ある一年生の生活

八代 将成(平成18年入省)
総合通信基盤局 電気通信事業部 料金サービス課 接続制度係
電気通信事業者間の相互接続制度担当


 皆さんこんにちは、八代将成と申します。

 私が平成18年4月に総務省に入省して、あっというまに一年が過ぎようとしています。

 総務省ってどんな人が働いているんだろう、どんな職場なんだろうと思って、学生時代に若手行政官コラムを読んでいました。ようやく仕事にも慣れ始めた頃に、「若手行政官コラムを書いてみないか?」という突然のお誘いが、回り巡って一年生の私にやってきました。

 入省する前にはまさかこのコラムを執筆することになるとは思いもしませんでしたが、せっかくのこの機会に、どたばたと過ごしてきた一年生の生活を振り返ってみたいと思います。

(入省〜配属)
 公務員への第一歩は入省式です。入省式では、これから公務員として勤務していく上で従わなければならない事項に関して重要な「宣誓」をすることになります。

 宣誓の内容は、「国民全体の奉仕者として公共の利益のために勤務すべき責務を深く自覚し、日本国憲法を遵守し、並びに法令及び上司の職務上の命令に従い、不偏不党かつ公正に職務の遂行に当たることをかたく誓」うというもの。難しい言葉が並んでいますが、公務員は一部の人や自分の利益ではなく、いつも国民全体のことを考えて、皆さんの利益のために職務に当たらなければならないということです。

 この宣誓、通常は、宣誓書に署名して、任命権者に提出するという形をとるらしいのですが、入省式の際には、政務官の前で自分が入省者代表として宣誓書を実際に読み上げるという貴重な体験をさせていただきました(入省者を五十音順に並べて、一番最後だったからという幸運な理由なのですが。。)。

 さて、入省式という場は、辞令が交付され、自分がどこに配属されるのかが初めてわかる場でもあります。緊張しながら名前が呼ばれるのを待ちます。

「八代将成、総合通信基盤局 電気通信事業部 料金サービス課に配属する。」
「はい!」

 ・・・はい!と勢いよく返事をしたはいいけれども、さて、料金サービス課って何するところなんでしょう・・・?名前からすると電話の料金やサービスを扱っているところらしいですが、うーん、どうなることでしょう?!

(料金サービス課)
 配属された料金サービス課では電気通信事業者間の相互接続制度を担当することとなりました。相互接続制度といってもあまりなじみのない言葉だと思います。配属されるまでは、自分も全く知りませんでした。

 相互接続ってどんなものかをイメージするために、一昔前のインターネットを思い出してみてください。電話線にモデムをつないでダイヤルアップ、とっても遅い速度にとっても高い電話料金を支払ったという経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。その後、ADSLや光ファイバといったいろいろなサービスが次々と登場することによって、いまや日本は世界で最も低価格で最も高速なインターネットサービスを受けることができるようになっています。

 現在のADSLや光ファイバによる高速かつ低価格なブロードバンドサービスが広く提供されている要因の一つとして、インターネットサービスに新規に参入した電気通信事業者と既存の電気通信事業者との間で価格を下げ、サービスの質を向上させようとする市場競争が進展したことが挙げられます。

 新規に参入した電気通信事業者は、電電公社時代から引き続いてネットワークを全国的に持っているNTT東西の独占性の高いネットワークの部分(ボトルネック設備部分)において、相互接続することによってサービスを提供しています。電気通信事業者間における相互接続のための条件や料金に関する制度、これが相互接続制度と呼ばれています。この相互接続制度がNTT東西と他の電気通信事業者との間で公正に競争が行われる市場を構築する一端を担っているわけです。

 相互接続制度によって電気通信事業者間の競争が進展し、利用者に低価格かつ高速なブロードバンドサービスをお届けすることになっていると思うと、国民全体のため、皆さんの利益になるようにしっかりと仕事をしてかなければならないと思います。そのためには、法律知識や最新の情報通信技術はもちろんのこと、国民の皆さんや電気通信事業者等がどのようなことを考えて、どのようなことを望んでいるのかといった生の声に触れ、多くの方と議論して、行政としてどのような施策を打ち出すことができるのかを考えなければなりません。

 このように、一年生の私でもこの短い期間でたくさんのことを経験しました。そして、これからも情報通信分野は技術革新が日進月歩で進んでいく中、よりダイナミックな行政が求められるようになっていくと思います。そんな将来に胸を躍らせつつ、しっかりと責務を果たせるように自分を磨こうと誓いたいと思います(後年、このコラムを読み返した時に恥ずかしいと思うことがないように成長していることを祈りつつ、この辺で筆を置かせていただきます。)。


八代 将成・執筆者近影
執筆者近影
八代 将成・執務風景
執務風景
八代 将成・職場風景
職場風景