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III.特別な接続ルール

 1 総論  (1)特定事業者を決定するための加入者回線占有率   【意見の概要】   (1)50%という基準は妥当とする意見を含め、ルール案の特定事業者の     定義は妥当とする意見が多く出されている。   (2)これに対し、50%の基準は厳格すぎるため潜在的に市場支配的地位     にあるネットワーク運営者が除外されているという意見や、他事業者の     設備の選択可能性が少ないという意味で70%が適当とする意見が出さ     れている。   (3)また、特定事業者のグループ企業である事業者についても、特定事業     者に準じた扱いをすべきとする意見が出されている。   【考え方】   (1)特定事業者を決定するための加入者回線占有率については、     1.加入者回線の過半数を有していれば、常に他事業者より多くの加入      者回線を有していることから、交渉上優位な立場に立つこと     2.独占禁止法における「独占的状態」の基準においても50%超とい      う基準が採用されていること     3.意見が出されている70%超という基準については根拠が明確にさ      れていないこと     4.市場支配力という観点からは、独占禁止法における合併の重点的審      査対象案件の基準は25%であり、EU相互接続指令案においても2      5%という基準が設定されていることから、50%を下回る基準とす      ることも考えられるが、特別な接続ルールは独占的なボトルネック設      備である「不可欠設備」を有し、圧倒的な市場支配力を有する事業者      に対するものであることから、ルール案で示した50%超という基準      が適当である。   (2)また、特定事業者との接続は特別なルールによって公平性が確保され     ることから、特定事業者のグループ企業である事業者が特定事業者の圧     倒的な市場支配力を背景として接続協議において優位に立つことはない     と考えられる。   (3)なお、接続ルールの見直し時に、この基準についても、実態を踏まえ     て見直すことが適当である。  (2)特定事業者を決定するための加入者回線占有率を算定する市場の範囲   【意見の概要】   (1)直接的に都道府県という基準を妥当とする意見は出されていないが、     ルール案の特定事業者の定義は妥当とする意見が多く出されている。   (2)他方、「各事業者の業務区域単位」で判断すべきとする意見が出され     ている。   【考え方】   (1)都道府県は社会経済生活圏として一体性を有していることから、通信     サービスの大半を占める電話トラフィックは、約8割が同一都道府県内     に終始している。   (2)こういった利用実態を踏まえ、ネットワークは概ね都道府県を構成単     位として形成されており、このようなネットワーク構成を前提として、     現時点においては、接続は、都道府県単位で行われることが一般的とな     っている。   (3)このため、特定事業者を決定するための加入者回線占有率を算定する     市場の範囲については、都道府県とすることが適当である。   (4)なお、平成10年から本格的な加入者交換機レベルでの接続が行われ     るなど、都道府県より小さい区域を単位とする接続が増加することが予     想されることから、上述した接続ルールの見直し時に、実態を踏まえて     見直すことが適当である。  (3)特定事業者を決定するための加入者回線総数の算定における事業者の取    扱い   【意見の概要】   (1)移動体通信事業者を含めないこととすることは妥当とする意見を含め、     ルール案の特定事業者の定義は妥当とする意見が多く出されている。   (2)これに対し、移動体通信の急激な進展を踏まえ、携帯電話及びPHS     を加えるべき等、移動体通信事業者を含めるべきとする意見が出されて     いる。   (3)また、固定通信と移動通信の市場を区分し、それぞれの市場で特定事     業者を判断すべきとする意見が出されている。   【考え方】   (1)特定事業者を決定するための加入者回線総数の算定における移動体通     信事業者の取扱いについては、     1.移動体通信事業者は基地局間又は基地局と交換局との間の伝送路に      固定通信事業者の設備を使用しており、また、移動体通信事業者が扱      う通信の約86%は固定通信事業者との間のものであり、固定通信事      業者への依存度が高いこと     2.米国においても、移動体通信事業者は接続ルールにおいて当面LE      C(地域電話会社)に含めない取扱いが行われていることから、ルー      ル案のとおり当面は算定に含めないこととすることが適当である。   (2)なお、上述した接続ルールの見直し時に、移動体通信事業者の取扱い     について、実態を踏まえて見直すことが適当である。  (4)不可欠設備の範囲   【意見の概要】   (1)不可欠設備の範囲は妥当であるとする意見、更には、特定事業者の県     内・県間の設備と一体として接続するような場合には県間部分の接続に     関しても対象に含めるべきとする意見や特定事業者の長距離ネットワー     クについても自社営業部門と他事業者を同一条件とすべきとする意見が     出されている。   (2)これに対し、ボトルネック性という意味で一体をなすのは市内設備で     あるとする意見が出されている。   (3)また、ある県でシェア50%を超え、他の県ではシェアが50%以下     の場合でも両県において特定事業者とすべきとの意見が出されている。   (4)更に、不可欠設備について、運用支援システムを含めるべきとする意     見や具体的な設備を明記すべきとする意見が出されている。   【考え方】   (1)不可欠設備の範囲については、     1.上述したように、概ね都道府県を構成単位として加入者回線と一体      として構成されるネットワークが形成されていること     2.接続の実態も、都道府県単位で行われていること     3.県間通信設備については、他事業者との代替性が高いこと     から、ルール案のとおり概ね県域をカバーする設備とすることが適当で     ある。   (2)ただし、国際通信事業者のように、中継交換機の上位階層の交換機に     おいて接続しており、他事業者の設備を利用することが困難な場合につ     いては、当該交換機と中継交換機との間の設備についても、接続料金の     算定、技術的条件の開示、接続関連費用の負担等について特別な接続ル     ールの考え方に基づいて接続が行われることが望ましい。   (3)また、ある県でシェア50%を超え、他の県ではシェアが50%以下     の場合については、両県の設備がネットワークとしてつながっていれば、     シェアが50%を超える県の設備との接続において交渉上優位な立場に     立ち得ることを背景として、シェアが50%以下の県の設備との接続に     おいても同様の立場に立ち得ることから、シェアが50%以下の県の設     備についても不可欠設備として扱うことが適当である。   (4)接続に関する会計の対象となる具体的な設備や料金表・約款において     接続条件を明確化すべき具体的な設備や機能については、電話網及び専     用網に関しては接続ルール別紙3及び別紙4において考え方が示されて     いるところであり、その他の設備についても、これに沿って判断され、     接続ルールが施行されるまでに明記されることとなる。      なお、これらの設備には、故障監視等の不可欠設備の運営支援システ     ムも含まれる。   (5)なお、不可欠設備の範囲については、上述した接続ルールの見直し時     に、実態を踏まえて見直すことが適当である。  2 料金表・約款化  (1)局舎・電柱・管路の提供   【意見の概要】   (1)他事業者が接続に必要な設備をコロケーションする場合、スペースの     効率的使用及びセキュリティの確保のため、特定事業者に対する保守委     託が望ましいとの意見が出されている。   (2)また、管路等の空き情報の開示を義務化すべきとする意見が出されて     いる。   【考え方】   (1)コロケーションについては、セキュリティの確保等の観点から、特定     事業者による保守受託の形態で行うことも認められるべきである。   (2)また、管路等の空き情報については、接続ルール第IV章第1節4(4)     において提供が義務づけられる不可欠設備との接続に必要な情報に含ま     れるものである。  (2)接続に要する期間   【意見の概要】     接続の迅速化を図る観点から、接続に要する期間の規定を新たに設ける    べきとの意見が出されている。   【考え方】     迅速な接続を確保するために、接続に要する標準的な期間を定めること    が適当である。     具体的な期間については、事業者及び接続方法により異なると考えられ    ることから特定事業者が約款において定めることとし、約款の策定手続に    おける他事業者等の意見反映の過程において、その意見を十分に考慮する    こととする。  (3)他事業者による料金表・約款手続の利用   【意見の概要】   (1)他事業者による料金表・約款手続の利用については、多数の事業者に     よる接続の円滑化等の観点から適切な内容であるとの意見が多く出され     ている。   (2)また、他事業者による当該手続の利用に際しては、接続会計制度に基     づく料金算定、毎年の見直し、資料の公開、アンバンドル等を要しない     こととする等簡易に利用できるようにすべき、あるいは、簡便な料金算     定方法によることを可能とすべきとの意見が多く出されている。   【考え方】   (1)他事業者による料金表・約款作成の手続の利用を促進し、多数事業者     間の接続を円滑化する観点から、他事業者が当該手続を利用する場合の     当該事業者の負担の軽減を図ることとする。      具体的には、特定事業者に課された特別なルールである接続会計制度     に基づく料金算定、毎年の見直し、アンバンドル等の実施は要しないも     のとする。   (2)他方、手続きの透明性確保の観点から、申請資料の閲覧及び他事業者     等の意見を述べる機会の確保については特別なルールを適用することと     する。  3 接続会計制度の創設  (1)会計分離の基本方針及び費用帰属の手法   【意見の概要】   (1)営業会計との分離のために特定事業者に「不可欠設備管理収支型」の     接続会計制度を義務づけることについては、賛成する意見がほとんどで     ある。   (2)設備部門と営業部門との間の共通費・間接費帰属の手法について、A     BC手法の導入に賛成する意見が多く、その内容と実施時期を明示し正     当性検証のため他事業者への照会を行うべきとの意見も出されている。      一方、こうした費用帰属手法等の導入に際しては、費用対効果、設備     の共用等の実態、システム面の準備等の考慮が実務上重要であるとの意     見や、ABC手法の全面適用はルール運用コストのミニマイズの観点か     ら適当でないとの意見、費用帰属手法の選択には各手法の得失を明らか     にするなど更に検討が必要であるとの意見も出されている。   (3)接続会計と同じく公正有効競争上の理由から導入されているNTT事     業部制収支の必要性やその接続会計との関係を明らかにすべきであると     の意見も出されている。   【考え方】   (1)接続会計における費用帰属の適正化については、ルール案においても     「ABC手法などを導入」としており、得失を考慮したABC以外の手     法の利用・併用も想定されている。      費用帰属の具体的内容については、郵政省において、事業者、有識者     等の参加や意見も得て速やかに策定作業に着手し、接続会計が平成10     年度を目途に実施できるよう準備することとする。   (2)NTT事業部制収支は、NTTが独占的な地域通信業務と競争的な長     距離通信業務とを一体的に運営している特異な市場構造を踏まえて、競     争的分野と独占的分野に対応するよう長距離通信事業部と地域通信事業     部とを会計分離するとともに、11の地域通信事業部の財政状態及び経     営成績を明らかにすることでその経営の効率化の促進を図ることを目的     として導入されたものである。      これに対し、今回のルールにおける接続会計は、一定規模(都道府県)     の市場において加入者回線の過半を有する特定事業者の不可欠設備との     適正な接続の確保のため、その使用料金を合理的に算定することを目的     としたものである。      したがって、両者はその目的、手段を異にしており、各々、政策目的     を果たす上で必要なものである。      接続料金は、これまで、NTT事業部制収支における地域通信事業部     の費用を基礎として算定されてきているが、実態として接続ルール第I     章の現状分析で指摘されたような問題が生じており、第IV章第3節に     述べられたとおり、接続料金の算定に特化した会計制度の創設が求めら     れているところである。  (2)接続会計及び料金算定に関する情報の開示   【意見の概要】   (1)接続会計に関する報告や特定事業者の接続料金算定に関する情報を開     示・閲覧することについては、情報の非対称性に対処する等の趣旨から     賛成する意見が多く出されている。   (2)一方、情報開示に当たっては株主利益等への配慮が必要であるとの意     見や、詳細なコストデータの公開は競合他社に特定事業者の経営内容を     公開することとなり公正競争上の問題があるとの意見も出されている。   (3)これに対しては、営利事業としての守秘義務に触れるデータや主張の     開示はできないというのは疑問が多く、主張・論拠を広く公開すること     で誰もが納得できる公平な結論が得られやすくなるとの意見も出されて     いる。   【考え方】   (1)特定事業者の接続料金は、他事業者の経営に大きな影響を与えるばか     りでなく、最終的には利用者料金を左右する性格のものである。したが     って、接続料金算定に関する情報について、企業・株主利益保護の名目     で安易に開示を制限することは適当でないと考えられる。   (2)一方、商法において、会計の帳簿及び書類の閲覧は、単独株主権とし     てではなく少数株主権(持株比率3%以上)として規定されており、こ     れは、いわゆる「会社荒らし」的権利の濫用を防止する趣旨であること、     また、競業者の閲覧請求に対してはこれを拒否できるとされていること     に鑑みれば、「帳簿及び書類(商業帳簿、日記帳、仕訳帳、元帳、補助     帳その他商法上作成を義務づけられていない帳簿及び書類(伝票、領収     証、会計に影響ある契約書を含む。)と解されている。)」を直ちに一     般に公表させたり、多数の他事業者に閲覧させることには慎重さも求め     られる。   (3)したがって、接続会計報告書や料金表・約款申請資料におけるコスト     等の一般への開示に当たっては、会計の内容や料金算定の適正性を他事     業者が判定可能となるよう、十分な詳細度の勘定科目や附属明細表等を     上記商法規定にも配慮して定めることとする。  4 接続料金の算定  (1)料金算定の方針及び営業費・試験研究費の扱いについて   【意見の概要】   (1)接続料金の算定を接続会計の結果に基づき設備毎に区分された費用に     基づいて行うことについては、これに賛成の意見が多く出されている。      他方、後述の長期増分費用方式の導入を求める関係者からは、この算     定方法は特定事業者の実績原価・歴史的原価を基礎としており、不効率     性の排除の点で適当でないとの意見が出されている。なお、これに対し、     歴史的原価に基づく算定を積極的に評価する意見も出されている。   (2)接続料金原価の範囲に関し、ルール案が営業費・試験研究費の大宗が     除外されるとしたことに対し、このような費用範囲のルール化は必要で     あるといった意見や、かかる費用の除外は適当であるとする賛成意見が     出されている。      他方、費用のルール化に当たり日本電信電話株式会社法上の電気通信     技術研究の責務及び業務運営上のインセンティブを考慮することを要望     する意見や、試験研究費を一律に除外することは接続や網全体を将来的     に維持する研究開発費を特定事業者のみが負担することになり研究開発     のフリーライドとインセンティブ阻害をもたらす場合があるとの意見が     出されている。   【考え方】   (1)今回のルールの下での接続料金算定における特定事業者の試験研究費     については、接続会計の考え方に従い、不可欠設備の管理運営に必要な     試験研究費を特定事業者が明確にした上で、他事業者とユーザー営業部     門とが同一の条件で負担すべきものとして不可欠設備管理部門の費用に     計上する。特定事業者のユーザー営業部門に帰属する試験研究費はこう     した趣旨から除外される。   (2)一方、特殊会社であるNTTには日本電信電話株式会社法に基づく     「電気通信技術に関する実用化研究及び基礎的研究の推進並びに成果普     及」の責務があり、後者の基礎研究については、その性格上、上記のよ     うな区分が困難な面がある。   (3)法律に定められたNTTの責務への配慮は必要であるが、他方、NT     Tが現実に行っている基礎研究のどれだけの部分がこうした責務の遂行     のために行われているのかという検証のないままに、特定事業者である     NTTの基礎研究費用(あるいはその一定割合)を無条件で接続原価に     含めて他事業者の負担を求めることは適当でない。   (4)今回のルールの適用に際しては、NTTの基礎研究費用についても、     一律に除外するものではないが、上記接続会計の考え方に従い、不可欠     設備管理部門への帰属の明確化が可能なもののみ接続料金原価への算入     を認め、それ以外のものは除外することとする。  (2)長期増分費用方式の検討とスケジュール   【意見の概要】   (1)長期増分費用方式については、特定事業者の過去の不可欠設備運営の     不経済性により生じた費用が接続料金原価に算入されることがない等の     理由により、その早期導入が望ましく、モデルの作成に早急に着手すべ     きとの意見が多く出されている。   (2)さらに、長期増分費用方式の検討方法及び検討期間、導入時期等を含     めたスケジュールを具体的に明示すべきとの意見も多く出されている。   【考え方】   (1)長期増分費用方式による料金算定は、接続会計の結果を基に変換計算     を行うアプローチと、会計記録と離れた技術モデルを構築し推計を行う     アプローチとに大別される。これらについては、その算定に相当期間の     準備を要するものであることから、接続ルールの見直し時期までに、郵     政省において、事業者、有識者等の参加や意見も得て検討を行なうこと     が適当である。検討期間においては、     1.外国のモデル(米国4例、英国2例)の内容解析     2.計算の前提となる不可欠設備に関するフォワード・ルッキングなコ      スト・データの収集     3.現実性のあるモデルの構築     等の作業を行うことが必要である。   (2)長期増分費用方式の扱いについては、上記作業の結果を踏まえ、接続     ルール見直し時に決定することとする。  (3)不可欠設備の効率化インセンティブ   【意見の概要】     特定事業者の不可欠設備の運営の効率化について、長期増分費用方式の    ような将来コストに基づくモデルの作成やプライスキャップ規制等のイン    センティブ規制を導入して特定事業者の合理化努力を促す必要があるとの    意見や、構造的に合理化努力や経済性の追求が図られる手法の早期導入が    望ましいとの意見が出されている。   【考え方】   (1)今回のルールに基づく接続会計と接続料金算定においては、ABC手     法の導入などにより「接続との関連性」を厳密に反映した費用帰属を行     うこととされている。また、料金表・約款の認可に当たり、不可欠設備     運営の著しい不経済性により生じた費用が接続原価に算入されることの     ないよう制度の適正な運用を行うこととされている。   (2)長期増分費用方式については、接続ルールの見直し時期までに所要の     作業を行い、接続ルール見直し時にその扱いを決定する。   (3)インセンティブ規制については、政府の「規制緩和推進計画」の方針     に沿って、今後の公正有効競争環境の整備の状況も踏まえ、料金規制の     更なる弾力化を図る過程で検討していくこととする。  (4)料金算定と料金適用との間のタイムラグ及び不可欠設備運営の効率化利益   の扱い   【意見の概要】   (1)料金算定年度と料金適用年度との間にタイムラグが生じることから料     金表・約款の適用時期及びこれに伴う精算の方法等についてあらかじめ     規定することが必要であるとの意見が出されている。   (2)また、不可欠設備運営の効率化により生じた特定事業者の利益につい     て、これを他事業者に還元することは妥当であるとの意見や料金原価の     低減としてユーザー料金及び接続料金に反映すべきとの意見が出されて     いる。これに対し、こうした利益は、第一義的に利用者に還元し、次に     特定事業者の効率化インセンティブを確保することが必要で、その上で     必要に応じて他事業者への還元を検討すべきとの意見も出されている。   【考え方】   (1)特定事業者は、前年度の接続会計の結果に基づき料金表を見直し、そ     の改訂を行った場合には、当該年度の期首に遡って新料金を適用して他     事業者の支払済額との精算を行うこととする。   (2)特定事業者の不可欠設備運営の効率化や稼働率の向上によって同設備     の管理部門に生じた、所定の資本コストを上回る利益は、同一条件で営     業部門と他事業者とに還元され、最終的には各々の利用者に還元される。     その取扱いの具体的内容については、接続料金に適用される資本コスト     水準の設定方法とともに料金算定要領において定めることとする。  5 技術的条件   【意見の概要】   (1)接続に必要となるすべての技術的条件を約款に規定することを義務づ     けることについては、「透明性の確保」、「利用者及び公正有効競争条     件の確保」等を理由として、肯定する意見が多く、これを前提として技     術的条件の変更・追加に係る約款改正の迅速性の確保を要望する意見が     ほとんどである。   (2)他方、一部の第一種電気通信事業者から、すべての技術的条件を約款     に規定すると、変更の都度、約款の改正が必要となり、接続の迅速化を     阻害することから、約款への記載は標準的な接続パターンの基本的内容     とすべきとの意見が出されている。   (3)技術的条件は、基本的には、TTC等の標準に可能な限り準拠すると     ともに、標準に該当するものがない場合はその技術の公の場での標準化     を促すような規定を追加する意見が出されている。   (4)NTTがサービスインしたサービスで、外販許可が下りず、対向装置     を用意できないことがあることから、外販許可の迅速化も「10.その他     接続に必要な事項」の中に明確に入れてほしいとの意見が出されている。   【考え方】   (1)約款に記載する技術的条件の範囲については、公正中立性・透明性確     保の観点から、接続に必要となるすべての技術的条件を約款に規定する     ことを特定事業者に義務づけることが適当である。   (2)技術的条件の変更・追加に伴う約款改正の迅速化の確保については、     公正中立性・透明性が確保される範囲において、徒に長期間を要するこ     とがないよう、迅速な手続きとすることが必要である。なお、番号方式     のような他の法令に基づき規定される約款記載事項の変更等については、     届け出による等とすることが適当である。   (3)なお、英国では、事業者、メーカー及びユーザが実装可能な技術仕様     (それにより製品化することが可能となるような詳細な技術仕様)につ     いて協議する場としてNICC(Network Interoperability     Consultative Committee)が設立されている。我が国としても、今後     より一層円滑な相互接続を推進していくためには、国際的な動向も踏ま     え、事業者、メーカー等の関係者が協議を行い、実装可能な技術仕様を     策定、公開し、円滑な利用を可能とする体制を確立するべきである。   (4)外販許可の迅速化については、不当な外販許可の遅延は反競争的行為     に該当する。なお、NTTは平成7年8月30日、ハード開示(販売権     の許諾)を含め、「網の相互接続に不可欠な技術をはじめとするNTT     の技術は、原則としていつでも適正な対価を前提として開示する。」旨     を公表し、標準的な事務処理期間(許諾の判断を1ヶ月以内、対価の合     意等を含む契約完了を3ヶ月以内)を定めている。  6 網構成設備・機能の細分化(アンバンドル)   【意見の概要】   (1)アンバンドルの規定については、「多様な接続形態の実現」、「競争     の促進」等を理由として、積極的に肯定する意見がほとんどである。   (2)データ通信網構成設備など個別のアンバンドル要素の追加を要望する     意見が多く出されている。   (3)一部の第一種電気通信事業者から、アンバンドルの単位は網構成設備     ごとの区分とすべきとの意見が出されている。   (4)「特定事業者は技術的に実現不可能であることを一定期間内に示せな     い場合には、技術的に可能とみなす。」とあるが、この一定期間につい     て明確化した方がよいとの意見が出されている。   【考え方】   (1)アンバンドルの単位については、他事業者が多様な接続を実現し、競     争の促進及び相互接続の推進の観点から、網構成設備ごとのアンバンド     ルに限定することなく、機能ごとのアンバンドル等についても積極的に     推進するべきである。   (2)個別のアンバンドル要素の追加については、他事業者からの要望に基     づき、技術的に実現可能なものについては特定事業者がアンバンドルを     提供することを義務付けており、これにより技術やサービスの進展に応     じた多様なアンバンドルの進展が可能である。   (3)特定事業者が技術的に実現可能か否かを判断するための期間はできる     限り短いことが望ましいが、具体的な期間については接続方法により異     なると考えられることから、特定事業者が約款において定めることとし、     約款の策定手続における他事業者等の意見反映の過程において、その意     見を十分に考慮することとする。なお、NTTは、同社が公表している     「相互接続ガイドブック」において、接続申込に対する標準的な回答期     間を、NTT網の改造を要する場合、申込受付から4ヶ月以内としてい     る。  7 接続関連費用の負担の在り方   【意見の概要】   (1)「基本的な接続機能を提供するために発生するネットワークの改造費     用については、ネットワークが本来有すべき機能を備えるための費用と     みて、改造を施した設備に一般的に発生する費用として取り扱う」旨の     ルール案の考え方については、競争促進的である等、妥当とする意見が     多く出されている。   (2)更に、接続用交換機(IGS)、PHS接続装置、加入者交換機接続     のための網改造費等の取扱いについて明記すべきとの意見が出されてい     る。   (3)これに対し、現在のネットワークでは、他事業者の要望によりネット     ワークの改造、接続専用の設備の設置を実施しており、これらは接続事     業者の負担とすべきとの意見が出されている。   (4)また、費用の回収方法に関して、利用者料金として回収するか否かは     特定事業者の判断に委ねるものとする意見、他事業者のトラフィックの     実績が予測を下回ればこの事業者は本来負担すべきコストより少額を負     担するに過ぎないことから、接続料金に含めるべきとする意見、競争事     業者に転嫁すべきではないとする意見等が出されている。   【考え方】   (1)基本的な接続機能を提供するために発生するネットワークの改造費用     については、ネットワークが本来有すべき機能を備えるための費用とみ     て、改造を施した設備に一般的に発生する費用として取り扱うとのルー     ル案の考え方については、妥当とする意見が多く出されており、明確な     反対意見は出されていないことから、ルール案のとおりとする。   (2)この場合、1.ZCに設置されるIGS、2.PHS接続装置のうちIS     DNと同様のインタフェースに係る部分及び3.GC接続のための網改造     費については、「基本的な接続機能」に含まれると考えられる。      その他の設備についても、網改造や接続装置の具体的な内容に即して     個別に判断されるべきである。   (3)なお、接続協定に基づき既に行われた網改造や既に設置された設備に     ついては、特定事業者がこれを前提として投資を行ってきていることか     ら、経過的な措置を考慮する必要がある。   (4)費用の回収に関しては、ルール案において「改造を施した設備を利用     する者から利用者料金及び接続料金という形で公平に回収される」とし     たのは、「改造を施した設備に一般的に発生する費用」であることから、     特定事業者と他事業者が同等の条件で負担することになるとの趣旨であ     り、その意味で、意見が出されているように、その費用を特定事業者が     利用者料金として回収するかどうかは特定事業者の経営判断の問題であ     る。  8 番号ポータビリティ   【意見の概要】   (1)番号ポータビリティについては、「利用者利益の増進」、「競争の促     進」等を理由として、積極的に肯定する意見がほとんどである。   (2)番号ポータビリティの具体的内容において、実現時期、番号管理及び     費用負担等の実現のための検討について追加的な検討を要望する意見が     出されている。   (3)着信課金サービス用番号等の高度サービス番号のポータビリティは、     実現が容易であり、早期に実現すべきとの意見が出されている。   (4)新規参入事業者が自身のネットワーク設備を構築するとき、完全な番     号ポータビリティを実施するためには高価な高度インテリジェントネッ     トワーク(AIN)を導入しなければならないことをFCCは考慮し損     なったとの意見もあった。   【考え方】   (1)番号ポータビリティについては、技術的側面のみならず、番号管理、     費用負担等、多角的な検討を十分に行う必要がある。   (2)番号管理に関しては、郵政省において、有識者、専門家、事業者等を     含めて検討することとする。   (3)具体的な実現方式、費用負担等については、2年間を目途として、郵     政省において、関係事業者等の参加を得て、検討を行うことが必要であ     る。   (4)検討終了後の2年以内(平成12年度目途)のできるだけ早い時期に     番号ポータビリティの導入を行う。  9 網機能提供計画  (1)網機能提供計画における特定事業者の自己使用の網機能の公表範囲について   【意見の概要】   (1)自己使用の網機能については基本的にすべて公表対象とすべきとする     ルール案を支持する意見がいくつか出されている。   (2)他方、相互接続条件に影響を及ぼす可能性のない自己使用の網機能は、     企業のサービス・技術開発意欲の観点から、開示になじまないとの意見     が出されている。   (3)また、公表範囲を明確化する必要があるとの意見も出されている。   【考え方】   (1)特定事業者と他事業者との公正有効競争条件を確保し、円滑な接続を     推進するためには、相互接続条件に影響を及ぼす可能性のある自己使用     の網機能に限らず、他事業者が特定事業者の自己使用の網機能を用いた     サービスをユーザーに提供すること等が見込まれる場合も含め、幅広く     公表すべきである。   (2)なお、特定事業者のサービス開発インセンティブが維持され、特定事     業者と他事業者との間で健全なサービス開発競争が行われるよう、制度     の具体的運用において配慮する必要がある。   (3)また、網機能の具体的な公表範囲については、上記の考え方に沿って、     郵政省において関係事業者の意見を踏まえ、接続ルールが施行されるま     でに決定することとする。  (2)網機能提供計画における他事業者の負担費用の公表について   【意見の概要】   (1)特定事業者は算定方式・費用項目を公表するとともに、概算費用を可     能な限り詳細に公表するよう努めるべきとするルール案の内容は、透明     性の確保のために有効であり評価できるとの意見が出されている。   (2)他方、概算費用の開示については、現実的な困難性に配慮する必要が     あるとの意見が出されている。   【考え方】   (1)他事業者の負担費用(網改造費用等)の算定の透明性・適正さの確保     の観点から、ルール案のとおり、特定事業者は網機能提供計画において、     算定方式・費用項目を公表するとともに、概算費用を可能な限り詳細に     公表するよう努めるべきである。   (2)なお、概算費用の開示については現実的な困難性に配慮する必要があ     るとの意見については、一定の前提条件付き(例 特定事業者のみが当     該網機能を利用すると仮定した場合)であれば、事業者間のすり合わせ     がなくとも概算費用の公表は可能であると考えられることから、ルール     案の内容は適当である。







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