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第29次地方制度調査会第27回専門小委員会

日時

平成21年5月15日(金)15:30〜17:30

場所

全国都市会館 第1会議室(3階)

議事要旨

1開 会
2議 題
  答申素案について
3閉 会

配付資料


○林小委員長 どうも済みません、遅くなりました。それでは、皆さんおそろいだと思いますので、私もまいりましたので、第27回の専門小委員会を始めさせていただきたいと思います。

 本日は、小委員会といたしまして、答申案のとりまとめについて、意見交換を行いたいと思います。

 本日と次回の2回の小委員会で、小委員会としての答申案をとりまとめてまいりたいと考えております。これまでの議論を踏まえて、今日は答申素案という形で事務局に指示して、作成していただきました。素案ですけれども、素案の案のような感じだと思います。

 それでは、まず答申素案につきまして事務局から説明をお願いしたいと思います。

 なお、全国町村会より「小規模町村に対する方策」についてという文書が出されておりますので、席上配付しております。

 それでは、答申素案につきまして説明をお願いいたします。


(報道関係者退室)


○行政課長 それでは、お手元の資料1を御用意いたしております。「答申素案」となっております。こちらに沿いまして、順次、御説明を申し上げたいと思います。

 まず資料1の1ページ目、「答申素案」の前文でございますけれども、ここは最初に平成12年の第1次の地方分権の経緯を少し書かせていただき、更に現在、新たな分権推進法に基づく改革が進められているということ。

 次の段落で、この間、市町村合併が急速に進展してきておりますけれども、一方で課題も指摘されているという点。

 それから、次のパラグラフで、市町村が住民に最も身近な行政主体として、自立性を高めていくことが期待されるということで、合併の評価・検証も踏まえて、基礎自治体である市町村の行財政基盤の充実強化を図っていく必要がある。

 また、次の段落で、本格的な地方分権時代を迎え、地方公共団体は自らの責任と判断でその任務を遂行する必要がございます。ただ、一方で、近年、一部の地方公共団体での不適正な財務処理等の指摘というようなことも書かせていただきまして、チェック機能の在り方が問われており、地方議会の役割や監査機能は、重要性を増している。

こういった認識を書いた上で、調査会としては、このような基本的な認識に立ちまして、合併を含めた基礎自治体の在り方、監査機能等について検討を行ってきたということで「以下の結論を得たのでここに答申する」といった前文を用意した上で、次に入ってまいるという形にしております。


○市町村課長 「第1 市町村合併を含めた基礎自治体のあり方」についてでございます。

 最初に、1の「(1)市町村合併の背景と進捗状況」についてです。

「地方分権の担い手となる基礎自治体にふさわしい行財政基盤を確立することが強く求められ、平成11年以来、全国的に市町村合併が積極的に推進されてきた」。

 その結果といたしまして、市町村数は3,2321,760となり、全体として見た場合には、合併は相当程度進捗したものと考えられるということでございます。

 「(2)市町村合併の評価・検証」を述べてございます。

合併の本来の効果が発現するためには、市町村建設計画の10年程度の期間が必要であると考えられますが、多くの合併市町村においては、合併後3年から4年の段階で、既に次のような成果が現れているということで、4項目に分けて整理してございます。

「(1) 地方分権の受け皿としての体制整備」「(2) 人口減少・少子高齢社会への備え」「(3) 広域的な行政需要への対応」「(4) 効率的な行政運営の確保」といった各項目について整理をしてございます。

 4ページで、こういった各種の成果の一方で課題があるということでございます。これについても、この委員会の中でさまざまな議論が行われました。具体的に課題を明記する格好で表現をさせていただいております。

「一方で、合併により市町村の規模が大きくなることによって、住民の声が届きにくくなっているのではないか、周辺部が取り残されるのではないか、地域の伝統・文化の継承・発展が危うくなるのではないか等の課題が生じている地域もある」。

 また、この課題に対応するため、さまざまな取組みが行われておりますので、それを次の段落で書いてございます。

こうした課題に対応するため、合併市町村においては、地域の実情を踏まえつつ、地域自治組織の活用や支所等の設置などにより、新しいまちづくりの中で、さまざまな取組みを継続的に進めている過程にあるということでございます。

 「(3)基礎自治体に関する残された課題」で、3つの項目に整理してございます。

「(1) 小規模市町村における行財政基盤強化の必要性」「(2) 将来的に合併の必要性を認識している市町村の存在」「(3) 大都市圏の市町村が抱える課題」ということでございます。

こういった基礎自治体に関する残された課題を整理した上で「2 これからの基礎自治体のあり方」を述べてございます。

まず「(1)今後の基礎自治体像」でございます。

最初に、第27次の地制調の答申を引用してございます。「今後の基礎自治体は、住民に最も身近な総合的な行政主体として、これまで以上に自立性の高い行政主体となることが必要であり、これにふさわしい十分な権限と財政基盤を有し、高度化する行政事務に的確に対処できる専門的な職種を含む職員集団を有するものとする必要がある」ということでございます。

「近年、市町村への権限移譲が進展し、また、法令により市町村に新たな事務が位置付けられるなど、市町村の役割が一層重要なものとなっていることを踏まえれば、上記の答申で示された基礎自治体の姿は、今後も妥当するものと考えられる」ということでございます。

平成11年以来推進されてきた市町村合併によりまして、全体として見た場合には、こうした基礎自治体の姿に近づいたものと考えられますが、一方で、それぞれの市町村について個別に見た場合には、市町村の状況は多様なものとなっており、基礎自治体に求められる十分な行財政基盤を有していない市町村も見られるところであるということでございます。

「(2)今後における市町村合併のあり方」について述べてございます。

初めに、昭和40年以降の合併推進の経緯について記述させていただいております。

その上で、7ページになりますが、しかしながら、現在もなお合併が行われていない市町村に対しては、これまでと同様の手法により合併を促すことには限界があると考えられる。

このような経緯や市町村を取り巻く現下の状況を踏まえれば、平成11年以来の全国的な合併推進運動については、現行合併特例法の期限である平成22年3月末までで一区切りとすることが適当である。

その上で、平成22年4月以降は、自主的に合併を選択する市町村に対して必要な支援措置を講ずることが適当であるとしてございます。

その次に「なお、旧合併特例法及び現行合併特例法の下で合併を実現した合併市町村については、国及び都道府県は、引き続き、これらの合併市町村に対する積極的な支援を行っていくべきである」としてございます。

次に「(3)事務処理方策に関する基本的考え方」でございます。

「市町村の多様性を前提にして、それぞれの市町村が自らの置かれた現状や今後の動向を踏まえた上で、その課題に適切に対処できるようにする必要がある」。基本的な認識を示してございます。

このため、市町村合併による行財政基盤の強化のほか、共同処理方式による周辺市町村間での広域連携や都道府県による補完などの多様な選択肢を用意した上で、合併も勿論重要な選択肢でございますが、それのみによるということではなくて、共同処理方式による広域連携、あるいは都道府県による補完といった多様な選択肢の中で、それぞれの市町村がこれらの中から最も適した仕組みを自ら選択できるようにすべきである。

なお、これらの地方自治制度上の仕組みに加えまして、定住自立圏構想を初めとする地域活性化施策を積極的に活用することで、それぞれの市町村が基礎自治体として求められる役割を適切に果たすことが求められるということでございます。

次に「3 今後の対応方策」を述べてございます。

まず「(1)市町村合併に関する方策」でございます。

現行の合併特例法期限後においても、自らの判断により合併を進めようとする市町村を対象とした合併に係る特例法が必要である。

この法律におきましては、具体的には、合併の障害を除去するための措置や住民の意見を反映するための措置、例えば合併特例区、合併に係る地域自治区等でございますが、こういったものを定めることが適当であるということでございます。

「(2)広域連携の積極的な活用を促すための方策」でございます。

最初に、現行の仕組みの概要を述べさせていただいております。その上で9ページでございますが、2つの項目について記載してございます。

まず、事務の委託につきましては、委託団体が事務処理の状況を把握し、受託団体に対して意見を提出しやすくなるように、制度改正を含めた検討を行うことが適当であるということでございます。

もう一つ、機関等の共同設置につきましては、現行の機関及び職員の共同設置に加えまして、効率的な行政運営や小規模市町村の事務の補完を可能とするため、内部組織、事務局及び行政機関についても共同設置が進められるよう、制度改正を含めた検討を行うことが適当であるとしております。

「(3)小規模市町村における事務執行の確保のための方策」についてでございます。これについても、これまで資料等をごらんいただきながら随分御議論いただいたことであろうかと思います。

小規模市町村においても、法令により処理しなければならない事務は増加しており、また、住民が期待する行政の役割は大きくなっている。

市町村に求められる行政サービスを提供するためには、一定の行財政基盤を有している必要があるが、小規模市町村においては、事務処理体制や財政基盤が必ずしも十分ではないとの指摘もあり、特に福祉・保健分野などにおいて専門性の高い事務を担う専門職員を配置した事務執行体制の整備が課題となっているということでございます。

「こうした課題に対応する見地からは、市町村合併による行財政基盤の強化、また周辺市町村との広域連携による方法に加え、小規模市町村に対する新たな都道府県の補完のあり方について検討を行うことが適当である。

具体的には、一定の人口未満の小規模市町村は、自らの判断により、都道府県の関わる手続を経て、法令上義務付けられた事務の中で事務処理体制等から見て小規模市町村が自ら実施することが困難と考えられる一定の範囲の事務を処理しないことができることとし、当該事務については、適切な財政措置の下に都道府県が処理することとする新たな仕組みについて多角的に検討を進める必要がある」ということでございます。

本日も全国町村会から意見が提出されておりまして、席上に配付させていただいているところでございます。まさに、その意見にも述べられているとおりでございますけれども、このことにつきましてはさまざまな論点や考え方がございます。また、多様な地域の実情等もあることでありますので、関係者との十分な意見調整も含めて、まさに多角的に検討を進める必要があるというふうに考えられるところでございます。この部分の表現も、そういったことを織り込んだ形で表現させていただいているものでございます。

「(4)大都市圏の課題への対応」でございます。

大都市圏におきましては、今後、急速な高齢化、また、公共施設の一斉更新時期がございまして、これらに伴う財政負担の急増が見込まれているところであります。

また、大都市圏におきましては、面積が小さな市町村が数多く存在しておりまして、公共施設の利活用や広域的なまちづくりに関する問題が指摘されているところでもあります。

11ページにまいりますが、広域圏の市町村は、合併による高い効率化効果が期待されるところでもありますので、合併により更に人口規模が拡大する場合には、住民自治を図る観点からも、旧市町村単位でのまとまりを維持することができる仕組みについて幅広く検討を行うことが適当であるということでございます。


○行政課長 続きまして「(5)『小さな自治』への対応」でございます。

 最初の段落で、住民自治の強化等を目的として、地方自治法に地域自治区などの制度化がされたということを書いた上で、次の段落で、住民自治や住民と行政との協働につきましては、多様な取組みを基本として展開が図られるべきものとした上で、一層のこういった制度の活用が図られることが期待されるとしております。

その上で、現在、地方自治法に基づく地域自治区は、市町村の全域にわたって設置するものとされておりますけれども、更に活用を促すという観点で、当該市町村の一部の区域を単位として地域自治区を設置することもできるようにすることについて検討すべきであるというふうにしております。

12ページでございますが、また、地域自治区につきまして、かねてから公選の手続の話もございましたが、前回の委員会で、それに加えて、地域協議会に一定の決定権を付与してはどうかということ。また、通勤・通学者、あるいは当該区域で一定の活動を行っている者にまで拡大すべきではないか。こういった多種多様な意見がございましたので、こういったことも含めて記載をさせていただきまして、その上で、検討する際に必要な観点を書かせていただきまして、公選された長との関係、あるいは公選された議員により構成される市町村の議会との関係、また、地域自治区、あるいは地域協議会そのものについてどの程度の代表性、あるいは権限を持つものとするかといった観点から、更に慎重に検討すべきであるといった形で記載いたしております。

また、コミュニティーの問題につきましても、その次の段落で活性化が期待されるとした上で、近年、地域コミュニティー組織の活動において経済活動の重要性が高まっていることなどについても、実態面も含め、更に必要な検討を行っていくべきであるといたしております。

次に「第2 監査機能の充実・強化」、それから、その次の議会の関係でございます。監査、議会につきましては、12月に小委員会の報告を総会に出しております。基本的に、そのときの小委員会の方向性に沿いまして、表現をいろいろ肉づけさせていただいているものでございます。

まず「第2 監査機能の充実・強化」について、地方行政に対する住民の信頼を確保し、透明性のあるものとしていくため、チェック機能が重要だ。分権が進む中で、監査機能の役割は更に増している。

一方で、不適正な会計処理が行われる等といった問題も生じております。

こういった状況を踏まえて、以下のような見直しを行うことが必要という認識を最初に書いてございます。

その上で、13ページの真ん中の「1 監査委員制度の充実・強化」でございます。

最初の段落は監査委員制度について、これまでもいろんな改正をしてきたという経緯を書いた上で、更に自主性・自律性が拡大する中で、もっと改善を図る必要があるという認識を書いてございます。

その上で「(1)監査委員の選任方法と構成」でございます。これにつきましては12月の総会で大変多くの意見をちょうだいいたしましたものですから、別途の資料で、ペンディングという形でさせていただいてございます。

最初に、資料2という一番後ろの方にある資料をごらんいただきたいと思いますけれども、2枚とじてあるものでございます。

資料2は「監査委員の選任方法と構成について」で、まず12月の総会では専門小委員会からこういう方向性を報告したということでございまして「1 監査委員の選任方法」の方向性として、下線を引いてございますが、議会の選挙により選出してはどうか。

また「2 委員の構成」のところでは、これも下線を引いてございますが、議員は監査委員に選任できないこととする。つまり、議選委員の廃止ということでございます。

これに関しまして、12月の第3回総会におきまして、かなり異論がこの問題に集中いたしましたので、以下、ここに幾つか記載させていただいております。

例えば、議会から互選で監査委員を選ぶのは当たり前のことであるとか、監査委員が議会から選ばれるのは当然ではないか。あるいは3つ目の○ですが、選任方法を議会の選挙により選出するということについては、引き続き慎重な検討を進めていただきたいということ。また、4つ目の○で、議員を含めて監査委員の適正を判断した上で選任すべきという意見。

2枚目でございますけれども、あるいは議会の選挙とすることについては、適正な人材の確保及び政治的な公正さの担保等の観点から、更に慎重に検討されたい。以下、議会の選挙により選出するという点と議選の監査委員の廃止という点、双方につきまして異論の意見があったわけでございます。

そこで、資料1−1をごらんいただきたいと思います。総会の意見を踏まえまして、答申案をどうしていくかということについて御議論をいただきたいと思ってございまして、1ページ目につきましては基本的に小委員会での議論のあった方向性を記載してございます。

「(1)監査委員の選任方法と構成」ということで、現行制度がどうなっているかということを書いた上で、この点について独立性が確保されていないという指摘、あるいは議選についてもいろいろな指摘があるということを書いた上で、やや下の段落ですが「このため、監査委員の選任方法を、議会の選挙によることに改め、長からの監査委員の独立性を確保することが適当ではないか」。

また、少し飛びまして、監査委員は、長からだけでなく議会からも独立した存在とする必要がありますので、議選委員を廃止し、議会は当該地方公共団体の行政全般にわたって幅広い見地から執行機関をチェックするという本来の機能を果たしていくべき。これが小委員会の基本的な御意見でございました。

2枚目でございますけれども、(P)として括弧にいたしておりますが、仮に総会での意見を何らかの形で取り込んでいくということにすれば、どういうことになろうかということで、少しこういうような形で用意をさせていただいております。

これらの意見に対し、特に議選委員の廃止について、適任者を選任するという観点から議員を含めて監査委員としての適正を判断すべき。あるいは議会の役割にかんがみると議選委員は維持されるべきという意見。また、議会の選挙だけでなく、公選によることも含めて、もう少し多様な選任方法を検討すべきという意見もございまして、賛否両論がございました。

こういったことから、監査委員の選任方法、構成については、監査委員を公選により選出するといった方法も含めて引き続き検討を行う必要がある。例えばこういった記載法があるのかなと思っておりますが、この辺りにつきましては小委員会の方で是非御議論をいただきたいと思っているところでございます。

また、これに関連して、ついでで恐縮でございますが、資料1−2ということで、実は議会のところでまた出てくるわけでございますが、議選の監査委員を廃止するのであれば、議会の実地検査権を付与するということになってございました。したがいまして、この2つの問題は連動するということで、こちらもペンディングの文章を併せて用意いたしておるということでございます。

恐縮でございますが、もとの「答申素案」の13ページの一番下が今の資料1−1のところで、14ページにお戻りいただきたいと思います。続きまして、御説明させていただきます。

「(2)監査能力の向上と実施体制の強化」で、最初に地方分権の進展等に伴い地方公共団体の事務が高度化・多様化する。あるいは健全化法の施行などもあるということで、能力の向上が求められている。

このために、次の段落で、弁護士、公認会計士、税理士の資格を有している者など、こういった実務に精通している者などの積極的な登用を促進していく必要があるといたしております。

また、監査委員事務局の問題につきまして、一番下のパラグラフで、この監査委員事務局の共同設置が有効であるということで、一番下の2行でございますが「今後、監査委員事務局の共同設置の促進を図るためには、事務局の共同設置を可能とする制度改正が検討されるべきである」としております。

なお、市町村に対し監査委員事務局の設置を義務付けるということについては、分権の議論も配慮いたしまして、慎重に考えるべきであるとしております。

また、職員の問題でございますが、長部局からの出向の職員が占めるということについても御議論があったわけでございまして、この点については双方のいろんな指摘、懸念というものがございましたので、これを書いた上で、下から2つ目ぐらいのパラグラフですが「現行制度上、代表監査委員は事務局職員の任免権を有していることから、専門性を有する優秀な人材を確保するため、代表監査委員が外部登用を含め任命権を実質的に行使していくことが重要である」としております。

次に「(3)監査の実効性・透明性の確保」で、16ページでございます。

最初は監査の合議の問題でございまして、2つ目の段落で、現行の合議では、全監査委員の意見の一致が必要になってございます。

したがって、次の段落で、監査の実効性を高めるために、監査結果の報告及びこれに添えて提出できる意見の決定について、合議を要せず多数決によるものとする。また、少数意見を付記して公表することが適当であるといたしてございます。

もう一点は16ページの一番下の段落でございますが、監査結果の報告等に対して何ら措置を講じなかった場合。これは現在、特段、何かすべきということになってございませんが、これを、理由を添えて通知することが適当であるということで、これが説明責任を果たすことにもつながるというふうにいたしてございます。

17ページの「2 外部監査制度のあり方」でございます。

最初の段落で、外部監査の制度創設の経緯。

次の段落で、その後の経緯を書いてございます。

その上で「(1)包括外部監査の監査方法」で、これは監査対象の選定を、現在は包括外部監査人のイニシアティブに委ねることにされておりますが、決算の財務処理の監査を必ず外部監査人が監査する事項としてはどうかという点について小委員会でも御議論をいただいたところでございます。

これについて、17ページの下の方から18ページにわたってですが、必要監査事項として義務付け、監査の実効性を高めることも考えられるわけでございますが、この点についてはいろいろ小委員会でも御意見がございまして、包括外部監査を行うことにした場合には、業務が膨大になることに伴う費用の増加ということもございますし、包括外部監査人となり得る資格者が限定されるなどの課題もまだございますので、引き続き検討課題という形で記載をしてございます。

「(2)外部監査の導入促進」でございます。

「(1) 包括外部監査」で、包括外部監査は現在、都道府県、指定都市及び中核市に義務付けられてございまして、その他の市町村は、条例で導入することができるということでございます。

しかしながら、現在、義務付け対象団体以外の団体では導入が進んでおらず、この範囲を拡大すべきではないかという指摘がございます。

一方で、包括外部監査については、毎会計年度、必ず外部監査を受けなければならないということで、大変、財政面等の負担が過大だという意見もございまして、これが逆に導入の支障になっているのではないかという指摘がございました。

したがいまして、18ページの一番下ですが「包括外部監査の導入を促進する観点から、毎会計年度外部監査を受ける方式に加え、条例により複数年度に1回包括外部監査を受ける方式を導入することが適当である」としてございます。

その上で、義務付けの拡大につきましては、この義務付けというものは必要最小限度であるべきであることに加えて、今の財政負担等の課題も勘案して、まず今回の見直しを先行させ、引き続き検討を行うべきとしてございます。

「(2) 個別外部監査」でございます。これは2つ目の段落の真ん中辺りからですが、現行では、いずれも条例を定めなければ行うことができないということでございます。

したがいまして、最後の段落にありますように、住民による監視機能の充実や個別外部監査の導入を促進する見地から、この導入の前提となっている条例の制定を不要とすることが適当であるといたしてございます。

20ページの(3)と(4)で、あとは小規模団体における外部監査の導入促進という観点で考えられる共同の外部監査組織の設置とか、外部監査人の有資格者に関する情報提供など、こういったいろいろな方策について、引き続き検討していく必要がある。

また、実効性の確保のため、外部監査人に対するいろいろな情報提供を図る。こういった方策も必要であるということを記載しております。

「第3 議会制度のあり方」でございます。

前段で、地方分権の進展等に伴って、議会機能のさらなる充実・強化が必要であるということを書かせていただいてございます。

その上で、21ページの「1 議会の団体意思決定機能や監視機能の向上策」で「(1)議決事件」の「(1) 契約の締結及び財産の取得又は処分に係る議決」でございます。

これについては、現在、政令で定める基準に従い条例で定めるものについて、議会の議決を要するものとされてございますが、監視機能の充実・強化のため、この議決事件の対象について条例で定めることができる範囲を現行よりも合理的な範囲で拡大すべきであるとしてございます。

「(2) 議決事件の追加」でございますが、現在、条例で追加することができることとされております。

一番下の行辺りからですが、総合計画とか、あるいはその他の法定計画を議決事件として追加するなどの取組みが行われており、こういった形での審議の活性化が図られることが期待されるということをまず書いてございます。

また、法定受託事務が追加できる対象から除外されておりますが、この点については、法定受託事務も地方公共団体の事務であることからすれば、これを議決事件として追加できるようにすることが適当であるものと考えられるというふうに書いてございます。

実は、この後に、12月の報告のときには、議決事件でどのような追加が考えられるのかといった地方団体の意見とか、そういったことも踏まえて議論する必要があるといった書き方をしてございましたが、これは原則対象になるという観点からはいかがなものかというような御意見もございましたので「この点については、法定受託事務のうち議決事件として追加することが適当でないと考えられるものについてどのような措置を講じていくべきかなどについて、検討していく必要がある」。したがって、原則は対象になるという前提とした表現に変更させていただいているところでございます。

「(2)議会の監視機能」でございます。

「(1) 議会に経営状況の報告を要する法人の範囲の拡大」、いわゆる第三セクターに対する経営状況の報告でございます。

現在、2分の1以上を出資している法人が対象でございますけれども、22ページの一番下の方からですが「当該地方公共団体が資本金等の4分の1以上を出資している法人のうち、条例で定めるものにまで拡大することとすべきである」としてございます。

「(2) 住民訴訟と議会の議決による権利放棄」でございます。

これも2つ目のパラグラフで、近年、議会が、4号訴訟の係属中に損害賠償請求権を放棄する議決を行う。こういった事例が幾つか見られるということを指摘した上で、2行ほど飛びまして、放棄することは、住民に対し裁判所への出訴を認めた住民訴訟制度の趣旨を損なうことになりかねない。このため、4号訴訟の継続中は、当該訴訟で紛争の対象となっている、この権利の放棄の制限をするような措置を講じるべきであるとしております。

「(3) 議会における決算の認定」でございます。

23ページの下からですが、これについては、議会が決算を認定しない場合には、議会がきちっと審議等を通じて、この理由等を長や住民に明らかにする。

また、長の方も、決算の審議を通じて、十分に説明する。また、認定されなかった場合には、住民に対してきちっと説明責任を果たすべきということを書いてございます。

「(4) 議会の実地検査権等の監視機能」。このペンディングの部分は、先ほど御説明をした議選の監査委員とセットの部分でございます。

その後の、議会の少数者による調査権等の行使につきましては、小委員会の報告でもございましたように「少数者の意思をどのように汲み上げ実現していくか、それぞれの議会でさまざまな運用を工夫していくことが適当である」としてございます。

「(3)議会活動の透明性と議会事務局等」でございます。

「(1) 議会活動の透明性」ということで、一番下の行からですが、本会議のみならず、委員会等の活動も含め、住民にわかりやすいような形で情報公開に努めるべきである。また、議案に対する議員の賛否等の議論の経過や議案の情報など、インターネット等を活用して公開していくことが適当であるとしております。

「(2) 議会事務局等」で、真ん中辺りからですが、政策立案や法制的な検討、調査等に優れた能力を有する事務局職員の育成、また、議会図書室における文献・資料の充実など議会の担う機能を補佐・支援するための体制の整備・強化が図られるべきであることといたしております。

「2 議会制度の自由度の拡大」で「(1)議員定数等」でございます。

議員定数等につきましては「議会制度の自由度を高めるため、定数の決定は各団体の自主的な判断に完全に委ねることとし、法定上限を撤廃すべきである」としてございます。その上で「この場合において、各地方議会が議員定数を定めるに当たっては、住民の理解を得られるものとなるよう十分に配慮すべきである」という文章を入れてございます。

また、議会の議事定足数についても緩和または撤廃の議論がございましたが、議会は本来できるだけ多くの議員が出席して議論がなされることが期待されますので、この点については、引き続き議論を重ねていくことが必要であるとしてございます。

「(2)議会の招集と会期」でございます。

最初に現行制度の定例会、臨時会、会期を前提とした仕組みを書いた上で、その次の段落で、議会運営の柔軟性を高めるとともに、議会活動の活性化を促す見地から、より弾力的な形態を考えていくことが求められる。

例えば、諸外国の地方議会での毎週定期的に開催するなどの運営もある。こういったものが、多様な人材が議員として活動することを容易にする。また、一方で住民にとっても傍聴の機会が拡大するということでございまして、我が国においても、特に、基礎自治体の議会においては、このような柔軟な議会運営を可能とする要請は高いとしております。

その上で、27ページの方ですが「今後一層住民に身近な議会を実現し、柔軟な議会運営を可能とする観点から、長期間の会期を設定してその中で必要に応じて会議を開く方式を採用することや、現行制度との整合性に留意しつつ会期制を前提としない方式を可能とすることなど、より弾力的な議会の開催のあり方を促進するよう必要な措置を講じていくべきである。この場合、議場への出席を求められる執行機関について、その職務遂行に支障が生じないように配慮すべきである」としております。

1段落飛びまして、議会の招集権につきましては、議長にも付与すべきという意見がございましたが、この点は平成18年の地方自治法の改正で、議長の臨時会招集請求権が認められたところでございますので、この運用状況も見ながら、なお引き続き検討といたしてございます。

「3 議会の議員に求められる役割等」でございます。

28ページに、まず「(1)議員の役割等」といたしまして、議員の役割は、まず議会における審議・討論を通じて住民の意見を反映させる。個別の利益の実現を図るため、行政に不当に介入し、その公正な執行をゆがめるような議員の活動が見られるとすれば、住民の地方議会及び議員に対する信頼を著しく損なうものであるということを記載してございます。

また「(2)勤労者等の立候補や議員活動を容易にするための環境整備」ということで、一番下のところから、まず勤労者について、立候補を容易にするために、これに伴う休暇、あるいは休職制度、復職制度などが考えられる。この点については、我が国における労働法制の在り方、あるいは背景となる勤労者の意識、勤務実態等にも関わる課題でありますことから、議会の活動を社会全体で支えるべきであるという意識の醸成に努めつつ検討していくべきであるといたしてございます。

次に、女性の議員が男性の議員に比べて割合が低いという指摘についても、更に増やすための方策についても検討すべきであるとしてございます。

また公務員でございますが、1段落飛んでいただきまして、公務員が地方議会の議員として活動することは、行政分野に通じた人材が議員として活動することになるので、有益な面があるということで、立候補制限の緩和とか、あるいは当該地方公共団体以外の団体の議会の議員との兼職禁止の緩和といった意見がございました。

この点につきましては、公務員が政治活動と密接不可分である議員活動を行うことについての社会的な理解が得られることが前提となりますので、こういった公正な執行、専念義務の在り方等にも配慮しつつ、前で述べました勤労者の休暇制度等の検討と併せまして、引き続き検討課題としていくべきであるといたしてございます。

前回御審議をいただきました「(3)議員の位置付け」に関しまして「議員の活動は、議会における審議・討論にとどまるものではなく、政策形成のための調査研究活動や住民の意思を把握するための諸活動等、広範にわたることから、議員の位置付けやその職責・職務を法制化すべきであるとの意見がある。

この点については、議員の活動の実態を踏まえつつ、政治活動と公務との関係、議員の活動についての住民への説明責任のあり方、職責・職務の法制化に伴う法的効果等を勘案しつつ、引き続き検討することが必要である」という記載にいたしてございます。

説明は以上でございます。よろしく御審議のほどをお願いいたします。


○林小委員長 ありがとうございます。

 事前に、委員の方々のお手元に添付でわたっていると思います。今、御説明をいただきましたように、基礎自治体の在り方、監査制度、そして、議会。大きく、この3つがテーマでございます。

 監査と議会につきましては、既に専門小委員会で、今、説明がありましたように、ある一定の方向性がまとまって、それを総会に出させていただいたわけであります。したがいまして、それほど大きく変わっているところはありませんが、ただ、監査委員の選任方法、それから、構成につきましては、総会でかなりいろんな意見が出ました。その後の専門小委員会でも、専門小委員会の段階では、ある程度、一定の方向性が出た。恐らく、そういう印象をお持ちの委員の方は多いのではないかと思います。

 議選委員の廃止とかといったようなこと、あるいは議会が選出する、選挙で選ぶというようなことをいろいろ議論していただきながら、小委員会ではその方向性を打ち出したわけでありますけれども、やはり総会で、少数ではなくていろんな意見が出たということもありますので、少し慎重にした方がいいのではないかということも考えました。

 そして、会長の御意向もお聞きしながら、そして、副会長とも相談をし、こういうところが落としどころではないかというようにまとめ上げ、そして、今日、資料1−1という形で出させていただいております。

 それに伴いまして、議会の実地検査権につきましても、これはセットなので、そちらの動向によってまた変わってくるということもありますから、これも別紙の資料1−2という形で出させていただいております。

 そこで、今日の議論の仕方なのですけれども、まず第2の監査と第3の議会について少し御議論をいただいた上で第1に戻って、そして、また全体をということにさせていただければという具合に考えておりますけれども、まず、どなたからでも結構です。監査と議会は分けないでいこうという具合に思いますが、御意見はございませんでしょうか。

 どうぞ。


○西尾委員 今回の第29次地方制度調査会に対して、当時の安倍総理から出された諮問事項の中では、市町村合併を含め、基礎自治体の在り方と監査機能の強化というふうにうたわれた、諮問事項が名指しされたわけで、監査機能の強化というものが一番重要な項目の一つであったわけです。

 この監査委員制度の在り方については、監査委員の独立性を強めるために議会選出に変えようということと、議選監査委員というものはやめようということを小委員会としてはおおむね合意をしていたわけです。それが総会で、三議長会からの御意見もありましたし、当日出席しておられた、特に太田議員からもかなり厳しい御批判があって、この小委員会と総会との調整を図らなければならないという事態になっていることはよく私も理解しているわけですけれども、これが議会選出であることをあきらめるとか、あるいは議選委員問題をあいまいなままにして終わるということは極めて残念なことではないかと私は思います。

 そもそも、総理がこの調査会の発足に当たって監査機能の強化を諮問事項にされたということには、当時、それだけの背景があったわけで、自治体をめぐって知事の談合疑惑事件が頻発いたしました。それに対して、当該の公共団体の議会は何らそれをチェックできなかったのかという疑問を多くの国民が持ったわけですし、全く性質は違いますが、夕張の財政破綻のようなことが起こる。それに対して議会はそれを予測できなかったのか、チェックすることができなかったのかということもございましたし、それ以外に、当時はあちこちの自治体で地方議会議員の政務調査費の使途が不明瞭ではないかということが非常にたくさんの自治体で起こって、連日報道されていたような状況にあったわけです。だからこそ、総理はそういう諮問をされたんだということであります。

 問題は、監査委員の独立性というものは市町村長部局、あるいは知事部局という長の部局から独立していることが重要でありますが、同時に議会も監査対象なのです。議会からの独立性も保たなければならないのではないかというところが議論の出発点であったということであります。

 議選委員はやめようということの一つの背景は、議会も監査の対象です。特に議員報酬問題、それから、前回議論になった公選職という位置付けという問題も、一体、それは何のための位置付けなんだとか、実費弁償問題が背後にあるのではないでしょうかというようなこともありましたから、議員報酬問題もありますし、実費弁償の実態が果たして妥当なのかということから、政務調査費の使途が一体妥当なのかということまで及んでいるわけで、それは多くの国民が関心を持ち続けているテーマだ。依然としてそうだと思います。そのことは、やはり監査委員にしっかりと監査してもらわなければいけないのではないかと私は強く思っているわけです。

ですから、専門小委員会の達した一応の結論がここで修正されることは極めて残念ですけれども、三議長会から強い異論が出ていることもありますし、国会議員の委員の方々からも疑問も出されているので、何らかの落としどころを探らなければならないんだとすれば、本日の資料1−1、あるいは資料1−2という形で出てきたような、専門小委員会はこう考えたけれども、総会ではこういう意見もあったのでという両論併記で、結局、どうするんだ。すべて引き続き検討というのは極めて残念なことではないかと思うわけです。

今、委員長の方から、会長の御意向も伺い、副会長の御意向も伺い、こんなところが落としどころではないかというお話があったので、調査会の首脳部がそこまで協議されて、この辺だと言われたら私は何も言うべきではないかもしれないのですけれども、もう少し何とかなりませんかと私は思うわけであります。

それで大事なことは、1つは完全に独立した監査委員制度にしようと思ったならば、直接公選という制度に変えることは一つの手段であるわけです。それはもともと、私もそう思っていましたし、副会長も強くそういう提案をされたことを記憶しています。

ただ、日本で果たしてそれがうまく動くか。どういう方が立候補してくださるか。そして、本当にいい成果を上げるような監査委員が登場してくださるかということには、率直に言ってまだ自信が持てませんので、監査委員の公選をやるぐらいなら教育委員の公選をやった方がまだ立候補者はたくさんいらっしゃると思いますし、それなりに動くだろうと思うのですけれども、監査委員の直接公選ということが果たして定着し得るかということに自信がないものですから、直接公選をしろというふうには私は言い切れないのですけれども、一つの方法として直接公選で監査委員を選んでもいいということは、私はいいことではないかと思っているのです。

議会がここでは選ぶというのを標準的な形として提案していますけれども、うちの自治体では監査委員は直接公選でやりたいというのならば、きちんとそれを条例でお定めになって、公職選挙法に従った選挙手続でお選びくださいということは、それをやってみたいという自治体があるのならば、やって結構ですという制度にした方がいいのではないかと私は思っていますが、義務付けることには反対です。うまくいかないだろうと思いますので、義務付けることには反対ですけれども、許容することはいいのではないかと思っています。その上で、基本的には議会がやはり監査委員を選出することによって執行機関からの独立性を強めるべきではないかと思っております。

問題は議選委員なのですけれども、ここまで議選委員は残すべきである、それなりの機能を果たしているのだと三議長会関係者が皆さんおっしゃる、あるいは監査委員制度自身の関係者の方々がそうおっしゃっているわけで、それならば議選委員は廃止するというのはやめて、そこは妥協してもいいのではないか。委員の1名は選んでもいい。今は議選委員は置くとしても2名以内となっているのですけれども、議選委員を認めるのであれば、OBと同じく1名以内というふうにしていただけないでしょうかというのが私の提案です。その範囲内でもうしばらく議選委員というものも残してみましょうかということ。これも一つの方法ではないかと思っているわけです。

特に今回の勧告では、別のところで、従来、監査委員は合議をしまして、合意しなければ監査意見を出せないというふうになっていたわけで、だれか一人でも監査委員が強くそれを反対し、異議を申し述べれば、委員としての公式の意見は出せないということになっていたのに対して、その合議制を外して、むしろ多数決で意見が出せるようにし、そして、少数意見を付記することを勘めるということになりましたので、議選委員がおられたとして、そして、議選委員とその他の識見委員との間に見解の違いがあって意見が分かれたとしても、多数決で監査委員は意見は出せる。

それで、もし議選委員が少数意見派になった。例えば議会問題に関する監査であったりして、それには私は同調できないということであれば、ちゃんと少数意見をお書きになるというふうな道が開けているわけですから、そういうこととも併せて考えると、議選委員を廃止しますということだけやめにしたらどうか。1名以内なら結構ですということで、もし総会の了承が得られるのならば、もう一段、粘っていただけないでしょうかというのが私の意見であります。

そのことと関連いたしますけれども、資料1−2の方で「議会の実地検査権等の監視機能」という問題が関連して出ています。私は、戦前は議会に実地検査権があったわけです。それが戦後になって今の監査委員制度のもとがつくられたときに、この監査委員が監査をするんだからということで議会の実地検査権がなくなったといういきさつになっているわけですけれども、必ずしも監査委員が監査するということと、議会が実地検査権を持つということが完全にバーターになる必要もないのではないかと思っていまして、今回、議会の執行機関に対する監視機能を一段と強めるという一つの手段として、議会の実地検査権等は認めた方がいいのではないか。それは議選委員を廃止するからではなくて、必ずしも議選委員を廃止するから代わりにこれをあげるというふうな文章に原案はなっていますが、そういうふうに考える必要はないのではないか。ですから、議選委員が廃止されようと、されなかろうと、この実地検査権は認めるということでどうでしょうかということを提案させていただきたいと思っています。


○林小委員長 ありがとうございます。

 新たな提案といいましょうか、恐らく、ここで随分議論をいたしましたので、西尾先生のような思いを持っておられる委員は随分多いのではないかというような気もいたします。私自身もやはり何らかの形で、こういう議会からの独立性ということも含めて変えていかなければいけないというような思いを持ちながら、この小委員会での議論を進めてまいりました。

 今、一つの提案ということでございますので、それから、実地検査権につきましても、議選委員の廃止はなくなり、実地検査権は与えるということがどうなんだろうというようなことも、やはり、それとバーターなのかなというような思いも少しあったものですから、こういう形になったと思います。勿論、独立して考えるというべき性質のものだろうというようには思います。

 ほかはいかがでしょうか。

 どうぞ。


○真柄委員 今、西尾委員の提案は私も非常に十分に評価すべき提案だと思いまして、やはり、ある程度妥協するにしても、直接公選もあり得るということを、オプションの一つとしてそれも可能であるということを盛り込んでいただけるのであれば、マキシマム1名をこれまでどおり議選にしても、問題はあるかもしれないけれども、そこの点は妥協できるのではないかと思います。

それで、今回おまとめいただいた素案なのですけれども、特に、やはり西尾先生がおっしゃいましたように、第29次の一つのハイライトが内部監査の強化ということだと私も認識しておりますし、ほかの委員もそのような認識があると思いますので、そこのところはやはり非常に強いメッセージを送る必要があると思いまして、西尾先生の御提案に対してはとても評価できるものだと思います。

プラス、この監査委員に関して、今日の素案ではやはり弁護士とか、公認会計士とか、税理士などの外部の登用が重要であるという点も含めていただいているので、こういった点も非常に重要だと思いますけれども、後半の外部監査の制度のところで、これに関しましては自治体とか地方公共団体だけではなく、広く社会一般で、株式会社に関してもやはり外部監査制度というものは非常に問題が多いものだというふうに一般的な認識があると思うのですけれども、やはり制度として外部監査を強化するというときは、実質的にこれが非常に中立性の高いものであるということが必要になってきて、ただ外部監査制度を導入していますというだけでは公正性は担保できないようなことが株式会社の場合にも、コーポレートガバナンス論などを見ましても、実際に起こり得ます。

例外的な例なのかもしれませんけれども、この場合にはやはり、すべてがそうであるとは勿論限らないわけですが、専門性も高く、また、有能な監査者、監査委員が時として余りモラリティーが高い、適正な監査をするわけではない場合もたまには起こり得るといったことを、一応、念頭に置いて制度を構築していく必要があるのではないかと思いました。


○林小委員長 ありがとうございます。

ほかの委員、いかがでしょうか。

斎藤委員、どうぞ。


○斎藤委員 「監査委員の選任方法と構成」の部分ですが、資料1−1の1ページですか、基本的には西尾先生のおっしゃったことに賛成でして、それは資料1−1で言いますと、一番下の3行で「議会は当該地方公共団体の行政全般にわたって幅広い見地から執行機関をチェックする」。言わば、これは監査委員と議会との役割分担で、監査委員は監査委員で独立性・専門性を強化する。そこでのチェックに基づいて、より高次かつ幅広い見地から、議会は更に執行部に対してチェックを強化するという方向で、それに伴って議会選出の監査委員は廃止してもいいのではないかという方向で小委員会では議論してきましたので、それが1点です。

もう一点は、やはり議会も監査は対象である。これは政務調査費だけではなくて、そのほかの議会関係の支出についても、議会選出の監査委員がいる住民監査請求において問題なしとされたものが訴訟でひっくり返る、違法であるとされた例がありますので、その2つの観点から、やはり原則として議選委員というものは廃止の方向だと考えます。

しかしながら、それでも議会で監査委員全体を選出する際に、この委員の方はそういう識見が監査について非常におありであるというふうに議会の方で説明責任を果たすというのであれば、例えばその1名については、議会選出の委員をなお存続するという手法を公選ということと併せて提示することは大いに評価できる御提案ではないかと考える次第です。


○林小委員長 ありがとうございます。

それでは、小林委員、どうぞ。


○小林委員 私は、もう少し原則路線を維持すべきではないのかという考えなのですけれども、昨年の話では、市議会議長会の御発言だったように記憶しているのですが、不正確でしたら申し訳ないのですが、もし議選委員を廃止するのであるならば実地検査権を付与してくださいという話は、たしか市議会の方から出たように記憶していると思うので、そこを端緒にもう少し説得することがまずできないのかというのが、昨年度の話を考えますと、もう少し何とかならないのかということがまず1点目です。

もし、仮にどうしてもだめであるという場合には、議選委員を残したまま、議選の監査委員以外の、要するに議員でない監査委員にもう少し何か力を持たせるような仕組みを入れることはできないのか。

例えば、その一つになってくると思うのですけれども、意見が違っていたら少数意見が付与できるというふうなものは一つだと思いますし、もう一つは、例えば議選委員が代表監査委員になれないとか、あるいは対立が生じたときには議選でない監査委員の意見をもう少し強く反映できるような何か工夫を入れて、要するにできる限り議選委員が入っても、あらゆる部局からの独立性を確保できるような何か工夫を入れるということも考えて、何とかできる限り本来の趣旨を生かすような、小委員会での議論を生かすような方向性を探る余地はないでしょうかという意見です。


○林小委員長 それでは、江藤委員、どうぞ。


○江藤委員 私は西尾委員の方に全面的に賛成しようかなと思っていて、ただ、今、小林委員が賛成できないということなので、どうしようかと思っています。

今の小林委員のことについては、結構、制度設計は無理かなというふうなことがあって、それから、何とかならないかという消極的な意味だけではなくて、それなりに積極的な意味を付与しながら、改めて西尾委員の御意見を受け止めたいと私は思いました。

今回、ペンディングのところを入れてしまうとまた先延ばしということですから、今回の第29次というのはそれなりのメッセージを監査制度について送るべきだということで、それぞれのところで、議選も含めて、それなりの設計をしていく。それから、公選も入れてということで、それぞれ自治体ごとに競争して、ちゃんと住民がチェックしやすいように、それこそ住民が監査委員も見ていくんだ、議会も見ているんだというふうな制度設計の仕方で、私も積極的にはいいのではないかと思っています。

繰り返しになりますけれども、独立性の担保で直接公選を入れながら、許容しながら議会の選挙というところで、委員について1名以内ならば可能という許容範囲を入れ込むことについてはいいといいますか、そういう方向で賛成です。

実地検査権についても、西尾委員が言われたように、それから、斎藤委員も言われたように、監査委員と議会のところで、両方で競争しながらチェックをしていくというふうな制度設計ですから、別にバーターといいますか、取引でなくても、しかも実地検査というふうに言うと重くなりますけれども、実地調査と軽く言っていると、今、常にやっているところはたくさんあるのです。だから、一応、文言として、98条だったと思いますけれども、そこの中に加えていく作業は必要かなと思っていますので、全面的には賛成です。

ただ、ここからは少しニュアンスが違うかもしれないのですが、今の議論の中で、例えば私も積極的に今回の答申素案については、少数意見を付した多数決の導入とか、措置を講じないときの理由を付しての通知とか、それから、包括外部監査を複数年に1回とかという新しいいろいろな提起があって、基本的には賛成なのですが、多数決でというふうに言われても、2人のところが結構あるのではないかと思うのです。ですから、そのときの、ここで明確に合議を多数決に変えるといっても多数決ができないのではないか。文言の修正をされた方がいいというのが1点です。

それから、議選について、私は前、そういう文脈の中では、それなりの意味があるのですけれども、議選廃止についてはそれなりに意味がわかるので議選廃止は賛成ですという言い方をしたのですが、議選が全くだめだったわけでもないと思っています。

付け加えますと、実効性の保証として、今までも幾つかそれなりに役割を果たした議選の監査委員もいたということは一言付け加えておきたいし、それから、今後、是正の措置が講じられないときの理由を付して通知というふうに言っても、通知されてそれまでかというときに、それこそ議会との連動だというふうな、あり得る話だと思うのです。だから、議選が絶対かどうかというのはまた別の話なのですけれども、そういう役割を果たす場合だって今後出てくるのではないだろうか。

そういうようなところで、全面的に賛成なのですけれども、一言お話をさせていただいたわけで、もう一点、真柄委員のところで、外部監査については、公認会計士とか税理士とか、そういうところを積極的に活用するという意味は十分わかるのですが、財務監査ならともかく、行政監査のときはどういう性格がいいかは、ここでは余り議論していないのです。財務監査ならよくわかるのですけれども、そこのところで、これだけ特定を取り上げるということのメッセージでいいかどうか。一言付け加えさせていただきました。

以上です。


○林小委員長 それでは、今の件でいかがですか。


○真柄委員 私が申し上げたのは、主に財務監査の方を念頭に置いて発言しまして、やはり日本だけではなくて、諸外国でも監査人が必ずしも公正な立場から監査しているとは限らない例が非常に社会的な問題になったりしておりますので、たくさん予算を使って、それで外部の監査をやっても、その結果、望んだものが得られない場合も事によってはあり得るということを一応念頭に置きながら、それを防ぐための制度をうまくつくっていく必要があるのではないかという点で先ほど発言をしました。


○林小委員長 それを制度でというのは、難しいですね。わかりました。

それでは、西野委員、どうぞ。


○西野委員 ただいまの西尾先生のお考えには賛成なのですが、1点、議選委員の廃止について引かれたところが少し抵抗を感じておりまして、やはり、ここは今次の委員会では譲れないという気がするのですが、ただ、議選委員を廃止すると人材確保で困るんだという御意見だった。ヒアリングではそうだったと思いますので、少し譲って、当面、少し時間が経てば環境が整ってくると思いますので、それまで当面というのがどのくらいかわかりませんが、当面は1名以内にしてきて、しかし、方向性としては廃止するのが望ましいというのをアピールしながら、当面はそういうふうにしていくというようなことはできないだろうかと考えます。

 そのときに、一方において実地検査権というものが欲しいと、先ほど小林委員がおっしゃったような自治体がいらっしゃった代わりに議選委員を廃止することに対してというのがありましたから、西尾先生がおっしゃるのはごもっともですが、そこは一応、ストラテジーとしては、それと引き換えでそういうものを与えるというふうにしてもいいのかなという気がいたします。

 もう一つ、別のことで、資料1の17ページの「(1)包括外部監査の監査方法」の後段のところが非常にわかりにくい表現になっているので、多分おっしゃっていることは、株式会社の監査人は非常に監査の専門の知識を必要としているということで、財務諸表も監査するというふうになっているので、地方公共団体もやはり決算の財務諸表の監査を行う必要がある。それで、この包括外部監査の必要監査事項として、決算の財務書類の監査を義務付けた方がいいというふうな形で書いていらっしゃると思うのですが、それが監査の実効性を高めることだと書いてあると思うのですが、少し表現がわかりにくいので、もう少し、ここは整理してほしいと感じました。

 ついでに申し上げたいことは、19ページの上の方でございますが、これは包括外部監査に関連して、指定都市とか中核市以外の市町村に対しての問題について2つ目のパラグラフから書いてございますが、義務付けについては少し慎重に行うべきであるというふうなことが述べられております。その理由として、上から4行目ですが「地方公共団体に対する義務付けは必要最小限度であるべきである」という文言がございます。しかし、その義務付けについて、指定都市や中核市には義務付けるけれども、こちらの義務付けは最小限度であるとか、それから、全体としての義務付けが分権化の方向に向かっていくときに逆コースではないかという考え方が前の方にございましたけれども、その言い方というのは、書きぶりについては少し納得がいきかねるのです。

 つまり、片方で義務付けしていますから、小規模であるから義務付けはしないということをもう少し説明がないと説得力がないという気がいたしまして、後ろの方に付け加えました人材の確保とか財政負担等の課題があるのでというのは理解できるわけですが、片方に義務付けしておいて、片方は義務付けしないというのは、全体として中核市その他も、指定都市も、将来的には義務付けは外すというような方向が見えている場合にはよろしいのですが、そうでないときには、それを理由として義務付けをここではしないということについては少々納得がいかないのでございます。


○真柄委員 やはり自治体あるいは団体の規模で、規模が小さいからといって問題が起きないというわけではないので、逆に起きやすかったりする場合もありますから、その点はやはり西野委員がおっしゃるように、少し検討する必要があるかと私も感じました。


○林小委員長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

 武田委員、どうぞ。


○武田委員 先ほどの議選委員の話に戻しまして、やはり私も譲りたくないと思いながら、西尾委員が提案された線に行かざるを得ないかなと思うのですが、この際、少々、条件闘争みたいなことで条件をいろいろ言わせていただきたいと思うわけです。

 議選委員を廃止という小委員会側の提案の根拠は、先ほど言われましたように独立性の確保ということだったのですけれども、私はもう一つ、やはり専門性の確保というところも強調しておきたいと思うわけです。財政健全化法というものが実施されていく中で、監査委員の専門性というものはかなり高くなっていかざるを得ないといいますか、高い専門性が求められるし、業務量も、これまでの自治体の一般会計、その周辺にとどまっていたものをかなり広い範囲にわたって見ていく必要があるということです。

 例えば第三セクターであったり、場合によっては一部事務組合や広域連合というところまでわたって監査の目を届かせなければならないという必要が出てくるわけです。そうした業務量の増加を考えたときに、果たして議員にそれだけの専門性、ないしそれだけの量をこなす可能性があるだろうかという点で私はむしろ疑問を呈していたということなのです。

 そこで一歩譲って、それでは議選委員を認めるとすれば、その議選委員に対してはある程度のといいますか、かなりのといいますか、研修ないし訓練といいましょうか、そうした場を設ける必要がある。少なくとも、何か研修の機会を設ける必要があるのではないかというふうには思います。そうやって、議員が自治体の財政に関する専門性を高めていくことは議会にとってもプラスですし、自治体の財政運営にとっても非常にプラスになることですから、やはりそうした議員に対する研修をどこかで奨励する形にしていただきたいということであります。ついでに言いますと、先ほど、もう一つの論点である実地検査権についても、これは別にバーターにする必要はないんだと改めて思いました。

ついでに、今の財政健全化法関係について、私の理解が正しいのかどうかわからないのですけれども、これは別のところの、議会の議決事件に関するところでも出てくる話なので少しずれますけれども、4分の1の出資のところまで拡張するというふうに書かれているわけです。ところが監査の方で少し調べてみましたら、監査の方の対象としては、自治体が財政的に支援をしている対象例えば、自治体からいろんな団体に補助金を出しているような場合、そうした対象に対しても監査が及ぶことができるというような書き方になっています。ですから、監査は言ってみれば議会の議決事件よりも更に広い範囲に対してチェック機能を果たす可能性があるんだということをふと思ったわけです。

だから、その点をもってして議選委員が要るということは、その強みというものは、強いて言えばそこの点に求められるのではないかと思った次第です。でも、望むらくは、この実地検査権が今の監査と同じような範囲で、すなわち自治体が補助金を出している各種の団体、あるいは分担金を出している事務組合や広域連合にも及ぶというところまで広げて考えられるのが望ましいと思っている次第です。

少し長くなりました。


○林小委員長 ありがとうございます。

 金子委員、どうぞ。


○金子委員 今の議選委員についてですが、私も当時の議論の進め方、専門小委員会の議論の中では、やはり議選委員廃止という方向性で考えておったわけですけれども、いろいろ総会で反対論が出たということも踏まえて、しようがないのかなと思うのです。実はそれに少し関連いたしまして、地方議会の関係者等に聞いてみますと、議選委員というものはどちらかというと議長や副議長を経験された方の処遇ポストになっているとか、議会の中でポストにいろいろ就けなければいけないというようなこともあって、そういうことになっている自治体もあるやに聞いております。ということは、要するに議員の役割や位置付け、在り方と、これは非常に関連してくると思うわけです。

 それで、答申案の方の最後に「(3)議員の位置付け」ということで文章が書いてありますが、実はこれは私、よくわからないといいますか、ここの趣旨が非常に実質的なことがぱっと抜けていて書かれているような気がいたします。

実は、議員の位置付けというものは多分、地方分権の進展等に伴い責任領域を拡大していく。これは、この答申案文の前の方に書いてあるのですけれども、こういう責任領域が拡大していく中で、やはり住民自治に根ざした地方行政の実現を確保するのが議員の役割ではないかと思うわけでございます。それが余り抽象的な形でしか認識されていなくて、今後、多分、地方分権の進展に伴って責任領域が拡大していく中では、やはりおのずと議員の役割も変わっていかざるを得ない。その中で本当に住民自治に根ざした地方行政の実現を確保する観点からというのは、執行機関、長の部局のみならず、議員活動の在り方そのものについても、やはり検討していく必要があるのではないか。

そもそも実質的な住民自治に根ざした地方行政を実現して、住民の福祉を向上していくために議員活動があるというような実質的な検討がなされない限りは、次期の地方制度調査会で議員の位置付けを検討しろと言われても、なかなか次期の地方制度調査会も非常に困ってしまうのではないかと思うわけでございます。だから、そういう実質的な議論の方向性もここに書いておくべきではないかと思います。

 それに関連して、28ページの「(1)議員の役割等」で「議員の役割は、議会における審議・討論を通じて住民の意見を適切な形で地方公共団体の運営に反映させることであり」と書いてあるのですが、これは非常に言い切り過ぎというのですか、これから地方分権の進展等に伴って地方公共団体等の責任領域が拡大していくという中では、やはりこれだけに限らない、もっといろいろ出てくるのではないかということが予想もされるので、ここは、大きな役割はとか、主な役割はとかそういう、これだけに限定されないような表現にされた方がよろしいのではないかと思います。

 以上でございます。


○林小委員長 ありがとうございます。随分時間が超過しております。

 最後の「(3)議員の位置付け」に関しては、やはり議会改革といいますか、そういう議会の機能強化というところが実態として備わらない限り、なかなか議論できないし、位置付けも決定することはできないということで、ただ、そういう意見が一つありますので、前回、少し議論をしていただいて、これはやはりおっしゃるとおり、議会の果たすべき役割とセットですから、これはそういう意味で検討するということなのです。

 それと、これは先ほど斎藤委員がおっしゃった、やはり監査委員と議会の役割は違うんだというところがまず明確になっていないといけないと思うのです。実は議選委員が外れる、なくなるということで、何か議会が少し弱体化するのではないかという、そこだけを見て言われる場合があるわけですけれども、本来そうではなくて、むしろ議会をもっと強化して、監査は監査の役割をもっと強化するということを全体の中で私たち小委員会としては意見を出したかったわけです。

 ところが、ここの部分を局所的に見て、これは何か、裏にどういうことがあるかわかりませんけれども、どうもけしからぬという話になる。ですから、ここは少し、今、意見をいろいろいただきました。それでやはり、ここの部分は、議会と監査というものは第29次の地制調の非常に重要なところだということは私自身も認識をしておりますし、会長、副会長も認識をしておられると思いますので、今日、御意見いただいたことをベースに、どういう形にするか、まだ考えておりませんけれども、もう一度、出させていただいて、そして、御議論をいただくということにしたいと思います。

 それと、わかりませんが、やはり総会のときに、どのような形で出ようが、例えば1人にしようが、恐らく、また異論は出てくるだろうと思います。ですから、そのときに小委員会としてこれを出すということであれば、それに対してやはり全体の議会改革、監査委員改革を地制調では議論して、こういうことだということをきちっと、これは私の役割なのかもしれませんけれども、そういうことの中で御理解いただくということを進めていかざるを得ないと思います。

 ですから、まだ議論する機会がございますので、とりあえず、監査、議会につきましては、この程度に抑えておいて、基礎自治体の在り方につきまして、これはまた少し修文等もしなければならない部分もあるかと思いますので、御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。

 それでは、金子委員、どうぞ。


○金子委員 修文といいますか、質問みたいなものなのですけれども、4ページ目なのですが「(3)基礎自治体に関する残された課題」ということで、3つの課題が書いてあるのですが、実は(1)だけが具体的な課題といいますか、何か必要がある。だから「(1) 小規模市町村における行財政基盤強化の必要性」と書いてあって、その中にも「小規模市町村における行財政基盤を強化する必要がある」と書いてあるのですが、5ページ目の(2)と(3)は「(2) 将来的に合併の必要性を認識している市町村の存在」「(3) 大都市圏の市町村が抱える課題」ということで、この中は現状認識みたいなことしか書かれていない。

ですので、若干、ここは文章的に、(1)にこういう具体的な課題の必要性を書くのであれば、(2)と(3)も書かないといけないし、(2)と(3)に書かないのであれば、(1)はもう少し、例えば小規模市町村の存在とか、合併がここまで推進されてきたけれども、なお残る小規模市町村とか、そういう形に書いて、4ページの「今後」以下はやはり削除という感じではないのかと思うのですけれども、その辺りを事務局にもお聞きしたいのです。


○林小委員長 これは文章としては、例えば食い違いが残っているとか、あるいは食い違いが出ているとか、要するに受益と負担が食い違っているということなので、思いはやはり受益と負担の食い違いを可能な限りなくしたいということなのです。そうでなければ、食い違ったままの地域が見られるとか、受益と負担の乖離があるとかといったようなことは出てこないので。


○金子委員 だったら、どうするんだというのが課題だったら、そう書くべきではないですか。(1)のところにこれだけ具体的に書いているんだったら、これは小規模市町村の方にとってみれば、何だ、自分のところだけ集中的に攻撃するのかというような印象をお持ちになるのではないかと私は非常に危惧するわけです。


○林小委員長 おっしゃるとおりです。ただ、大都市圏の市町村が抱える課題は、まだ本当に課題しか出ていないのです。これをどうするかという、広域連携とかそういう話はしておりますけれども、どうしたらいいかというところまで議論ができていないというところも現実にありますので、この辺り、少し文章的にどうするかということは、また考えます。

 どうぞ。


○武田委員 前回の会議のときに全体の書き方が、合併評価に関するトーンがどうも議論と違っていたのではないかということを申し上げたら余り賛意を得られなかったのですが、文章を読んでみて、合併の評価に対するトーンが明確になったものでやはり少し言いたいと思います。

 というのは、合併の評価ですが、基本的には、「一生懸命合併を推進してきた。それで、かなり進捗をした。でも、やはりそれだけ真摯な努力をしたけれども、なお残っている未合併の自治体がある」というトーンなのです。それで、そういうトーンで貫かれていきますと、抜けてしまうのは結果的に、あるいは自主的に非合併を選択した自治体が全くこの文章の外に置かれてしまう。その選択は、全く枠外に置かれた書き方になっているというところが私は少し問題なのかなと1つ思いました。

 ですから、まだ合併する余地があるところという書き方と、合併して問題を抱えているけれども、10年先には何とかいい効率化が、メリットがデメリットを上回るであろうというトーンというところとに加え、やはり自主的な選択はそれはそれで尊重するべきであるということも併せて書かないと片手落ちになるのではないかと思ったわけです。

 その点で言いますと、全体の書き方として次の特例法というものはもはや自主的な合併というものにとどめようというのがここの書き方としてあるわけで、私はそれは支持したいと思うのですけれども、大都市圏に限って言いますと、10ページ辺りからの書き方ですが、どうも大都市圏に限ってはもっと合併するべきだというニュアンスで書かれている。

それで、今、委員長が言われましたサービスの受益と負担の一致の問題については、ほかの委員から以前の議論の中で指摘があったと思うのですが、受益と負担を一致させようと思ったら際限なく合併を繰り返していかなければならなくなるということですから、これを一致させることはそもそも非現実的であるというところで収斂したような記憶があるのです。ですから、ここで大都市圏のみ合併促進的なニュアンスで書かれるのは少し納得がいかないところがあります。

もう一つ、ついでに別の論点で指摘させていただきたいのは、5ページから6ページにかけてでしょうか、あるいは全体を通じて、例えば10ページ辺りもそうなのですが、「行財政基盤の強化」という言葉が繰り返し出てきます。要するに、小規模自治体が分権化の下で事務を担っていく上での行財政基盤を有していないという書き方がなされているのですけれども、私は特に、この中の財政基盤を有していないという言い方が非常に人ごとみたいな書き方をされているといいますか、そもそも財政基盤がどうして弱くなったのかということに対する反省がないといいますか、それはそれぞれの小規模自治体の自己責任で弱くなったんでしょうみたいなトーンで書かれている気がします。

これは、この間、委員長に却下されてきたことですけれども、財政問題、交付税の問題は入れないというようなことで抑えられてきましたが、他方でやはり財政基盤はそれぞれの自治体が自ら、努力していくことは求められますけれども、他方で国がある程度、調整を行う、保障を行うというところを、やはり度外視して語ることはできないのではないかと私は思うわけです。ですから、ここの何となく突き放した書き方が非常に気になっているということであります。

以上です。


○林小委員長 この議論は非常に難しい議論です。それでは、交付税でどこまで保障するんだといったようなことを議論しなければいけませんし、基盤とは何だろうということもありますし、そういう意味では経済力の活性化みたいな話だって出てくるわけですね。ですから、そういう議論がある中で、でも、やはり住民生活を維持していくためには、それなりの財政基盤がなければいけない。

でも、その場合に、それでは、どこまで保障すればいいんだという話に当然なるわけですけれども、これはこの地方制度調査会では議論をしておりませんし、交付税の在り方についても、これはまた大問題ですから、やはりどこかで議論を本当にしなければいけませんし、例えば監査委員事務局にしても、義務付けてくれれば交付税で見てもらえるといったような議論だってあったわけですし、でも、それに関しても、それはどうでしょうというようなということで一応とまっています。

ですから、少しその辺りは、武田委員のおっしゃりたいことはよくわかるのですが、この中に書き込む形での意見の交換はしていないと私は思っておりますし、そういう意見があったということは書けるかもしれませんけれども、一つの小委員会としてのまとまった意見だという形には、どうもならない。ただ、ニュアンスとして突き放した形になっているということに関しては、その辺りは少し慎重になった方がいいのかもしれませんが、ただ、私自身は、個人的には特に突き放してはいないと思っております。

つまり、やはりそれは基礎自治体として、そういう意味では小規模自治体の在り方も、検討の補完をどうするかといったようなことも、指摘の判断の中で考えていく。だから、それをやはりやるんだというところは当然やっていただいたらいい。ただし、それに対して、それでは財源的な手当をするというところまでは、ここでは全く議論はしておりませんので、そういう自主的な判断の中で、それに対して財政措置をどうするかというのは、県が受け取ったときにどうするかという議論は少しありましたけれども、これはむしろ、そういう総枠的な話で、すべて義務付けでやりましょうというところではないのだというところをまずは強調したいということなのです。

 どうぞ。


○真柄委員 今の点なのですけれども、確かに、例えば9ページの一番下の行に出ているように、福祉とか保健の分野というものは、財政基盤が現在いいか悪いかにかかわらず、やはりよいサービスを受ける権利を持っているわけですので、財政基盤を強化することは私は必要だと思うのですが、それをどういうふうに強化していくのかということがむしろ今後の課題になるわけで、それ自体を否定するものではなかったと思います。

 特にそれに関して、それを前提に8ページにとても重要なことをまとめていただいたと思いまして、いろんなオプションがある多様な選択肢がここで示されていて、この専門小委員会で特に重要だった点は、やはり住民が自ら選択できるという点をもっと強調していただけたらと思って、特にオプションがたくさんある中から自由に選ぶことができる。その自由度を特に強調していただければと思います。


○林小委員長 基本的には、やはり選択肢を広げることでもっと豊かさを感じましょうということだと思うのです。ですから、そういう意味では制度的にそれができなくなっている部分はやはり取り払って、できる限り選択肢を広げましょう。それから、広域連携にしても、もっと使い勝手のいいものにしましょうという議論なので、先ほど武田委員がおっしゃった大都市圏に関しては、やはり合併というところが少し見えるかもしれません。これは、それも一つの選択肢だということですので、ここは少し慎重に考えたいと思います。

 どうぞ。


○小林委員 その話とも関連するのですけれども、先ほど武田先生がおっしゃった、合併をしていないという判断をした自治体のところが抜けているというお話だったのですが、私、特に7ページの最初のところを見て、これは合併をしないという選択肢をした自治体はよくないというふうな、悪いというふうな、この文章をぱっと読んで、そういうふうな印象を持ってしまう。それは誤解だと思うのですけれども、そういうふうに受け取られかねないかなという感じがしたので、やはり少し手直しする必要があるのではないのか。

 財政基盤を強化するということは勿論、今回、今までの特例法の中では合併についての非常に大きな位置付けだったと思うのですけれども、その選択をしなかった自治体がよくないというふうな誤解を生まないような表現に直す必要があると思います。

 次の8ページなのですが、定住自立圏の話が入っているのですけれども、ここではそんなに議論していなかったように記憶しているのですが、ここまで書いてしまってよろしいものかどうかと私は思うのですけれども、抜くべきならば抜くように直された方がよいのではないかと思います。

 それと、10ページからの大都市の課題で、合併の話で、大都市は合併が必要だというふうなことについての意見が幾つか出されておりますけれども、要するに、たしかここでの専門小委員会での議論は、受益と負担が一致していないということをまず都市部の自治体に広く認識してもらって、広域行政が必要なのだということをよく理解してもらって、その中で広域連携をするとか、あるいは合併をするとか、要するに手段の一つとして合併があったのであって、連携も含めて、人々が移動する中で、どう広域行政サービスを提供していくのかというふうな話を私は言ったつもりだったのですけれども、その中の選択肢の一つとして合併があるんだというふうに表現するのが一番いいのではないのかと思います。

 以上です。


○林小委員長 どうぞ。


○西野委員 武田委員が先ほどおっしゃった最初の部分ですけれども、これは6ページから7ページにかけてでございますが、つまり、ここで7ページの上の方、第2パラグラフでおっしゃっているところに、合併しなかった市町村に対する非難めいた雰囲気が醸し出されてくるという感じは免れないのです。でも、読んでみましたら、ここで何を言っているかといいますと、今後の市町村合併に対する支援の在り方について述べているのです。ですから、非難的なところは抜いてしまえばここは構わないわけでして、今後は積極的な意味で、その推進を誘導するようなことはしないということで、障害になることは取り除くとか、必要があれば支援するということを言えば足りるわけです。

ですから、恐らく6ページの(2)の表題を「今後における市町村合併の支援のあり方」というふうな形にお変えになれば、そして、7ページの「しかしながら」から始まる第2パラグラフを除かれれば、それはそれで私たちの専門小委員会で議論したことと一致するわけだと思います。


○林小委員長 これは合併をしなかったところに対する何かではなくて、したかったんだけれども、結局、いろいろできなかったところがあるので、そういうことなのです。ですから、そういうところに関しては、やはり何らかの支援が必要だろうということがあるので入れているのです。


○西野委員 わかります。でも、今後はこういうふうなことですというふうに言えば足りるわけでして、ここに幾分、非難的な視点を入れる必要はないと思うのです。ですから、7ページの第2パラグラフは要らないと思います。


○林小委員長 少し考えさせていただきます。私は、余り非難的には取れないと思っているのです。


○真柄委員 第2パラグラフの最後の行が、ここでの最も言いたかった、焦点は限界があるということでしょう。


○西野委員 そうです。


○真柄委員 上の方を少し変えていただければよろしいのではないですか。


○金子委員 ですから、上の方を少し選択的みたいなことを書く。

 いいですか。


○林小委員長 どうぞ。


○金子委員 今の関連で、非難めいて、合併しなかったところは全然援助も得られなくて、合併した子だけいい子いい子にしましょうというように私も感じたのですけれども、それで7ページのなお書きのところで、ここの書き方ももう少し、何か、ここを読むと合併したところだけいい子だから、えこひいきして援助しましょうみたいに何となく読めるのです。だから、ここの書きぶりは少し何とかならないのかと思います。

 あと、8ページで、先ほど小林委員がおっしゃった定住自立圏構想が入っているところなのですけれども、これはそもそも制度と関係ないお話ですし、定住自立圏構想については、この小委員会で検討したときには、やはり審議において否定的な評価の方が多かったというふうに私は記憶しておりますので、そういうものをここまで書く必要もないのかなと思います。


○林小委員長 広域連携の一つの形態だということで書いているのです。

 それでは、斎藤委員からどうぞ。


○斎藤委員 それでは、手短に、今まで出た点に関して若干、今までの議論との関係だけについて指摘をさせていただきたいのです。

 まず、大都市のところです。10ページで、先ほど武田委員の方から、下から3行目の受益と負担が一致していないということについては特段問題ではないとか、そういう方向ではなかったかという御発言がありましたが、それはむしろ、その1行前の日常生活圏と行政区域を必ず一致させるという、そこはナンセンスだというのはたしか出たと思うのですけれども、受益と負担が一致していないことについては、そんなに反対といいますか、そこはなかったと思うのです。それに加えて、やはり中間住民を、住民参加をどう位置付けるかというような問題がありますから、ここは問題の指摘としてはやはりあるのではないかと考えます。

 それから、11ページで、合併についても、それは自らの判断でとありますから、もう少し、一つの選択肢というふうにしていただければ、ここはそういう選択肢もありますというのを客観的に示すことはよろしいのではないか。

 ただ、それに関連して、その下に「住民自治を図る観点から」という、ここは、それでは住民自治がないのかという話なので、充実するとか、維持・拡大とか、何かもう少し、旧のまとまりについての住民自治については御配慮いただければと思います。

 もう一点、8ページの定住自立圏の話で、これは委員長の御指摘にも関わりますが、今までの議論では、やはり制度的な広域連携というものを考える際に、水平連携の手法というものは今まで余りにもなくて、それを正式に何か考えるという場合には、現在行われている定住自立圏における協定という取組みも一つのベースラインといいますか、今後の検討を進めるに当たってのベースラインになるのではないかという議論はあったと思いますので、何らかの形で定住自立圏ということが出ても、それは別におかしくはないとは思います。

 もう一点だけ、先ほどの論点に戻って恐縮なのですが、事務局に確認の作業をお願いしなければならないことがあるので1つだけ、議会のところで21ページの一番下で「総合計画やその他の法定の計画を議決事件として追加するなどの取組が行われており」という記述になっていますが、ここは恐らく、第3回総会に提示したときの審議の活性化のときの第1の5の論点で、総合計画、また自治事務に該当する法定計画を議決事件に追加する手法により、議会における実質的な審議を促進というものをここに入れ込まれたんだと思うのです。

ところが、そこで法定計画を議決事件に追加できるんだというのは、ここで確認をしていただいたこと、つまり、都市計画とか森林計画について、法定の計画であっても自治事務であれば議決できるのですということで、それをメッセージとして盛り込めば、単に活用というよりは更に具体活用になる。それをこういうふうに入れ込んでしまうと、どういう調査が必要かというと、本当に法定の義務付けられた計画について活用している取組みが行われているのか。

つまり、総合計画については例を出していただきましたけれども、ですから、むしろ、そこは総合計画についての取組みが一方であり、なおかつ、法定計画についても原則として、自治事務については議決可能である。ですからというような記述にしていただいた方がいいのではないか。勿論、既にそういうものをやっているんだというのであれば、これは非常に強烈なメッセージにはなるとは思うのですが、そこは確認をお願いしたいと思います。


○林小委員長 恐らく、江藤さん、そういうことはあれですね。


○江藤委員 今の話で言いますと、法定のというのは、例えば都市計画マスタープランも含めて、かなりのところで議会基本条例に入れ込んだりしていて、96条の2項を使っているというのはいろんなところで広がっているという意味で、これについては強いメッセージを送るべきだと思います。

 議会については、まだいろいろ言うことはあるのですが、今日は特に市町村合併の方に入っているので、今回の第29次については市町村合併の評価と今後の在り方がすごく大きな問題ではないかということで、合併も3月で一区切りだということで、今回読ませていただいて、市町村というものは多様であるんだということですね。それで、さまざまな連携によって地域経営を行っていくのだという、先ほどの定住自立圏についても水平補完というのですか、これも一つのオプションだということだと思うのです。

その意味で、それを踏まえて確認と質問をさせていただきたいのですが、私、こういう文章を読むとすごく気になるのは、自治体とか市町村について行政主体と書いてあるのです。行政主体なのですかという、もう地方分権改革推進委員会で地方政府と明確に言っているのですから、地方政府というふうに言ってもらいたいねというのが1つなのです。何か言えない理由があれば教えていただきたいのです。


○西尾委員 念のために、地方政府の確立を目指しているのです。


○江藤委員 ありがとうございます。それでは、これからも私は基本的に地方政府と書きたいし、それから、市町村は行政だけではなくて自治の主体ではないかと思っているものですから、行政主体という文言が果たしてなじむかどうかというのも、この分権時代ということで考えていただきたいことだと思います。

 それから、今との絡みで言いますと、5ページになりますけれども、2の「(1)今後の基礎自治体像」の中で第27次のものが引用されています。前もこだわっていたのですが「住民に最も身近な総合的な行政主体」ということですけれども、いろいろ、この総合的な行政主体というものは意味があるのだという確認は取れているのですが、確認の意味で、福祉とか教育とか身近なサービスを自分のところでフルセットするわけではなくて、いろんな連携をしながら行うのだというようなことが総合的な行政主体ということで、今後もそれを継続して議論するということで理解していいんでしょうねという、今までの確認の意味で、ですから、市町村の多様性を認めて、連携して、身近な政府をつくるんだということがイメージとして理解していいのかどうか、教えていただきたいと思います。

 それから、小さいことではないのですが、町村会から出されているものを読ませていただくと、やはり第29次についての不信がかなりあるかなということです。それで、今日はそれについては取り上げられていないので、もう少ししっかりと議論したいということで、今、お話ししようかなと思ったのですが、時間を見たら、もう時間だと思いましたから、この程度にしますけれども、かなりそこの論点を踏まえて、第29次としてはどういうメッセージを送っていくべきなのかという、私は水平連携とか垂直補完とかというものは必要だと思いますので、それの現実的な在り方を今後探っていきたいと思います。時間ですので、この辺にしておきます。


○林小委員長 総合的というのは、AからZまですべてフルセットでやることではないのだということは出たのです。ただ、それでも水平補完とか垂直補完をやることによってそういうことができるのだったら、それはやればいいではないですかということだと思います。

 あとは、これはいろいろ議論がございます。きちっと定義もしていない部分もありますし、そもそも、この基礎自治体の在り方というものを2年間で、根本問題まで含めて地方政府というところまで議論するということはおよそ不可能だと思っております。ただ、今回の第29次は、現行制度をどう変えるか。その行き着くところは、やはり地方政府を目指してということだろうと思うのです。

ですから、地方分権改革推進委員会では明らかに地方政府という言葉が出てきているとしても、地制調としてはその両輪となって、現行の制度をどう変えることによって、そういう地方政府に近づいていけるかということの議論をしているのだという具合に思っていただいたら。


○江藤委員 理解しているのですが、ただ、行政主体というものがひっかかります。


○林小委員長 私なども、余り行政主体という言葉は使いませんけれども、そんなに厳密に定義をして使っているわけではないので、この辺りは行政主体という言葉の使い方が適正かどうかということに関しては、少し私も勉強させてください。江藤委員からは、それは少し適切ではないのではないかという言葉がございましたけれどもね。

少し時間が、私、今日遅れてまいりまして、ちょうど遅れた分ぐらいが延長になっております。それで、やはり2時間ということでいきたいと思いますので、今日の御議論はこれぐらいにさせていただきたいと思います。

ですから、今日は素案なのですけれども、素案の案という感じでございました。次回、今日いただきました御議論を踏まえて、内容的にも、そして、文章的にも修正ができるかと思いますので、引き続き御議論をいただければと思っております。

そういうことで、事務局の方から、今後の日程につきまして御説明をいただければと思います。


○行政企画官 次回の日程でございますけれども、本日の資料でも御案内させていただいておりますが、5月26日火曜日午前10時から12時まででございます。場所は東京グリーンパレスにて開催する予定でございますので、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。


○林小委員長 ありがとうございました。

 どうぞ。


○金子委員 済みません、確認ですけれども、次回は今日の素案を修正した案が出てくるのでしょうか。


○行政課長 委員長とも相談させていただきますけれども、今日の御議論を踏まえて必要な修正を行った上で資料を出させていただきたいと思います。


○金子委員 また出るわけですね。


○行政課長 はい。


○林小委員長 勿論、修正されていないところでも議論をしていただくということは当然ありです。

 どうぞ。


○武田委員 この町村会から出された意見書ですけれども、前後関係だけ確認させていただきたいのですが、この原案を見た上での御意見なのか、見ていない上でのということですか。


○市町村課長 この素案は見ていらっしゃらない上での意見です。前回意見の詳細を後日出しますというメッセージがありましたが、それが今回いただいたものでございます。


○武田委員 わかりました。


○林小委員長 どうもありがとうございました。

それでは、これをもちまして本日の専門小委員会を閉会いたします。長時間ありがとうございました。

(了)

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