テレワークの海外普及動向

テレワークの海外普及動向

目次 index

  1. テレワーク海外普及動向の概要
  2. 地域別動向
    1. ①アメリカ
    2. ②カナダ
    3. ③ヨーロッパ
    4. ④アジア

テレワーク海外普及動向の概要

IPSOS社が2011年に24か国11,383名に実施したオンラインアンケート調査によると、今、世界ではおよそ5人に1人(17%)が頻繁にテレワークを実施しています。テレワークの最も盛んな地域は、新興地域です。北アメリカ(9%)、ヨーロッパ(9%)であるのに対し、中近東及びアフリカ(27%)、ラテンアメリカ(27%)、アジア太平洋(24%)と高くなっています。テレワーカーは、高学歴、年齢35歳未満、高所得世帯に多く、男性(19%)が女性(16%)より若干多い傾向が見られました。

テレワークの普及
TW海外動向調査報告書(HP掲載用).pdf

地域別動向

①アメリカ

アメリカでは Job Description により個々の仕事の範囲と責任は明確化されており、目標管理と成果による業績評価・報酬制度が定着しています。また、大半のホワイトカラーにはホワイトカラーエクゼンプションが適用されており、我が国でテレワーク導入の阻害要因の1つである労働時間管理の制約も設けられていません。

ホテリング(いわゆるフリーアドレスの一形態)によるオフィススペースコストの削減など、コスト削減効果をねらいとするテレワークの導入が多く見られます。

連邦政府では、2010年テレワーク強化法が成立し、全職員にテレワークを推進する方針です。当初は交通混雑の緩和やオフィスコストの削減、人材を確保する上でのインセンティブとしてテレワークを推進してきましたが、9.11以降は事業継続面での機能分散化を図る上でテレワークが注目されてます。

テレワーク人口の推移(2001-2010) 柔軟な働き方の導入状況

テレワーク人口は減少しているものの、テレワークをする人をみると、実施する頻度は増加していることがわかります。

②カナダ

カナダの雇用関連制度はアメリカに類似しています。
法の規制はないものの、カナダの労働時間は年間1,700時間程度となっています。フルタイム就業者の3人に1人は柔軟なスケジュールで働くことが可能な環境です。

カナダ統計局によると、フルタイムの就業者のうち、時々でも在宅勤務が可能な人は全体の22%、柔軟な労働時間が可能な人は42%、テレワーク等の柔軟な働き方が可能な人は48%にあがります。テレワークと柔軟な働き方を併用可能なのは15%となっています。

フルタイム就業者における柔軟な働き方(2010) 在宅勤務人口率の推移(2000-2008)

テレワーカーの人口について公式な統計はないものの、カナダ統計局によると2008年時点で雇用型の在宅勤務者は1,748,600人(雇用者全体の11.2%)、自営型の在宅勤務者は184,200人(自営業者全体の60%)で、就業者全体の19%となっています。

③ヨーロッパ

ヨーロッパでは、高い失業率を背景として、ITを活用した雇用の創出がEU(欧州連合)全体の政策課題と認識されてきました。1994年からEuropean Telework Assembly(eWork in Europe)が毎年開催され、第9回となる2002年のパリ会議において、欧州の各種団体との枠組み合意(Framework Agreement)が署名されました。この枠組み合意は、署名した15か国でそれぞれ法制化されることとなり、一定の成果をあげたとしてEuropean Telework Assembly はこの年で終了しました。

また、2000年のリスボン宣言において2010年までにアメリカに対抗してヨーロッパを強くする基本戦略が打ち出され、ICT活用を強力に推進されてきました。しかし、ヨーロッパの一部の国(ドイツ、フランスなど主として大陸側の国)ではアメリカと異なり、労働時間の管理が厳しいことから、テレワークはアメリカほど普及していません。もっとも、ヨーロッパ諸国はそもそも労働時間の短縮が進んでいることから、テレワークをする必要がない働き方が広く普及しています。

イギリス

イギリスでは、逆に雇用主に有利な労働法制度となっており、比較的雇用市場は流動性が高く、長時間労働の習慣もないため、柔軟な労働時間制度も普及しています。

イギリスのテレワーク人口推計(2014)

フランス

フランスでは、そもそもがワーク・ライフ・バランスに配慮した文化であること、労働者保護のために労働時間が管理されていること、柔軟な労働時間制度も普及していること等から、特にテレワークに依存しなくてもよい環境が醸成されています。

最近ではテレワークに関する民間の合意の締結や法整備が進んできていますが、未だにテレワークの普及を促す契機にはなっていない状態です。

フランスのテレワーク人口推計(2014)

ドイツ

ドイツでは、90年代不況時における雇用維持施策としてジョブ・シェアリングが広く導入され、その結果、労働時間の短縮化、柔軟化に成功しました。法定労働時間を超えて働く就業者は1割に満たないことから、長時間労働はもはや政策的課題ではなくなったと言われています。

現在ではテレワークが特に施策として取り上げられることもないようです。

ドイツのテレワーク人口推計(2014)

一方、北欧諸国では、気候や人口密度の低さなどの特徴から、テレワーク的な働き方が早くから導入されてきました。在宅勤務は官民ともに普通の働き方として定着しており、近年では「どこでもオフィス」的な働き方が急速に広まっています。80年代から90年代初頭にかけてのテレワーク導入期には政府主導によるテレワーク推進施策が実施されてきましたが、近年では既に政策的対応はほとんどなくなっています。

フィンランド

フィンランドでは、テレワークをワークプレイス改革の一環として推進しており、テレワークの実施比率はEU内で5番目に高くなっています。

フィンランドにおけるテレワーク導入のインセンティブは通勤距離が年々長くなる傾向にあるため、その通勤距離の削減であるといわれています。働き方が労働集約型からナレッジベースのサービス業へ産業転換が進んできたこと、IT技術の普及により技術的環境が整ってきたこともテレワークの普及を後押ししています。また政府では、「ワーキングライフ開発戦略2020」を策定し、その中でもICT技術を活用した「新しい働き方」の普及に関する分散型マネジメントをコンセプトとし、ヨーロッパ1のワーキングライフを達成するというコンセプトを掲げています。

ドイツのテレワーク人口推計(2014)

欧州各国の労働力調査におけるテレワーク推計をまとめたものを以下に示します。EU加盟28か国の平均は、時々(Sometime)テレワークする人が8.8%、常に(Usually)テレワークをする人が4.7%、合計13.5%となっています。アイスランド、スウェーデン、ルクセンブルグが上位3か国となっています。

世界各国のテレワーク人口推計(2014)グラフ 世界各国のテレワーク人口推計(2014)表

④アジア

韓国では、電子政府の進展を背景として2010年から大統領のリーダーシップでスマートワークが推進されてきました。

伝統的な長時間労働の見直し、少子高齢化に歯止めをかけるためのワーク・ライフ・バランスの向上を目指し、2015年までに官民の30%でテレワークを実施する目標を掲げていましたが、その目標水準には遠い実態となっています。韓国のテレワーク推進は、公務員用のスマートワークセンターの設置に重点を置いているのが特徴です。

テレワークの企業導入率(2012-2015)

シンガポールでは、伝統的に固定時間制度が根強く、フルタイム雇用がほとんどでかつ固定時間制度が根強く残っています。

しかし、労働力の3割を外国人に依存しており、慢性的な労働力不足を解消するために女性の労働参加に積極的な政策を取り、国民の労働力市場への参加を促すために柔軟な働き方を促進しています。政府はフレックス・タイム、フレックス・プレイス、パートタイムなど、柔軟な働き方を導入する企業を支援しています。

ここでいう柔軟な働き方の定義には、パートタイムも含まれるのが特徴です。シンガポールにおいては、柔軟な労働時間制度は、普及途上です。

柔軟な働き方を導入する企業の割合(2007-2014)
テレワークの概要(1/2) テレワークの概要(2/2)