大きなうねりの中で

堀川 亮(平成15年入省)
情報通信政策局放送政策課政策係
放送制度の企画立案


  皆さんは「放送」と聞くと、どんなものを連想されるでしょうか?毎日見るニュース、楽しみにしていたスポーツの試合、お気に入りのドラマ、劇場で見損ねてずっと気になっていた映画、学校や職場で話題になっているバラエティ番組、年に一度の紅白歌合戦、あるいはドライブの最中に聴くカーラジオ・・・。いずれにしてもほとんどの方は、毎日少しでも放送に触れる機会をお持ちのことと思います。(何かと多忙な国家公務員ですとテレビなどゆっくり見ている暇などない、というような場合も往々にしてありますが・・・。)ニュースなどの基本的な情報はまずテレビで収集する、という方は多いでしょうし、家で何もする事がない時にはとりあえずテレビをつけてぼんやりとする、という方も多いのではないでしょうか。(かく言う私もその一人です。)
  現実に、日本放送協会(NHK)が2000年に実施した「国民生活時間調査」によれば、平日でも国民一人当たり平均で3時間46分もの時間をテレビとラジオに割いており、新聞・雑誌・書籍などの各マスメディアへの合計接触時間のうち、これは実に8割を占めます。インターネットや携帯電話が急激に普及し、国民が日常触れるメディアが多様化したと言われる今日においても、「日本国民にとっての基幹的メディアでありなおかつ最も身近な娯楽ツール」という地位をいまだに保っていると言って差し支えない状況です。
  今、その基幹的メディアである放送が、デジタル化という大きな変化を遂げようとしています。「デジタル放送」と言うと高精細度・高音質のハイビジョンが何かと注目されています。確かに一般家庭でも鮮やかな大画面映像を楽しめるハイビジョン放送は、デジタル化の目玉とも言えるメリットですが、デジタル化のメリットはそればかりではありません。視聴者に伝達する情報の幅を大きく広げるデータ放送、リアルタイムでの視聴者参加やテレビショッピングを可能にする双方向サービス、高齢者・障害者向けのサービスの高度化、自動車や携帯電話でのいわゆる「移動体受信」の安定化など、視聴者への放送サービスの提供をより豊かなものにする大きなイノベーションであると言えます。
  特に、放送メディアの中でも平均視聴時間の多くの部分を占める地上放送のデジタル化は、放送サービスのあり方ばかりでなく、国民生活そのものを大きく変容させるものです。こういった大きな変革に、アナログ周波数変更をはじめとして、デジタル化の時代に適合した制度の整備など、行政に求められている仕事は数多くあります。
  今私は放送政策課で勤務していますが、今まで述べてきたように、放送分野が今大きな「うねり」の中にいることを毎日ひしひしと実感しています。入省2年目の私が貢献できる部分はまだ小さいですが、この大きなうねりの中で、「この時代に行政に求められていることは何か」について少しでも自分なりに考え、今後の仕事に生かしていきたいと思っています。





漆畑 有浩・職場の風景
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