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発表日  : 1999年 3月19日(金)

タイトル : 多数事業者間接続協定に関する検討会





                 目 次


第1部 多数事業者間における接続協定締結の現状

第2部 多数事業者間接続協定の簡素化
 第1章 接続協定数の削減
  第1節 接続協定数削減のための方策
  第2節 取りまとめ事業者の設定
 第2章 協定規定の整理・簡素化
  第1節 協定規定の整理・簡素化の方策
  第2節 接続協定の雛形例

最後に

参 考
 検討会参加者一覧



第1部 多数事業者間における接続協定締結の現状

 昭和60年の電気通信分野における競争原理の導入以来、事業者間の相互接続の
問題は常に大きなイシューであった。一方で公正な競争を実現するための条件とし
てその条件やルールの在り方が議論されることが多かったが、この他に積み上げら
れてきた接続条件を規定する接続協定の複雑性そのものが競争阻害的な要因となり
得るのではないかとの指摘もなされるようになってきた。

 従来は1対1の2者間の問題として扱われることが多かった相互接続は、新規参
入の進展による電気通信事業者数の増加に伴い、多数者間の問題としてますます複
雑化してきている。一般に接続問題は事業者間の利害相反に起因するものが多いが、
接続協定の簡素化の問題は各事業者共通の要請として浮上してきた。即ち、簡素化
が十分であれば、既存の事業者間では、接続協定の変更が円滑に行えることとなり、
又、新規に参入する事業者にとっては、サービスを開始するために接続協定を締結
することが簡便・円滑に行えることになる訳であり、これを実現することの必要性
が強く認識されるようになってきた。

 接続協定は、現在においては、当該呼の通る全ての事業者間で2者毎にメッシュ
状に締結されていることが多い。これは、事業者間の接続に関する契約内容である
接続協定が当事者間で直接締結されなければ、事業者間の関係が不安定になるおそ
れがあると考えられたことに起因しており、各事業者間の契約関係の安定性が重視
された結果であった。

 競争導入当初においては、国内電気通信市場には、民営化された日本電信電話
(株)の他には新規参入した事業者の数も多くはなく、日本電信電話(株)と新規参入
事業者とが個々に2者間の契約として接続協定を締結することでほぼ十分に必要が
満たされていた。その後相次ぐ新規参入により事業者数が大幅に増加し、個々の
サービスについても接続当事者が2者にとどまらず多数者間の接続が行われる場合
も頻繁に生じるようになってきた。しかしながら接続の運用においては、現在でも
2者間の協定をベースとして事業者間で個々にメッシュ状に締結するという当時の
やり方が事業者間において引き継がれていることが多い。

 その後、平成9年の電気通信事業法改正により、接続事業者に対して標準化され
た接続条件のメニューを提示する形の接続約款の枠組みも提示されているが、現在
のところ実際に接続約款を設定しているのは日本電信電話(株)1社のみとなってい
る。


第2部 多数事業者間接続協定の簡素化

 前述の現状に鑑み、接続形態の簡便さが接続の一層の円滑化に資するとの観点か
ら本検討会で議論を行ってきたが、その中で接続協定の簡素化のための方策として、
次の論点について検討を行うこととなった。

 1 接続協定数の削減
  当該呼の通る全ての事業者間で2者間の接続協定をメッシュ状に締結する形態
 の他に、協定本数を減らす新しい協定締結形態を実現する。

 2 協定規定の整理・簡素化
  現在は接続協定の各々において、内容の規定の仕方が区々となっているが、事
 業者ごとの記述の違いから生じる混乱を排除するため、その整理・簡素化を実現
 する。

 以下では、上記2つの論点の各々について行った検討の結果を整理した。

 第1章 接続協定数の削減

  第1節 接続協定数削減のための方策

  1 課題
   既述のとおり、現在、接続協定は当該呼の通る全ての事業者間で1対1でメ
  ッシュ状に締結されることが多いが、これは、各事業者の契約関係の安定性に
  は資するものの、接続協定本数が膨大なものとなり、接続条件決定等のための
  事業者間協議を煩雑なものとし、事務量の増大とサービス開始の遅延とを招く
  ことになりかねないと指摘されている。


  2 解決の方策
   上記課題の解決には、複数の事業者と同一の条件で接続を行う場合について
  は、接続条件の接続約款化が有効であると考えられる。しかし、接続形態の違
  い等により、事業者間で個別に内容の異なる接続協定が必要な場合もある。こ
  の場合には、隣接事業者とは直接設備の接続を行うため、その際の技術的条件
  や切り分け責任、電気通信設備の建設等の規定が必要となることから、それ以
  外の接続協定を減らすことに着目することとなるが、その場合においても、現
  在行っているメッシュ状の締結形態に替えて協定締結本数を減らす形態を採る
  ことで、協定締結事務の簡素化が可能である。

   具体的な手だてとしては次の形態による接続が考えられる。

 (1) 接続約款を設定する形態
 (2) 隣接事業者間のみで接続協定を締結する形態
 (3) 隣接事業者及び接続事業者間の取りまとめを行う事業者と接続協定を締結す
   る形態
 (4) 3以上の事業者間で一つの接続協定を締結する形態

  (1)の形態は、接続条件を予め約款化することにより、当該事業者と接続を要望
 する事業者は、接続条件について個別にあらためて協議を行うことなく接続協定
 を締結することを可能とするものである。
  料金の改定等、接続条件の変更を行う場合も、個別の協定の内容を逐次変更す
 ることなく、約款の変更により対処ができるため、協定変更のための事務を大幅
 に簡素化することが可能である。

  (2)の形態は、接続点を挟んで直接物理的に接続する事業者とのみ接続協定を締
 結する、というものであるが、メッシュ状に協定を結ぶ形態と比較して、大幅な
 協定締結数の削減が図れるというメリットがある。一方、隣接事業者以外の事業
 者との間では、料金設定権の所在や接続料金の精算及び損害賠償に関する事項等
 について契約関係が全く存在せず、事業者の立場が不安定となり、ひいては利用
 者に悪影響を及ぼすおそれがあるとの指摘がなされ、この形態を推奨すべきとす
 る合意は得られなかった。

  (3)の形態は、隣接事業者以外の事業者との接続条件については、それら事業者
 の取りまとめを行う事業者と接続協定を締結することとするものである。
  取りまとめを行う事業者との接続協定に規定すべき事項としては、接続料金精
 算に関する事項、利用者料金設定に関する事項、損害賠償に関する事項等が考え
 られる。

  (4)の形態は、関係する事業者間で合意した一つの協定を、合意した事業者連名
 で締結する、いわば、多数国間条約の締結のような形態である。これにより、個
 別に事業者間で協定について協議する必要がないため、協定締結手続が簡素化さ
 れ、また、協定も全ての事業者間で1本にまとめられることから、接続協定の本
 数も削減される。
  本形態は、締結本数削減の観点からはもっとも効果が高いが、一部事業者間で
 の協定変更による影響が全事業者に及び、事務作業が煩雑になるおそれがあり、
 必ずしも簡素化につながらないのではないかという指摘があった。こういった指
 摘については、協定の記述の方法次第では対処可能である可能性もあるが、この
 考え方について更に検討することについてはメリットを認める事業者も特になか
 った。

  以下では、現状の改善策として有効であるとの賛同が得られた(3)の形態につい
 て具体的な検討を行った。

  第2節 取りまとめ事業者の設定

   第1節において検討した(3)の「隣接事業者及び接続事業者間の取りまとめを
  行う事業者と接続協定を締結する形態」について、取りまとめの具体的な形態
  としては中間代行と代理の2形態の提案がなされた。以下はこれらについて検
  討した結果である。

  1 中間代行事業者の設定

   中間代行事業者は、精算や利用者料金の設定、損害賠償等について、自己が
  直接接続している他の事業者相互間の関係において代行を行うというものであ
  る。

    中間代行事業者の設定イメージ図

   接続協定の締結においては、上図Bのような中間代行事業者を設定すること
  により、隣接しない接続事業者間(上図AとCとの間)について接続協定の締
  結を行わないことが可能となり、接続に必要な契約関係を減らすことで、接続
  協定数を削減することが可能である。

   そのうち精算については、現状では、エンドエンドの料金設定をした事業者
  に対し、各事業者がそれぞれの接続料金を請求することが基本となっているが、
  中間代行を設定する場合には、料金設定事業者が中間代行事業者に対し一括し
  て接続料金を支払い、その他の各事業者は中間代行事業者に対して接続料金を
  請求することになる。その際、中間代行事業者は各事業者に支払い義務を負う
  ことから、例えば、料金設定事業者が倒産した場合等においてリスクを負うこ
  とになる。しかし、このような場合には中間代行事業者は各事業者に対して、
  料金設定事業者への債権で代物弁済、若しくは債権譲渡を行うという特約を協
  定に盛り込むこと等によりリスクを軽減できると考えられる。

   又、利用者料金の設定については、どの事業者が設定を行うかについて争い
  がない場合には、当事者となる各事業者がその旨を中間代行事業者との間で確
  認的な規定を協定に盛り込むことで足り、事務負担の軽減化を図ることができ
  る。

   更に損害賠償については、損害賠償の協議を一義的には中間代行事業者が行
  う旨を、中間代行事業者との協定に規定することが可能であり、事務負担の軽
  減化を図ることが出来る。

  2 代理事業者の設定

    代理事業者の設定イメージ図

   他事業者との接続協定締結を代理事業者が代理することにより、協定締結手
  続の効率化を図ることが可能である。
   上図の場合、BはCの代理人となって、A−B間の協定にA−C間の契約内
  容を含めてAと協定を締結する。
   この方法により、他の事業者との契約関係は残したまま、接続協定の本数を
  減らすことが可能となる。


 第2章 協定規定の整理・簡素化

  第1節 協定規定の整理・簡素化の方策

  1 課題

   接続協定は、事業者間において個々に締結されており、各協定において規定
  されている内容は同様のものであるときも、規定の仕方は各協定によって区々
  となっているのが現状である。そのため、同じ内容を規定する場合でも、文言
  が違っていることや、同じ文言を使っていても別の内容を意味している事例も
  多く、事業者間で混乱が生じたり、ひいては協定締結作業が煩雑となる要因と
  なる可能性がある。

  2 解決の方策

   上記の課題は、事業者において接続協定の文言及び規定の仕方を統一するこ
  とが出来れば解決されることになろうが、接続協定によって規定される内容は
  多岐に渡り、又、個別的事情がしばしば反映されることになるのが実状である。
  そこで、接続協定の中でも共通することが多い内容について、文言や規定を整
  理した雛形を作成し、適宜各事業者において任意にこれを参照することが出来
  ることとし、又、新たに参入する事業者が協定を作成する際にも参考とするこ
  とを可能とすることが提案された。

  第2節 接続協定の雛形

  1 接続協定雛形の作成

   本検討会では、前述の雛形の一例として、現在実際に各事業者間で締結され
  ている接続協定及び接続約款を参考として、接続する際に多くの場合必要であ
  ると考えられる事項を盛り込んだものを作成した。

   ここでは、第1章で考察した代理方式の導入も選択肢とすることを見込んだ
  内容としたが、中間代行方式については、精算方法等規定内容の定型化が現時
  点ではなお困難であったため、盛り込むことを見送っている。

  2 本検討会で作成した接続協定雛形の内容

   本検討会で作成した接続協定雛形は4章からなる構成とした。これは1章単
  位で参照することを可能にすることで、事業者によって規定が必要なものと必
  要でないものとを選択して適用することの便宜を考慮したものである。又、必
  ずしも一元的に規定振りを整理し難い部分については、可能な選択肢を「任意
  規定」として併記することとした。

   以下、本検討会で作成した接続協定の雛形を掲げる。


            相互接続協定書(標準協定案)

 A株式会社(以下「甲」という。)及びB株式会社(以下「乙」という。)は、
電気通信設備の相互接続に関し、電気通信事業法(昭和59年法律第86号。以下「事
業法」という。)第38条の3第1項の規定に基づき相互接続協定(以下「本協定」と
いう。)を締結する。
 この協定は、基本編、接続編、料金編、代理編で構成する。
第一章 基本編:接続に関する一般条項を規定。
第二章 接続編:直接接続する事業者間で必要な条項を規定。
第三章 料金編:接続料金、利用者料金に係る条項を規定。
第四章 代理編:事業者間における代理に係る条項を規定。
※間接接続する事業者間でも「接続の技術的条件」等の取り決めが必要な場合は当
該事業者間の協定に接続編を追加する。
※ 【   】の規定は当事者間で必要と判断した場合、記載することとする。:
「任意規定」

第一章 基本編

(目的)
第1条 本協定は、甲及び乙がそれぞれの電気通信設備を相互に接続することにより、
 電気通信役務の円滑な提供を行い、もって公共の福祉の増進に資することを目的
 とする。
(守秘義務)
第2条 甲及び乙は、接続にあたり相互に知り得た技術上、経営上及びその他一般に
 公表していない事項に関する秘密を厳守し、これを目的外に使用しないこととす
 る。
 ただし、法令上必要とされる場合又は相手方の書面による同意を得た場合は、こ
 の限りではない。
(必要事項の通知)
第3条 甲及び乙は、次の各号に掲げる事項について、互いに書面により通知するこ
 ととする。
 (1) 名称、住所又は法人の代表者の変更
 (2) 電気通信事業の譲渡若しくは譲受け又は法人の合併
 (3) 電気通信事業の休止若しくは廃止又は法人の解散
 (4) 電気通信事業の許可若しくは変更許可の取消し又は許可の効力の喪失
 (5) 事業法第8条第2項に規定する電気通信業務の一部停止
 (6) その他接続に必要な事項
 (7) 相互接続点及び接続対象地域の追加、変更又は廃止
 (8) 接続条件に影響がある電気通信設備の変更、増設又は廃止
 (9) 相互接続に係る事務処理方法又は保守運用方法の変更
※(7)・(8)・(9)に関しては「接続編」を併せて用いる場合に規定することと
する。
(権利及び義務の譲渡)
第4条 本協定又は本協定に基づき別に定める契約に定める権利義務を第三者に譲渡
 する場合には、事前に相手方の書面による同意を得なければならない。
(相互協力)
第5条 甲及び乙は、接続に係る利用者の利便の向上及び電気通信事業の円滑な運営
 を図るため、接続に係る業務に関して相互に協力することとする。
(妨害の禁止)
第6条 甲及び乙は、接続にあたり、相互に電気通信設備に輻輳、障害その他損傷を
 与えないようにし、その利用者に対する電気通信役務の提供の妨害を行わないよ
 うに努めることとする。
(接続形態)
第7条 甲及び乙の電気通信設備の接続形態は、別表1(接続形態)に定めるとおり
 とする。
【(相互接続通信の切断)】
第8条 甲及び乙は、それぞれの契約約款中通話の切断に係る規定に準じ相互接続通
 信を切断することができるものとする。
(相互接続通信の制限)
第9条 甲及び乙は、通信が著しく輻輳し、通信の全部を接続することができなくな
 ったときは、それぞれの契約約款中通話利用又は通信利用の制限に係る規定に準
 じ相互接続通信を制限することができるものとする。
(重要通信の取扱い)
第10条 甲及び乙は、事業法第8条第1項に定める重要通信を確保することとする。
(接続の一時中断)
第11条 甲及び乙は、次の場合には、接続を一時中断することがある。
 (1) 電気通信設備の保守上又は工事上やむを得ないとき。
【(2) 第9条(相互接続通信の制限)の規定により、相互接続通信を制限するとき。
】
2 甲及び乙は、前項の規定により接続を一時中断するときは、あらかじめそのこ
 とを相手方に通知することとする。
 ただし、緊急やむを得ない場合はこの限りではない。
(接続停止等)
第12条 甲及び乙は、相手方が次表の左欄のいずれかに該当するときは、右欄に規
 定する期間その接続を停止することできる。 
       区  別       
       期  間       
(1)その接続に係る料金その他本協定 
 に基づき発生する債務について、支払
 期日の経過後、なおその支払いがない
 とき。              
その料金その他の債務が支払われるまで
の間                
                  
                  
(2)第2条(守秘義務)その他本協定の
 規定に違反したとき。       
その違反の事由が解消されるまでの間 
                  
2 前項の規定により接続を停止するときは、接続の停止の30日前までに書面により、
 その理由、接続の停止をする日及び期間を相手方に通知することとする。
(責任の制限)
第13条 甲及び乙は、接続が行われなかったことに伴い発生する逸失利益又はその
 契約者に対し行う損害賠償の事務処理に通常要する費用について、相手方に対し
 求償しないこととする。
2 前項の規定にかかわらず、甲及び乙は、利用者料金が役務区間合算料金である
 場合において、相手方の責めに帰すべき事由により自己の契約約款で定めるとこ
 ろに従いその契約者に損害賠償を行ったときは、その費用の負担について協議す
 るものとする。
【(3甲及び乙は、利用者料金が役務区間単位料金である場合において、相手方がそ
 の契約者の責めによらない事由により接続を行わなかったときは、それぞれの契
 約約款で定めるところによりその契約者に対し自己の電気通信サービスに係る料
 金の支払いを求めないこととする。この場合において、甲及び乙は、その支払い
 を求めないこととした料金額について、相手方に求償しないものとする。)】:
 任意規定(項)
(協定の変更)
第14条 甲及び乙は、必要が生じたときは、本協定を協議の上、変更することがで
 きるものとする。
(協定の解除)
第15条 甲又は乙は、次の各号に該当する場合、本協定を解除しようとするときは、
 そのことを事前に相手方に書面により通知することとする。
 (1) 第12条(接続の停止等)の規定により接続を停止された相手方が、なおその
  事実を解消しないとき。
 (2) その他甲又は乙が本協定を解除するとき。
2 甲及び乙は、前項第1号の規定により本協定を解除するときは、相手方に予告を
 行うこととする。
(協定の消滅)
第16条 本協定は、次の各号に規定する場合には、消滅するものとする。
 (1) 甲又は乙が電気通信事業の全部を廃止したとき。
 (2) 甲又は乙が解散したとき。
【(3) 甲又は乙が死亡し相続人がいないとき、又は事業法第17条第2項の規定によ
  り第1種電気通信事業の許可の効力を失ったとき。】
 (4) 甲又は乙の事業の許可が取消されたとき。
【(5) 甲又は乙が特別第2種電気通信事業者である場合において、その登録が取消
  されたとき又は抹消されたとき。(ただし、特別第2種電気通信事業者が一般第
  2種電気通信事業者に変更になるときを除く。)】
(解除等の場合の取扱い)
第17条 甲及び乙は、本協定が解除された場合又は消滅した場合には、その原因を
 有する相手方に対し、解除又は消滅により発生した損害額の支払いを請求できる
 ものとする。
2 前項の規定は、甲及び乙が本協定に違反し相手方に損害が発生した場合に準用す
 る。
【(事業の休止の場合の取扱い)】
第18条 甲及び乙は、利用者料金が役務区間単位料金である場合において、相手方
 が事業を休止したときは、それぞれの契約約款に定めるところによりその契約者
 に対し自己の電気通信サービスに係る料金の支払いを求めないこととする。この
 場合において、甲及び乙は、その支払いを求めないこととした料金額を相手方に
 対し求償できるものとする。
(利用者からの苦情又は故障修理の請求等に対する対応)
第19条 甲または乙が利用者料金を設定する事業者(以下、利用者料金を設定する
 事業者を「利用者料金設定事業者」という。)となる場合、利用者料金設定事業
 者は利用者からの通信料金若しくはサービス内容に関する問合せ又はその他の苦
 情の受け付け及び対応を行うこととする。【 ただし、第7条(接続形態)に規定
 する接続形態のうち、利用者料金設定事業者と利用者料金請求事業者が異なり、
 かつ甲または乙が利用者料金請求事業者になる場合は、利用者料金に係る苦情の
 受け付け及び対応は、双方が行うこととする。 】
2 甲及び乙は、利用者からの接続に係る故障修理の請求等の受け付けを行うこと
 とし、その故障の修理及び措置は故障の発生原因を有する事業者が行うものとす
 る。この場合において、故障修理の請求等の対応に係る具体的事項については、
 協議の上保守確認事項に定める。
(協議)
第20条 本協定又は本協定に基づき別に定める契約に定めのない事項については、
 甲、乙協議の上、必要な措置を行うこととする。
(効力)
第21条 本協定の条項中、主務官庁の許可又は認可を必要とする事項については、
 その許可又は認可を受けた後に効力を生ずるものとする。


第二章 接続編
 
(相互接続点を設置する目的)
第22条 甲及び乙は、その契約者に対する電気通信役務の提供責任及び固定資産及
 び保守の分界点とするために相互接続点を設置するものとする。
(相互接続点の設置場所)
第23条 甲及び乙は、協議の上、相互接続点の設置場所を定める。
(接続対象地域)
第24条 甲及び乙の電気通信設備の相互接続に係る接続対象地域については、電気
 通信事業法第9条第1項の規定に基づき、甲及び乙が郵政大臣の許可(または登 
 録)を受けた業務区域とする。
(接続の技術的条件)
第25条 電気通信設備の相互接続における技術的条件については、事業用電気通信
 設備規則(昭和60年郵政省令第30号)に則り、協議の上、技術的条件確認事項に
 定める。
2 甲及び乙は、接続する電気通信設備を、前項の技術的条件に適合するように維持
 することとする。
(切分責任)
第26条 甲及び乙は、相互接続通信に著しい支障が生じた時は、それぞれの電気通
 信設備に故障がないことを確認のうえ相手方に修理を請求することができるもの
 とする。
 なお、具体的な取扱いについては、協議の上、保守確認事項に定める。
【(電気通信設備の建設等)】
第27条 甲及び乙は、相互接続のために必要な相手方の電気通信設備の建設又は改
 造を相手方に申込むことができる。
2 甲及び乙は、前項の申込みを受けた場合は相手方と協議のうえ、必要な契約を締
 結する。
3 前項の規定に基づき、甲又は乙が建設等を行う電気通信設備の費用については、
 甲及び乙はそれぞれ対応する部分の費用を負担する。
4 前項の費用の算定方法については、別紙○のとおりとする。
(免責)
第28条 甲及び乙は、接続に係る設備その他の電気通信設備の設置、撤去、修理又
 は復旧の工事に当たって、相手方に関する土地、建物その他の工作物等に損害を
 与えた場合に、それがやむを得ない理由によるものであるときは、その損害を賠
 償しないものとする。


第三章 料金編

(利用者料金の設定) 
第29条 利用者料金設定事業者は、第7条(接続形態)に規定する接続形態ごとに、
 別表1第2表のとおりとする。
2 利用者が利用者料金設定事業者を識別でき、適用される利用者料金を特定できる
 ことを前提に、甲、乙及び接続する他の第一種電気通信事業者は、利用者料金設
 定を行うことができる。
【(利用者料金の請求等)】
第30条 利用者料金の請求、回収、課金(以下、「利用者料金の請求等」とい
 う。)は、第7条(接続形態)に規定する接続形態ごとに、別表1第3表のとおり
 とする。
(網使用料の課金)
第31条 甲及び乙は、それぞれの役務区間について網使用料の課金を行う。
2 前項によらない場合は、第7条(接続形態)に規定する接続形態ごとに、別表1第
 4表のとおりとする。
(網使用料)
第32条 甲及び乙は、それぞれの役務提供区間について網使用料を別紙○のとおり
 定める。
【2 甲(または乙)の役務提供区間と△△△株式会社の役務提供区間を合わせた網
 使用料を別紙○のとおりとする。】
(網使用料の計算方法 )
第33条 甲及び乙は、従量制の網使用料は暦月に従って、毎月初日の午前0時から
 末日の午後12時までの間に終了した通信について、通信回数又は通信時間の累積
 と別紙○(網使用料)の規定するところにより計算する。
【2 甲及び乙は、定額制の網使用料は暦月に従って計算する。】 
3 前2項の具体的内容は協議の上、料金事務処理確認事項に定める。
(事業者間精算方法)
第34条 甲乙間の事業者間精算方法については、第7条(接続形態)に規定する接続
 形態ごとに、別表1第5表のとおりとする。
(網使用料の請求等)
第35条 網使用料の請求又は支払方法については、協議の上、料金事務処理確認事
 項に定める。
【(ローミングに係る特例)】
第36条 ローミングに係る特例については、別表2のとおりとする。


代理編
パターン1:代理〜本人(甲:本人、乙:代理人、丙:相手方)

(甲以外の事業者に対しての代理)
第37条 甲は、乙に対し、次の各号の内容について、○○○株式会社及び●●●株
 式会社(以下、2社をそれぞれ「丙」という)に対する代理権を与える。
 (1) 甲と丙との、第40条(代理により締結する協定の内容)に規定する内容によ
  る相互接続協定の締結
 (2) △△△△
 (3) ××××
 (4) □□□□
(代理の解除等)
第38条 乙が丙に対しての代理を継続することが困難となった場合は、事業者間で
 協議の上、甲と丙で当該接続に係る協定の締結を行った時点で、乙が丙への甲の
 代理を行うことを解除できるものとする。
(通知義務)
第39条 乙が丙との相互接続協定において乙が甲の代理として締結した協定を解除
 した場合は、乙はすみやかに甲に通知するものとする。
(代理により締結する協定の内容)
第40条 乙が丙に対して甲の代理として相互接続協定の締結を行う場合において、
 甲及び丙の条件は以下のとおりとする。

        条文        
      読み替える箇所      
第1条(目的)第2条(守秘義務)…・ 
「乙」は、「丙」とする。以下同じ。 
第7条(接続形態)         
                  
「別表1第1表」を「別表1第1表にお
ける項番△.△.△.△」とする。  
第8条(相互接続通信の切断)…   
                  
第31条(網使用料の課金)     
「第4表」を「第6表」とする。   
第32条(網使用料)        
「別紙○」を「別紙△」とする。   
第33条(網使用料の計算方法)   
「別紙○」を「別紙△」とする。   
第34条(事業者間精算方法)    
「第5表」を「第7表」とする。   
第35条(網使用料の請求等)…   
                  


※ 代理の範囲を協定締結に限る場合は、第38条(代理の解除等)・第39条(通知
 義務)は記載無し。

パターン2:代理〜相手方(甲:相手方、乙:代理人、丙:本人)

(甲以外の事業者の代理)
第37条 乙は、甲に対し、■■■株式会社(以下、「丙」という)の代理として、
 次の各号に定める業務を行う。
 (1) 甲と丙との、第40条(代理により締結する協定の内容)に規定する内容によ
 る相互接続協定の締結
 (2) △△△△
 (3) ××××
 (4) ○○○○
(代理の解除等)
第38条 乙が丙の代理を継続することが困難となった場合は、乙が丙の代理を行う
 ことを解除することがある。
(通知義務)
第39条 乙が丙との相互接続協定において乙を甲に対する代理とする定めを解除し
 た場合又は乙が丙との代理権を規定した相互接続協定を廃止した場合は、乙はす
 みやかに甲に通知するものとする。
(代理により締結する協定の内容)
第40条 乙が丙を代理する場合において、甲及び丙の条件は以下のとおりとする。

        条文        
      読み替える箇所      
第1条(目的)第2条(守秘義務)…・ 
「乙」は、「丙」とする。以下同じ。 
第7条(接続形態)         
                  
「別表1第1表」を「別表1第1表にお
ける項番△.△.△.△」とする。  
第8条(相互接続通信の切断)…   
                  
第31条(網使用料の課金)     
「第4表」を「第6表」とする。   
第32条(網使用料)        
「別紙○」を「別紙△」とする。   
第33条(網使用料の計算方法)   
「別紙○」を「別紙△」とする。   
第34条(事業者間精算方法)    
「第5表」を「第7表」とする。   
第35条(網使用料の請求等)…   
                  


※ 代理の範囲を協定締結に限る場合は、第38条(代理の解除等)・第39条(通知
 義務)は記載無し。


※別表記載例

別表1 接続形態
   
               第1表               
 項番 
発信事業者
経由事業者1
経由事業者2
経由事業者3
着信事業者
 備考 
   1
  甲  
      
      
      
  乙  
   
   2
  乙  
      
      
      
  甲  
   
   3
  甲  
   乙   
      
      
 A会社 
   
   4
 A会社 
   乙   
      
      
  甲  
   

   
    第2表    
    第3表    
 第4表(甲乙) 
 項番 
利用者料金設定事業者
利用者料金請求事業者
課金に関する事項
   1
     甲     
     甲     
        
   2
     乙     
     乙     
        
   3
     甲     
     甲     
        
   4
    A会社    
    A会社    
        

   
 第5表(甲乙) 
 第6表(甲丙) 
 第7表(甲丙) 
 項番 
事業者間精算方法
課金に関する事項
事業者間精算方法
   1
    3)    
        
        
   2
    3)    
        
        
   3
    1)    
        
    3)    
   4
    1)    
        
    3)    


別表2 ローミングに係る特例
別表1
第1表
項番 
契約者回線 
提供及び債 
権譲渡事業者
契約者回線の提 
供を受け、債権 
を譲受ける事業者
債権譲
渡承諾
事業者
債権譲
渡承諾
事業者
利用者 
料金請 
求事業者
   
      
        
   
   
    
   
      
        
   
   
    
(注)1.この譲渡及び利用者料金の請求・回収について、当該接続に係る事業者間
    の相互接続協定において合意している場合に限る。
   2.契約者回線の提供を行う事業者は、提供を受ける事業者の契約約款で特定
    事業者として定められていることを要する。


別表1及び別表2において、使用する事業者名は以下のとおりとします。
事業者名  
内容                            
A会社   
      
      
本協定第38条で定める丙                   
                              
                              

別表1第5表で使用するパターンは以下のとおりとします。
   1)   
      
乙は、乙並びにB会社両者を併せた役務区間に係る網使用料を、甲 
に対して請求する。                     
   2)   
甲は乙に対して甲の網使用料請求する。            
   3)   
乙は甲に対して乙の網使用料を請求する。           

別表1第7表で使用するパターンは以下のとおりとします。
   1)   
甲は丙に対して甲の網使用料請求する。            
   2)   
丙は甲に対して丙の網使用料を請求する。           
   3)   
      
乙は乙並びに丙両者を併せた役務区間に係る網使用料を、甲に対し
て請求する。                        


最後に

 以上、接続協定をめぐる問題について、簡素化に焦点を当ててその解決の方策に
ついて検討してきた。
 本報告書は事業者間における接続協定簡素化の参照となることを目標としている。
これを受けて、各事業者において、簡素化について取り組み、事業者間の円滑な接
続の推進が図られることを期待する。

参 考

          多数事業者間接続協定に関する検討会
             参加者一覧(五十音順)



NTT移動通信網(株)
(株)アステル東京
(株)ジュピターテレコム
(株)タイタス・コミュニケーションズ
(株)ツーカーセルラー東京
(株)デジタルツーカー九州
(株)東京デジタルホン
KDD(株)
(社)テレコムサービス協会
セルラーグループ代表
第二電電(株)
DDI東京ポケット電話(株)
東京通信ネットワーク(株)
日本移動通信(株)
日本テレコム(株)
日本電信電話(株)
ワールドコム・ジャパン(株)



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