報道発表資料のトップへ トップページへ戻る

インデックスへ ・ 電気通信


発表日  : 2000年 4月14日(金)

タイトル : 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定についての意見募集







 電気通信審議会は、本日、郵政大臣から、「東日本電信電話株式会社及び西日本
電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定について」の
諮問を受けました。

 これは、東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の都道府県内通信
である「音声伝送役務」(電話及び総合デジタル通信サービスに限る。)及び「専
用役務」の区分ごとに全体の料金水準の上限である「基準料金指数」を設定しよう
とするものです。

 当部会においては、別添の基準料金指数の設定について広く意見を求め、その結
果を踏まえて調査審議を行い、郵政大臣に対して答申することとしています。

 なお、基準料金指数の設定案は郵政省1階ロビー掲示板に掲示するほか、郵政省
のホームページ(http://www.mpt.go.jp/policyreports/japanese/telecouncil/
denki/index.html)への掲載により周知することとしています。

 基準料金指数の設定についての意見の提出については、別紙「意見提出手続等に
ついて」の要領に従ってお願いします。




                (連絡先)
                 電気通信審議会について
                   郵政省官房秘書課審議会室
                   (担当:山岸室長補佐、津田係長)
                   電話:03−3504−4807


                 諮問内容等について
                   郵政省電気通信局電気通信事業部業務課
                   (担当:菱沼課長補佐、蒲生係長)
                   電話:03−3504−4830


別 紙              意見提出手続等について 1 本件基準料金指数の設定案について意見を提出されたい方は、書面により意見  を提出して下さい。書面には提出者の氏名・住所(法人又は団体の場合は名称・  代表者の氏名・主たる事務所の所在地)及び電話番号を明記して下さい。   意見提出の期限は平成12年5月12日(金)午後6時とします。   郵送の場合は、提出者の氏名・住所(法人又は団体の場合は名称・代表者の氏  名・主たる事務所の所在地)及び電話番号を明記の上、提出期限日必着としてく  ださい。           (あて先及び内容についての照会)             〒100−8798              東京都千代田区霞が関1−3−2                郵政省官房秘書課審議会室                     電気通信審議会係                電話:03−3504−4807 2 意見書を提出する方は、併せてその内容を保存した磁気ディスクを添えて提出  するようお願いします。磁気ディスクは3.5インチ、2HDのフロッピーディ  スクを1.44MBのMS−DOSフォーマットとすることとし、ファイル形式  はテキストファイルとしてください。ただし、他のファイル形式による場合は、  事務局(上記照会先)にご照会ください。   フロッピーディスクには提出者の氏名、提出日、ファイル名を記載したラベル  を貼付してください。
                                 (別添)   資料7 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話       株式会社の提供する特定電気通信役務の基準       料金指数の設定について
東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供
する特定電気通信役務の基準料金指数の設定について


                 目  次


1 基準料金指数の設定について
2 参考資料






         1 基準料金指数の設定について 第1 平成12年度における特定電気通信役務の基準料金指数  1 基準料金指数の算定式   (電気通信事業法施行規則第19条の5第1項及び第6項)    基準料金指数=前適用期間の基準料金指数×(1+前年の消費者物価指数変   動率−生産性向上見込率(X値)±外生的要因)
1 前適用期間の基準料金指数:100
2 前年の消費者物価指数変動率:−0.3%(平成11年の変動率) 
3 生産性向上見込率(X値)
 音声伝送役務:NTT東日本1 1.9%、NTT西日本2 1.9%
 専用役務  :NTT東日本 2.1%、NTT西日本 2.1%
 加入者回線 :NTT東日本−0.3%、NTT西日本−0.3%
4 外生的要因:0
注1 東日本電信電話株式会社をいう。以下同じ。
注2 西日本電信電話株式会社をいう。以下同じ。

 2 基準料金指数(平成12年度)

  (1) 音声伝送役務(電話+ISDN)バスケット
 
(NTT東日本)97.8=100×{1+(−0.3%)−1.9%}
 
(NTT西日本)97.8=100×{1+(−0.3%)−1.9%}
 
    年間値下げ額(平成12年度) 合計約610億円
    NTT東日本:308億円、NTT西日本:304億円


  (2) 専用役務バスケット
 
(NTT東日本)97.6=100×{1+(−0.3%)−2.1%}
 
(NTT西日本)97.6=100×{1+(−0.3%)−2.1%}
 
    年間値下げ額(平成12年度) 合計約60億円
    NTT東日本:36億円、NTT西日本:28億円

  (3) 加入者回線サブバスケット
 
(NTT東日本)100=100×{1+(−0.3%)−(−0.3%)}
 
(NTT西日本)100=100×{(1+(−0.3%)−(−0.3%)}
 

  (4) 年間値下げ額の総計(平成12年度)
    音声伝送役務及び専用役務 総計約680億円
    NTT東日本:344億円、NTT西日本:332億円

 3 基準料金指数の適用期間(電気通信事業法施行規則第19条の5第2項)

   平成12年10月1日から平成13年9月30日まで

   (平成12年4月1日の料金水準を100として、上記適用期間において、
  区分(バスケット)ごとの全体の料金水準(料金指数)を、基準料金指数(音
  声伝送バスケットであれば97.8)以下とする必要がある。料金指数が基準
  料金指数以下であれば、届出のみで事業者が自由に個別料金を設定できること
  となる。)

 4 東・西NTT3への通知予定(電気通信事業法施行規則第19条の7)

   平成12年6月末予定(郵政大臣は、東・西NTTに対して、基準料金指数
  の適用の日から90日前(平成12年7月3日(月))までに通知しなければ
  ならないとされている。)

  注3 東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社をいう。以下同じ。

 5 その他

   東・西NTTは、料金の設定又は変更の届出を1月前までに提出しなければ
  ならないことから、基準料金指数の適用の日(10月1日)において、料金指数
  を基準料金指数以下にするために、6月末に予定されている通知日以降9月1
  日までに、料金の設定又は変更の届出を行う必要がある。

第2 平成12年度から平成14年度における生産性向上見込率(X値)の
  算定根拠

 1 基本的な考え方

  (1) 算定式

    X値は算定期間の最終年度(3年目)で収支相償するレベルに設定するよ
   う、次の式により算定する。

   ・

    これを、左辺をX値として展開すれば、次のとおりとなる。

    ・

  (2) 料金引下げの促進

    今回のX値は、次の理由により、料金引下げを促進する形で設定すること
   が望ましい。
   ア 通信料金の引下げが強い社会的な要請となっていること。
   イ 東・西NTTが地域通信料金を引き下げていくことが平成11年7月に
    実施されたNTT再編成の趣旨であること。
   ウ 総括原価方式から上限価格方式への制度変更後、初めての適用であるこ
    と。

  (3) 東・西NTTのX値

    再編成後3事業年度間において特定費用負担金制度が設けられている趣旨
   にかんがみ、急激に料金格差が生じないようにするため、東・西NTTが同
   一の料金をとることが可能となるような観点から、今回のX値の算定に限り、
   東・西のX値を同一のものとする。

  (4) 加入者回線サブバスケット
   1 加入者回線サブバスケットについては、次の理由から、X値を算定して
    求めることは適当でない。
    ア 加入者回線サブバスケットについては、加入者回線サブバスケットの
     対象サービス(基本料、施設設置負担金等)は平成元年度から一貫して
     不採算であったが、平成6年度の基本料値上げを経て翌7年度にようや
     く(営業損益ベースでみて)採算化した。しかし、その後収支状況が再
     度悪化する傾向となり、現在、収支ギリギリとなっている。このような
     現在の状況動向を基に平成14年度の収支予測をすれば、料金値上げを
     容認するようなX値となるおそれが強い。
    イ さらに、加入者回線サブバスケットにおいて基本料に次いで大きな割
     合を占める施設設置負担金については、会計上、圧縮記帳を行い、施設
     設置負担金収入と同額の資産を控除し、減価償却費等を減額することと
     なっている。すなわち、施設設置負担金相当額は、収入・費用等から除
     かれている。X値を算定するために、圧縮記帳がなかったものとみなし
     て、収支を算定しようとしても、会計上の実際の収支が施設設置負担金
     圧縮後であることから、収支予測を算定すること自体が技術的に困難で
     ある。

   2 以上を踏まえ、加入者回線サブバスケットについては、次のとおり運用
    する。
    ア 消費者物価指数変動率が小さい場合には、料金を小刻みに変動させな
     ければならなくなる事業者のコスト増等を考慮して、基準料金指数を前
     年度のものと同じものに設定する。
    イ 消費者物価指数変動率が大きい場合には、事業者の費用負担や利用者
     利益を考慮して、通常考えられる変動幅を超える部分のみを基準料金指
     数に反映させる。

 2 X値を算定するために必要な消費者物価指数変動率の推計

  ○ 平成12年度から平成14年度に使用するX値を算定するために必要な消
   費者物価指数変動率

  消費者物価指数変動率=0.2%  

    直近3年間の消費者物価指数変動率の平均値を推計値としている。ただし、
   平成9年4月に実施された消費税率引上げの影響である1.5%を除いてい
   る。

 (参考)消費者物価指数変動率の推計
 
平成9年
      
平成10年
      
平成11年
      
 消費税率引上 
 げの影響   
変動率(%) 
1.8
0.6
−0.3
(1.5)
 (推計){1.8+0.6+(−0.3)−1.5}/3=0.2
 
               (注)消費税引上げの影響である
                1.5%は、経済企画庁の試算による。

 3 特定電気通信役務の収入予測

  (1) 特定電気通信役務の収入予測の基本的考え方
    1 回帰分析又は過去のトレンドに基づき予測を行った。
    2 説明変数としては、公式の予測があるものはそれを用い、それ以外に
     ついては過去のトレンドから推計した。

  (2) 音声伝送役務バスケット(平成14年度)

NTT東日本:14,898億円  
NTT西日本:14,888億円  

  (3) 専用役務バスケット(平成14年度)

NTT東日本:1,651億円   
NTT西日本:1,332億円   

  (4) 特定電気通信役務収入の主な予測方法

    1 基本料収入(加入電話)

 基本料収入(加入電話)の図

    2 通話料収入(加入電話)

 通話料収入(加入電話)の図

  (5) 収入予測の前提
説明変数
11年度
12年度
13年度
14年度
名目GDP
▲0.4%
0.8%
実質GDP
 0.6%
1.0%
世帯数(千世帯)
45,952
46,467
46,793
47,188
(注1)名目GDP及び実質GDPについては、11年度、12年度は政府
   経済見通し、13年度、14年度は12年度見通しと同じものを使用。
(注2)世帯数は、国立社会保障・人口問題研究所の予測値を使用。
 4 特定電気通信役務の費用予測及びレートベース予測

  (1) 特定電気通信役務の費用予測及びレートベース予測の基本的考え方

    特定電気通信役務の費用予測及びレートベース予測については、上限価格
   方式が適用される当初の3年間(平成12年度から平成14年度)に実施さ
   れるべき経営効率化計画の策定を東・西NTTに求め、それに応えて、平成
   11年11月17日に策定、公表された「中期経営改善施策」を含めた費用
   効率化を織り込んで予測した。

  (2) 特定電気通信役務の費用予測の妥当性

    1 東・西NTTの提供するサービスは独占的な要素を有するものである
     ことから、他に比較可能な存在がなく、それに係る費用が妥当であるか
     どうかを客観的に判断することが難しいことを踏まえると、一定の手法
     によって計測された効率化指標などを活用することは意義があると考え
     られる

    2 効率化指標による計測結果は、一般的に言えば、当該事業者の非効率
     性を意味し、当該事業者によるその解消の必要性を意味するものである。
     東・西NTTによって行われる効率化努力は、従来から実施されてきた
     効率化(退職後不補充による人件費効率化、従来から実施されてきた一
     般物件費・委託費削減等)も、追加的に作成された計画による効率化(
     「中期経営改善施策」による追加的な人件費効率化、設備投資額削減、
     一般物件費・委託費削減等)も、非効率性の解消に寄与する。従って、
     これら全体を、効率化を全く実施しなかった場合と比較して評価した。

    3 このような観点で、東・西NTTの「中期経営改善施策」に、従来か
     ら実施されてきた効率化を加えると、費用削減額として、平成14年度
     において、NTT東日本が約2,500億円、NTT西日本が約3,0
     00億円、合計約5,500億円を見込んでおり、費用効率性の向上割
     合は、平成14年度でNTT東日本が8.7%、NTT西日本が10.
     1%となる。

    4 この東・西NTTの費用効率性の向上割合について、DEAによる効
     率性の計測結果から総合的に見れば、東・西NTTの経営効率化計画が
     十分であるとは必ずしも言えないとしても、明らかに不十分と断定する
     ことは困難である。

     (参考) DEA(包絡分析法:Date Envelopment Analysis)とは、
         実績データに基づいて最も効率的な企業の生産性を基準として、
         他の企業の効率性を計測するものである。今回は、再編成前の
         日本電信電話株式会社の11地域事業部を別会社と仮定して効
         率性を計測した。

  (3) 音声伝送役務バスケット(平成14年度)

NTT東日本:13,308億円 
NTT西日本:13,795億円 
  (4) 専用役務バスケット(平成14年度)

NTT東日本:1,474億円  
NTT西日本:1,230億円  
  (5) 特定電気通信役務の費用の主な予測方法

    1 人件費

    人件費の図

    2 物件費
     ア  一般物件費

    一般物件費の図

     イ グループ委託費

    グループ委託費の図

   3 減価償却費

    減価償却費の図

  (6) 特定電気通信役務の費用の予測の前提
項 目
NTT東日本
NTT西日本
物価上昇率
・0.2%(直近3年間の平均値)
費用削減
・中期経営改善施策を織り込む
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
人件費
 
 
 
・14年度人員見通し
 :50,000人
・ベア凍結
・時間外手当の30%カット
・14年度人員見通し
 :57,200人
・ベア凍結
・時間外手当の30%カット
物件費
 
 
・一般物件費:年1%減
・グループ委託費
 :効率化年3%
・一般物件費:年3%減
・グループ委託費
 :効率化年3%
投資抑制 
 
・14年度投資額
 :4,500億円
・14年度投資額
 :4,700億円

  (7) 特定電気通信役務のレートベースの主な予測方法

    1 正味固定資産

  正味固定資産の図

    2 貯蔵品

    貯蔵品の図

 5 特定電気通信役務の適正報酬額・利益対応税額の算定

  (1) 適正報酬額の算定に関する考え方

   ア 次の目的を考慮して特定電気通信役務のX値を設定し、このために必要
    な報酬率を設定する。
    1 再編成後3事業年度間において特定費用負担金制度が設けられている
     趣旨にかんがみ、今回のX値設定の3年間に限って、東・西NTTにお
     いて急激な料金格差が生じないようにする。 
    2 現下の経済情勢の中で、通信料金の引下げが強い社会的要請となって
     いることに応える。

   イ これを実現するため、具体的に次のとおりとする。
    ○ 東・西NTTに異なる報酬率を設定し、東・西NTTのX値を同一に
     することによって、東・西NTTが同一の料金をとることを可能とする。
      
    ○ 報酬率の上限値から下限値の範囲内でNTT西日本に最も低い報酬率
     (最大のX値)を求め、最大限の値下げを可能とする。

   ウ 以上から、NTT西日本の報酬率を下限値(1.26%)としてX値を
    設定し、これにNTT東日本のX値を合わせ、NTT東日本の報酬率を設
    定する。

   エ レートベースに報酬率及び利益対応税率(自己資本コスト相当分の0.
    6987)を乗じることにより、適正報酬額・利益対応税額を算定する。


                                 [参考]               報酬について
上限値 3.36%
下限値 1.26%

報酬率=他人資本コスト(他人資本に対する支払利子)
    +自己資本コスト(企業にとっての純粋な利益に対応するもの)

・

   上限値は、自己資本コストを主要企業の平均自己資本利益率としたもの
   下限値は、自己資本コストをゼロとしたもの

(参考)
 1 他人資本利子率(平成6年度から平成10年度までのNTTにおける社債及
  び借入金の平均利回り)
                           (単位:%)
6年度
7年度
8年度
9年度
10年度
平均
 5.17 
 4.85 
 4.44 
 3.89 
 3.66 
 4.40 

 2 自己資本利益率(平成6年度から平成10年度までの全国主要企業(全国の
  証券取引所に上場している銀行、保険、証券、外国部以外の企業(平成11年
  7月1日現在で2,282社)の平均自己資本利益率))
                           (単位:%)
6年度
7年度
8年度
9年度
10年度
平均
 2.85 
 3.78 
 4.19 
 3.04 
 1.08 
 2.99 
出典:『日経経営指標』(日本経済新聞社)
 3 国債利回り(平成6年度から平成10年度までの国債(利付・10年もの)
  の平均利回り)
                           (単位:%)
6年度
7年度
8年度
9年度
10年度
平均
 4.37 
 3.15 
 2.98 
 2.20 
 1.50 
 2.84 


                                 [参考]

 報酬率とX値との関係図

  (2) 音声伝送役務バスケット(平成14年度)

NTT東日本:843億円  
NTT西日本:326億円  

   (NTT東日本) X値をNTT西日本のX値(1.9%)に合わせて設定
           したときの報酬率(2.46%)に利益対応税を含めたも
           の(計3.29%)により算定。
   (NTT西日本) 報酬率を下限値(1.26%)に設定し算定。

   (参考) 音声伝送役務のレートベースの設定(平成14年度)
        NTT東日本:25,600億円
        NTT西日本:25,878億円

  (3) 専用役務バスケット

NTT東日本:85億円   
NTT西日本:28億円   

   (NTT東日本) X値をNTT西日本のX値に合わせて設定したときの報
           酬率(2.32%)に利益対応税を含めたもの(計3.0
           6%)により算定。
   (NTT西日本) 報酬率を下限値(1.26%)に設定し算定。

   (参考) 専用役務のレートベースの設定(平成14年度)
        NTT東日本:2,782億円
        NTT西日本:2,242億円

 6 加入者回線サブバスケット

  (1) 加入者回線サブバスケットのX値については、
   ア 消費者物価指数変動率がA%を上回る場合にはX値をA%とし、
   イ 消費者物価指数変動率がマイナスA%以上A%以下の場合にはX値を前
    期の消費者物価指数変動率として、基準料金指数を前年度のものと同じも
    のに設定し、
   ウ 消費者物価指数変動率がマイナスA%を下回る場合にはX値をマイナス
    A%とする。

基準料金指数の図

  (2) 通常考えられる変動幅(上図のA)については、過去10年間において、
   消費者物価指数変動率が最も高かった年で3%強であったことにかんがみ、
   3.0と設定する。なお、この考え方については、今後の消費者物価変動率
   の水準や加入者回線部分の収支状況を踏まえて見直しを検討していく。
(参考) 過去10年間の消費者物価指数変動率の推移(全国)(単位:%)
 
暦   年
年   度
指 数
上昇率
指 数
上昇率
平成   元 
90.7 
(注1) 2.3 
91.4 
(注1) 2.9 
93.5 
3.1 
94.3 
3.3 
96.5 
3.3 
96.9 
2.8 
98.1 
1.6 
98.5 
1.6 
99.4 
1.3 
99.7 
1.2 
100.1 
0.7 
100.1 
0.4 
100.0 
−0.1 
99.9 
−0.1 
 100.1 
0.1 
100.3 
0.4 
101.9 
(注2) 1.8 
 102.3 
(注2) 2.0 
10 
102.5 
0.6 
102.5 
0.2 
11 
102.2 
−0.3 
未公表 
未公表 
 注1:平成元年4月に消費税が導入されている。
 注2:平成9年4月に消費税率の引上げが行われている。
  (3) 平成12年度は、基準料金指数の算定に用いる前年の消費者物価指数変動
   率が「▲0.3%」であることから、X値を「▲0.3%」とすることによ
   り、基準料金指数は100となる。

  (4) これにより、加入者回線サブバスケットに含まれる基本料・施設設置負担
   金については、個別料金について、一部が値上がりし、一部が値下がりする
   ことは生じ得るとしても、区分全体として料金値上げが防止され、通話料・
   通信料等との内部相互補助を防止することができる。
    なお、事業体が自らの経営判断によって値下げを行うことは、当然可能で
   ある。


              2 参考資料                 目  次 第1 上限価格方式(プライスキャップ方式)の概要 第2 DEAによる経営効率性の計測について 第3 米国(州)及び英独仏におけるプライスキャップ方式
第1 上限価格方式(プライスキャップ方式)の概要  1 上限価格方式(プライスキャップ方式)    ○ 電気通信分野の料金は、規制緩和推進3か年計画(平成10年3月)に     おいてその方向性が示され、電気通信事業法改正(平成10年5月)によ     り、原則届出制となっている。      また、同様に規制緩和推進3か年計画を踏まえて、今般、東・西NTT     の通信料金についても、規制緩和を行うものであるが、地域通信分野の競     争が十分進展していないことから、主要なサービス(音声伝送役務(電話、     ISDN)、専用役務)については、上限価格方式による規制を行うもの。     (参考)      ○ 規制緩和推進3か年計画(抄)(平成10年3月)       料金の個別認可制を廃止し、原則届出制とするとともに、地域通信市       場における加入電話等基本的なサービスについては、上限価格方式と       する。    ○ 「音声伝送役務(電話・ISDN)」と「専用役務」に区分し、区分(     バスケット)ごとに全体の料金水準の上限(キャップ)を定め、全体の料     金水準がこの上限以下となることを求めるものである。なお、区分(バス     ケット)内の個別料金について、一部が値上がりし、一部が値下がりする     ことは生じ得る。    全体の料金水準の上限を定める区分の図  2 上限価格方式の経緯    平成10年 5月 電気通信事業法改正済み    平成12年10月 適用開始予定    (NTT再編成(平成11年7月)後の中間決算値の結果を待っていたもの)  3 上限価格方式の特徴    区分全体の料金水準の上限が定められることから、利用者・事業者にとって、   以下のとおりのメリットがある。   (1) 利用者にとっては、全体の料金水準について、最低限一定の値下げ(ある    いは値上げ抑制)が保証されるメリットがある。   (2) 事業者にとっては、区分全体の料金水準の上限を遵守する限り、次のよう    な経営上のメリットがある。    ア 認可を要さず、届出のみで個別料金の変更を自由に実施できる。    イ 経営の効率化によって結果的に利益が生じても、一定の期間内(3年間)     は追加的値下げを強制されることがない。  4 上限(キャップ)の定め方    ○ 区分全体の料金水準の上限(キャップ)は、法律上は、「基準料金指数」     として定められる。    ○ 基準料金指数は、「消費者物価指数(CPI)変動率」と、東・西NT     Tに期待される「生産性向上見込率(X値)」を勘案して定められる。
 
 基準料金指数=前期の基準料金指数×
        (1+前期の消費者物価指数変動率
         −生産性向上見込率(X値)±外生的要因)   
 
 ※ 初期値は100(本年4月1日の料金水準)
 
   ○ 行政としては、このX値を適切に定める(3年ごと)ことによって、値
    下げを推進(あるいは値上げ抑制)できる。
   (例) 仮に、「X値−CPI」を1%とすると、東・西NTTは3年間で
    各々約450億円(約150億円×3か年)の値下げを最低限実施するこ
    とが求められる。


第2 DEAによる経営効率性の計測について

 1 DEAの概要

  (1) DEA(包絡分析法:Data Envelopment Analysis)は、実績データに
   基づいて最も効率的な企業の生産性を基準として、他の企業の効率性を計測
   する手法である。
    具体的には、今回は、NTT旧11地域通信事業部を別会社であると仮定
   して、平成6年度から平成9年度までの実績データに基づいて最も効率的な
   旧東京事業部・旧関東事業部などの生産性を基準として、他の事業部の効率
   性を計測したものである。

  (2) 計測方法は、投入(今回は、労働、資本及び原材料を用いる。)と産出(
   今回は、通信時間及び回線数を用いる。)となる要素をあらかじめ決定し、
   各々の企業の投入と産出から、下記のとおり効率値を計測するもの。

    (効率値)=(産出)/(投入)

  (3) DEAでは、効率値が最も高い企業を、最も効率的な生産性を有する企業
   として基準とし、他の企業が基準となる企業とどれだけ離れているかを計測
   する。基準となる企業との乖離は、実績データに基づいて最も効率的な企業
   の実際の生産活動と、他の事業部の実際の生産活動との乖離であり、他の事
   業部の非効率を表している。
    ただし、例えば、電気通信事業者と製造業者との比較のような異業種同士
   の比較や、同じ電気通信事業者であってもNTTと中継系事業者との比較の
   ような費用構造が大きく異なるもの同士の比較は、実際の生産活動の非効率
   を表すことにはならない。

  (4) 具体的には、例えば、旧東京事業部が実績データに基づいて最も効率的な
   事業部であったとすると、DEA計測では100%の効率性を有する事業部
   と表されることになる。この時、旧北海道事業部のDEAによる効率性が9
   0%とすると、旧北海道事業部の効率性の不足が10%ということになる。

(参考) 投入・産出要素
要素
具  体  的  内  容
投入
(労働)
 各年度末の従業員数
 
投入
(資本)
 土地・建設仮勘定を除く実質化した電気通信事業固
定資産
投入
(原材料)
 加入電話及びISDNの加入数
 
産出
(音声伝送)
 加入電話及びISDNの通信時間(他事業者との接
続分を含む)
産出
(専  用)
 専用回線数(電話級換算、他事業者の接続専用線分 
を含む)
投入要素価格
(労 働)
 実質人件費年額÷年度末従業員数
 
 投入要素価格 
(資本)
 投資財価格指数×(政府保証債利子率+
電気通信事業固定資産に対する減価償却額÷
期首の電気通信事業固定資産額)
÷卸売物価指数
投入要素価格
(原材料)
 実質物件費÷年度末加入数
 
注 1998年『地域通信事業の効率性の計測』(浅井澄子/根本二郎)
 を参考にした。

 2 計測結果

   計測結果の図

   ア 平成6年度から平成9年度までの複数年度を通じた計測結果の平均値
   イ 平成6年度から平成9年度までの複数年度を通じて計測した上での直近
    年度の平成9年度の結果
   ウ 平成6年度から平成9年度までの単年度で計測した計測結果の平均値


第3 米国(州)及び英独仏におけるプライスキャップ方式

州名・
対象事業者
バスケット
区分方法
対象サービス
 
使用する
物価上昇率
バスケット毎の
X値
プライスキャップ
 
 
 アラバマ州
 ・GTE
 ・サウス
  セントラルベル
 
 (1995年導入)
 
 
○基本的
 サービス
 
 
○基本料、
 市内通話料等
 
国内総生産
物価指数
(GDP・PI)
 
1.0%
(1999年)
 
 
GTE   1%
 
サウスセント
 ラルベル 3%
 
 
 0.1%
 
▲2.0%
 
 ニューヨーク州
 ・ベル
  アトランティック 
 
 
 (1995年導入)
 
 
○基本サービス
 
 
○基本料、
 市内通話料等
 
 州規制委員会との合意により収入ベースで目標額を設定し
値下げを実施。
 
○その他
 サービス
 
 
○付加機能使用料
 専用サービス等
 
 
GDP・IPD
1.0%
(1999年)
(4年間)
 
4%
 
 
 
▲3.0%
 
 
 ノースカロライナ州
 ・ベルサウス
 ・GTE
 ・セントラル
      等
 
 (1996年導入)
 
○基本的
 サービス
 
○非基本的
 サービス
 
 
 
○基本料、
 市内通話料等
 
○市外通話料等
 
 
 
 
国内総生産
物価指数
(GDP・PI)
 
1.0%
(1999年)
 
(5年間)
 
 
2%
 
 
 
 
 
 
 
▲1.0%
 
 
 
 
 
英国
 
BT
 
(1984年導入)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
○住宅用電話
 
○専用線
 
 
 
 
 
○住宅用電話
 ・基本料
 ・国内ダイヤル通話料
 ・国内交換手扱い通話料
 ・国際通話料
 ・加入及び移転料
 
 
小売物価指数
(RPI)
 
3.4%
 
(1999年)
 
 
 
 
(4年間)
 
4.5%
 
 
 
 
 
▲1.1%
 
 
 
○専用線
 ・国内アナログ専用線
 ・国内デジタル専用線
  (64kbps以下)
 ・国際アナログ・
  デジタル専用線
(4年間)   
        
   0%   
        
        
 
 
3.4%
 
 
 
独国
 
ドイツテレコム
 
(1998年導入)
 
 
 
○住宅用電話
 ・ISDN
○事務用電話
 ・ISDN
○住宅用電話・ISDN
 ・電話基本料、工事料
 ・ISDN基本料、工事料
 ・通話料
  (市内、市外、国際、
   選択割引)
 
生計費価格指数
(全個人世帯の
家計費に対する
価格指数)
 
 
0.97%
(1999年)
(2年間)
 
 
 
 年平均3%
 
 
 
 
▲2.03%
○事務用電話・ISDN
 ・電話基本料、工事料
 ・ISDN基本料、工事料
 ・通話料
  (市内、市外、国際、
   選択割引)
仏国
フランステレコム
 
(1997年導入)
 
○主にユニバー
 サルサービス
 の対象サービ
 ス
 
 ・工事料
 ・事務、住宅用電話基本料
 ・事務、住宅用電話通話料
  (市内、市外、国際)
 ・公衆電話
 
消費者物価指数
 
0.68%
(1999年)
(2年間)
 
4.5%
 
 
 
 
▲3.82%
 
 
(注) 英国、独国、仏国は、高収益部門である国際通話や市外通話を含んでいる点に留意する必要がある。



トップへ