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発 表 日 :  2001年2月2日(金)

タイトル :  「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書への意見募集結果

総合通信基盤局



 平成12年12月20日(水)から平成13年1月19日(金)まで実施いたしました「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書への意見募集の結果を、別紙のとおり公表いたします。









連絡先:
 総合通信基盤局電気通信事業部
 料金サービス課電気通信利用環境整備室
   (担当:大村課長補佐、田中係長)
    電話:03−5253−5843

 



別 添


「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書への
意見募集結果


平成13年2月2日

  1. 実施時期等
    (1)  募集期間:平成12年12月20日(水)〜平成13年1月19日(金)
    (2)  実施方法:総務省のホームページへの掲載等の方法により周知を図り、電子メール、FAX、郵便の方法で意見を募集した。

  2. 意見の到着件数
     19件(うち個人5件、法人、関係団体等14件)

  3. 意見の要約(寄せられた意見の主な内容については、別紙参照。)
    (1)  インターネット上を流通する違法・有害情報に対するサービス・プロバイダ等による対応について
    1 全体について
     インターネット上を流通する違法・有害情報について、サービス・プロバイダ等による自主的な対応を促進し、その実効性を高めるために、法制度を整備する必要があることについては、概ね賛成の意見が得られた。

    2 検討の対象となる主体について
     サービス・プロバイダ等による自主的な対応を促進するための検討の対象となる主体については、新たに出現するサービスにも対応できるように対象を定めること、営利・非営利を問わずに対象とすることについて、賛成の意見が得られた。

    3 検討の対象となる情報について
     サービス・プロバイダ等による自主的な対応を促進するための検討の対象となる情報については、民事上違法な情報を対象とすべきこと、分野横断的に全ての違法な情報を対象とすべきことについて、賛成の意見が得られたが、刑事上違法な情報についても対象とすべきとの意見もあった。

    4 責任の明確化に関するルール整備の在り方について
     サービス・プロバイダ等による他人の権利利益を侵害するとされる情報に対する措置に係る責任の明確化を図るためのルール整備の必要性については、概ね賛成の意見が得られた。また、その規定の方法としては、サービス・プロバイダ等が責任を負わない(免責される)場合を規定すること(いわゆる「セーフハーバー規定」)について、概ね賛成の意見が得られた。
     具体的な規定の在り方については、サービス・プロバイダ等に作為義務が発生しない場合などを明確化する為念的な規定を設けること、サービス・プロバイダ等が誠実に判断した上で適切と考えて対応した場合には責任を負わないことを規定すること、サービス・プロバイダ等が従えば責任を問われないような形式的な手続を明示することについて、それぞれ、概ね賛成の意見が得られた。サービス・プロバイダ等が従えば責任を問われないような形式的な手続を明示することについては、ノーティス・アンド・テイクダウン手続★の導入ついて多数の意見が寄せられ、概ね賛成の意見であったが、手続の具体的な在り方については、意見の相違がみられた。

    ★ノーティス・アンド・テイクダウン手続:  サービス・プロバイダ等が、権利利益を侵害されたと主張する者から、一定の形式的要件を満たした通知を受けた場合に、問題となる違法な情報の削除等をすること等により責任を問われないとする手続。

    5 発信者情報の開示に関するルール整備の在り方について
     インターネット上を流通する違法な情報の発信者を特定し、当事者による紛争解決を促進していくための発信者情報の開示に関するルール整備の必要性については、概ね賛成の意見が得られた。
     開示が認められる要件については、本報告書で例示した要件((i)権利が侵害された蓋然性が高いこと、(ii)救済を受けるために必要不可欠であること)では、厳しすぎるとの意見があったが、一方で、真に救済を必要とする被害者かどうか十分に検討すべきとの意見もあった。
     開示の当否を判断すべき主体については、裁判所が判断することについて、概ね賛成の意見が得られた。また、具体的な開示手続の在り方については、迅速な手続とすべきとの意見が寄せられた。
     その他、サービス・プロバイダ等に発信者情報の保有・収集を義務付けるべき、との意見もあった。

    (2)  インターネット上を流通する違法・有害情報に対する受信者側での対応について
     情報受信者が問題とされる情報に対して、主体的・能動的に対応できる環境を整備していくために、ラベリング・フィルタリングの普及促進を図る必要があることに関して、特に意見はなかった。

  4. 今後の方針
     総務省では、寄せられた御意見を十分に踏まえ、インターネット上を流通する違法・有害情報について、サービス・プロバイダ等による自主的な対応を促進し、その実効性を高めるため、サービス・プロバイダ等の責任の明確化及び発信者情報の開示に関する法制度の整備について具体的な検討を進めるとともに、情報受信者が主体的・能動的に対応できるために、ラベリング、フィルタリングの普及促進に向けた取組の支援をするなど、インターネット上の情報流通の適正確保のための施策を進めて参ります。
    ※参考資料
     「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書

以  上




別 紙


「インターネット上の情報流通の適正確保に関する研究会」報告書への主な意見


  1. インターネット上を流通する違法・有害情報に対するサービス・プロバイダ等による対応について
    1. 全体について
      • 著作権侵害等の不正行為を抑止し、国民が誰でも安心してネットワークを利用できる環境を整備するという観点から、匿名性を克服し、侵害者の責任追及と被害者の救済の手段を制度として保障する必要。
      • 利用環境の整備に当たっては、サービス・プロバイダ等による自主的対応を促進し、実効性を高める施策によることが相当。
      • 基本的には発信者が責任を負担すべきであり、社会的スキームとして発信者に責任を負担させることができるような仕組を整備することが重要。

    2. サービス・プロバイダ等による自主的な対応を促進するための検討の対象となる主体について
      • 今後のネットワークビジネスの進化により新たなサービスが出現することが予想されるため、主体の範囲の規定は限定列挙的ではなく、包括的な規定が望ましい。
      • 立法化に際しては、可能な限度で利用者の対応に応じた責任の範囲や要件を加味すべく慎重に検討されることを希望。
      • プロバイダ等の提供するサービスには様々なものがあり、それらをある程度類型化し、それぞれの場合について検討を深めることが具体的な対策のためにも有効。
      • 電気通信事業者のみを対象とすべきではなく、営利、非営利を問わず広くサービス・プロバイダ等を対象とする新規立法によって対応すべき。

    3. サービス・プロバイダ等による自主的な対応を促進するための検討の対象となる情報について
      • 自主的取組の促進による利用環境整備という目的のためには、削除等の措置をとるべき対象を社会的合意の得られ、かつ、比較的概念が明確な違法な情報に限定し、サービス・プロバイダ等が明確な行動指針を持てるようにする必要。
      • 法制度ごとに異なる対応とするとサービス・プロバイダ等の実務上の負担が大き過ぎるため、制度は分野横断的な対応が望ましい。
      • 実務上の問題、権利に差を設けることの不適切さから権利横断的な制度設計が必要。
      • 権利ごとにサービス・プロバイダ等が免責される手続が異なるとサービス・プロバイダ等の負担が増し、迅速な対応の障害になりかねないため、水平的、分野横断的アプローチとすべき。
      • 知的財産権、プライバシー侵害等個々の法制度ごとに異なる対応とすると、サービス・プロバイダ等の実務上の負担が大きく、複合的なトラブルが生じた場合に混乱が予想されるため、分野横断的な対応が望ましい。
      • サービス・プロバイダ等が刑事上どこまで作為義務を負うかが不明確であるため、法的責任全般に通じる規定を設け、過度の刑事責任追及を制限する内容を盛り込む等一定の措置を講ずる必要。
      • インターネット上の差別煽動は、高度情報化社会の爆発的な発展とその影響力、被害者の救済の観点から、暴力・犯罪として理解すべき。

    4. サービス・プロバイダ等による他人の権利利益を侵害するとされる情報に対する措置に係る責任の明確化を図るためのルール整備の在り方について
      (1) 全体について
      • 責任のない場合を明確化する規定、誠実な対応に係る免責規定、ノーティス・アンド・テイクダウン手続に関する規定を創設することは、サービス・プロバイダ等による対応の指針となるため(作為義務を発生させるものではない。)、賛成。
      • 少なくともプロバイダには不正行為を監視し、違法・有害情報の提供行為を自主的に停止する努力義務があり、その履行として自主的に停止した場合には、重過失が認められない限り免責される制度を創設すべき。
      • インターネット上における情報発信の匿名性、被害の拡大という実態を考えるならば、プロバイダは決して中立的な立場ではなく、むしろ加害者の立場にあるため、損害賠償責任は免れず、被害者(加害者)から訴えられた場合、加害者(被害者)に求償すればよく、これを免責の問題に置き換えるべきでない。
      • インターネットを運営するプロバイダには、それによって発生する被害を最小限に止める社会的責任があり、また、質の高いプロバイダ管理者を養成することもこの責任の中で必要とされる。
      • 情報の流通を媒介するサービス・プロバイダ等に責任を持たせる方法が一番妥当。
      • 特定の情報が違法であるか否かを判断することは極めて難しい。
      (サービス・プロバイダ等の義務を規定する方法について)
      • 監視義務や削除を含む作為義務を、現時点で課することは、極めて困難と言うべきであって、このような状況の下で、サービス・プロバイダ等に対して何らかの作為義務を課すことは相当でない。
      • 情報の放置についての作為義務、過失について求められる注意義務は現段階ではすべてを明らかにするのは困難であることから、プロバイダ等に対する義務付け的手法は避けるべき。
      • 著作権侵害のコンテンツを容易に発見することができるようになることも十分考えられることから、今後も作為義務の必要性について更に検討を進めることを期待。
      (サービス・プロバイダ等が責任を負わない場合を規定する方法(セーフハーバー規定)について)
      • セーフハーバー規定を制定することにより、被害の迅速な防止を図ることが可能となるので、規定制定に賛同。
      • サービス・プロバイダは、本来、自らのサーバ内で行われている著作権侵害の有無を積極的に調査・確認すべき義務があり、その責任の明確化に当たっては何らかの作為義務を規定すべきだが、事実上不可能であることは事実であり、違法なコンテンツを迅速に削除するための次善の方策として、セーフハーバーの方法も当面の措置としては意義があるが、その適用に当たっては厳格な要件を定めるべき。

      (2) サービス・プロバイダ等に作為義務が発生しない場合などを明確化する規定について
      • 情報の違法性の判断が困難であることから、一見明白に当該情報の違法性が判断できる場合を除いては、利害関係人から厳格に定められた要件に従った通知を受け、通常人であれば当該通知内容から当該情報の違法性が明白に判断できる場合に限って「問題となる情報の流通を知った」という要件に該当するとすべき。

      (3) サービス・プロバイダ等が誠実に判断した上で適切と判断して対応した場合に係る免責の規定について
      • グッドサマリタン条項については、仲介者の自助努力を促すという視点から検討を進めるべき。
      • 誠実な対応に係る免責規定は、サービス・プロバイダ等の苦情処理実務の効率化と、違法とされる情報に対する柔軟な処理を実現するもの。
      • 利用環境の整備の基本的としては、サービス・プロバイダ等による自主的取組の促進によることが相当であり、サービス・プロバイダ等が誠実に判断を行った上で適切と考えた自主的な取組を行った場合における免責規定を定める必要があるが、「誠実に判断を行った上で適切と考えた対応を行っている場合等」では免責の要件として不明確。
      • サービス・プロバイダ等に過大な負担を強いるような制度は避けるべきであり、具体的にどのような手段を講じた場合に、「誠実に判断した上で措置を行った場合」に該当するのかという基準を明確にすべき。
      • サービス・プロバイダーの自主的対応を促進する観点から、違法情報の流通を阻止するための自主的対応の判断が誤っていたことについて、善意・無重過失である場合には責任を課さないとすること等の配慮が必要。
      • サービス・プロバイダ等の判断が結果的に誤っていたときの責任の有無については、民法第709条の基準によるのでなく、善意・無重過失であるか否かにより決定されるべきであり、立法化により明確にすべき。
      • 適切な権利が保護されるべきであるとの観点から、サービス・プロバイダ等が対応をとるためにした判断又はその結果について、「過失があったかどうか」によって責任の有無が判断されるべき。

      (4) サービス・プロバイダ等が従えば責任を問われないような形式的な手続を明示することについて
      • 情報の削除・放置に係る明確なルール整備が行われることが必要であり、ノーティス・アンド・テイクダウンは検討に値する。
      • 侵害等の不正行為の被害者が違法・有害情報の提供行為等を発見した場合に、その停止を迅速に行うに当たっては、ノーティス・アンド・テイクダウン手続による対処が現時点では有効。
      • 実際に被害を受けた者が相手さえ分からず泣き寝入りしているという現状を打破するためにも、ノーティス・アンド・テイクダウンの早期導入が望まれる。
      • 被害者の迅速な暫定的救済と、サービスプロバイダ等が何をすれば責任を問われないかを明確にするため、裁判手続を補完するものとして、ノーティス・アンド・テイクダウン手続を導入することは有効。
      • ノーティス・アンド・テイクダウンは、宣誓供述等の制度のない我が国では濫用される危険性が高く、現時点では問題が大きいので、民法の特例としての免責については、誠実な対応に係る免責に限定して採用し、権利侵害が比較的明確な著作権法分野等について、ノーティス・アンド・テイクダウンを上乗せして実施することを別途検討することが相当。
      • 現状では、発信者に連絡すると大半が自主的に削除しており、サービス・プロバイダが違法情報の通知を受けた場合、直ちに削除するのではなく、発信者に、通知を受けた旨を知らせ、異議なき場合に当該情報を削除できるという制度は合理的。
      • 現状においては、発信者に対して苦情があった旨を連絡した場合、大半が自ら削除していることから、ノーティス・アンド・テイクダウン手続の具体的な創設に当たっては、発信者に対してノーティスがあった旨を連絡し、これに対する異議申立てがされなかった場合にはサービス・プロバイダ等が削除等することとすべき。
      • サービス・プロバイダ等が通知を受領した場合、発信者に対して通知があった旨を連絡し、合理的期間内に発信者からの異議申立て又は発信者による削除がなされなかった場合は、サービス・プロバイダ等が削除等することとすべき。
      • デジタルコンテンツについては、被害が急速に拡大するおそれがあるため、プロバイダは、被害者からの通知を受け、権利侵害等であると合理的に判断できる場合には、速やかにアクセス禁止措置をとり、その措置については、重大な過失がない限り発信者に対して責任を負わないこととすべき。発信者からの反対通知があった場合も同様。
      • ノーティス・アンド・テイクダウン手続は、予備的な救済措置として簡易な手続によって実行されるようにすべきであり、形式的要件を備えた権利者からの通知があり、これに対して形式的要件を備えた発信者からの異議がない場合、サービス・プロバイダ等は直ちに違法な情報を削除するものとすることが適当。
      • 本手続の導入目的にかんがみ、サービス・プロバイダ等は通知の形式適合性のみを判断するようにすべきであり、情報の違法性を判断させるべきではない。
      • ノーティス・アンド・テイクダウン手続の策定に当たっては、被害者と発信者双方が権利濫用しないよう、損害賠償責任を明定するなど何らかの措置を設けるべき。
      • 発信者が連絡先を変更・廃止等していることも考えられるため、サービス・プロバイダ等は把握している連絡先に連絡すればよく、その連絡の不到達が明らかな場合は削除等しても、発信者からの損害賠償請求を免責する等の配慮が必要。
      • 形式的要件で一方的に発信者の権利が制約されるものであることから、ノーティス・アンド・テイクダウン手続は、義務的性質でなく、任意のものとすべきであり、また、制度濫用に対する防止策も必要。
      • 違法性の判断は困難であり、厳格な通知の要件を定めても十分でないと推測されることなどから実務的に対応が困難。仮に導入するに場合でも通知の要件を厳格に定め、かつ、通知人に対して一定の法的責任を負担させるべき。
      • 発信者からの反対は、少なくとも著作権侵害行為に関する限り、顕名によって行われるべき。
      • 発信者からの反論があった場合、コンテンツは削除されず、権利者は訴訟をするしかないため、反対通知は顕名を義務付けるべき。
      • ノーティス・アンド・テイクダウンの手続が法定された場合に、手続に従わないプロバイダ等に対して訴訟上どのような請求及び仮処分ができるかについて、今後の議論で念頭に置くべき。

      (5) その他
      • 著作権侵害に関わる場合には、直接には侵害に該当しなくとも侵害行為と密接不可分の情報提供行為等もその対象として含める必要がある。
      • 仲介者たるプロバイダ等は削除以外の対策も採り得るため、プロバイダ等に削除の権限を与えるだけではなく、一時的な保留を認めるべき。
      • 著作物をインターネット上に載せる場合に、発信者、データ作成者等に複製防止装置や権利管理情報を付加することを義務付けるとともに、サービス・プロバイダに対しても一定の義務を課すよう早急に対応を検討願いたい。
      • 違法・有害情報の提供行為者に対する被害者による法的措置の実現など、根本的な解決の方策を可能とするために、プロバイダ等は削除等の手続の対象情報について、一定期間保全・保存し、必要に応じて被害者等に提示できるものとすべき。
      • サービス・プロバイダが違法な情報を削除することに関する制度は、被害者からの発信者情報開示への対応や被害者からの告訴への対応等被害者の権利利益の保護の上で必要なデータは、別途保存しておくべき点を盛り込んだものとすべき。
      • ネット上では被害者を特定することが困難であり、被害者とは誰かを明らかにするための定義が必要。

    5. インターネット上を流通する違法な情報の発信者を特定し、当事者による紛争解決を促進していくための発信者情報の開示に関するルール整備の在り方について
      (1) 全体について
      • 迅速な当事者間紛争処理を可能とすることが基本であり、発信者情報開示については、制度整備の検討が進むことを期待。
      • 真の賠償責任者に対する責任追及のためには重要なルールであり、発信者情報開示ルールの創設には賛同。
      • インターネット上での情報流通の問題の多くは、匿名性に起因しており、また、情報の伝達が即時に広範囲に及ぶため短時間に被害が拡大するため、いずれが判断の主体になるとしても、速やかな開示が得られる制度となるよう要望。
      • 発信者が特定でき、民事的責任を追及できるように発信者情報の開示手続が整備されることは重要。
      • 匿名性を克服し、被害者の救済や不正行為の抑制を図るために、発信者の情報が一定の場合に開示される制度を創設したとしても、「通信の秘密」や「匿名による表現の自由」の最小限の制限として合理性がある。
      • 悪質な企業等に対する勇気ある発言まで無条件に発信者側の情報を開示するようなことになれば、企業等からの報復等予想もつかない新たな社会問題に発展することも考えられ、また発信者=本人でない場合もあるため、情報発信者の開示には原則反対する。
      • 通信の秘密や表現の自由が守るべき主体は、コミュニケーションの当事者であり、プロバイダ等からの通信の秘密の抗弁については、通信の秘密の抽象的な議論に終始することのないよう配慮すべき。
      • インターネットの世界において、現実社会と異なって、ことさら「『匿名による』表現の自由」を強調する必要はない。
      • インターネット上で差別煽動を行う発言者の開示は、発信者の自己責任を果たす観点と被害者の人権確立(被害者の救済)の観点から積極的に開示する必要があり、差別煽動の発言者を「通信の秘密」で保護すべきではない。
      • 発信者情報の開示に関するルール整備の在り方は、国民の生命、身体の保護のため緊急に必要となる場合の発信者情報の開示に支障を及ぼすものでないことを担保したものとすべき。
      • 発信者情報の開示を認めるかどうかを第三者機関が判断するにしても、裁判所が判断するにしても、短期間で結論が得られる制度とすべき。

      (2) 開示が認められる要件について
      • 発信者情報の開示手続において、本訴以上に厳格な要件を設定すると手続の実効性が失われてしまうため、開示の要件が現行法の保全手続以上に厳格とならないよう配慮すべき。
      • (i)権利利益が侵害された蓋然性が高いこと、(ii)救済を受けるために必要不可欠であることの要件は厳しすぎるため、一般の保全処分に類似する手続が採用されるべき。具体的には、〆枷十蠅紡个靴董著作権を保有していること又は侵害があったことを相当な事実に基づいて主張していることが疎明されること、∈枷修凌獲は権利者側だけの一方審尋とすること、3示を求める者に保証金の納付を義務付けることが法制化されるべき
      • 開示の要件として、他に代替手段がないこと(補充性・不可欠性)を挙げているが、やや厳格にすぎる。裁判を受ける権利の行使には、このような要件は必要とされていないこととの均衡を失する。
      • 開示の要件につき、侵害された権利利益が重大なものであることなどを付加すべきでなく、問題となる権利利益の性質により開示の要件を異なるものとするべきでない。
      • 裁判を受ける権利を実質的に保障するものであることを勘案すると、要件として、「本訴を提起するため」と明記することが望ましい。
      • 開示の判断に当たっては、真に救済を必要とする被害者かどうかを十分に検討・調査すべき。
      • 被害者は、情報開示機関に対し、どのような立場で被害を受けたかを示すべき。また、被害者の本人性を慎重に確認する必要あり。

      (3) 開示の当否を判断をすべき主体について
      • 開示の判断に当たっては、通信の秘密、個人情報の取扱い、表現の自由との比較衡量が必要であり、裁判所の判断を介在させることが望ましい。
      • 被害者救済という観点からは迅速性が求められることになり、また訴訟が提起できないことによる不利益と通信の秘密等が制約される不利益との比較衡量により判断されることを要するから、迅速な手続で裁判所により判断されるのが適切。また、発信者の権利保障のための手続、制度濫用防止のための方策が必要。
      • 被害者の利益と、表現の自由等の憲法上の権利との調整者としては、憲法判断の最終権限を有し最も公正な立場にある裁判所こそが望ましく、開示請求が濫用に及ぶか否かの判断を強いられることなどからすると、判断者としては、法律判断に熟達した裁判官こそが望ましい。
      • 発信者情報の開示は、当事者間紛争解決という本来あるべき姿を実現するためにも必要。通信の秘密の関係等があり、裁判所が開示の判断を行うことが望ましい。
      • 企業等に対していきなり発信者情報を開示するのはあまりにも危険。裁判所で開示の是非を判断する手続として、発信者の利害を代弁する機関を創設し、サービス・プロバイダ等から発信者情報を取得する案に賛成。
      • 設立までに時間を要すること、実効性が必ずしも国民の信頼を得ていないことから、第三者機関が判断する仕組みについては、反対。
      • 技術的な知識を持つ機関でなくては発信者情報の開示に関われないが、裁判所以外の機関が独自に発信者情報を追跡できるとすることも問題であるため、専門性のある機関が裁判所の許可に応じ、必要最小限の追跡調査を行うことができるものとすべき。

      (4) 具体的な開示手続の在り方について
      • 著作権侵害については、裁判所が判断するとした場合には、被害者の主張に一応の合理性があるかどうかを裁判所がチェックし、一応の合理性が認められれば、開示が命じられるべき。
      • 開示の必要性については、一定の法的判断が不可欠であり、非訟事件に準じた裁判所が関与する手続によることが望ましい。
      • 現実的に、発信者の利益を代弁する第三者を選定し、これが機能的に活動することを期待することは極めて困難であり、発信者の利害を代弁するものとして位置付けられた機関に対して発信者情報の開示を請求する案には賛成し得ない。
      • 発信者情報の開示を妨げる主張をすることを「専門的に」行う機関を設ければ、迅速な開示が妨げられる可能性が極めて大きくなることから、発信者の利害を代弁する機関を設けることは反対。
      • 裁判所において開示の是非の判断が得られるような手続が挙げられているが、権利侵害を受けた被害者側の利便性、制度の実効性といった点にかんがみ、可能な限り簡便で迅速な手続とする必要がある。

      (5) その他
      • 発信者情報を保有しないで行われているサービスについても、保有していないことに正当な理由のない場合には、当該サービス・プロバイダ等に対する責任追及を認めるべき。
      • プロバイダ等には、契約者等について、個人を特定するに足りるだけの真正な情報を取得する義務が必要であり、これを履行しない者については、共同発信者としての刑事責任、不法行為責任を問いうる制度にすべき。
      • インターネットにおいては、匿名による表現の自由が保たれる必要がある一方、情報発信者は自分の情報に対して責任を持つのは当然であり、サービス・プロバイダ等が事前に発信者情報を収集することについて新たな法制化が必要。
      • 匿名性を悪用した不法行為や犯罪を防止し、誰もが安心してインターネットを利用できる環境を整備するという観点からは、発信者情報を保有しないで行われているようなサービスにおいて契約者情報の把握を義務付けることについて、早急に検討すべき。
      • サービス・プロバイダ等に発信者情報収集を義務付けることは、表現の自由、プライバシーの観点からも、サービス・プロバイダ等の負担という観点からも適切でない。
      • ファイル交換ソフトを使用する侵害行為者が侵害行為時に使用していたIPアドレスが特定されることに基づいて、その接続者についての個人情報を当該接続を担っている接続プロバイダが開示できるような手続を整備すべき。
      • インターネットが実社会の基盤となるためには、ネットに対する信頼性が大変重要であり、書込みをした場合に、その本人が明らかになる旨公表しておけば、発信者が責任を認識するのではないか。
      • 人権救済機関に紛争解決を委ねる観点から、プロバイダ等に対しても開示を法的に担保すべき。

    6. その他
      • 実効性のある違法対策が講じられるのはサービス・プロバイダ等のみであり、サービス・プロバイダ等に対しても差止請求を可能とする規定が必要。
      • プロバイダがアクセス禁止措置をとらない場合には、被害者のプロバイダに対する差止請求権が認められるべき。
      • 悪質なプロバイダ等に対しては、許認可の取り消しを含む法律の改正をすべき。
      • 情報の発信者として注意すべき点を訓辞的に示す必要。


  2. インターネット上を流通する違法・有害情報に対する受信者側での対応について
    1.  情報受信者が問題とされる情報に対して、主体的・能動的に対応できる環境を整備していくために、ラベリング・フィルタリングの普及促進を図る必要があることについては、特に意見は得られなかった。

    2. その他
      • ジャンクメールの場合に、発信者がラベリング付をしてメールを送信することは考えにくい。
      • 一般の利用者からジャンクメール通知を収集し、各事業者へ報告を振り分ける役割を持つ公的機関を設置するとよい。
      • 各サービス提供者の側でジャンクメールの相談に応じる窓口を設置する方法も考えられる。
      • ジャンクメール処理のルールを明確化し、ジャンクメール対策のプロバイダ等での対応の温度差をなくすべき。
      • ジャンクメール送信行為が迷惑行為であることを広く一般に注意喚起することが重要。

    以  上


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