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これからの移住・交流施策のあり方に関する検討会(第2回)議事概要

日時

平成28年12月16日(金)10:00〜

場所

総務省 11 階会議室

出席者(敬称略)

  • 構成員
    秋田典子、小田切徳美(座長)、作野広和、勢一智子、田口太郎、丹羽克寿、山口秀樹、山下祐介

  • 事務局
    地域力創造審議官、地域自立応援課長

議事概要

1.事例発表「北海道東川町の取組について」
・(松岡町長より資料に基づき説明。)
・平成20年6月に、「写真の町」ひがしかわ株主条例という条例をつくった。この条例では、株主の投資によって、町民と協働した新しいまちづくりをつくろうということを呼びかけている。                           
・特別町民として、条例に基づいて名前や住所、メールアドレス等を登録することにしている。特別町民証という証明書を配り、住民扱いになると、色々なメリットが受けられ、施設については、無料や町民並みの料金で利用できることになっている。民間とも連携し、例えば、ホテルやレンタカー料金の割引もでき、割引分は、それぞれの企業等に負担してもらっており、町は一切負担をしていない。そうした連携をしながら、まちづくりを進めている。                         
・株主数が近年かなり急増しているのは、ふるさと納税ブームが輪をかけているからではないか。数は少ないが、株主の事業参画や事業提案などの参画の機会も設けている。
 
2.今後の施策のあり方について
・社会学の中では、信託住民という議論がある。「ある村に自分が心を寄せるとしたならば、その村のために住民活動をする、寄付金活動をする、あるいは様々なアイデアを提供する」という多様な信託住民活動が考えられる。それにより「少なくとも税の再配分ではない、もう1つのお金の流れが出来上がってくるし、それがさらに発展していく心の交流にもつながる」ということとなる。                
・地域外の住民による資金、労役、知識・知恵の提供が、地域内の内発的エネルギーと結びやすいこと、そして、ここにこそ地域の再生の糸口がある。     
・交流が非常に重要。移住した人が、きちんと交流して定着し、仲間になっていくことや、移住しなくても、交流しながらやはり社会関係が非常に豊かになっていき、豊かな地域ができていく。それが結果として、おそらく、出生とか育児にも影響してくるのではないか。                             
・(ふるさと住民票について)例えば、まず1つは、納税と組み合わせられないのかどうかということ。納税と組み合わせることによって、ほとんどのサービスが受けられ、税はある程度何らかの方法で支払われ、こういう形で、町のいろいろな、政策的なことに参加してもらいたい。最終的に、でも、その参加というところの流れを、どういうふうにつくっていくのか。まだ、サービスの受け手として、受け取られていると感じる。
・移住者と地域のお互いの接触、そして、それによる移住者と地域の内発的発展とのある種の好循環と言える項目をとりまとめの中に入れていく必要があるのではないか。
・(地域の中に)温度差があるというのは、前回からの指摘のとおり。やはり、受け入れ側の、よくOSの転換、入れかえが必要だということだが、やはり、受け入れ側も発想を変えるということをきちんとやっていかなければいけないということは、本当につくづく感じるところ。今までの慣習を変えるぐらいの気持ちがないと、なかなかうまくいかないのではないか。                       
・悪い移住者というふうに、そういう捉え方をするのではなく、そういう人たちを支えるセーフティネットをどうつくるかということをしっかり考えないと、なかなか移住がうまくいかないのではないかと感じる。仕事をやめて、あるいは、もう都会暮らしが合わないと言って戻ってくる人たちを、どう移住先が支えていくか、社会保障や社会福祉の部分を手厚くする必要があるのではないか。            
・住民票というのは、排他性があり、例えば、ここで登録したら、もう、ここではできないというふうに、どこか1カ所だけというものだと思う。ふるさと住民票はどう位置づけられるか。本来、住民票というのは、非常に排他性が高い。しかも、ただの幽霊会員になりやすくて、いつやめればいいのかなど、そういうタイミングがとれない。                       
・ふるさと住民、住民票とわざわざ言うぐらいであれば、むしろサービスではなくて、義務を課したほうがいいのではないか。例えば、町内の荒れた場所の草刈りを年に1回やるとか、そういうことだけでもいいと思う。人というのは、基本的に社会的欲求を満たすことを求めており、誰かの役に立ちたいと思っている。ふるさとの役に立ちたいから、ふるさと住民票もつくる。そうであるならば、実感として役に立ったということを感じられるのが、非常に重要。
 ・地域づくりの担い手を考えると、その地域をどう支えるかということになる。自治のありようを再編していく中で、いわゆる外からの人たち、そこに住んでいない人たちが担える部分をつくっていくことと、やはり地域側が自覚を持ち、やれることをやっていくことが重要。                                     
・エリアとしての適正な規模とそこを運営するために必要な労力みたいなものを、地域ごとに、今の自治体の単位よりも少し小さい単位まで含めて、考えなくてはいけないのではないか。
・(移住者と受け入れ側の間では、)現状におけるギャップが少なからずある。受け入れの側と、あとは地域づくりの担い手として期待される移住側のマッチングなどの、そういうところを考えて、ニーズの把握からする必要がある。
・(移住に係る施策を)制度化すると、良い点としては、おそらく制度に乗るという形で、それをベースにいろいろなことが仕組める。権利義務や責務的なものを加えるということも制度に乗せればできる。その他、経済的な支援や継続性、安定性というところは期待できる。また、データとしての捕捉も可能になる。他方で、法令上の住民というようなカテゴリーのどこかにはめる必要があることから、住民の籍が複数の所にあっていいのかという、また別の問題とのコンフリクトがある。 
・総務省の取組の中で、広域連携については地方制度調査会でも議論されていた。定住自立圏や連携中枢都市圏というような、より広域で、移住政策をやっているところもあるので、その広域連携との関係を、どのように整理をしていくのかということが1つ課題になるかと思う。                         
・中間支援が必要。ビジネスパーソンというような大都市圏からの攻めの観点でのものも否定されるものではないと思うが、一方で、守りの観点というか、地元側、ローカル側から都市側にアプローチしていくときであっても、中間支援というのは必要。
・自治の問題が非常に重要になってくる。ふるさと住民票も、参加にとどまっていて、議会まで入っていかない。議会に入っていこうとすると、当然制度化する必要があると思う。移住者というのは、場合によっては孤立している。そういう人たちが、どういうふうに町政に参加できていくのかということも考えなければいけない。 
・ふるさと住民票だが、複数登録もあるかなと考えている。3年で更新しようと思っているが、これが一定のフィルターとなるか。              
・(移住者が町に)入ってくるときには、地元の人のいわゆる伝統文化みたいなものは、きちんと守ってほしいと伝えている。そして、地域コミュニティーにきちんと参加をして、行事に参加をしてくださいということをお伝えして参加をしてもらう。地域に来る人たちは、やはり地域に関わりたい。何か町に貢献したいというような方が非常に多い。そういう方が活躍する場所を、きちんと提供するということが、大切なことではないのか。
・自治の話になると、既に地域自治区という法律に基づいた制度があるので、もっと小さいスケールでやりたいのかどうかを整理しないといけない。      
・長野県に一度も来たことのない人に、幾ら長野への移住の話をしても、意味が無い。フィールドワークでも、大学生のインターンシップでも、何らかの形で来てもらう。どんな形でもいいので、一度来てもらって、体験してもらうことが移住につなげるためには重要。                              
・移住者が一番気になるのは、働く環境と住む所の2つ。その部分の課題も少し膨らませて議論してほしい。
・都市と農村のあり方についての議論も、やはりもっと深める必要がある。単純に言えば、都市なくして農山村なし、農山村なくして都市なしという、そういういわば共生の関係を、どのようにつくっていくのかという発想も、押し広げていく必要があるのだろう。制度的には、おそらく定住自立権ということになるか、あるいはその中身は、国土形成計画で書かれているような対流の話になるのか。

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