7年生になって思うこと

西潟 暢央(平成11年入省)
総合通信基盤局 料金サービス課 課長補佐
電話料金全般 将来の料金政策の在り方についての検討


 はじめまして。西潟暢央(にしがたのぶひさ)と申します。総務省総合通信基盤局料金サービス課に勤務しています。平成11年に当時の郵政省に採用されて7年目になります。まだまだ「若輩者」「青二才」ですが、ここは「若手」行政官のコラムですから、気ままに書かせていただきます。

 随分便利な世の中になりました。電話に代表される電気通信とコンピュータが融合していわゆるIT革命が進行していることは、一人の利用者としても実感します。ADSLのおかげでインターネットは繋ぎっぱなしですし、携帯電話の液晶はカラーが当たり前で、今やコンビニで買い物ができます。私は2001年から2003年まで米国に留学していたのですが、帰国直後は「便利になったなあ」とびっくりしました。留学前と留学後、留学後と今を振り返ると、情報通信分野の進歩はすごく速いです。留学前(つまり4年前)はまだダイヤルアップで電子メールを交換していたかと思うと、大昔に感じてしまいます。

 ムーアの法則、ドッグイヤー、と技術革新のスピードを表現する言葉はたくさんあります。きっとこれからもITの分野では次から次へと新しい技術が出て来て、私たちの生活もどんどん便利になっていくでしょう。入省当時、役人は30年先のことを考えて仕事をしろと習ったことを今でも記憶していますが、この分野の30年先を見通すのは無理です(すみません)。それでも5年先くらいの見通しを立てていこうとも考えています。5年先といえば2010年です。昨年NTTが発表した中期経営戦略では、2010年までに3000万世帯に光ファイバを提供するとのことです。放送のデジタル化も2011年までに完了する予定です。今はひとまず、2010年の情報通信基盤がより便利で誰にでも使い勝手のいいものとなるよう、役所のすべきことを一つずつ積み重ねていきたいと考えています。

 役所のすべきことって何でしょう?役所には所掌事務というものがあります。悪く言えば「縄張り」です。これも法律で決められています。自分のいる料金サービス課の所掌事務は、1)料金その他の電気通信役務に関する提供条件に関すること、2)電気通信事業の発達、改善及び調整に関すること(他課の所掌に属するものを除く。)、です。役所の文書は分かりにくいと言われますが、「電気通信事業の発達、改善及び調整に関すること」はその代表かもしれません(笑)。その意味するところは、私なりには、IT革命の恩恵を21世紀のよりよい社会の基盤作りに還元していくことだと思います。

 21世紀のよりよい社会の基盤って何でしょう? 私なりに言えばそれは、自分がコミュニケーションしたい人とストレスなく意思疎通が成立すること、欲しい情報がストレスなく手に入ることです。コミュニケーションは、人間が社会生活を営むに当たっての根本的なものの一つだと思います。豊かなコミュニケーションがあってはじめて、一つの情報源に依存しすぎることなく、どんな些細な意思決定であっても自分の意思決定に責任が持てるというか、(結果はともかく)意思決定のプロセスについては納得できるようになることが実現されるものと考えています。私は自己責任という言葉は好きではありませんが、憲法に保障されている自由の裏返しとして、一人一人の自律があってはじめて日本は真の民主主義国家になれると信じています。道のりは遠く、総務省だけですべて解決できるものではありませんが、日本政府の一員としてこの深遠壮大なゴールに向けて微力ながらも貢献していきたいと思っています。


西潟 暢央・執筆者近影
執筆者近景
西潟 暢央・執務風景
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西潟 暢央・職場風景
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