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接続の基本的ルール案に関する意見及びそれに対する考え方

 電気通信審議会接続の円滑化に関する特別部会において、9月20日(金)に 「接続の基本的ルール案」を公表し、この案に関して広く関係者の意見を求めた ところ、電気通信事業者、外国政府機関を含む53者から意見が提出された。  提出された意見に対する考え方は以下のとおりである。

I.基本的な考え方

 1 接続ルールの見直し   【意見の概要】     ルール案において「変化に対応して柔軟に見直していくべきである」と    していることに対し、見直しの方法及び時期を明確にすべきとの意見が多    く出されている。   【考え方】     接続ルールの見直しの方法及び時期については、定期的に見直すことと    するとともに、次回の見直し時期については、今般の接続ルールによる会    計データに基づく接続料金の算定が平成11年度に行われる見込みである    ことから、平成12年度を目途に行うことが適当である。     なお、早急に見直すべき問題が生じた場合には、次回の見直し時期を待    たずに、個別に対応していく必要がある。  2 発信と着信の区別   【意見の概要】     発信は代替する市内網があるが、着信先は事業者が選択できないことか    ら、発信と着信を区別して考えるべきとの意見が出されている。   【考え方】   (1)接続ルールは、発信と着信で概念される2つの加入者系ネットワーク     間の接続だけではなく、中継系ネットワークも含めた多様なネットワー     ク間の接続を対象としており、また、接続の義務化等の一般的なルール     は、第一種電気通信事業者のネットワークの公共性等に着目したもので     あることから、発信と着信の区別なく適用されるべきである。   (2)また、特別な接続ルールについては、加入者回線総数の過半数を占め     る不可欠設備のボトルネック性に着目したものであり、発信と着信を区     別する必要はないものと考えられる。   (3)なお、仮に、不可欠設備以外の加入者ネットワークが着信において一     定の独占性を有するとしても、     1.特定事業者以外の加入者系事業者も特定事業者と接続することが不      可欠であり、また、特定事業者との接続協定は公開されることから、      これを基本として他事業者との接続が行われていくものであること     2.加入者系事業者が特定事業者との接続において不当な条件を設定す      ることは想定されず、したがって、これを基本として接続される他事      業者との接続においてもそのような条件が設定されることは想定され      ないことから、当面は一般的な接続ルールを適用することで足りると      考えられる。

II.一般的な接続ルール

 1 接続の義務化   【意見の概要】   (1)すべての第一種電気通信事業者に対して接続を義務づけることについ     ては、「利用者利益の増進」、「インフラ的性格」等を理由として、積     極的に肯定する意見及びやむを得ないとする意見や、接続の義務化を前     提として接続を拒否できる正当な理由等について追加的な検討を要望す     る意見がほとんどである。   (2)これに対し、一部の第一種電気通信事業者から、     1.接続の義務化は事業者間協議が機能しない市場支配力が存在する場      合に限定すべきであること     2.事業者間提携を阻害するおそれがあること    等を理由として、特定事業者に限定すべきとの意見が出されている。   【考え方】     以下の理由により、ルール案のとおり、すべての第一種電気通信事業者    に対して接続を義務づけることが適当である。    1.接続の義務化については、上記提出された意見の状況からほとんどの     関係者に支持されていると考えられること    2.接続を拒否できる正当な理由については、「接続を拒否し得る正当な     理由について」の項で述べるように、業務運営上の支障が生じる場合も     含まれることとしており、接続が義務化される第一種電気通信事業者の     利益にも十分な配慮がなされるものであること    3.反対意見のうち、接続の義務化を市場支配力が存在する場合に限定す     べきとの点については、接続の義務化の趣旨は、    (ア)第一種電気通信事業者のネットワークは、国民生活や社会・経済活       動の基盤となる公共性の高いものであること    (イ)電気通信サービスは、他のネットワークと接続することにより事業       展開が可能となるという特徴を有しており、接続はサービス市場に       おける利用者利益の増進や公正有効競争の促進に大きく係わるもの       であることから、市場支配力が存在する場合に限定することは適当       ではないこと    4.反対意見のうち、事業者間提携を阻害するおそれがあるとの点につい     ては、事業者間提携は、ワンストップショッピングの提供や、パッケー     ジ割引の提供、共同マーケティング等、利用者へのサービス提供におい     て行うことが可能であり、接続の義務化により事業者間提携のメリット     がなくなるものではないこと    5.米英においても、特定事業者以外の電気通信事業者であっても接続義     務が課せられていること  2 接続協定の公開   【意見の概要】   (1)公正を期すため妥当な措置と考える等、接続協定の公開を妥当とする     意見が出されている。   (2)これに対し、協定の公開を一律に義務化する合理的理由に欠ける等、     特定事業者との接続協定に限定すべきとする意見が出されている。   (3)また、付加的高機能に関する点まで公開するのは問題があるとして公     開の範囲の検討を要望する意見が出されている。   【考え方】   (1)接続協定を公開する理由は、不当な差別的取扱いを防止し、透明、公     平かつ迅速な接続を確保することであり、接続の義務化の項目でも述べ     たように、     1.第一種電気通信事業者のネットワークは、国民生活や社会・経済活      動の基盤となる公共性の高いものであること     2.接続はサービス市場における利用者利益の増進や公正有効競争の促      進に大きく係わるものであること     から、特定事業者との協定に限定することは適当ではない。   (2)付加的高機能に関する点まで公開するのは問題があるとする意見につ     いては、公開することにより協定当事者の利益が阻害される場合には非     公開とすべきと考えられるが、一般的に接続条件に関してそのようなケ     ースはほとんど想定されないと考えられる。   (3)米国においても、特定事業者以外の電気通信事業者であっても接続協     定は公開することとされている。  3 接続を拒否し得る正当な理由   【意見の概要】   (1)接続を拒否し得る正当な理由について明確な指針を設けるべきとする     意見が多く出されている。   (2)また、接続の義務化に関連して、接続義務を課す場合には事業者の業     務運営に支障を来さないものであることが必要であるとする意見や、一     定の事業規模に満たない者について義務の執行を差し控えるか否かにつ     いて検討すべきとする意見が出されている。   【考え方】   (1)接続を拒否し得る正当な理由については、接続協議の円滑化を図ると     ともに、接続行政の公正な運営を確保する観点から、接続ルール施行ま     でに、可能な限り類型化して定めることが適当である。   (2)正当な理由の具体的な内容について、ルール案ではネットワークへの     損傷を与えるおそれがある場合及び不当な条件での接続の提供を求めら     れる場合を挙げているが、意見として出されている業務運営上の支障が     生じる場合も含まれると考えられる。   (3)なお、小規模事業者については、接続に応じることにより業務運営上     の支障が生じることが比較的多い可能性はあるが、義務化の趣旨に鑑み、     規模にかかわらず業務運営上支障がなければ接続に応じるべきものであ     る。  4 接続ルールの対象サービス   【意見の概要】   (1)ルール案は電話系サービスを意識しているが、データ系サービスへの     配慮をすべきとする意見や、今後提供されるOCNのような新サービス     にも適用すべきとする意見が出されている。   (2)これに対し、ルールは電話サービスに適用し、他サービスについては     自主的に準用すべきとする意見が出されている。   【考え方】     接続は、ネットワーク設備が有する機能に着目して行われるものであり、    ネットワークの機能の利用方法を特定のサービスに限定することは、接続    事業者による利用者ニーズに対応した様々なサービスの提供が制約される    おそれがあることから、接続ルールの対象を特定のサービスに限定するこ    とは適当でなく、今後のサービスの多様化・高度化に対応できるルールと    することが必要である。  5 会計の整理の義務づけ   【意見の概要】     すべての第一種電気通信事業者は、基本的に接続に関する会計を整理し、    この結果に基づき料金表・約款を作成することが望ましいとの意見が出さ    れている。   【考え方】   (1)不可欠設備を有する特定事業者以外の事業者の間の接続については、     当事者間協議により、円滑に接続条件に合意することが期待されるもの     であり、このようなケースにおいて、会計を整理し、その結果に基づき     料金表・約款を作成することを義務づけることは適当ではないと考えら     れる。   (2)ただし、接続協議の円滑化という観点から、接続料金の算定の考え方     について他事業者から説明を求められれば、可能な範囲で説明を行うこ     とが望ましい。  6 標準的な協議期間   【意見の概要】     接続の迅速化を図る観点から、事業者間協議について標準的期間を定め    ることを検討すべきとの意見や、相互接続交渉期間を勧告すべきとの意見    が出されている。   【考え方】   (1)接続協議に要する期間は可能な限り短いことが望ましいが、多様な事     業者による多様な接続形態が想定されることから、接続協議期間を一律    に定めることは適当でない。   (2)なお、今回のルール案では、接続の義務化、裁定手続の柔軟な利用手     段を定めており、これらにより、協議の意図的な長期化には対応が可能     である。  7 第二種電気通信事業者に対する接続義務化   【意見の概要】     すべての第二種電気通信事業者又は特別第二種電気通信事業者に対して    接続を義務づけるべきとする意見が出されている。   【考え方】   (1)第二種電気通信事業者は、電気通信回線設備を第一種電気通信事業者     に依存していることや、第一種電気通信事業者のサービスとの差別化を     図りながら、多種多様なサービスを提供するところに事業としての特性     があることから、第二種電気通信事業者に対してまで接続を義務化する    ことは必要性に乏しく、適当でない。   (2)なお、特別第二種電気通信事業者については、現行電気通信事業法に     おいて、接続に関して不当に差別的な取扱いを行っている場合には業務     改善命令を出し得ることとされている。  8 第二種電気通信事業者が利用者約款により接続する場合の卸料金の導入   【意見の概要】   (1)卸料金の導入が必要であると断定すべきである等、卸料金を導入すべ     きとする意見が出されている。   (2)これに対し、第一種電気通信事業者の経営上の問題であるとする意見、     ユーザに提供している各種サービスを効果的に利用すべきとする意見等、     卸料金の導入のルール化に否定的な意見が出されている。   (3)また、第一種電気通信事業者の設備投資意欲を維持するようにすべき     との意見が出されている。   (4)更に、市内サービスの再販を認めるべきである等、再販をルール化す     べきとする意見や、データ系サービスにおいて特定事業者と第二種電気     通信事業者との間で公正有効競争が成立するようなルール策定を要望す     るとの意見が出されている。   【考え方】   (1)接続料金については、一般の利用者向けサービスとのコスト上の相違     が前提とされた料金設定を行うこととしているが、第二種電気通信事業     者と第一種電気通信事業者との間の接続については、実態として利用者     約款において行われることが多いことから、第一種電気通信事業者が利     用者約款においていわゆる卸料金を設定することが、透明、公平かつ迅     速な接続という観点から望ましい。   (2)第二種電気通信事業者によるネットワークの調達の局面においても、     公正有効競争の促進の観点から、米国のように、特定事業者に関しては、     卸料金の導入が検討されるべきである。   (3)ただし、卸料金の設定に当たっては、第一種電気通信事業者がインフ     ラ整備のインセンティブを維持できるよう配慮する必要がある。







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