調して指摘させていただきたいと思います。
 また、加えて申し上げますと、私は地方自治体の市長をしておりますので、例えば、7月におきましては、台風の襲来ですとか、あるいは中越沖地震の発生など、災害に向けたメディアのあり方について、さらに緊張した思いで対応してまいりましたけれども、特に今回は、放送のデジタル化といった場合に、テレビという映像メディアを中心に、2011年7月の移行がスムーズにいくように、求められる課題については、かなり網羅的に、そして、今の時点で的確に整理をして問題提起がされていると思います。
 あわせて、私は、このような災害時を考えましたときに、端末はさまざまであろうとは思いますけれども、音声放送、いわゆる伝統的なアナログのラジオ放送も含めて、今後のそうしたビジョンについても、あわせて見取り図を連動してつくっていくタイミングではないかと思いました。
 総務省では、もう既にそのような観点から、音声放送につきましても検討の取り組みを始められるやに伺いました。その意味で、今回、放送のデジタル化にかかわるさまざまなテーマを、大変普及しておりますテレビ放送を中心に精密にまとめられて、この時点で総務大臣に答申するタイミングというのは大変重要だと思いますが、あわせて、各府省で取り組んでいただくことを進めつつ、総務省の中で、ほかのデジタル化の、例えば、今申し上げましたラジオの音声放送等を含めて、インターネットの放送なども扱っていらっしゃることから、次のステップに向けて問題提起をしていただければ心強いと思いました。
 市民の皆様、視聴者の皆様のメディアの利用の場面は非常に多様化していて、つかみにくいと思いますが、テレビ放送については大変基幹的なメディアです。ですから、この答申が大変タイミングよく出されることによって、具体的なメーカーさんの取り組みなども含めて、進んでいくことが不可欠だと思いますけれども、あわせて、村井委員長は、自治体の役割も重要であるとご指摘されました。私たちも、ぜひ具体的にどのような動きをすることが必要なのかということについて、当事者であるだけではなくて、客観的なご提言もさらに今後はいただければ幸いだと思います。
 以上です。ありがとうございました。

○庄山会長  どうもありがとうございました。
 何かコメント。

○村上委員  これまでは供給サイドから一直線で進んできたわけですけれども、これからの4年間は、まさに、おっしゃいましたように、多様性に対してどう対応していくかというところがキーになろうかと思います。今回の報告書におきましても、プレーヤーの多様性、対応のあり方の多様性、対応する省庁の多様性等につきまして意を用いてきたつもりでございます。

○庄山会長  今、停波についての認識度というのは60%ぐらいですかね。ぜひ生活者によく理解していただくために、安心・安全、先ほど、災害のお話もございましたけれども、周波数割り当てがデジタル化によってよくなっていくんだとか、こういうところ、特にわかりやすくぜひ説明していただくような工夫をお願いしたいと思っています。
 ほか、どなたかおられますでしょうか。

○御手洗委員  まず、答申でほぼ完璧にいろいろなことがカバーされていると思います。特に放送エリア、アナログと同じように100%カバーするための施策という形でいろいろなことが答申されていますので、これをきっちり実行されて、今、テレビをごらんになっている方々に迷惑が及ばないという形にぜひしていってほしいと思いますし、それにしても、たくさんの人たちが携わって、いろいろやってきていることですので、先ほどありましたように、停波したら何が起こるか、まだ予想のできないこともあるので、それについては、今ありましたように、予行演習的なことをやるということも含めて検討したいという話なので、これも結構なことかと思うんです。
 この答申の中に、1つ、やはり安価にこういったデジタル放送ができるようにということで、デジタルチューナーについての記述がございまして、2年以内に5,000円ぐらいという記述があるんですが、今、デジタルチューナーをもし据えたとしても、現在のテレビよりも見え方がよくなるだとか、そういったことが現時点であるわけでないので、購入する人は、アナログ停波する時期に買われるというのが普通のことだと思いますので、こういったデジタルチューナーが早目に普及するのは非常に望ましいことなんだけれども、実際の需要が起こるというのは、停波ぎりぎりのときにたくさんの需要が一気に起こるというふうになりかねないので、こういったことを施策としてやるとすると、国からの何らかの支援だとか何かがないと、なかなか進まないような、こういったことも感じますので、そういった点のご配慮もお願いしたいかなと思います。
 以上です。

○庄山会長  ありがとうございました。
 何かコメントございますか。

○村上委員  私からは特にありません。

○村井臨時委員  今、ご指摘いただいたこと、大分議論されまして、ある新聞のアンケートで、いつデジタルテレビにかえますかというアンケートを見させていただいたら、ワールドカップのとき、オリンピックのときというので、最後の瞬間というのが60%以上ありましたので、おっしゃるような心配というのは、少し前のデータですから、そういう状況というのは十分考えられる。
 というわけで、普及をしていくというのは、これはもうマーケットの動きだろうと思いますので、それが促進していくということの中から、そういった、特に私どもが心配しているのは、さっきも申し上げましたような、最後の瞬間に集中したときの工事の体制であるとか、そういったことに対する混乱ということが一番心配でございますので、そういうことがないようにということでございます。
 それから、安価なチューナーというのは、ご指摘のように、どうしてもデジタル放送を通じて今までのテレビが生きていくというような状況が必要になる場合が幾つかのケースであるだろうということの中で、そのために安価なアダプター的なチューナーというのが必要になるケースがあるだろうから、それに対する開発や仕様の検討を始める必要があるということの考え方でございます。
 ですから、マーケットとしてうまく進んでいて、直前の混乱がないようにという点と、そういった、いわば今までのアナログテレビに対する措置ということの2つに関しての提言になっているということでございます。

○庄山会長  ありがとうございました。
 ほか、どなたか。

○辻委員  今までの議論を聞き、あるいは報告書を読んでおりますと、非常に網羅的に、あらゆる面がカバーされていると思います。
 これは、私の個人的な意見でありますが、国内で地上アナログが一斉に地デジに変わるようなものとして、次に想定されるのが銅線の固定電話を光ファイバ変えるブロードバンド化が残っています。音声電話に対して、銅線と光ファイバという二つのネットワークをもつのは国民経済的に非効率的です。これを、光ファイバの方へ移していこうという議論も挙がってきます。この場合、国内で一斉に、固定電話の電線の巻き取りという事態も想定されますので、ここで地デジが転けてしまいますと、次のブロードバンドへのマイグレーションがうまくいきません。先ほど会長が言われましたように、地デジへの変換の需要側、ユーザー側の説得や理解をお願いしたい。会長は、余った電波帯域をいろいろな用途に使うためといわれましたが、これは専門家には分かりますが、一般の人は、そんなことを誰が頼んだかというようなことになります。もっとプリミティブなレベルから、アナログが地上デジタルに変わることのメリットを徹底して周知して頂きたい。これは今後の重要な事例となりますので、できるだけ速やかに、スムーズに成功されるように切にお願いしたいと思います。

○庄山会長  どうもありがとうございました。ずっこけるわけにはいきませんので。この先のこともございますから。
 何かコメント、よろしいですか。

○村上委員  まさに、このケース、非常に重要だと認識しておりまして、何としても2011年までに円滑に完了するという目標に対して、リアリティーのある、イメージできるようなロードマップを今回試みたつもりでございます。これから時間がたつにつれまして、モニタリングをきちっとしながら、完璧な移行に向けて注力してまいりたいと思います。

○小笠原情報通信政策局長  情報通信政策局長でございます。
 先ほどの清原委員からご指摘のあった件でございますが、まず、ラジオといいますか、音声放送の今後のあり方についてということでございますが、まさに今日午前中に、ここにいらっしゃる根岸委員が座長をお務めのマルチメディア放送に関する懇談会というのを今日立ち上げまして、その中で、おっしゃるようなデジタルラジオも含めて、将来どういうふうに取り運ぶべきかということについて、これから議論を進めるべく検討が始まったところでございます。
 2点目でございますが、総務省のみならず、政府、関係省庁がこぞってこの問題に取り組む体制ということがございますが、現在、内閣官房に音頭をとっていただきまして、関係省庁にお集まりいただきまして、デジタル化に向けての取り組みを政府横断的に取り組むべく、そういう体制を近々に立ち上げたいということで、今現在、調整中でございます。
 もう一つ、御手洗委員がご指摘になりました低廉な端末ということでございますが、そういう安価なチューナーを接続しても、今の時点ではあまりメリットがないのではないかというご指摘だったと思うんですが、ただ、1つ明確にありますのは、特に都市部において相当な難視聴地域がございますので、デジタル放送のメリットの1つは、都市難視が10分の1程度に減少するということもありまして、そういったことについては、まだなかなか高価でございますけれども、そういったチューナーをアナログテレビに接続するときに救済されるという面はございます。
 もう一つ、これはまさにこの答申(案)でご指摘いただいていることですが、デジタル放送につきましても、ハイビジョンだけではなくて、デジタル放送ならではの番組づくりということも、放送事業者においてお取り組みいただきたい旨、この案文の中に盛り込まれておりまして、そういったことについて、放送事業者のほうで何らかのことがあれば、そういう意味では、安価なチューナーの普及ということに関してのインセンティブになり得るのではないかと考えております。
 もちろん、これもそうですが、この答申の中で、いわゆる経済的弱者についての公的な支援ということについても求められておりますので、政府としては、この答申が本日まとまれば、できるだけ早急に検討に入りたいと思っております。
 以上でございます。

○高橋委員  地上デジタル放送への完全移行、アナログ停波まで4年を切ったこの段階で、ようやく、いつまでにだれが何をすべきかということが明記されました。これは、関係者それぞれの責任が明確になったという意味で大変重要な答申だと感じております。
 しかも、タイムラインのスケジュールとして、2010年までにできる限りのことをするという実行計画が出ております。実質3年5カ月を切っているという認識ですけれども、取り組みをスピードアップしなければならないのは当然のことなんですけれども、やはり地上放送は情報弱者のライフラインとも言えると思います。ですから、スピードアップするんですけれども、置いてきぼりになる人がいないようにと、ここの配慮をお願いしたいと思っています。
 各委員の貢献で、この答申には、悪質商法対策とか字幕放送とか解説放送の充実なども盛り込まれたわけですけれども、ここに書かれているきめ細かなことが、実際にすべて最適な状況で実行されることが大切だと思います。今まで以上に総務省のリーダーシップに期待するところでございます。
 また、起こり得る課題についての対策として、予行演習とかリハーサルとか、いわゆるリスクチェックを行うことは当然ですけれども、それでも起こるかもしれないリスクというのはあると思いますので、リスク対応マニュアルは万全なものを、ぜひこれから積み上げてつくっていただきたいと思っています。
 今回、この答申を拝見しまして、2011年と平成23年の両方の年号があります。、今までのものと比べると、平成23年(2011)などかなり統一されてきたようではあるんですが、答申や諮問事項の中にも、両方の表現が混在しています。今後の課題として、両方書くなどわかりやすくしていただきたいと思います。そのあたりのご配慮、ぜひ今後ともよろしくお願いしたいと思います。

○庄山会長  どうもありがとうございました。よろしいですね。
 それでは、皆様方からも大変貴重なご意見をちょうだいいたしましたし、今後、この部会においても、大変責任重大でございます。引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本件につきましては、ただいまご説明がありました資料1−1をベースにした、17−1−3、これによりまして中間答申することにいたしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○庄山会長  どうもありがとうございました。
 それでは、この案をもちまして中間答申ということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。


 「21世紀におけるインターネット政策の在り方」及び「地上デジタル放送利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」のうち「デジタル・コンテンツの流通の促進」について
【平成13年3月28日 諮問第3号及び平成16年1月28日 諮問第8号】

○庄山会長  次、平成13年3月28日付諮問第3号、「21世紀におけるインターネット政策の在り方」及び平成16年1月28日付諮問第8号、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」という中のうち、「デジタル・コンテンツの流通の促進」ということにつきまして審議をさせていただきたいと思います。
 本件につきましては、情報通信政策部会及びデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会におきまして、精力的に調査・審議していただきました。ありがとうございました。
 このたび、第4次の中間答申(案)を取りまとめていただきましたので、それでは、また村上情報通信政策部会長から中間答申(案)のご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○村上委員  部会長でございます。
 ただいまのデジタル・コンテンツの流通の促進につきまして、第4次の中間答申、検討経緯もあわせてご報告させていただきたいと思います。
 本件は、平成18年9月に、情報通信政策部会にデジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会を設置いたしまして、審議を行ってまいりました。昨年の9月以降、合計21回の審議を行いました。
 また、委員会における検討結果を踏まえまして、部会でも3回審議を行わせていただきました。この答申(案)では、幅広い関係者の間での議論を行いまして、デジタル放送のコピー制御のあり方、いわゆるコピーワンスと放送コンテンツの2次利用の促進と取引市場の形成について取りまとめを行いました。
 まず、デジタル放送のコピー制御についてですが、デジタル放送のコピーにつきましては、ハードディスクに記録した場合に、記録メディアにコピーできる数が1個という、いわゆるコピーワンスというルールが現在適用されております。このルールを変更しまして、コピー可能な数を1個から10個とすることと、こうした変更に合わせまして、行政、あるいは放送事業者、受信機メーカー等、関係者は不正なコピーを抑止するための周知広報等を強化すること等を提言いたしました。
 2番目の放送コンテンツの2次利用の促進につきましては、2次利用に意欲ある放送コンテンツ制作者を対象とした新たな公募スキームを実施すること等につきまして提言いたしました。これにつきましても、詳細につきましては、委員会の主査であります村井臨時委員からご報告をお願いしたいと思います。村井主査、よろしくお願いします。

○村井臨時委員  それでは、デジタル・コンテンツ流通に関する検討委員会のご説明をさせて頂きたいと思います。資料は17−2−1を使ってご説明申し上げます。ただいま部会長からご説明がありましたように、約10カ月の間、昨日まで21回に亘って議論させて頂きましたが、この委員会の議事はすべて公開で検討を重ねて参りました。このため様々な角度のご意見がございましたが、非常にオープンにいろいろな方に議論していただくというプロセス自体が、大変大きな成果ではなかったかと思います。
 本日、ご紹介がありましたように「いわゆるコピーワンスに関する課題」、それから「コンテンツの2次利用、取引市場の形成」という2つの件を、お手元の資料に従って説明させて頂きます。
 まず、コピーワンスの改善のあり方ということで、1ページ目をご覧ください。こちらに、今回委員会の検討テーマであったコピーワンスについて、アナログ放送の場合とどのように異なるのかを説明する図を載せております。このコピーワンスそのものの詳細なご説明は、3次答申の時にもございましたので省略させて頂き、今日は簡単に触れさせて頂きます。基本的にコピーワンスというのは、放送波を受信したときに、ハードディスク等に録画をすること自体をワンス、つまり1回コピーしたことにする。そこから先は実際にはコピーができない。これがコピーワンスという技術でございます。従いまして、他のメディアにコピーをしようとしましてもコピー出来ないので、ハードディスク等に記録していた放送コンテンツを何かのメディアに書き込みますと、その書き込むという行為自体は、実はコピーではなくて移動(ムーブ)ですので、元を消すということになります。元を消すという意味では、停電などが起き、途中で移動を失敗してしまいますと、この図で申しますと、半分はDVD、半分はハードディスクに泣き別れるという問題が起こりうるではないかというご指摘がありまして、今回の議論に至りました。
 2ページから5ページには、検討の経緯が書かれております。この委員会はコピーワンスに関する議論に限らないのですが、先ほど申し上げましたように、いろいろなお立場の方にオープンに議論して頂きましたので、検討の経緯に関して様々なご意見がございました。今回の中間答申案の策定にあたっては、そのようなプロセスで進めてきたということを、可能な限り詳細にフォローしておりますので、答申案の約3分の1は、検討経緯の記載となっております。今回の答申の結論が一定の理解を得られるとすれば、すべての関係者がそれぞれの立場から議論を尽くしたからでございまして、そういった意味で、議論のプロセスを可能な限りオープンにするために検討経緯の記述を記載させて頂きました。
 具体的な改善策を検討する前提となる基本的な考え方について、2ページに書いてあるような議論をした後に、3ページ以下に挙げてある4つの選択肢、つまり、1番目は現行のコピーワンス。2番目に、EPNと言われている方式。3番目は、COG(Copy One Generation)と言われている方式。4番目に、Copy One Generationプラス一定の回数制限、これら4つの選択肢につきまして、様々な角度の議論を行ない、それぞれの立場から実に多様な意見を出して頂きました。議論の詳細は、お手元の資料に全て書いてありますので、答申本文とあわせて後ほどご覧いただければよろしいかと思います。
 次に6ページをご覧ください。デジタル放送におけるコンテンツ保護の基本的な共通認識を整理する作業を行いました。第一の前提は、我が国は、コンテンツ大国に相応しい非常にクオリティの高い国際競争力を持ったコンテンツが輩出される、世界一のマーケットにならなければいけないという点でございます。そのような様々なコンテンツが製作される中でも、地上デジタル放送というのは、非常にクオリティの高いコンテンツが配信される基幹メディアですから、その基幹メディアから配信されるコンテンツを尊重し、コンテンツを作っている方々を尊重するような環境を作ることが、次の世代の若い人たちが、より良いコンテンツを作ることにつながります。地上デジタル放送から配信されるコンテンツは若い人たちの見本となるわけですから、そのようなコンテンツをリスペクトする環境を作っていく必要があるということでございます。
 もう1点は、視聴者への利便性をきちんと配慮するという点、放送の完全デジタル化のタイミングとの関係、これら3点でございます。
 コンテンツに対する尊重につきましては、6ページに書かせて頂きましたが、知財本部、文化審議会、経団連、当審議会に加えまして、他の様々な場においても、コンテンツ大国の実現をテーマにした検討が行われております。それらすべての検討の場において、今申し上げたようなクリエーターに対する適切な対価の確保といった創造活動におけるインセンティブの維持は共通の目的となっておりますので、そのような意味で、できるだけ早い時期に当審議会の方向性と共有する具体策がまとめられていくことを期待しております。
 7ページをご覧ください。7ページに記載した、いわゆる「コピーワンス」の改善につきまして4つの選択肢まで議論を整理し、更にとるべき選択肢について議論致しました。
 方向性としましては、Copy One Generation(COG)プラス一定の制限という考え方を基本にするということで合意が得られました。
 具体的には、7ページの(2)にありますように、デジタルチューナーとハードディスクが同一の筐体に入っている、つまり、受信機とハードディスクが同一の筐体に入っている場合、テレビ番組を放送波からその筐体で受信しますと、COG(Copy One Generation)という状態でハードディスクに蓄積されます。そのハードディスクから外部の機器へ出力する時には、ワンジェネレーション、つまり1世代だけ出力を許可致しますので、DTCPの伝送路、すなわちIEEE1394(i.LINKとも呼ばれており、アメリカではFireWireと呼ばれている)というケーブル越しにDVDレコーダーなどにコピーできるわけです。そのコピーからは新たなコピーはできません。しかし、ワンジェネレーション(1世代)のコピー自体が無制限にできるのでは良くないだろうということで、コピー回数に一定の制限を設けてはどうか、ということから、このような形で基本的な合意が得られました。
 次に、具体的に一定の回数制限の回数についての議論についてご説明致します。議論の中で制限する回数をn回と言っておりましたが、そのnをどうするのかについて、前提として幾つか考慮しなければならない点につきまして、まず議論が尽くされました。考慮しなければならない要因と致しまして、一つ目は、資料の1ページに、アナログ放送においては家庭の中で今までコピーができていたという絵が出ておりましたけれども、家庭の中でコピーができることは権利ではありませんが、善意の利用者が家庭の中で普通にコンテンツを楽しむことを妨げないために、複製を作るということが行われてきたわけでございまして、私的な利用の中で、普通にコンテンツを楽しむことが妨げられないことが必要であるということでございます。
 考慮しなければならない要因の二つ目ですが、この件を議論し始めた後に起こってきた全く新しいことでございまして、放送番組を視聴するスタイルとして、視聴者がポータブルデバイスや携帯電話といった新しいメディアを利用するようになり、コンテンツを楽しむ形態が多様化しているという点でございます。
 考慮しなければならない要因の三つ目は、権利者の委員の方からの議論として、例えば、1人の視聴者に必要なバックアップの数は、原則として1つではないか。あるいは、家庭の中で楽しむとしても、3つぐらいのバックアップで十分だろうというご意見を頂きました。以上のような要因を考慮した上で、基本的には、私から次のような提案をさせて頂きました。まず、1つのデバイスに記録できるコンテンツの数は1個であります。これは委員の方から頂いたご意見でございますが、合理的なご意見だと思います。次に、1人が所有するデバイスの数が最近では例えばDVDとポータブルデバイスと携帯電話というように3種類ぐらい所有しておりますので、時代にきちんと対応できるようにしなければいけないだろうと考えました。また、大体1家庭の平均視聴者の数というのは約3名というのが統計上出ております。まとめると1人が所有するコンテンツの数は1個。そのコンテンツを3つのデバイスで楽しめるようにする。さらに1家庭の視聴者数が3人。これらを考慮すると、1×3×3で9という数になります。その後は、最初のコピーワンスと同じようにオリジナルが消えるということになります。このオリジナルの1個を加えて回数は10が適当ではないかという提案をさせて頂きました。
 先ほど、部会長からお話しいただきました10という数は以上のような考え方に基づき辿りついたもので、別の表現を致しますと、オリジナルを別とすれば最大値として9個のコピーができる可能性が考えられるということです。
 数ということを考えていく中では、最初に申し上げましたように、いろいろな議論がございましたが、数が多ければメディアの不良や操作ミスの余裕は含むことができるだろうという意味から、1回のカウントの仕方という議論も行いました。1回のカウントもコピーをする際に、コピー先のDVDに傷がありコピーできなかった場合や本来コピーしたかった部分と間違えてコピーしてしまった場合なども含める数だろうということで、1回の考え方につきましてはシンプルにコピーの動作をした数を数えればいいだろうということも併せて提案させて頂いております。そういう意味で、シンプルな回数でカウントして9個のコピー、オリジナルを合わせて10個ということでございます。
 もう1点検討しなければならないことがございます。今申し上げたルールは、地上放送など無料放送を想定したものでございますが、8ページの(6)に書かせていただいておりますように、現在の受信機は三波共用の受信機が多いため、有料放送とその他の無料放送に関しまして、受信機の動作を区別するような技術的な対応が必要となるだろうということでございます。このことにつきましても、技術ワーキンググループ等で議論して頂きまして、技術的には対応が可能ということから、このような提案内容になっております。
 9ページに移ります。本答申案で新しい方式を提案させていただいているわけですから、その新しい方式はいつになるのだという質問が当然ございまして、この点につきましては皆様といろいろな答申(案)をやりとりさせていただいている過程で、視聴者の視点に立って、今回の提案の実施時期、それから、既にデジタル録画機器を購入している視聴者への対応等についても、ここで記しておく必要があるという議論を頂き、答申が具体化される際に大変重要なポイントであるということで、答申に明記させて頂きました。
 今回の提言をどのように具体化するかを決めるのは、基本的には企業の経営判断でありますが、これまでの検討経緯を鑑みまして、審議会としては、関係者が視聴者の期待に応えて、ぜひ適切な対応をして頂きたいという思いを込めまして、このような方向性を答申案に盛り込みました。
 具体的に盛り込まれた内容を、9ページの(7)に記載致しました。まず、実施時期につきまして、「本年中を含め可能な限り早期に」という表現を使用致しました。
 次に、既に販売された機器への対応に関しましては、技術的な可能性の検討など「最大限の努力を」という言葉を盛り込んでおります。
 以上がコピーワンスにかかわる改善案の概要でございました。この提案について、権利者団体の立場の方々から懸念や不安について次のようなご指摘、ご意見がございました。1点目は違法コンテンツの流通が増大して、誰にでも海賊行為が行えるようになるということが起こり得るのではないかという認識が不可欠だという点。2点目は、そういった海賊版が違法流通する可能性を含め、映画に代表されるような複製を根幹とするマルチユースのビジネスモデル、それから、地上デジタルの2次利用について今後議論していくわけですが、その様な立場が阻害される可能性はないかという点でございます。3点目は、コピー制限の大幅な緩和が、映画、テレビ局、タレントの報酬等に影響を及ぼすのではないか。と、かようなご指摘がございました。
 こうしたご指摘を踏まえ、9ページの(8)に示した2点について明確に致しました。
 まず、今申し上げたようなルールは、善意の視聴者が様々なウインドーを介してコンテンツを私的に楽しむことを前提として提案致しましたので、私的使用の範囲外で、コンテンツが記録されたメディアを無断で頒布したり販売したりするということは論外であり、こうした行為の防止策は不可欠であるという点でございます。
 ご覧になるとお分かりいただけると思いますが、デジタル放送は、放送の中に透かしといいますか、ロゴが記されている形になっております。現在、アナログ放送と並列に同じ内容を地上デジタルで放送しておりますので、アナログ放送からの複製と区別がつかないわけですが、このロゴが表示されていれば、地上デジタル放送からの違法のコピーであるということが分かりますので、例えば、いろいろな映像コンテンツを扱う事業者の方にそういった違法コピーコンテンツを取り扱わないように周知すること、そして、違法コピーと知っていて買ったり売ったりしてはいけないということを行政、消費者、放送事業者、関係者が周知、推進していくことが重要であります。
 もう一つ、地上デジタル放送はデジタルテクノロジーを基盤として発展している技術でございますので、そういう意味では、本日申し上げたようなルールがどういう影響を持って展開していくのかということと並行して、技術に関してはどんどん進歩していくということでございます。不正コピーを抑止する新しい技術を想定すると、考えようによっては、先ほど申し上げたロゴというか、電子透かしという技術に対応することもありうるわけで、そうした技術というのは、デバイス側も放送技術側も含めまして、いろいろな進化を遂げております。そういった意味で、今回申し上げたようなルールは、恒久的なルールになるわけではないということでございます。
 それから、先ほども申し上げましたが、権利者団体の方がご指摘されたような幾つかの懸念がございます。そういう懸念が本当に起こるのかどうなのかということを、技術的な環境変化、それから、文化的な背景、その他、社会的な体制などいろいろな意味を含め、見直す必要があるだろうというご意見がございます。
 しかしながら、今回の委員会は、そうした立場の方が、それぞれオープンな場所で議論をしながら、コンテンツ保護の在り方の対応策を考えてここまでに至りましたので、これは参加したすべての委員の方が共通にお考えのことだと思いますが、今後もし何か課題が出てきたとしても、かようにオープンに議論できる場があれば、そこでの議論を足がかりとして新しい改善策に進化していかれるだろうということでございます。
 そういう意味で、恒久的なルールであるというよりは、これからはフレキシブルに新しいものに対応ができる体制があるという、ある意味での安心感を前提に、委員の皆様にこのルールをお認め頂いたということでございました。
 10ページ以下に関しましてはコンテンツ取引市場についてご説明いたします。10ページから12ページまでは、現状とそれを前提にした検討の経緯となります。取引市場の形成、活性化に向けた具体策に関しましては、13ページに記載した3つの選択肢まで議論が整理されております。このテーマの検討に関しましては、総務省で開催されているコンテンツ取引市場の形成に関する検討会の議論を参考としておりますので、中間答申の参考資料として、検討会の報告書も添付致しました。
 13ページのi1)をご覧いただきますと、ここでは、許諾を得る手続の簡素化に関しまして、コンテンツの二次利用を促進し、その取引を活性化することは、放送事業者におかれましては経営の基本方針であり、権利者におかれましても、適正な対価を前提に、積極的に許諾を行っていくことが基本的な姿勢であるということを十分に認識した上で考えていく必要があると、認識が一致しております。許諾権を前提とした上で、新たなルール作り等に取り組むことが重要ということでございます。
 13ページのi1)に、IPマルチキャスト放送についての記述がございます。IPマルチキャストの自主放送に関するルールに関しまして、時間をかけて議論いたしました。著作権法上、自主放送の著作権法上の取り扱いに関しましては、色々な場所で議論がなされたという背景がございますが、今回の議論により、IPマルチキャスト放送事業者、通信事業者、実演家等の権利者団体が協力をするという点、IPマルチキャストという新しいビジネスの対価が適正に配分される新たなビジネスモデルの創出、それを念頭に置いた実証実験のようなトライアルに取り組むことが重要という認識で一致したと考えております。
 14ページのii2)のところには、権利や窓口に関する情報の集約・公開等に関することを書いておりまして、この点に関しまして、先の情報通信政策部会におきまして、当委員会で検討するとされたテーマでもあると理解しておりますので、コンテンツの評価に必要なデータベースのあり方などの検討に、できるだけ早く着手したいと考えております。
 14ページのiii3)でございますが、放送コンテンツの多様化、その2次利用を含めまして、視聴機会の拡大を進める上で、放送事業者はもちろん、さまざまな製作者が放送コンテンツの製作に取り組む環境の整備が重要であると考えております。この点について、委員の認識が概ね一致したとご報告させていただきます。
 既に放送事業者の方々がさまざまな工夫をされている旨が報告されておりまして、既存の公募スキームを工夫して、14ページiii3)の3)にあるようなマルチユースを前提に製作を行う番組製作者に、さらにインセンティブが働くような新たなトライアルができないかという趣旨も提言させていただいております。
 こうした取引市場の形成、活性化に関する取り組みというのは、基本的には民間主導で取り組まれるものでございます。ただし、最後の5)に、行政としても民間主導の取り組みを見守りつつ、何らかの対応策の検討を怠るべきではないという趣旨の指摘をしてあります。
 以上、議論の経過を簡単にご報告したわけですが、前回申し上げましたように、この2つのテーマは、いずれも関係者の意見の距離と申しますか、相当に立場の違いがあった状況から出発し、こういった提案をさせて頂くというプロセスにおきまして、それぞれの委員の方のご協力で、ようやく、今申し上げたような地点までくることができました。改めましてこの場で、委員会の委員及び部会委員の方の大変大きな、積極的なご協力、参加をご報告させて頂きますと共に、私の立場から深く御礼を申し上げたいと思います。
 そのようなご提言で出来ました今日のご報告は、これからアクションに移りますので、その点におきましても、関係者各位のご理解とご協力を切にお願い申し上げます。
 以上でございます。

○庄山会長  どうもありがとうございます。

○村上委員  実は、この検討、ほんとうにぎりぎりまでやっていただきました。第21回の委員会は、昨日夕刻近くに行われまして、部会はその後、夕刻に開いたというような、非常に詰めた検討をしていただきました。委員会と部会のメンバーの入れかわりが会場であったんですけれども、非常に詰めた議論をしていただいたわけですけれども、皆様、非常に晴々とした表情をしておられたというのが非常に印象的でございます。
 以上がご報告でございますので、ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

○庄山会長  ほんとうにどうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に対しましてのご意見、ご質問をお願いしたいと思います。ここまでよくまとめていただいたので、特によろしいかと思いますが、いかがでございましょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 当初はどうなることかと思わんでもなかったんですが、こういう格好にまとめていただきまして、方向づけさせていただき、どうもありがとうございました。
 それでは、この件につきましても、ただいまの資料に沿いまして、資料17−2−3で中間答申ということにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○庄山会長  どうもありがとうございました。
 それでは、本案をもって中間答申とすることといたします。


 「「外国人向けの映像による国際放送」の在り方とその推進方策」について
【平成18年8月1日 諮問第10号】

○庄山会長  次に、平成18年度8月1日付、諮問第10号、「「外国人向けの映像による国際放送」の在り方とその推進方策」について審議をお願いしたいと思います。
 本件につきましては、情報通信政策部会及び映像国際放送の在り方に関する検討委員会におきまして精力的に調査・審議していただき、このたび答申(案)を取りまとめていただいた次第でございます。
 それでは、これも村上情報通信政策部会長から答申(案)のご説明をお願いいたします。

○村上委員  それでは、早速でございますけれども、答申(案)につきまして、検討経緯をあわせてご報告させていただきたいと思います。
 本件は、昨年8月に当審議会で諮問されまして、情報通信政策部会に映像国際放送の在り方に関する検討委員会を設置して、審議を行ってまいりました。本年1月に、昨年内の検討委員会の議論を中間取りまとめとしてまとめまして、総会に検討状況の報告をさせていただきました。
 その後も検討委員会で議論を重ねまして、先般、検討委員会の最終取りまとめを部会で承認するに至りましたので、これをもちまして答申(案)として、本日、ご説明させていただきたいと思います。
 まず、お手元の資料でございますけれども、答申(案)本文、カラーの表紙のものでございますけれども、及び答申(案)の概要を用意いたしました。
 また、概要資料の4ページ目以降になりますが、参考資料としまして、政策部会及び総会での主な議論、新たな映像国際放送のイメージ、その他を準備しております。
 まず、中間取りまとめにつきましては、本年1月9日に皆様にご報告しまして以来、ちょっと日時もたっておりますので、その内容をごく簡単に復習したいと思います。
 答申(案)の概要の3ページをごらんいただきたいと思います。
 まず、「映像国際放送強化の狙い・目的」ですが、日本の対外イメージの向上、親日感の醸成をねらいつつ、日本のプレゼンスの向上、国際世論形成力の向上を目指す。また、究極的に産業、観光振興等、幅広い国益の増進を期待するというものでございました。
 ここには記載しておりませんけれども、不偏不党、等身大の発信、多様かつバランスのとれた発信、さらに、多元的なアジア情報の発信も重要な要素として指摘されたところでございます。
 次に、「映像国際放送強化の具体的方向性」としまして、対象地域、視聴者層、番組内容、使用言語、受信環境の項目について、記述されておりますとおりの留意点が指摘されました。
 次に、中ほどの「映像国際放送の事業主体及び財源の在り方」ですが、事業主体の枠組みとして2つの案が示されまして、実施主体がNHKの既存のノウハウ、資産を十二分に活用できる等の観点から、第2案がより適切という見方が可能ですが、慎重な検討が必要とされるとともに、見込まれる費用、収入としまして、放送局新設の場合における230億から270億円という運営費見積もり、国費投入の必要性、それから、国費投入及び国の関与としまして、国費投入に伴います効果検証の仕組みづくり、編集権の所在の明確化、さらには民間による出資及び支援としまして、出資及び出資以外の物的・財政的支援確保に向けた方策の検討。広告収入として、グローバル広告への需要への懸念、その他の仕組みの導入の検討等の指摘がされました。
 このうち、財源を含みますリソースの確保に関しまして、国費投入及び民間支援につきましては、従来の枠組みにとらわれない真に実が挙がるような取り組みを行うべきということで、総務省のみならず関係省庁が主体性を持って、かつ一体となって予算要求に当たる。それから、民間に広告出稿、資金提供等を促すための環境整備につきまして検討する等が強調されました。ほか、いわゆる命令放送制度の見直しにも議論が及んだところでございます。
 以上がレビューでございますけれども、その後、幾つかの重要な検討課題が確認されまして、検討委員会から情報通信政策部会及び総会に対しまして、中間取りまとめが報告されました際におきましても、番組内容が重要であるということ、番組編成のスタンスによって、経費とか広告の出稿も変わってきますというようなこと、あるいは、インターネットの積極的活用が重要であるということ、国費投入額の精査、検証の仕組みづくりが重要であるというような点、CMの活用につきまして、事業者の理解、協力の獲得が必要であるというような意見が集約されました。これらの点も十分に念頭に置きまして、事務局であります総務省、さらには民放、その他の実務関係者の協力も得ながら、さらなる調査研究を進めてきたところであります。
 その結果を踏まえまして、所要の追加修正が行われたところですが、その主要部分につきまして、答申(案)の概要の2ページ、「中間とりまとめからの主な変更点」という表にまとめてございます。
 それでは、答申(案)の説明をさせていただきたいと思いますけれども、ただいまごらんいただきました「中間とりまとめからの主な変更点」に挙げられました7点を含めまして、答申(案)の本文で確認していきたいと思います。本文をごらんください。
 全体の構成でございますけれども、目次をごらんいただきたいんですけれども、本文の目次にありますとおり、7「おわりに」という締めくくりの項目を追加しております。
 また、別添資料を2つつけました。1つは、「事業者による実務的視点からの意見」ということで、民放等の実務関係者からのヒアリング結果をつけましたのと、もう一つは、「新たな国際放送の運営経費の考え方」ということで、中間取りまとめの際とは違う形での経費積算を行いました結果と、その考え方を新たに追加しております。
 本文1ページから6ページまでの部分につきましては、ほぼ中間取りまとめと同じでございます。
 7ページの4「映像国際放送強化の具体的方向性」の前文につきましては、後段に記述を追加しております。これは、先ほども触れましたように、中間取りまとめの報告の際に、情報通信政策部会等で示されました、番組内容が重要であるということ、番組編成のスタンスによりまして、経費、広告出稿も変わってくるということ、インターネットの積極的活用は重要であるというような意見をいただきましたので、その旨を強調する記述を追加したものでありまして、総務省が行いました民放等の実務経験者からのヒアリング結果も、20ページの別添資料として追加しております。
 その内容でございますけれども、20ページの黄色の枠の部分ですが、番組編成のあり方につきまして、総論としては、ニュース・情報番組を核にした総合編成としながら、コンセプトを明確に打ち出した編成とすべきであるという方向性が確認されました。
 各論としましては、外国人に見てもらえる番組だけじゃなくて、見せたい番組の枠を確保していくことが必要であるといった意見が示されました。
 次に、インターネットの活用につきまして、やはりインターネットは有効で、技術的にも相当程度のことが可能ですが、現段階では著作権処理上の制約が大きいということで、例えば、オピニオンリーダー向けに、ニュースはネット、次世代の若者向けにエンターテイメントは放送でといった放送とネットの緩やかな役割分担も提言されております。
 次に本文の8ページに戻りまして、(4)「使用言語」でございますが、インターネットを活用した多言語放送の重要性が情報通信政策部会でも強く出されましたので、「費用対効果も含めて、具体的な検討を行うべき」という、より強い表現に変更しております。
 9ページの(7)「放送開始時期」につきましては、放送開始時期の前倒しということで、中間取りまとめにおきます平成21年度当初からの放送開始を平成20年度後半中の放送開始に変更いたしました。
 概要資料の11ページにあります参考資料、「諸外国における映像による情報発信強化の動き」にも示されておりますように、諸外国の動きも踏まえて一層のスピードアップが必要であるとの結論でございます。
 次に、本文の10ページから11ページにかけましての「映像国際放送の事業主体及び財源の在り方」の(1)「見込まれる費用、収入」ですが、中間取りまとめにおきます運営経費の試算、230から270億円につきましては、11ページ上段にありますとおり、新しい試算結果も得られました。これは、事業主体の第2案、すなわちNHK国際放送の業務委託による新放送実施という案の採用を前提に、BBC等と同レベルの番組編成を実現するという想定に基づいたものでございます。
 これ自体をベンチマークとすることが妥当かどうかということで相当議論がございましたが、番組編成方針、具体的番組編成内容等に応じまして、相当の増減幅があり得るという基本認識のもとで、さらに精緻な積算が必要という留意点を明記することで意見の一致を見たところでございます。
 試算に当たっての考え方は、22ページ、別添2に示されているとおりでございますが、端的に申し上げますと、中間取りまとめの試算と異なりまして、ニュースの取材体制は構築せず、したがって、その維持管理費用を盛り込まない場合です。第2案では、ニュース素材のNHK本体との共用によりまして、BBC等とほぼ同レベルの番組編成と受信環境整備が可能であるというものでございます。
 次に、11ページの「国費投入及び国の関与」と、このページから12ページにかけましての「民間による出資及び支援」に移ります。
 国費投入に伴う効果検証方法の具体化、民間による支援方法の具体化ということで、まず、効果検証方法につきましては、政策評価法に基づきます政策評価制度、それと、より短期的な評価のための業績指標測定方法の検討という二本立てでいくという考え方を示しております。これは、現行の政策評価制度は5年間を1つのサイクルにしておりまして、長過ぎるということで、もっと短期的に効果の検証ができる業績指標も検討すべきであるという趣旨によるものでございます。
 民間による支援方法の記述につきましては、実務関係者からのヒアリングの中で、民間支援出資の重要なポイントは、税制上の問題だけじゃなくて、ステークホルダーの説明責任確保の仕組みもあるという指摘がありましたので、そうした指摘を踏まえた記述でございます。
 同じページの「広告収入」ですが、広告収入の可能性の明示ということで、事業者ヒアリングを行いました結果を踏まえまして、中間取りまとめよりもさらに踏み込んで、いわゆるブランドイメージ広告が伸長する可能性もありという記述を追加しております。
 次に、同じページから14ページにわたります「事業主体の枠組み」ですが、これは、事業主体の枠組みの特定ということで、中間取りまとめにおきます2つの案、すなわち第1案のNHK国際放送とは別スキームにする、第2案のNHK国際放送の業務委託と。両案中立的でありました記述を、総務省における法制面の検討結果も取り入れる形で、第2案を基本とすることが適当という記述に変更しますとともに、その理由を記述しております。
 もう1点補足いたしますと、14ページ一番下の○、すなわち、外国人にとりまして真に魅力ある新しい視点からの映像情報発信の実現、以下の表現につきまして、委員会では事業主体のNHKからの自立を将来図っていくべきという意見もある一方で、自立を明示するのは慎重にすべきという意見もありましたことから、結局、自立については明示せずに、裁量のガバナンス等を追求していくべきという方向につきまして、その旨の記述にしたということでございます。
 続く15ページの6「今後における取組の本格化に向けて」の財源及び物的・人的資源の確保につきましては、関係省庁一体となった予算確保ということで、アジア・ゲートウェイ構想等、省庁横断的な取り組みとの連携を具体策として明示しております。
 また、15ページの10行目あたりに、「魅力あるコンテンツ作りとその効果的な活用」とありますが、委員会では、番組づくりという表現をしておりましたが、部会でコンテンツという表現が適当ということがありましたので、修正いたしました。
 最後に、17ページ「おわりに」という項目です。これは端的に申しますと、答申(案)の締めくくりとしまして、官民一体、国を挙げた取り組みへの期待を強調した記述でございます。
 以上が答申(案)の内容でありますが、新しい国際放送の実現に向けまして、予算確保も含め、引き続き検討を要する課題があるというのが検討を終えての率直な感想でございます。
 そういう意味では、検討委員会の委員を含め、関係者が今回の検討をこれで終わりとせずに、引き続き公式、非公式に、総務省をはじめとします関係省庁及びNHKに対する支援、応援を続けていくということが大事ではないかと思います。
 そして、そういう認識を、本日ご出席の委員の皆様にも共有していただければ幸甚と考える次第でございます。時間の関係でかなり早口になってしまい失礼いたしました。

○庄山会長  どうもありがとうございました。
 幾つかご質問等ございますでしょうか。これで答申させていただくことにつきましてご了解いただけますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。答申させていただきたいと思います。
 それでは、ここで大臣が入場されまして、今までの報告等々につきまして答申をさせていただきたいと思いますので、しばしお待ちいただきたいと思います。

(菅大臣入室)

○庄山会長  それでは、答申書がまとまりましたので、報告させていただきます。
 総務大臣 菅義偉殿 情報通信審議会会長 庄山悦彦 答申書 平成16年1月28日付け諮問第8号「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」についての審議の結果、添付のとおり答申いたしますということで、以下2件、3件でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○菅大臣  どうもありがとうございました。ご苦労さまでした。

(答申書手交)

○庄山会長  それでは、ここで、菅総務大臣から本件につきましての、答申書に対しましてのご意見、あるいはごあいさつをよろしくお願いいたします。

○菅大臣  総務大臣の菅であります。日ごろから、それぞれの委員の皆さんには情報通信行政にご理解をいただき、また、ご協力を賜っておりますことに心から感謝と御礼を申し上げます。
 ただいま審議会から3件の答申をちょうだいいたしました。
 まず、「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」については、2011年のアナログ放送の停波、デジタル化放送への全面移行に向けて、受信機の普及に向けての取り組み方策、経済弱者支援の必要性などについてご提言をいただきました。そしてまた、デジタル・コンテンツの流通の促進等については、いわゆるコピーワンスの改善方策、放送コンテンツの2次利用の促進などについてのご提言をちょうだいいたしました。
 また、「「外国人向けの映像による国際放送」の在り方とその推進方策」については、新たな外国人向け映像国際放送を早期に解消し、その強化を図るために、番組編成時の基本的考え方、事業主体及び財源のあり方などについてご提言をいただきました。これらの答申、今ちょうだいしたわけでありますけれども、私が責任持って、今後の政策運営、しっかりと行ってまいりたいと思います。
 庄山会長をはじめ、審議をいただきました委員の皆さんのご努力に心から感謝と敬意を表する次第であります。
 さらに、我が国の国際競争力の強化が喫緊の課題であります。我が国の国際競争力を強化するための研究開発、標準化政策について、本日諮問させていただきます。私は、これからの我が国が人口減少社会の中で安定した発展をするためには、この分野というのは極めて重要な分野であると考えておりますので、委員長をはじめ、会長をはじめ、委員の皆さんには、ぜひこの分野に対しましてもしっかりとしたご議論、ご審議を賜りますようにお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。どうもありがとうございました。

○庄山会長  どうもありがとうございました。菅総務大臣は、ご公務のため、ここで退席されます。どうもありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

○菅大臣  どうぞよろしくお願い申し上げます。

(菅総務大臣退室)

諮問案件

「我が国の国際競争力を強化するための研究開発・標準化戦略」について
【諮問第13号】

○庄山会長  それでは、審議を再開したいと思いますが、諮問第13号、今、大臣からもお話がございましたが、我が国の国際競争力を強化するための研究開発・標準化戦略につきまして、これは総務省からご説明をお願いしたいと思います。

○児玉技術政策課長  技術政策課長の児玉でございます。
 資料17−4に基づきましてご説明いたします。
 本件は、我が国の国際競争力を強化するための研究開発・標準化戦略について諮問をさせていただきたいというものでございます。
 1枚おめくりいただきましたところに諮問理由がありますが、説明は3ページ目を使ってご説明いたします。A4横の資料になっております。
 まず、背景といたしましては、2つ目の○にありますとおり、ICT、あるいはICT産業は我が国の経済成長の原動力であるとともに、高度で多様なICTサービスというものが国民生活の向上に大きく貢献しているということは言うまでもないことではあります。しかしながら、グローバル市場の中で我が国の競争力は必ずしも高くない状況にあるという背景を受けまして、総務省では昨年秋から、国際競争力懇談会を開催いたしまして、4月に取りまとめをいただきました。
 さらに、これを受けまして、総務省として、今年の5月22日にICT国際競争力強化プログラムという、いわゆる包括的な政策パッケージというものを取りまとめて公表いたしました。このプログラムは、基本プログラムと個別プログラムから成りまして、個別プログラムの中にも、また幾つかのプログラムがございます。その中で、赤い箱にあります研究開発と標準化、知的財産強化プログラム、これらの個々のプログラムの中には、さらにまた多くの方針であるとか施策、方向性が挙げられておりますが、このうち、当省だけが決めるものではなくて、広く産業界、あるいは学会の方々のご意見、お知恵を拝借しながら検討すべき事項というものがございます。
 例えば、吹き出しに書いてありますが、基礎的研究開発の戦略的推進ということですけれども、じゃあ、どういう分野をいつまでにどれぐらいの目標を持って行うのかといったこと。あるいは、産学官の役割分担をどうすべきかということ。また、国際標準化戦略マップを整備すべきであるという提言をいただいているわけでございますが、どのような分野をマップとして整備することが効果的であるか。あるいはまた、知的財産強化戦略の策定に当たっては、具体的な中身はどういうものであるか等々、こういったことにつきましての具現化を図るために、今回、下の箱にありますが、中長期にわたり国際競争力を強化する観点から、主に研究開発、標準化に関する長期的なビジョン、具体的な推進方策を検討いただきたいというものでございます。
 検討に際しましては、政府の最近の方針、例えば、知的財産戦略本部が昨年12月に出した国際標準総合戦略、あるいは本年6月にまとめられた長期戦略指針「イノベーション25」、こういったものも当然踏まえてご審議いただければと思っております。
 具体的に答申を希望する事項としては、下の二重四角の中に3つありますが、1つ目は、研究開発課題と目標を明確化した研究開発ロードマップ。2つ目としまして、標準化重点分野を明確化した標準化ロードマップ。3点目が、これらのロードマップを確実に推進するための推進方策ということでございます。
 これら答申をいただいた暁には、政府だけではなくて、産学官連携による戦略的な研究開発や標準化活動を行う上での指針として位置づけることを期待しております。答申は、できれば年度内を希望させていただきたいと思います。
 以上ですが、よろしくご審議のほど、お願いいたします。

○庄山会長  ありがとうございました。
 ただいまのご説明につきまして、ご質問、ご意見ございますか。どなたからでも結構でございます。
 特によろしゅうございますでしょうか。大きなテーマをいただいたようなところもあるんですが。
 それでは、本件につきましては、今後、効率的かつ機動的に審議するために、広い分野での専門知識を蓄積していただいております情報通信技術分科会におきまして、具体的な審議をし、そしてまた、こういう場で議論させていただくということにいたしたいと思うんですが、よろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○庄山会長  それでは、そういうことで、情報通信分科会の構成員の皆様方には、いろいろ次から次へとお願いでございますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 期限も切ってございますので、来年の3月ということでございますので、急いでやらないとなかなかあれかもしれませんが、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、本件は、今、諮問をちょうだいいたしました件は、そういう形で進めさせていただきたいと思います。

会長代理の指名について

○庄山会長  続きまして、情報通信審議会の会長代理の指名につきまして、お話し申し上げたいと思います。
 本件につきましては、現在の会長代理でございます宮原委員より、会長代理を退任したい旨、連絡がございましたことから、後任の指名をお願いするものでございます。
 会長代理につきましては、規定によりまして、会長が指名するということになってございまして、私から指名させていただくということでよろしゅうございますでしょうか。
 会長代理につきましては、本日、ご欠席でございますが、技術的な観点も含めて幅広い見識をお持ちでございます土居範久委員、情報通信技術分科会長でもいらっしゃいますけれども、を指名させていただきたいと思います。皆様方、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。
 以上で本日予定されました議題は終了でございます。委員の皆様方から何かございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 事務局から何かございますか。

○今林情報通信政策局総務課長  事務局から2点申し上げます。
 まず、お手元の資料17−5でございますが、本日お配りしております資料につきましては、本会議が開催されますまでの間に、文書審議を行った案件となっております。17−5に書いてございますけれども、総会で緊急に審議を行い、部会に付議するなどの手続を進める必要があったということで、表記しております「生産性向上のためのICT共通基盤の整備」(諮問第11号)及び「「コンテンツ競争力強化のための法制度」の在り方」(諮問第12号)につきまして、情報通信政策部会に付議するということでございますが、これについて、委員の皆様に文書をお送り申し上げまして、回答をいただきましたところ、28名の委員の皆様で了解するという旨の回答をいただきましたので、付議されることになっておりまして、6月19日に既に付議になってございます。1つの報告でございます。
 それから、連絡事項でございますが、恐縮でございますが、この後、引き続き情報通信技術分科会を開催いたしますので、出席者の皆様は、本会議終了後もそのままご着席をお願いしたいと存じます。
 以上でございます。


閉会

○庄山会長  それでは、本日の会議をこれで終了いたします。
 次回の総会の日程等につきましては、別途、確定になり次第、事務局からご連絡を差し上げますので、皆様方のご協力をよろしくお願いいたしたいと思います。
 本日のご出席、ご協力、大変ありがとうございました。
 以上で閉会といたします。どうもありがとうございました。









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