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3 網機能小委員会報告

 1.網機能提供計画の制度化                    
(1)接続を前提としない網構築の問題点
   他事業者との接続を行う際に、網改造のため多大の時間・費用を要するこ
  となどから円滑な接続が妨げられ、公正有効競争条件が確保されないおそれ
  がある。
   また、接続を前提とする場合でも、他事業者の意見が反映されないときに
  は、円滑な接続が妨げられるおそれがある。

(2)網機能提供計画の意義
   特に、不可欠設備を有する特定事業者が存在する電気通信市場においては、
  他事業者は当該特定事業者の網機能を使ってサービスを提供せざるを得ない。
  このような状況の中で、サービス開発に関する特定事業者と他事業者の公正
  有効競争条件を確保し、円滑な接続を推進するためには、特定事業者に対し、
  不可欠設備に関する網機能の追加・変更に関する情報を記載した計画(網機
  能提供計画)の公表を義務づけるとともに、これに他事業者の意見を反映さ
  せる制度を作ることが必要。

 2.網機能提供計画の記載事項                  
(1)網機能提供計画の記載事項及び公表時期

  1.網機能提供計画は、他事業者がその記載に基づき、どのような接続が可
   能となるかを検討できるよう、十分に詳細であるとともに時間的余裕をも
   って公表されることが必要。具体的には、一定期間(例えば3年)内に提
   供予定の網機能について、提供時期、概要、利用目的、概略仕様といった
   項目を記載し、また、網改造着手の一定期間(例えば半年)前までには、
   他事業者が接続可能性を検討できる程度のより詳細な情報を記載するとの
   考え方もある。

  2.しかし、このような2段階の公表(一定期間内に提供予定の網機能につ
   いての概要等の公表及び網改造着手の一定期間前までの詳細情報の公表)
   については、記載内容を概要と詳細に区分し、概要だけを先行して公表す
   ることを義務づけるだけの必要性が乏しいことから、一定期間内に提供予
   定の網機能についての概要等の公表と網改造着手の一定期間前までの詳細
   情報の公表とを、その時期を合わせて一本化するのが適当。

  3.また、この網機能提供計画の公表を行う網改造着手の一定期間前につい
   ては、網機能の詳細仕様等がある程度固まり、他事業者が接続可能性を検
   討できる程度の詳細な情報を網機能提供計画に記載する必要があること及
   び網機能提供計画の公表を受けて関係者が検討に要する期間を考慮すると、
   遅くとも半年前とするのが適当。

(2)負担すべき費用の扱い

  1.網機能提供計画策定の段階での網改造費用、接続料金については、接続
   申込みの度合によるところが大きいことから、確定的な開示は困難。

  2.しかしながら、他事業者の接続申込みの判断には、負担すべき費用の水
   準は極めて重要な要因。

  3.したがって、特定事業者は、網機能提供計画公表の段階で、他事業者が
   負担すべき費用について、その算定の透明性を高めるために算定方式・費
   用項目を示すとともに、他事業者の接続申込みの判断の目安となるよう、
   概算費用を可能な限り詳細に示すよう努めるべき。

(3)自己使用の網機能の扱い

  1.網機能提供計画に記載すべき網機能を、他事業者との接続に直接影響を
   及ぼす可能性のあるものだけに限定すると、特定事業者のユーザー向けサ
   ービスに係る網機能の中には事前公表の対象からはずれるものも出てくる
   ため、当該網機能の細分化(アンバンドル)が十分行われているかどうか
   など、特定事業者と他事業者との網機能利用の同等性の検証が不可能にな
   る。また、その場合「他事業者との接続に直接影響を及ぼす可能性」の有
   無を判断するのは特定事業者になるためその判断に特定事業者の恣意が入
   るおそれがある。

  2.そこで、両者の同等性の検証を可能とするとともに、網機能公表に当た
   っての特定事業者の恣意を排除するため、特定事業者の自己使用の網機能
   (特定事業者が自らエンドユーザー向けに提供しているか又は提供を予定
   しているサービスに用いる機能)についても、網機能提供計画へ記載。

  3.これに対して、特定事業者がどのようなエンドユーザー向けサービスの
   提供を予定しているかといった自己使用の網機能は企業秘密事項であり、
   公表対象になじまないとの考え方もある。

  4.しかし、特定事業者の網機能については、公正有効競争条件の確保及び
   円滑な接続の推進という網機能提供計画の趣旨にかんがみ、可能な限りオ
   ープンにされるべきであり、基本的に公表対象とすべき。

  5.したがって、特定事業者は、不可欠設備に関する自己使用の網機能につ
   いては、他事業者が当該網機能を用いたサービスをユーザーに提供するこ
   とや他事業者のユーザーが特定事業者から当該網機能を用いたサービスの
   提供を受けることが見込まれない場合を除き、網機能提供計画の策定等の
   段階において、その概要等を公表するとともに、その後の他事業者の意見
   反映手続(後述4・参照)において、他事業者からさらに詳細な情報の開
   示要求があった自己使用の網機能については、当該他事業者に詳細な情報
   を開示することが適当。

  6.なお、制度の具体的運用においては、特定事業者のサービス開発インセ
   ンティブが維持され、特定事業者と他事業者との間で健全なサービス開発
   競争が行われるよう配慮することが必要。

  7.また、網機能の具体的な公表範囲については、上述の考え方に沿って、
   郵政省において関係事業者の意見を踏まえ、接続ルールが施行されるまで
   に決定。

(4)他事業者要望の網機能の扱い

  1.特定事業者が他事業者の要望及び費用負担に基づき開発する網機能につ
   いては、当該他事業者の許諾が得られた場合に公表するものとすることが
   適当。

  2.ただし、不可欠設備の網機能については、基本的にどの事業者も利用で
   きるようにすることが、円滑な接続の推進や電気通信市場の発展にとって
   望ましいと考えられることから、当該他事業者の許諾が得られず公表でき
   なかったものについても、できるだけ早期に、適切な対価を支払うことな
   どにより利用できるような仕組みを検討することが必要。

 網機能の細分化(アンバンドル)                 
(1)特定事業者に網機能提供計画策定を義務づけても、当該計画にアンバンド
  ルに関する記載がないと、どのような接続を行うかを他事業者が検討するの
  に支障を来す。したがって、網機能提供計画において、アンバンドルの有無
  及び程度に関する情報を公表。
   この場合においても、アンバンドルに関する何らかのルールがないと、結
  果的に、他事業者は自らのサービス提供に当たって必要としない網機能につ
  いても費用負担を強いられることになる可能性があるため、網機能のアンバ
  ンドルについて何らかのルール化が必要。

(2)また、ルール化に当たっては、技術の進歩等に柔軟に対応できるように配
  慮することが必要。

(3)アンバンドルの方法については、新しい技術やサービスの登場を契機に網
  機能提供計画への網機能の記載が行われるので、アンバンドルして提供すべ
  き網機能をあらかじめ網羅的に列挙することは現実的に困難。よって、特定
  事業者に対し、まず最低限基本的な伝送・交換に係る機能等についてアンバ
  ンドルを義務づけるとともに、それ以外は他事業者が特定事業者と同等の条
  件でサービスを提供できるレベルにまでアンバンドルすることを基本的考え
  方として、他事業者の意見反映手続の過程でできるだけアンバンドルを促進
  する方法が適当。

 網機能提供計画の策定手続等                   
(1)特定事業者による策定
   網機能提供計画の策定には、他事業者の要望、技術的実現可能性、具体的
  需要の有無等の要素を勘案することが必要になるため、網機能提供計画自体
  は特定事業者自身により策定されるべき。

(2)他事業者の意見反映

  1.ユーザーに対する多様なサービスの提供を促進するためには、できる限
   り多様な網機能が、特定事業者自身に対するのと同等の条件で、他事業者
   に対して提供されることが重要。
    よって、網機能の提供については、特定事業者からの一方的な条件の設
   定ではなく、利害関係者である他事業者の意見を踏まえた条件となるよう
   にし、公正有効競争条件の確保に資するものとするとともに、円滑な接続
   を推進するために、提供計画策定に他事業者の意見を反映させるための手
   続が必要。

  2.他事業者の意見反映のための方法については、他事業者の意見等に対す
   る特定事業者の独善的な対応を抑制し、他事業者の意見反映手続の実効性
   を確保する観点からは、特定事業者に対し、説明会の開催、他事業者から
   提出された意見に対する回答(他事業者からの要求による網機能に関する
   さらに詳細な情報の開示も含む。)及び他事業者からの意見に関する処理
   状況についての郵政大臣への報告のそれぞれを、義務づけることが適当。

(3)国の関与
   網機能提供計画の内容に関して、他事業者の意見が反映されることを担保
  するためには、国による関与の手続を設けることが必要であり、具体的には、
  網機能提供計画への他事業者の意見反映手続において、特定事業者と他事業
  者との協議が不調に終わった場合、郵政大臣が勧告等の形で関与することが
  考えられる。

(4)網機能提供計画の拘束性
   既に網機能提供計画に記載された網機能を事後的に変更・中止することに
  ついては、他事業者への影響にかんがみ必要やむを得ない場合に限られるべ
  きであり、他事業者にとって不利になる可能性があることを十分に考慮し、
  慎重に行うべき。
   さらに事後的変更等が認められる場合でも、その理由の文書による公表を
  義務づけることが必要。

(5)網機能提供計画の公表方法
   網機能提供計画については、関心を有する者がその内容を知ることができ
  るとともに、さらに詳細な情報を希望する者にはこれを提供することが必要
  であるため、提供計画の概要を官報において公表するとともに、特定事業者
  の営業所等において提供計画全体を閲覧に供することが適当。







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